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新撰組異聞 〜 孟秋の頃の出来事 〜


〜 改訂版 〜


ここは、京の町。


夏の名残の暑さが続いている。


陽が暮れる頃になると、夏とは違う暑さを感じるようになってきた。


季節がゆっくりと秋へと移っていく事が分かる。


朝から良い天気で少しだけだが暑さが感じられる。


ここは、屯所。


芹沢鴨は壬生浪士組の隊士の前に来ると、ぶっきらぼうに話し出す。

「総司と斉藤を知らないか?」

壬生浪士組の隊士は、恐る恐る首を横に振った。

芹沢鴨は壬生浪士組の隊士達を僅かに不機嫌そうに見た。

壬生浪士組の隊士達は、芹沢鴨の前から恐る恐る去っていった。


芹沢鴨は一人で詰まらなさそうに屯所から居なくなった。


ここは、京の町。


芹沢鴨は京の町を一人で詰まらなさそうに歩いている。


芹沢鴨は突然に何かを思い出した表情になった。

直ぐに詰まらなさそうな表情に戻ると、何かを探し始めた。


それから少し後の事。


ここは、京の町。


芹沢鴨は詰まらなさそうな表情のまま、何かを探しながら歩いている。

突然に不思議な笑顔を浮かべて立ち止まった。


芹沢鴨の視線の先に居るのは少女だった。


少女は芹沢鴨に気が付く事なく、微笑みながら歩いている。


芹沢鴨は不思議な笑顔のまま、少女の元に向かって歩き出した。


少女は芹沢鴨が自分に向かって歩いてくる姿を見つけた。

直ぐに不思議そうな表情で立ち止まった。


芹沢鴨は少女の前に不思議な笑顔で来た。

少女は芹沢鴨に不思議そうな表情のまま、軽く礼をした。

芹沢鴨は不思議な笑顔で少女の手を掴んだ。

少女は芹沢鴨を驚いた表情で見た。

芹沢鴨は少女の手を掴みながら、不思議な笑顔で話し出す。

「今は暇だろ。一緒に来い。」

少女は芹沢鴨を驚いた表情で見ている。

芹沢鴨は少女の手を掴みながら、不思議な笑顔で歩き出した。

少女は芹沢鴨に手を引かれながら歩き出した。


ちょうど同じ頃。


ここは、京の町。


沖田総司と斉藤一は、一緒に歩いている。


沖田総司は斉藤一に楽しそうに話し出す。

「任務を兼ねていますが、斉藤さんと一緒に出掛ける事が出来て嬉しいです!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出そうとした。


子供達が沖田総司と斉藤一の元に走ってきた。


沖田総司は子供達を笑顔で見た。

斉藤一は子供達を普通の表情で見た。

子供達は沖田総司と斉藤一の元に来ると、心配そうに話し出す。

「お姉ちゃんが、芹沢のおじちゃんに手を引かれて、一緒にどこかに行ったよ。」

「お姉ちゃんはとても驚いていたよ。」

沖田総司は子供達に心配そうに話し出す。

「今の話はどれくらい前の事なのかな?」

子供達は沖田総司に心配そうに話し出す。

「今さっき。」

沖田総司は斉藤一を心配そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「相手は芹沢さんだろ。余り心配するな。」

沖田総司は斉藤一を不安そうに見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの事が心配なら、後は俺一人でやっておく。総司は美鈴さんを探しに行け。」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「私は鈴ちゃんを探しに行きます。後の事はよろしくお願いします。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は子供達に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃんの居た場所に連れて行ってくれるかな。」

