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新撰組異聞 〜 夢現 行き散る者の想いを運んで 〜


〜 改訂版 〜


ここは、函館。


幕府側と薩摩藩と長州藩が中心になる新政府側の戦いが続いている。

戦況は幕府側に不利になっている。

総攻撃が近い内に行われる気配を感じる時がある。

総攻撃の行われない気配を感じる時もある。

新政府側は、新政府側から総攻撃を行わなくても、幕府側が降伏すると考えて、高みの見物の状態なのかも知れない。

幕府側は緊張の続く日々が過ぎていく。


函館に居る新撰組の隊士達は、幕府側の意地を見せるために息巻く者、新撰組の役目の一つである住民達を守ろうとする者、武士の誇りのために戦う者、様々な考えの者がいる。

土方歳三は、新撰組の隊士達をまとめながら、危険な任務を遂行する、日々を過ごしている。

新撰組の隊士達は土方歳三を中心に函館の地を守っている。


或る夜の事。


ここは、函館。


館。


土方歳三が市村鉄之助を部屋まで呼んだ。


土方歳三の部屋。


土方歳三は普通の表情で居る。

土方歳三の傍に、封書が置いてある。


市村鉄之助は部屋を真剣な表情で訪れた。


土方歳三は市村鉄之助を微笑んで見た。

市村鉄之助も土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「鉄之助。忙しい中を呼んだ。悪いな。」

市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「私の忙しさは、土方先生の忙しさの比較になりません。大丈夫です。」

土方歳三は市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「話は変わる。鉄之助。幾つになった?」

市村鉄之助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「十六歳になりました。」

土方歳三は市村鉄之助を微笑んで見た。

市村鉄之助は土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「土方先生。ご用件は何ですか?」

土方歳三は市村鉄之助を真剣な表情で見た。

市村鉄之助も土方歳三を真剣な表情で見た。

土方歳三は市村鉄之助に真剣な表情で話し出す。

「鉄之助。任務を伝える。今回の任務を失敗した時は切腹だ。覚悟しろ。」

市村鉄之助は土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「はい!」

土方歳三は封書を持つと、市村鉄之助に真剣な表情で渡した。

市村鉄之助は土方歳三から封書を真剣な表情で受け取った。

土方歳三は市村鉄之助に真剣な表情で話し出す。

「鉄之助。多摩に居る家族に包みを届けて欲しい。」

市村鉄之助は封書を持ち、封書を複雑な表情で見た。

土方歳三は市村鉄之助に真剣な表情で話し出す。

「鉄之助。封書を持ち、多摩へ早く行け。」

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「嫌です!」

土方歳三は市村鉄之助を怪訝な表情で見た。

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「私は新撰組の隊士です! 覚悟は出来ています! 今回の命令で函館から離れるのは嫌です! 最期まで新撰組の隊士として戦わせてください!」

土方歳三は市村鉄之助を睨んで刀を抜いた。

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三を驚いた表情で見た。

土方歳三は市村鉄之助に刀を向けると、市村鉄之助を睨んで話し出す。

「鉄之助! 俺の説明が分からないのか?! 鈍過ぎる! 未熟過ぎる!」

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三を驚いた表情で見ている。

土方歳三は市村鉄之助に刀を向けて、市村鉄之助を睨んで話し出す。

「役に立たない人物は、居るだけで邪魔だ! 鉄之助は邪魔だ!」

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三を驚いた表情で見ている。

土方歳三は市村鉄之助に刀を向けて、市村鉄之助を睨んで話し出す。

「鉄之助は役に立たない! 鉄之助にも出来る任務だ! 役に立たない人物のために、俺がわざわざ考えた任務だ! 鉄之助は俺の考えた任務を断るのか!」

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三を驚いた表情で見ている。

土方歳三は市村鉄之助に刀を更に近付けると、市村鉄之助を睨んで話し出す。

「再び話す! 鉄之助が本当に嫌ならば、嫌の返事をして構わない! 但し、嫌の返事をした時は、鉄之助を叩き斬る!」

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三を真剣なで見た。

土方歳三は市村鉄之助に刀を更に近付けると、市村鉄之助を睨んで話し出す。

「封書の中には、文などが入っている! 多摩に居る俺の家族に、封書の中の文などを届けろ! 俺の家族が泣いた時は、俺の家族が落ち込んだ時は、鉄之助が慰めろ! 多摩に着いたら、俺の家族の様子を暫く確認しろ!」

