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新撰組異聞 〜 最初で最後の七夕月 〜


〜 第三版 〜


今は初秋。


ここは、京の町。


夏が続くような暑い日が続いている。


ここは、島原。


遊郭。


たくさんの客で賑わっている。


ここは、一軒の店。


たくさんの客で賑わっている。


一室。


山南敬助は微笑んで居る。


明里が部屋の中に微笑んで入ってきた。


山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里も山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「明里。久しぶり。」

明里は山南敬助に拗ねて話し出す。

「先生。私への言葉。久しぶり、だけですか?」

山南敬助は明里を不思議な様子で見た。

明里は山南敬助に拗ねて話し出す。

「先生がなかなか来てくださらないから、私の夢が一つ叶えられませんでした。」

山南敬助は明里を困惑して見た。

明里は山南敬助を拗ねて見た。

山南敬助が明里に困惑して話し出す。

「明里の夢。何かな?」

明里は山南敬助に恥ずかしく話し出す。

「好きな人と七夕を一緒に過ごしたい、です。」

山南敬助は明里を困惑して見た。

明里は山南敬助を寂しく見た。

山南敬助は明里を困惑して見ている。

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「先生には、七夕より以前に逢いました。先生に七夕を過ぎた後に話したら、先生は困りますよね。先生と逢った時の私は、今の話の夢を叶えたい気持ちを忘れていました。」

山南敬助は明里を困惑して見ている。

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「今は七夕が終わって直ぐです。次の七夕まで一年も待たなければなりませんね。」

山南敬助は明里に困惑して話し出す。

「七夕の頃は、明里に逢う回数も逢う時間も少なかった。明里に今の話の内容の夢があると知っていれば、都合を付けて明里に逢うようにした。残念だ。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「先生。私は、最近まで、今の話の夢は忘れていました。気にしないでください。」

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里も山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助が明里に微笑んで話し出す。

「今の明里は、夢を思い出している。忘れた夢を思い出す状況は、良い状況だ。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「はい。」

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里も山南敬助を微笑んで見た。


翌日の事。


ここは、紫陽花の花の咲く場所。


紫陽花の見頃は既に過ぎている。

色あせた紫陽花、枯れかけている紫陽花、枯れている紫陽花、が多い。

所々になるが、かなり遅く咲いた紫陽花の花が鮮やかに咲いている。


沖田総司は微笑んで来た。

斉藤一は普通に来た。

少女は微笑んで来た。


沖田総司は紫陽花を残念な様子で見た。

斉藤一は紫陽花を普通の表情で見た。

少女は沖田総司と斉藤一に申し訳なく話し出す。

「今回の場所ならば、綺麗に咲く紫陽花の花が見られると思っていました。色あせた紫陽花、枯れかけている紫陽花、枯れている紫陽花、が多いです。期待させてしまって申し訳ありません。」

沖田総司が少女を見ると、少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃん! 枯れかけていても、色あせていても、枯れていても、紫陽花は綺麗だよ! 所々だけど、紫陽花の花が綺麗に咲いているよ! 落ち込まないで!」

斉藤一は少女を見ると、少女に普通の表情で頷いた。

少女が沖田総司と斉藤一に申し訳なく話し出す。

「紫陽花の見頃が過ぎてから、たくさんの日数が過ぎています。綺麗な紫陽花をたくさん見られる場所は無いですよね。私は、綺麗な紫陽花が咲いているかも知れないと思って、確認をしませんでした。私は、総司さんと斉藤さんを、期待させてしまいました。総司さんも斉藤さんも、お忙しいです。総司さんと斉藤さんに、楽しんで頂けません。申し訳ありません。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「綺麗な紫陽花の花は咲いているよ。私は鈴ちゃんと斉藤さんと一緒に紫陽花を見られた。嬉しいよ。落ち込まないで。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「紫陽花の見頃は過ぎているのに、綺麗に咲く紫陽花の花を見られた。美鈴さんだから、今回の場所を思い出した。落ち込むな。」

少女は沖田総司と斉藤一を安心した様子で見た。

沖田総司は少女を安心した様子で見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

沖田総司が少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 来年は綺麗な紫陽花をたくさん見ようね!」

少女が沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 来年も一緒に紫陽花を見ますよ! 約束を忘れないでくださいね!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


直後の事。


ここは、沖田総司、斉藤一、少女の居る場所から、少し離れた場所。


山南敬助は微笑んで居る。

明里も微笑んで居る。


明里は沖田総司と斉藤一と少女を微笑んで見た。

山南敬助も沖田総司と斉藤一と少女を微笑んで見た。

明里は山南敬助を見ると、山南敬助に微笑んで話し出す。

「少し離れた場所に、沖田様と斉藤様がいらっしゃいますね。」

山南敬助は明里を見ると、明里に微笑んで頷いた。

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「沖田様と斉藤様と一緒に居る女の子。可愛い女の子ですね。沖田様と親しい様子が分かります。沖田様と女の子の傍には、斉藤様が居ます。三人で居ても、違和感が無く、馴染む様子を感じます。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「明里。総司と斉藤君とあの子の関係を的確に読み取った。凄い。理由が知りたい。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「秘密です。」

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里は山南敬助に苦笑して話し出す。

「先生。黙らないでください。私が何も話せなくなります。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「黙ってしまって悪かった。明里。理由を教えて欲しい。」