子供達は沖田総司に心配そうに頷いた。


沖田総司と子供達は、慌てた様子で走っていった。


それから僅かに後の事。


ここは、京の町。


上品な菓子を売る店の前。


芹沢鴨は少女の手を放すと、ぶっきらぼうに話し出す。

「逃げるなよ。」

少女は芹沢鴨に不安そうに頷いた。

芹沢鴨は店の中へと普通に入っていった。


それから僅かに後の事。


ここは、上品な菓子を売る店の前。


少女は店の前で不安そうに待っている。


芹沢鴨は包を持ちながら、少女の前に戻ってきた。


少女は芹沢鴨を不安そうに見た。


芹沢鴨は、片手で包みを持ちながら、片手で少女の手を掴んだ。

少女は芹沢鴨を不安そうに見た。

芹沢鴨は、片手で包みを持ちながら、片手で少女の手を掴んで、普通に歩き出した。

少女は芹沢鴨に手を引かれながら歩き出した。


それから僅かに後の事。


ここは、沖田総司や少女が何度か訪れた事のある寺。


寺の縁。


芹沢鴨と少女は、縁に居る。


芹沢鴨は少女にぶっきらぼうに包みを差し出した。

少女は芹沢鴨から僅かに驚いた表情で包みを受取った。

芹沢鴨は少女にぶっきらぼうに話し出す。

「菓子を買った。変な物じゃないぞ。毒も入っていないぞ。安心しろ。」

少女は包を持ちながら、芹沢鴨に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

芹沢鴨は少女に普通に話し出す。

「ここなら菓子を落ち着いて食べる事が出来るな。」

少女は包を持ちながら、芹沢鴨を不安そうに見た。

芹沢鴨は少女に普通に話し出す。

「菓子を早く食え。」

少女は芹沢鴨の様子を見ながら、丁寧に包を開けた。


包みの中には、綺麗で上品な形をした菓子が入っている。


少女は包を持ちながら、芹沢鴨に微笑んで話し出す。

「美味しそうなお菓子です。ありがとうございます。」

芹沢鴨は少女にぶっきらぼうに話し出す。

「俺は食べ物を人にあげる時に、不味い物をあげるように見えるのか?」

少女は包みを持ちながら、芹沢鴨に申し訳なさそうに話し出す。

「申し訳ありません。」

芹沢鴨は少女にぶっきらぼうに話し出す。

「お嬢様は何も悪くないだろ。なぜ謝るんだ?」

少女は包を脇に置くと、芹沢鴨に申し訳なさそうに話し出す。

「芹沢さんは総司さんの上役です。私の事で芹沢さんと総司さんに迷惑を掛ける訳にはいきません。」

芹沢鴨は少女にぶっきらぼうに話し出す。

「お嬢様は総司の上役の言う事なら何でも聞くのか?」

少女は芹沢鴨に困惑した様子で話し出す。

「そのような事はありません。」

芹沢鴨は少女にぶっきらぼうに話し出す。

「お嬢様は俺が手を引いて歩いている時に黙っていたよな。」

少女は芹沢鴨に微笑んで話し出す。

「芹沢さんが私に何かをするつもりだったのなら、私のためにお菓子を買わないと思います。」

芹沢鴨は少女にぶっきらぼうに話し出す。

「お嬢様は菓子を受け取る前から、一言も嫌だと言わなかっただろ。菓子を買ったのは、お嬢様を油断させるためかも知れないぞ。」

少女は芹沢鴨に微笑んで話し出す。

「芹沢さんは総司さんが悲しむ事はしない方です。会う時はいつも優しいお顔をしています。今日も今も優しいお顔をしています。」

芹沢鴨は少女を睨んだ。

少女は芹沢鴨を困惑した様子で見た。

芹沢鴨は少女に顔を近づけると、睨みながら話し出す。

「お嬢様。案外しぶといな。しかも、鈍くない。面白くない。」

少女は芹沢鴨に困惑した様子で話し出す。

「申し訳ありません。」

芹沢鴨は少女に顔を近づけながら、怪しい笑顔で話し出す。

「お嬢様。気に入りそうだな。」

少女は芹沢鴨から視線を外すと、寂しそうに話し出す。

「私はお嬢様ではありません。」

芹沢鴨は少女に顔を近づけながら、怪しい笑顔で話し出す。

「悲しい顔のお嬢様も素敵だな。もっと違う表情のお嬢様が見てみたいな。」

少女は寂しそうな表情で芹沢鴨から視線を外している。

芹沢鴨は少女に顔を近づけながら、怪しい笑顔で話し出す。

「総司は怖い奴だぞ。人を足蹴にするし、稽古は乱暴だし、簡単に人を斬る。お嬢様もいつ怖い目に遭うか分からないぞ。」

少女は芹沢鴨を見ると、小さい声で話し出す。

「私は、周りの方が何と言っても、総司さんは優しい方だと信じています。」

芹沢鴨は少女に顔を近づけながら、怪しい笑顔で話し出す。

「だが、総司はお嬢様の事を友達と言うんだろ。それでも総司は優しいのか? お嬢様?」

少女は芹沢鴨を悲しそうに見た。

芹沢鴨は少女に顔を近づけながら、怪しい笑顔で話し出そうとした。


芹沢鴨の背後から物凄い殺気を感じた。


芹沢鴨は軽きため息をつくと、普通に後ろを振り向いた。


沖田総司は芹沢鴨を睨みながら立っている。


芹沢鴨は少女からゆっくりと僅かだが離れた。

沖田総司は少女の傍に心配そうに来た。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「怪我はしていない? 大丈夫?」