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三を真剣な表情で見ている。

土方歳三は市村鉄之助に向かって刀を振り上げると、市村鉄之助を睨んで話し出す。

「鉄之助! 返事が無い! 返事が無い状況は、嫌の返事として考える!」

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三を驚いた表情で見た。

土方歳三は市村鉄之助に向かって睨んで刀を振り下ろす仕草を見せた。

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「土方先生のご家族の居る多摩に行きます! 土方先生のご家族に封書の中身の文などを届けます!」

土方歳三は市村鉄之助を睨んで刀を鞘に戻した。

市村鉄之助は封書を持ち、土方歳三を真剣な表情で見た。

土方歳三は刀を市村鉄之助に睨んで渡した。

市村鉄之助は封書を懐に仕舞うと、土方歳三から刀を真剣な表情で受け取った。

土方歳三は市村鉄之助を睨んで話し出す。

「刀も頼む。」

市村鉄之助は刀を持ち、土方歳三を真剣な表情で見た。

土方歳三は市村鉄之助を睨んで話し出す。

「鉄之助! 何をしている! 鉄之助は、本当に何も出来ない、本当に役に立たない! 早く多摩へ行け!」

市村鉄之助は刀を真剣な表情で背負った。

土方歳三は市村鉄之助に鉄砲を睨んで渡した。

市村鉄之助は土方歳三から鉄砲を真剣な表情で受け取った。

土方歳三は市村鉄之助に真剣な表情で話し出す。

「鉄之助。失敗した時は、切腹だ。忘れるな。」

市村鉄之助は鉄砲を持ち、土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「はい!」

土方歳三は市村鉄之助に真剣な表情で話し出す。

「鉄之助。早く行け。」

市村鉄之助は鉄砲を持ち、土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「土方先生! 行ってきます!」

