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新撰組異聞 〜 真夏の夜の夢 鈴の夢 〜


〜 改訂版 〜


今は夏。


ここは、京の町。


夜空には月や星が綺麗に輝いている。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋。


沖田総司は蚊帳の中に敷いた床の中で静かに寝ている。


部屋の中が不思議な空気に包まれた。


沖田総司は床に横になったまま、ゆっくりと目を開けた。


少女が沖田総司を笑顔で覗き込む姿が見えた。


沖田総司には、少女と同じ顔の夜の国の住人の“夢”だと直ぐに分かった。


沖田総司は床横になったまま、夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。こんばんは。」

夢は沖田総司を覗き込みながら、笑顔で話し出す。

「総司さん! こんばんは! 美鈴さんと私の違いが直ぐに分かるのですね!」

沖田総司は床に横になったまま、夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃんと鈴ちゃんは物凄く似ているけれど、雰囲気が違うよ。それに、夜に私の部屋に居るのは、夢ちゃんしか考えられないよ。」

夢は沖田総司を覗き込みながら、笑顔で話し出す。

「美鈴さんを想う力が強いですね! さすがは総司さんです!」

沖田総司は床に横になったまま、顔を赤くして夢を見た。

夢は沖田総司を覗き込みながら、笑顔で話し出す。

「総司さん! なぜ顔が赤いのですか?! なぜ黙っているのですか?!」

沖田総司は床に横になりながら、顔を赤くして夢を見ている。

夢は沖田総司から笑顔で離れた。

沖田総司は床の上に体を起こすと、顔を赤くして夢を見た。

夢は沖田総司に笑顔で抱きついた。

沖田総司は床の上に体を起こしながら、顔を赤くして動きを止めた。


夢は沖田総司を笑顔で抱きながら、不思議な空気に包まれた。

沖田総司は顔を赤くして床の上に体を起こしながら、不思議な空気に包まれた。


それから一瞬の後の事。


ここは、夜の国。


夜空には月と満天の星が綺麗に輝いている。


涼しさを感じる空気に包まれている。


ここは、見渡す限りの草原。


夢は沖田総司を笑顔で抱きながら、静かに現れた。

沖田総司は顔を赤くして動きを止めながら、静かに現れた。


夢は沖田総司から放れると、微笑んで話し出す。

「総司さんは、照れ屋さんですね。」

沖田総司は顔を赤くして夢を見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんは、斉藤さんと美鈴さんには、自分から抱きつきますよね。なぜ私が抱きつくと顔が赤くなるのですか? 理由を教えてください。」

沖田総司は夢に顔を赤くしながら話し出す。

「斉藤さんは大切な友達だから。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんは美鈴さんも大切な友達と言いますよね。大切な友達の美鈴さんが抱きついたと思えば、顔は赤くならないですよね。」

沖田総司は顔を赤くして夢を見た。

夢は沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司さん! 私を大切な友達だと思って抱きついて、“好き”と言ってみましょう! 顔を赤くせずに出来ますよね!」

沖田総司は顔を赤くして夢を見ている。

夢は沖田総司の手を掴むと、微笑んで話し出す。

「総司さん。練習です。気を楽にしてください。」

沖田総司は顔を赤くしながら、夢の手を驚いた様子で離した。


夢は微笑みながら、静かに居なくなった。


少女は微笑みながら、静かに現れた。


少女は沖田総司の手を微笑んで掴もうとした。

沖田総司は夢の居た場所に向かって、大きな声で叫んだ。

「うるさい! 鈴ちゃんに言える訳がないだろ!」

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司も少女を驚いた表情で見た。

少女は沖田総司に悲しそうに話し出す。

「私はうるさかったのですね。今まで気付かなくてすいませんでした。」

沖田総司は少女を驚いた様子で見ている。

少女は静かに泣き出した。

沖田総司は少女に慌てた様子で話し出す。

「鈴ちゃん! 大きな声を出してごめんね! 怖かったのよね! それとも、どこか痛いのかな?! 大丈夫? ごめんね!」

少女は静かに泣いている。

沖田総司は少女の抱くと、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。ごんめね。鈴ちゃんは騒がしくないよ。鈴ちゃんは静かな子だよ。」