少女は沖田総司に小さく頷いた。

沖田総司は少女を安心した表情で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

芹沢鴨は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は芹沢鴨を見ると、睨みながら低い声で話し出す。

「芹沢さん。鈴ちゃんを巻き込まないでください。私に話しがあるなら、直に言いに来てください。」

芹沢鴨は沖田総司にぶっきらぼうに話し出す。

「どうするかは俺の勝手だろ。」

沖田総司は芹沢鴨を睨みながら低い声で話し出す。

「もう一度言います。鈴ちゃんを巻き込まないでください。鈴ちゃんはとても大切な友達です。もし何か遭ったら、芹沢さんといえども容赦はしません。」

芹沢鴨は沖田総司と少女を、普通の表情で交互に見た。

少女は芹沢鴨と沖田総司を心配そうに見た。

芹沢鴨は少女にぶっきらぼうに話し出す。

「迷惑を掛けて悪かったな。」

少女は芹沢鴨を見ると、小さく首を横に振った。

芹沢鴨は沖田総司と少女にぶっきらぼうに話し出す。

「ここは騒がし過ぎる。後は二人で勝手にしろ。」

沖田総司は芹沢鴨に睨みながら話し出そうとした。

少女は芹沢鴨に心配そうに話し出そうとした。

芹沢鴨は沖田総司と少女の元から、普通に歩いて去って行った。


沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「私のせいで、鈴ちゃんに迷惑を掛けてしまったね。本当にごめんね。」

少女は沖田総司に微笑んで首を横に振った。

沖田総司は少女を心配そうに見た。

少女は脇に置いてあった包みを手に取ると、沖田総司に微笑んで差し出した。

沖田総司は少女から不思議そうに包みを受け取った。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「芹沢さんからお菓子を頂きました。一緒に食べませんか?」

沖田総司は手に持っている包みを不思議そうに見た。

少女は沖田総司に恥ずかしそうに話し出す。

「今日は約束の日ではないのに、総司さんと逢う事が出来ました。嬉しいです。」

沖田総司は手に持っている包みを不思議そうに見ている。

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「もしかしてお仕事中だったのですか? 私のためにお仕事を中断させてしまって申し訳ありませんでした。」

沖田総司は包みを持ちながら、少女に微笑んで話し出す。

「今日は時間に少し余裕があるんだ。菓子を食べる時間もあるよ。菓子が美味しそうだなと思って、つい見とれてしまった。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。好きなお菓子を選んでください。」

沖田総司は少女に包みを差し出すと、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんがもらった菓子だよね。鈴ちゃんから先に選んで。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。


それから少し後の事。


ここは、屯所。


芹沢鴨は屯所に詰まらなさそうに戻ってきた。


斉藤一は芹沢鴨の様子を気にする事なく、普通に歩いている。


芹沢鴨は斉藤一の前に来た。


斉藤一は芹沢鴨を見ながら、普通の表情で立ち止まった。


芹沢鴨は斉藤一にぶっきらぼうに話し出す。

「斉藤。一緒に飲みに行くぞ。」

斉藤一は芹沢鴨に普通に話し出す。

「本当は総司と飲みに行きたいのではないですか?」

芹沢鴨は斉藤一にぶっきらぼうに話し出す。

「総司が見つからないから、あの子を探した。だが、今日は総司と一緒ではなかった。あの子と一緒に居れば総司が見つかるなと思った。そうしたら総司が直ぐに見つかった。予想どおり、総司は見つかったが、物凄く怖い表情で睨むし、その子の事を物凄く心配するし、話しが出来る状態ではなかった。仕方が無いから屯所に戻ってきた。」

斉藤一は芹沢鴨に普通に話し出す。

「その程度の理由であの子を巻き込んだら、総司とまともに話しは出来ないと思います。」

芹沢鴨は斉藤一にぶっきらぼうに話し出す。

「だから、あの子と総司のために菓子を買ったんだ。菓子を見たあの子は、喜んでいた。俺に笑顔で話し掛けてくる姿は、総司と似ていた。あの子をとても可愛いと思った。」

斉藤一は芹沢鴨を普通の表情で見た。

芹沢鴨は斉藤一にぶっきらぼうに話し出す。

「総司はあの子の事をとても大切な友達と言いながら、物凄い殺気を出して俺の事を睨んだ。あれで自分の気持ちに気が付かないのだから、自分の気持ちに気が付くには相当な時間が掛かるな。」

斉藤一は芹沢鴨に普通の表情で軽く礼をした。

芹沢鴨は斉藤一にぶっきらぼうに話し出す。

「今の総司は、あの子の事で頭が一杯で、俺の酒飲みの相手を務める事は出来ない。だから、斉藤が総司の代わりに付き合え。」

斉藤一は芹沢鴨に普通の表情で軽く礼をした。


芹沢鴨と斉藤一は、屯所から京の町へと普通に出て行った。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を加筆訂正するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

「孟秋(もうしゅう)」は、「陰暦七月の異名」です。

時期としては、「秋の初めの頃。初秋。」となります。

芹沢鴨さんが沖田総司さんと斉藤一さんと飲みに行きたくて二人を探します。

しかし、なぜか、沖田総司さんも斉藤一さんも二人共に姿が見えない。

そこで、鈴ちゃんを見かけたので巻き込んでしまいました。

沖田総司さんが予想外の行動をしたために、一緒に飲みに行く事が出来なくなりました。

芹沢鴨さんも驚く展開をした沖田総司さんの行動です。

鈴ちゃんは、みんなが怖がる沖田総司さんの事も斉藤一さんの事も芹沢鴨さんの事を、怖がりません。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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