土方歳三は市村鉄之助に真剣な表情で頷いた。

市村鉄之助は鉄砲を持ち、土方歳三に真剣な表情で礼をした。

土方歳三は市村鉄之助に真剣な表情で頷いた。


市村鉄之助は鉄砲を持ち、部屋を真剣な表情で出て行った。


僅かに後の事。


ここは、函館。


館の外。


市村鉄之助は鉄砲を持ち、刀を背負い、館を真剣な表情で見ている。


土方歳三の部屋から、外を見る人影が見える。


市村鉄之助は鉄砲を持ち、刀を背負い、土方歳三の部屋に向かって真剣な表情で呟いた。

「土方先生。どうかご無事で。」


土方歳三の部屋の人影は動かない。

土方歳三の部屋の人影は、市村鉄之助を見ているように感じる。


夜空には、綺麗な月が浮かんでいる。


多摩への道を、淡い光で照らしているように見える。


市村鉄之助は鉄砲を持ち、刀を背負い、真剣な表情で急いで居なくなった。


後の事。


市村鉄之助は、土方歳三の手配した地元の漁師達の協力もあり、函館からの脱出に成功した。


多摩へは遠い。


市村鉄之助は多摩へと向かって北の地を進み始めた。


後の事。


市村鉄之助は、新政府側の兵士達に見付らないように、脇道などを使い、多摩へと向かっている。


市村鉄之助が頼れる人物は傍に居ない。

市村鉄之助と共に多摩に向かう人物も居ない。

市村鉄之助の協力者は居ないに等しい。

一人のみで多摩へ向かう孤独な任務になる。


市村鉄之助は全て一人で判断して行動する状況になる。

想像より進みが遅くなる。

市村鉄之助は、今も北の地に居る状況になっている。


後の事。


市村鉄之助は辺りを注意しながら、普通の表情で歩いている。


市村鉄之助は軽く息をはくと、空を普通の表情で見た。


空は綺麗な青色をしている。


市村鉄之助は空を見ながら、普通の表情で呟いた。

「先生。多摩は遠いです。時間が掛かっています。申し訳ありません。私は本当に未熟者です。」


空は市村鉄之助の気持ちを気にする様子がない。

空は綺麗な青色をしている。


市村鉄之助は前を普通の表情で見た。


市村鉄之助は、辺りを注意しながら、多摩へと向かって、普通の表情で歩き出した。


後の事。


陽が落ち始めているため、辺りが暗くなり始めた。


市村鉄之助は寝る場所を探した。


市村鉄之助は住人の居ない小屋を見付けた。


市村鉄之助は、人の気配も含めて辺りを慎重に確認した。


近くに人の居る気配も人の姿も無い。


市村鉄之助は小屋の中に注意しながら静かに入っていった。


直後の事。


ここは、小屋の中。


市村鉄之助は小屋の中に注意しながら普通の表情で静かに入った。


小屋の中には、人の姿も人の気配も無い。


市村鉄之助は直ぐに横になった。


市村鉄之助は疲労感もあり、直ぐに眠りに付いた。


市村鉄之助が寝てから少し後の事。


ここは、小屋の近く。


小屋の周りに季節はずれの桜が咲いた。


小屋の中。


小屋の中にも桜の花の咲く様子が見える。


市村鉄之助は横になり、眠り続けている。


市村鉄之助に小さいけれど明るい声が掛けられた。

「起きろ〜」


市村鉄之助は横になり、眠り続けている。


市村鉄之助に小さいけれど明るい声が掛けられた。

「お〜い〜 起きろ〜」


市村鉄之助は横になり、ゆっくりと目を開けた。


沖田総司が笑顔で覗き込む姿が見えた。


市村鉄之助は沖田総司を見ながら、ゆっくりと起き上がった。

沖田総司は市村鉄之助を笑顔で見た。

市村鉄之助は沖田総司に不安な様子で話し出す。

「沖田先生。私は亡くなったのですか?」

沖田総司は市村鉄之助に苦笑して話し出す。

「先生と呼ぶのは止めてくれ。幾度も話した。忘れたのかな?」

市村鉄之助は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「私は未だ死ねません。多摩に着くまで待ってください。」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「鉄之助。死んでいないよ。生きているよ。」

市村鉄之助は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「本人に、亡くなる時は教えられないけれど、少しだけならば教えられる。鉄之助が亡くなる時は、暫く先の時になるよ。」

市村鉄之助は沖田総司を安心して見た。

沖田総司は市村鉄之助を微笑んで見た。

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田さん。私を迎えに来た訳ではないのですね。何故、私の元に来たのですか?」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「鉄之助が私に逢いたいと願ったからだと思う。」

市村鉄之助は沖田総司を考えながら見た。

沖田総司は市村鉄之助を微笑んで見た。

市村鉄之助は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「沖田さん。近藤先生と土方先生に、既に会われましたか?」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで頷いた。

市村鉄之助は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「土方先生は、沖田さんとの思い出を、私に幾度も話してくださいました。」

沖田総司は市村鉄之助に苦笑して話し出す。

「土方さんは、鉄之助に、私が変な言動をした時の出来事を楽しく話したのだろ?」

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「土方先生は、沖田さんに関係する出来事を、楽しく話してくださいました。羨ましいと思いました。」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「鬼の副長の土方さんは、鉄之助の前では、鬼の副長以外の姿を見せた時があるんだね。」

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「土方先生は、沖田さんの前でも、鬼の副長以外の姿を見せた時がありますよね。」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで頷いた。

市村鉄之助は沖田総司に言い難く話し出す。

「或る噂を聞きました。」

沖田総司は市村鉄之助を微笑んで見ている。

市村鉄之助は沖田総司に不安な様子で話し出す。

「沖田さんは、亡くなった新撰組隊士に既に会われていますよね。」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで頷いた。

市村鉄之助は沖田総司に寂しく話し出す。

「私は、函館に居る時に、土方先生に役に立たないと言われて、函館から出されました。」

沖田総司は市村鉄之助を微笑んで見ている。

市村鉄之助は沖田総司に寂しく話し出す。

「私は、土方先生やみんなと共に、最期まで戦いたかったです。」

沖田総司は市村鉄之助を微笑んで見ている。

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「土方先生から頼りないと言われました。頼りないですが、土方先生から任務を受けました。多摩に何が何でも着きます。」