少女は静かに泣いている。


沖田総司の横から、斉藤一の気配を感じた。


沖田総司は少女を抱きながら、斉藤一を驚いた様子で見た。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。


沖田総司は少女を抱きながら、僅かに慌てた。

少女は静かに泣いている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。辛さや痛さを感じるのなら、医者に診てもらおう。」

少女は沖田総司に静かに泣きながら話し出す。

「辛くないです。痛くないです。大丈夫です。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。本当に痛くないの? 無理していない?」

少女は沖田総司に静かに泣きながら話し出す。

「無理していません。迷惑を掛けてごめんなさい。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃんは静か過ぎるくらいだから謝らなくて良いよ。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は少女を抱きながら、慌てた様子になった。

少女は沖田総司に静かに泣きながら話し出す。

「総司さん。楽しくお話し出来なくてごめんなさい。楽しくお話しが出来るように努力します。」

沖田総司は少女を抱きながら、慌てた様子で話し出す。

「私は今のままの鈴ちゃんが良いな! 鈴ちゃんと一緒に居ると楽しいよ! 鈴ちゃんはいろいろな話しを聞いてくれるよね! 感謝しているんだよ!」

少女は静かに泣いている。

沖田総司は少女を心配そうに抱いた。


それから少し後の事。


ここは、夢の家。


一室。


夢は微笑んで居る。


沖田総司は僅かに不機嫌そうな様子で、静かに現れた。

斉藤一は普通の表情で、静かに現れた。


夢は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は夢に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「なぜ急に夢ちゃんと鈴ちゃんが入れ替わるんだ?」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私の希望で入れ替わったのではなく、私が美鈴さんならと想う総司さんの気持ちが、私と美鈴さんを入れ替えたんです。」

沖田総司は夢に困惑した様子で話し出す。

「ごめん。言い過ぎた。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「気にしないでください。」

沖田総司は夢に心配そうに話し出す。

「突然に鈴ちゃんの姿が見えなくなったんだ。鈴ちゃんは一人で寂しい想いをしているはずだ。鈴ちゃんの居場所を早く教えてくれ。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「美鈴さんは無事です。安心してください。」

沖田総司は夢に不安そうに話し出す。

「私は鈴ちゃんに酷い発言をしてしまった。鈴ちゃんの姿を見るまでは安心できない。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「入れ替わったのに気が付かないほど、一人で盛り上がり過ぎだ。」

沖田総司は斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。

「すいません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話しだす。

「謝るのは俺ではなく、美鈴さんだろ。」

沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

夢は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。


ちょうど同じ頃。


ここは、落ち着いた雰囲気の家。


一室。


部屋の中には誰も居ない。


少女は静かに泣きながら、静かに現れた。


少女は泣き止むと、部屋を不思議そうに見た。


一人の男性が微笑みながら、静かに現れた。


男性は少女がいつも一緒に居たい人と同じ姿をしている。


少女は男性を不思議そうに見た。

男性は少女を微笑んで見た。

少女は男性に心配そうに話し出す。

「総司さんと斉藤さんは、どちらに居ますか? 総司さんと斉藤さんは、ご無事ですか?」

男性は少女に微笑んで話し出す。

「二人は大丈夫だから安心して。」

少女は男性を安心した様子で見た。

男性は少女を微笑んで見た。

少女は男性に寂しそうに話し出す。

「私は総司さんにいつも迷惑を掛けています。今日は総司さんがうるさいと言いました。」

男性は少女に微笑んで話し出す。

「夜の国では、近くに居る人物が突然に入れ替わる時がある。不思議な状況に慣れていないと、混乱すると思う。美鈴さんを誰かと間違えたんだよ。」

少女は男性に寂しそうに話し出す。

「総司さんは私に静か過ぎると言いました。私は明るくお話しが出来ません。総司さんは私と逢う時は楽しんでいなかったと思います。」

男性は少女に微笑んで話し出す。

「相手の人は、美鈴さんにうるさいと言って悪いと思ったから、慰めるために静か過ぎると言ったと思う。美鈴さんと居たいから、慰めたんだよ。無理して明るくすると、疲れるし辛くなるよ。無理する美鈴さんを見ると、周りの人達が心配するよ。」