明里が山南敬助に微笑んで話し出す。

「斉藤様と女の子の雰囲気が自然だからです。」

山南敬助は明里に不思議な様子で話し出す。

「斉藤君とあの子が話す時は自然。総司とあの子が話す時は自然ではないのかな?」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「女の子が沖田様と話す時は、沖田様に相応しい女の子になろうと努力して話す様子が伝わります。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「確かに、明里の話すとおりに感じる時がある。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「先生。近い内に、沖田様と斉藤様と女の子とゆっくりと話す時間を作って頂けませんか?」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「私達は近くに居る。今から話せる。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「突然に押し掛けたら、女の子が可哀想です。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「明里の話すとおりだ。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「沖田様がご本人の気持ちになかなか気付かないので、女の子と斉藤様は大変ですね。」

山南敬助は明里を苦笑して見た。

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「今の話は当たりですね。」

山南敬助は明里に苦笑して話し出す。

「総司をはじめとして、新撰組には個性時な人物が多い。斉藤君があの子を気遣っているが、任務があるので、大変だと思う。私も気遣っているが、任務があるので、気遣う時間を多く取るのは難しい。あの子もいろいろと大変だと思う。明里は私より上手にあの子の相談に乗れると思う。」

明里は少女を微笑んで見た。

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里は山南敬助を見ると、山南敬助に微笑んで話し出す。

「私は、女の子の相談相手になれません。でも、是非、女の子と会って話したいです。」

山南敬助は明里に不思議な様子で話し出す。

「あの子の相談相手になれない。理由は何かな?」

明里は山南敬助に寂しく話し出す。

「私は、女の子と比べられる程に真剣に好きなった時が無いです。私は、女の子と比べられる程に、自分より相手を考えて生きた時が無いです。私は、自分の夢を忘れて、相手に夢を売って生きています。たくさんの思いを諦めて、夢を諦めて、生きています。私は女の子の相談相手になれません。先生は素晴らしい人物です。女の子の相談相手に申し分ない人物です。」

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「明里。明里本人を悪く話しては駄目だ。」

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「先生。他人の話す内容を、全て信じては駄目です。私は先生の傍にずっと居たい。先生は私と一緒に居る時は、私だけを観てください。」

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里は山南敬助を見ながら、山南敬助の腕に微笑んで掴まった。

山南敬助は明里を微笑んで見ている。

明里は山南敬助の腕に掴まり、山南敬助に微笑んで話し出す。

「先生。私ではなく、他の女性を観る行為は、嫌です。先生にとって大切な沖田様のお相手の女の子でも、嫌です。」

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里が山南敬助の腕を放すと、山南敬助に微笑んで話し出す。

「先生。今回も信じましたね。」

山南敬助は明里を苦笑して見た。

明里は山南敬助に微笑んで話し出す。

「先生が沖田様達に私を紹介してくださる時が楽しみです。」

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里は沖田総司と斉藤一と少女を見ると、羨ましく呟いた。

「私もお二人のような雰囲気になりたいです。」

山南敬助は明里に不思議な様子で話し出す。

「明里。話しが聞き取れなかった。何を話したのかな?」

明里は山南敬助を見ると、山南敬助の腕に微笑んで掴まった。

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里は山南敬助の腕に掴まり、山南敬助に微笑んで話し出す。

「時期が過ぎたのに、七夕を行っても意味が無いです。私は先生と一緒に本当の七夕を過ごしたいです。来年まで楽しみを取っておきます。」

山南敬助は明里を微笑んで見た。

明里は山南敬助の腕に掴まり、山南敬助に微笑んで話し出す。

「私の夢は、先生が叶えてください。忘れないでくださいね。約束ですよ。」

山南敬助は明里に微笑んで頷いた。

明里は山南敬助の腕に掴まり、山南敬助を微笑んで見た。


山南敬助は微笑んで歩き出した。

明里は山南敬助の腕に掴まり、微笑んで歩き出した。


直後の事。


ここは、沖田総司と斉藤一と少女が居る場所。


沖田総司は笑顔で居る。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。


沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 紫陽花を三人で見る約束をしました! 忘れては駄目ですよ!」

斉藤一が沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 正式な約束ですよ! 忘れたら駄目ですよ!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「くどい。」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「斉藤さん。すいません。騒ぎ過ぎました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「斉藤さん。すいません。怒っていますか?」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「俺は怒っていない。幾度も謝るな。」

沖田総司が斉藤一に安心して話し出す。

「斉藤さん! 怒っていないのですね! 安心しました!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんも一緒に紫陽花を見るからね! 約束を忘れたら駄目だよ!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は斉藤一と少女を笑顔で見た。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


七夕が過ぎ、紫陽花の見頃が過ぎた。

沖田総司と斉藤一と少女は、七夕が過ぎても、紫陽花の見頃が過ぎても、楽しく過ごす時間を作り、楽しい時間を過ごしている。




*      *      *       *      *       *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

山南敬助さんと明里さんが、来年の七夕の約束をします。

沖田総司さんと斉藤一さんと鈴ちゃんも、来年の七夕の約束をします。

この物語の時間設定は、「池田屋事変」の直後から一ヶ月ほど後で、「蛤ご門の変」の少し前になります。

沖田総司さんの体調が安定して、比較的自由に出掛けていると思ってください。

沖田総司さんは、本当は忙しいはずですが、鈴ちゃんに時間を作って逢っていると想像してください。

山南敬助さんは、翌年の七夕よりかなり前の二月に切腹をして亡くなります。

沖田総司さんや斉藤一さんは、次の七夕を迎えています。

明里さんの物語の設定時の年齢は、二十歳から二十一歳くらいと言われます。

明里さんと山南敬助さんの付き合いは、一年間あるかないかと言われます。

同じ季節を二回は迎えられなかったと思われるため、「最初で最後」の題名を考えました。

「嶋原(しまばら)」は、「島原」とも書きます。

「新撰組異聞」関連の物語では、「島原」で書いています。

ご了承ください。

「七夕月(たなばたづき)」についてです。

「陰暦七月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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