沖田総司は市村鉄之助を微笑んで見ている。

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「多摩に無事に着いたら、一人前の武士になれるでしょうか? 土方先生は良くやったと言ってくださるでしょうか?」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「土方さんは言わないと思う。」

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私に出来る任務ならば、私が出来て当然の任務ですよね。土方先生は良くやったと言わないですよね。」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで話し出す。

「土方さんは、どうでも良いと思う人物に、酷い内容は言わないよ。土方さんは、大切な物を、どうでも良い人物に預けないよ。」

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで頷いた。

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田さん。私は、次に土方先生に逢った時には、土方先生から一人前の武士になったと言われる人物になります。」

沖田総司は土方歳三に微笑んで頷いた。

市村鉄之助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田さん。今日は話しが出来て嬉しかったです。ありがとうございます。」

沖田総司は市村鉄之助に微笑んで頷いた。

市村鉄之助は沖田総司を微笑んで見た。


沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。


小屋の近く。


辺りの桜は先程と同じ様子に戻っている。


小屋の中。


市村鉄之助は眠い表情になった。

市村鉄之助は直ぐに横になった。


辺りには人の居る気配が無い。


静かな夜となっている。


市村鉄之助は横になり、ゆっくりと目を閉じた。


少し後の事。


或る場所。


沖田総司は微笑んで、静かに現れた。


辺りに、季節はずれの桜の花が綺麗に咲き始めた。


沖田総司の目の前に、武士姿の男性の寝る姿がある。


武士姿の男性は、起きる様子はない。


沖田総司は武士姿の男性を微笑んで見た。

武士姿の男性は静かに眠っている。

沖田総司は武士姿の男性に微笑んで話し掛ける。

「少し前の出来事です。土方さんの想いを理解する様子の武士を、一人ですが見付けました。まだまだ頼りない武士ですが、立派な武士へと成長している様子が分かります。」

武士姿の男性は静かに眠っている。

沖田総司は武士姿の男性に微笑んで話し掛ける。

「逢いたいと想う人達に、私の姿が見えません。会話をしたい人達と、会話が出来ません。」

武士姿の男性は静かに眠っている。

沖田総司は武士姿の男性に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さんと話したいです。早く私を呼んでください。斉藤さんが呼んでくれた時は、必ず逢いにきます。」