少女は男性に心配そうに話し出す。

「総司さんの笑顔を見ると、元気になるし嬉しくなります。総司さんに笑顔で過ごして頂ける方法をいつも考えています。でも、私が総司さんに迷惑ばかり掛けているために、総司さんが笑顔で過ごされる時間が少なく感じます。」

男性は少女に微笑んで話し出す。

「本人の発言ではないから安心できないと思うけれど、相手の人は美鈴さんを大切に想っているよ。相手の人は、美鈴さんが元気で過ごしているか、いつも気に掛けているよ。相手の人は、美鈴さんの笑顔を見て、更に笑顔になっているよ。美鈴さんは、無理をせずに、普段どおりに過ごして良いよ。」

少女は男性を微笑んで見た。

男性は少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さん望みが叶うと良いね。」

少女は男性を微笑んで見た。


麦茶が静かに現れた。


男性は少女の前に麦茶を置くと、微笑んで話し出す。

「麦茶だよ。」

少女は男性に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

男性は少女に微笑んで頷いた。

少女は麦茶を微笑んで飲んだ。

男性は少女を微笑んで見た。


少女は麦茶を飲み終わると、男性に微笑んで話し出す。

「美味しい麦茶をありがとうございました。」

男性は少女に微笑んで頷いた。

少女は男性を微笑んで見た。

男性は少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さんを待つ人の元に早く行った方が良いよ。」

少女は男性に微笑んで頷いた。


少女は微笑みながら、静かに居なくなった。


別な男性の普通の声が、男性の後ろから聞こえてきた。

「恋をすると人は変わるな〜」


男性は苦笑しながら後ろを見た。


別な男性が、男性を普通の表情で見ている。


別な男性は、男性に僅かに軽い調子で話し出す。

「夜の国の未来の旦那様。」

男性は、別な男性に大きな声で話し出す。

「その言い方は止めてくれ!」

別な男性は、男性に微笑んで話し出す。

「悪かったな。不思議な国の未来の旦那様。」

男性は顔を赤くすると、別な男性に大きな声で話し出す。

「だから! その言い方は止めろ!」

別な男性は、男性を微笑んで見た。

男性は顔を赤くして、別な男性を見た。


それから僅かに後の事。


ここは、夢の家。


一室。


沖田総司は落ち着かない様子で居る。

斉藤一は普通に居る。


斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。落ち着け。」

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃんは、私と斉藤さんの前では静かにするはずです。鈴ちゃんは私に必要以上に気を遣うはずです。私が鈴ちゃんに早く気付いてあげないといけません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんの気配は分かるだろ。落ち着け。」

沖田総司は斉藤一を落ち着かない様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


少女は心配そうに、静かに現れた。


沖田総司は落ち着かない様子で居る。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

少女は沖田総司と斉藤一を心配そうに見た。

沖田総司は少女を僅かに驚いた様子で見た。

少女は沖田総司と斉藤一を心配そうに見ている。

沖田総司は少女を抱くと、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。心配したよ。酷い言葉をたくさん言ってしまってごめんね。言い訳に聞こえると思うけれど、鈴ちゃんに言った言葉ではないんだ。本当にごめんね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。気を遣って頂いてありがとうございます。私は大丈夫です。」

沖田総司は少女を抱きながら、嬉しそうに話し出す。

「鈴ちゃんの笑顔が見られた! 嬉しいな!」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。夜の国に“綿あめ”という菓子があるんだ。“綿あめ”を食べよう。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を抱きながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。“綿あめ”は甘い菓子らしいですが、一緒に食べませんか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女をゆっくりと微笑みながら放した。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。