武士姿の男性は静かに眠っている。

沖田総司は武士姿の男性に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さん。再び来ます。」

武士姿の男性は静かに眠っている。

沖田総司は武士姿の男性を微笑んで見た。


沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。


辺りの桜は元の姿に戻っている。


辺りには静寂が戻った。


暫く後の事。


朝になった。


ここは、小屋の傍。


暗い色の空の中に、青色が混じり始めている。


ここは、小屋の中。


市村鉄之助は小屋の外を微笑んで見た。


暗い色の空の中に、青色が混じり始めている。


市村鉄之助は空を見ながら、微笑んで呟いた。

「先生。多摩は遠いです。物凄く遠い距離だとしても、私は多摩に必ず着きます。暫く待っていてください。」


暗い色の空の中に、青色が混じり始めている。


市村鉄之助は辺りを真剣な表情で見た。


市村鉄之助は辺りに注意しながら、小屋の外に真剣な表情で出て行った。


同じ頃。


ここは、或る場所。


暗い色の空の中に、青色が混じり始めている。


武士姿の男性は普通の表情で起きた。


武士姿の男性は空を普通の表情で見た。


暗い色の空の中に、青色が混じり始めている。


武士姿の男性は辺りを普通の表情で見た。


武士姿の男性は自分の着物に桜の花びらの載る様子が見えた。


武士姿の男性は桜の花びらを取ると、桜の花びらを見て、普通の表情で呟いた。

「相変わらず面白い。」

武士姿の男性は桜の花びらを掌に乗せると、桜の花びらに普通の表情で息を吹き掛けた。


桜の花びらは空に向かって舞い上がった。


武士姿の男性は普通の表情で居なくなった。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

土方歳三さんと市村鉄之助さんが函館に居る頃の物語、市村鉄之助さんが多摩へ向かう途中の物語、書きたいと思っていましたが、なかなか書く事が出来ませんでした。

大河ドラマ「新撰組!」の新年のスペシャルの「新撰組!!」を見て、物語を書きたいと思って、直ぐに物語を書きました。

この物語の時間設定は、物語の最初の方で、土方歳三さんは亡くなっています。

この物語の時間設定は、「新撰組異聞 短編 行き散る者が願う事」より後の出来事になります。

市村鉄之助さんの函館から多摩への出来事は、春、夏、秋、に掛けての長い期間になります。

その中の前半の出来事を想定して書いた物語になります。

「新撰組異聞 行き散る者が願う事」で、市村鉄之助さんを追い出した直後、沖田総司さんは土方歳三さんと話しています。

市村鉄之助さんは、市村鉄之助さんが追い出された直後に、土方歳三さんと沖田総司さんが話す出来事を知らない設定です。

市村鉄之助さんは、以前から書きたい事があり、少しずつ調べていました。

市村鉄之助さんに関する資料が少ないため、詳しく調べませんでした。

市村鉄之助さんについて簡単ですが説明します。

市村鉄之助さんは、函館に居る時には、十六歳前後だったそうです。

初期の隊士ではなく、かなり後半になってから、新撰組に参加します。

土方歳三さん付として任務に就きながら、身の周りの世話もしていたそうです。

多摩に着いてからは、土方歳三さんの姉の旦那さんの佐藤彦五郎さんの家で、二年ほど過ごしたそうです。

二十歳前後で亡くなったようです。

亡くなった経緯はいろいろと説があるようです。

亡くなった説の中には、本当にそうなのかな? と思う話がありました。

今回はその説について書くのは止めます。

土方歳三さんが函館に居る時に、市村鉄之助さんを呼んで写真や遺髪や手紙(市村鉄之助さんに手渡したのは、和歌[辞世の句として詠んだ和歌]らしいです。和歌の書いてある手紙なのかは、良く分かりませんでした。実際に見られるようなので、気になる方は各自でご確認ください。)などを、多摩に居る佐藤彦五郎さんに届けて欲しいという内容を話したそうです。

その時に、嫌だと言う返事をした市村鉄之助さんに、土方歳三さんは刀を振り回して声を荒げて怒鳴ったそうです。

市村鉄之助さんが館から出ると、土方歳三さんの部屋から人影らしきものが見えたそうです。

市村鉄之助さんは、その人影を、土方歳三さんだったと思うと話したそうです。

土方歳三さんは窓の外を見ていない可能性もあります。

私は、土方歳三さんが市村鉄之助さんを見ていたと信じたいです。

土方歳三さんが、市村鉄之助さんを函館から逃がした本当の理由は、分かりません。

私が聞いた説には、土方歳三さんが、沖田総司さんに様子が似ていた市村鉄之助さんを可愛がっていたので、生きていて欲しいから逃がした、という説があります。

私は、市村鉄之助さんが若いから生きていて欲しいと思った、自分の傍で世話をしてくれている様子を見て、自分の事を理解しているかもしれないと感じたから、生きていて欲しくて逃がした、という説の方が正しいかなと思いました。

そして、この説を信じたいと思います。

この物語では、沖田総司さんと市村鉄之助さんが、楽しそうに話しています。

沖田総司さんと市村鉄之助さんが、実際にどれくらい話していたのか分かりません。

市村鉄之助さんが入隊した時は、沖田総司さんの体調はかなり悪くなっていました。

沖田総司さんの性格から考えると、年齢が若いのに一人で新撰組に残っている市村鉄之助さんを気に掛けて、市村鉄之助さんに話し掛ける可能性は充分に考えられるので、物語のような状況にしました。

市村鉄之助さんは、函館を出発してから、数ヶ月程後に多摩に着いたそうです。

そして、土方歳三さんの家族に、手紙や写真などを渡したそうです。

市村鉄之助さんは、新撰組の隊士の中で、函館での出来事があった関係で、名前が知られている隊士の一人だと思います。

市村鉄之助さんも、斉藤一さんや島田魁さんなどと同じく、戦いの中を生き残った新撰組隊士の一人です。

僅かな間ですが、新政府になってからの明治の時代を生きた新撰組隊士の一人です。

「夢現(ゆめうつつ)」についてです。

「夢と現実。夢とも現実とも区別がつかない状態。」という意味です。

「行き散る(ゆきちる)」についてです。

「ちりぢりに別れる。」という意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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