沖田総司は微笑みながら、静かに居なくなった。

少女も微笑みながら、静かに居なくなった。

斉藤一は普通の表情で、静かに居なくなった。


それから一瞬の後の事。


ここは、綿あめを作る道具の有る場所。


何人かの人達が楽しそうに綿あめを作っている。


沖田総司は微笑みながら、静かに現れた。

少女も微笑みながら、静かに表れた。

斉藤一は普通の表情で、静かに現れた。


沖田総司は辺りを見ると、少女に微笑んで話し出す。

「綿あめは、夜の国のお祭りで売っていた菓子と同じみたいだね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を見ると、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。綿あめを作ってみようか。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は緊張した様子で割り箸を持った。

綿あめを作る道具が動き始めた。

少女は、割り箸を使って道具の中に現れる綿のような砂糖を丁寧に取っていく。

少女の持つ割り箸に、綿のような砂糖がたくさんついた。

綿あめを作る道具の動きが止まった。

少女は沖田総司と斉藤一に綿あめを見せると、微笑んで話し出す。

「出来ました。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「美味しそうな綿あめだね! 鈴ちゃんは器用だね!」

少女は綿あめを持ちながら、沖田総司を恥ずかしそうに見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。綿あめを早く食べて。」

少女は綿あめを持ちながら、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女を普通の表情で頷いた。

少女は綿あめを微笑んで食べた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。


少女は綿あめを食べ終わると、微笑んで話し出す。

「甘くて美味しいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「次は私が綿あめを作るね。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は割り箸を微笑んで持った。

綿あめを作る道具が動き始めた。

沖田総司は、割り箸を使って道具の中に現れる綿のような砂糖を取っていく。

沖田総司の持つ割り箸に、綿のような砂糖が少なめについた。

綿あめを作る道具の動きが止まった。

沖田総司は綿あめを持ちながら、斉藤一と少女を残念そうに見た。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で話し出す。

「綿飴に見えない。」

沖田総司は綿あめを持ちながら、斉藤一に口惜しそうに話し出す。

「綿あめ作りを再挑戦します!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は気合を入れてから、綿あめを食べた。

少女は沖田総司を心配そうに見ている。


沖田総司は綿あめを食べ終わると、気合を入れた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は割り箸を真剣な表情で取った。

綿あめを作る道具が動き始めた。

沖田総司は、割り箸を使って道具の中に現れる綿のような砂糖を取っていく。

沖田総司の持つ割り箸に、綿のような砂糖が少なめについた。

綿あめを作る道具の動きが止まった。

沖田総司は綿あめを持ちながら、口惜しそうに呟いた。

「今回も綿あめに見えない。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。割り箸を早く回すから、綿のような綿飴にならないんだ。」

沖田総司は綿あめを持ちながら、斉藤一に拗ねた様子で話し出す。

「斉藤さん。綿あめを綺麗に作るのは難しいです。簡単に綺麗に作れるように言わないでください。斉藤さんが綺麗な綿あめを作ってください。」

斉藤一は割り箸を普通に取った。

沖田総司は綿あめを持ちながら、斉藤一を拗ねた様子で見た。

少女は沖田総司と斉藤一を心配そうに見た。

綿あめを作る道具が動き始めた。

斉藤一は、割り箸を使って道具の中に現れる綿のような砂糖を丁寧に取っていく。

沖田総司は綿あめを持ちながら、斉藤一を僅かに驚いた表情で見た。

斉藤一の持つ割り箸に、綿のような砂糖がたくさんついた。

綿あめを作る道具の動きが止まった。

少女は斉藤一を見て微笑んで話し出す。

「綺麗な形の綿あめですね。斉藤さんは器用な方ですね。」

斉藤一は少女に綿あめを差し出すと、普通に話し出す。

「美鈴さん。俺の代わりに綿あめを食べてくれ。」

沖田総司は綿あめを持ちながら、斉藤一を悔しそうに見た。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。お気遣いありがとうございます。申し訳ありませんが、少しだけ待って頂けませんか?」

斉藤一は綿あめを持ちながら、少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は綿あめを拗ねた様子で食べ始めた。

少女は割り箸を微笑んで取った。

綿あめを作る道具が動き始めた。

少女は、割り箸を使って道具の中に現れる綿のような砂糖を丁寧に取っていく。

少女の持つ割り箸に、綿のような砂糖がたくさんついた。

綿あめを作る道具の動きが止まった。

少女は沖田総司に綿あめを差し出すと、微笑んで話し出す。

「総司さん。綿あめを食べながら休んでください。」

沖田総司は少女に不機嫌そうに話し出す。

「綿あめを食べなくても休めるだろ!」

少女は沖田総司に綿あめを差し出しながら、微笑んで話し出す。

「総司さん。次は綺麗な形の綿あめが作れます。」

沖田総司は少女に拗ねた様子で話し出す。

「なぜ次に綺麗な綿あめが作れると分かるんだ?」

少女は沖田総司に綿あめを差し出しながら、微笑んで話し出す。

「総司さんは、最初に作った綿あめより、次に作った綿あめの方が綺麗な形をしています。三度目の綿あめは綺麗な形に作れます。」

沖田総司は少女から綿あめを受け取ると、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。ありがとう。いただきます。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は綿あめを美味しそうに食べた。

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


沖田総司は綿あめを食べ終わると、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。美味しい綿あめをありがとう。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は割り箸を取ると、真剣な表情で呟いた。

「絶対に綺麗な綿あめを作って、鈴ちゃんに笑顔で食べてもらうぞ。」

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

綿あめを作る道具が動き始めた。

沖田総司は、割り箸を使って道具の中に現れる綿のような砂糖をゆっくりと取っていく。

沖田総司の持つ割り箸に綿のような砂糖がたくさんついた。

綿あめを作る道具の動きが止まった。

沖田総司は綿あめを笑顔で見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。綿のような綿あめですね。」

沖田総司は少女に綿あめを差し出すと、微笑んで話し出す。

「斉藤さんや鈴ちゃんが作ったような綺麗な綿あめではないけれど、綺麗な綿あめが作れた。鈴ちゃん。食べて。」

少女は沖田総司から綿あめを受け取ると、微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は綿あめを微笑んで食べた。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。


少女は綿あめを食べ終わると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。美味しい綿あめでした。ありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。


それから暫く後の事。


ここは、草原。


月と星が淡く輝いている。

蛍が淡い光を放ちながら飛んでいる。


少女は辺りを不思議そうに見た。


夢が小さな花束を微笑んで持ちながら、静かに現れた。


少女は夢を不思議そうに見た。

夢は小さな花束を持ちながら、少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さん。初めまして。私は夢といいます。」

少女は夢に不思議そうに軽く礼をした。

夢は少女に小さな花束を微笑んで差し出した。

少女は夢から小さな花束を受け取ると、不思議そうに話し出す。

「ありがとうございます。」

夢は少女に微笑んで話し出す。

「私は近い内に結婚するの。」

少女は小さな花束を持ちながら、夢に微笑んで話し出す。

「おめでとうございます。」

夢は少女に微笑んで話し出す。

「私の結婚相手は、私に好きという言葉をなかなか言ってくれなかったの。でも、やっと好きと言ってくれたの。」

少女は小さな花束を持ちながら、夢を寂しそうに見た。

夢は少女に微笑んで話し出す。

「夜の国では、結婚の時に誰かに花束を渡すの。花束を受け取った人は、幸せな結婚が出来るそうなの。私の花束は、美鈴さんに受け取って欲しいと思ったの。美鈴さんに似合うように、鈴蘭の花で花束を作ったの。」

少女は小さな花束を持ちながら、夢を微笑んで見た。

夢は少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さん。幸せになってね。」

少女は小さな花束を持ちながら、夢に微笑んで頷いた。


夢は微笑みながら、静かに居なくなった。


少女は小さな花束を持ちながら、後ろを不思議そうに見た。


沖田総司は顔を赤くして少女を見ている。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見ている。


少女は小さな花束を持ちながら、沖田総司と斉藤一を恥ずかしそうに見た。

斉藤一は沖田総司の背中を勢い良く押した。

沖田総司は少女の前に驚いた表情で来た。

少女は小さな花束を持ちながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「鈴蘭の花束です。綺麗です。」

沖田総司は顔を赤くして少女を見た。

少女は花束を持ちながら、沖田総司に寂しそうに話し出す。

「私は夜の国の住人ではありません。私が花束を受け取ったら、夜の国の誰かが幸せな結婚が出来なくなりますよね。花束を返してきます。」

沖田総司は顔を赤くしながら少女を見ている。


少女は小さな花束を寂しそうに持ちながら、静かに居なくなった。


沖田総司は顔を赤くしながらも、斉藤一を困惑した様子で見た。

斉藤一は沖田総司の背中を強く押した。

沖田総司は驚いた表情で勢い良く前に出た。


ちょうど同じ頃。


ここは、草原。


夜空には月と満天の星が輝いている。


少女は小さな花束を寂しそうに持っている。


男性が微笑みながら、静かに現れた。


男性は、少女がいつも一緒に居たい人物と同じ姿をしている。


少女は小さな花束を持ちながら、男性を寂しそうに見た。

男性は少女に微笑んで話し出す。

「美鈴さん。花束を返してはいけないよ。諦めてもいけないよ。」

少女は小さな花束を持ちながら、男性を不思議そうに見た。


男性は微笑みながら、静かに居なくなった。


沖田総司は顔を赤くしながら、静かに現れた。


少女は小さな花束を持ちながら、沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は少女を抱くと、顔を赤くしながら大きな声で話し出す。

「鈴ちゃん! 花束を返しては駄目だよ!」

少女は小さな花束を持ちながら、沖田総司を驚いた表情で見た。

小さな花束が少女の手から地面へと向かってゆっくりと落ちた。

沖田総司は少女をゆっくりと放すと、顔を赤くしたまま小さな花束を拾った。

少女は沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は少女に顔を赤くしたまま、小さな花束を差し出した。

少女は沖田総司から小さな花束を微笑んで受け取った。


それから僅かに後の事。


ここは、京の町。


夜空には、月と星が綺麗に輝いている。


ここは、少女の家。


少女の部屋。


少女は蚊帳の中に敷いた床の中で静かに寝ている。


少女は床の中でゆっくりと目を開けた。


小さな鈴蘭の花束が枕元に置いてある。


少女は床の上に体を起こすと、小さな花束を微笑んで手に取った。


淡い光が少女と小さな花束を優しく包んだ。


少女は床の上に体を起こしながら、小さな花束と淡い光を不思議そうに見た。


少女を包む淡い光が静かに消えた。


小さな花束は淡い光に包まれながら、静かに消えた。


部屋の中が暗さに包まれた。


少女は床に横になると、ゆっくりと目を閉じた。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

夜の国の物語です。

「新撰組異聞 短編 真夏の夜の夢 夏祭り」より後の出来事なります。

結婚が決まった人から花束を受け取った人が、幸せな結婚が出来る内容は、ブーケトスを参考にしました。

ブーケトスは、結婚式に行なう行事の一つです。

花嫁さんの持つブーケを背中越しに向かって投げます。

ブーケを受け取った女性は、次に結婚する、幸せな結婚が出来る、などいわれています。

ブーケトスの場面を書く事が出来なかったので、設定などを変えて登場しています。

「綿飴(わたあめ)」についてです。

お祭りなどで売っています。

基本的には白ざらめを使って作ります。

いつ頃からあるお菓子か分かりませんが、機械や砂糖を使うので、新撰組の人達の時代には無かったと思います。

コインを入れて綿飴を作る機械があったので、自分で作った事があります。

楽しかったです。

鈴ちゃんは器用な人だと考えたので、綺麗な綿飴を直ぐに作った設定になっています。

斉藤一さんも器用な人だと考えたので、鈴ちゃんの綿飴を作る様子を見て、自分も作れると判断して綿飴を作った設定になっています。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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