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新撰組異聞 〜 花見月 花影の乱舞 〜


今は晩春。


沖田総司達が京の町に着いてから初めて迎える春の終わりになる。


ここは、京の町。


過ごしやすい日が続いている。


ここは、屯所。


近藤勇が居る部屋。


近藤勇は机に真剣な表情で向かっている。


沖田総司が微笑んで訪ねてきた。


近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「土方さんが、近藤さんが私を呼んでいると話していました。」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今夜は、私と歳と総司で酒を飲みたいと思った。総司を誘うために、歳に伝言を頼んだ。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「今夜はもちろん奢りですよね。」

近藤勇は沖田総司を苦笑しながら見た。

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さん。私はお金の持ち合わせが少ないです。切実な問題です。笑わないでください。」

近藤勇は沖田総司を申し訳なさそうに見た。

沖田総司は近藤勇を不思議そうに見た。

近藤勇は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。

「総司を含めた隊士達には、迷惑を掛けているな。少しずつ余裕が出来ると思う。もう暫く耐えてくれ。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「はい。」

近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さん。話が逸れています。珍しいですね。」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「確かに話が逸れてしまった。話を戻す。今夜は奢りだ。安心して返事をしてくれ。」

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さん。斉藤さんは誘わないのですか?」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司は斉藤と酒が飲みたいのか?」

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「はい!」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今回は三人で飲みたいと思ったから、斉藤には声を掛けなかった。」

沖田総司は近藤勇を残念そうに見た。

近藤勇は沖田総司を僅かに慌てた様子で見た。

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「私から斉藤さんに声を掛けても良いですか?」

近藤勇は沖田総司に僅かに慌てた様子で頷いた。

沖田総司は近藤勇に微笑んで話し出す。

「今夜を楽しみにしています。」

近藤勇は沖田総司に僅かに慌てた様子で頷いた。


沖田総司は部屋を微笑んで出て行った。


それから僅かに後の事。


ここは、屯所。


縁。


斉藤一は普通に歩いている。


沖田総司の明るい声が、斉藤一の後ろから聞こえてきた。

「斉藤さん!」


斉藤一は立ち止まると、後ろを普通の表情で見た。


沖田総司は斉藤一の傍に笑顔で来た。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「近藤さんが酒を飲もうと誘ってくれました。奢りなので安心して飲めます。一緒に行きましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は最初から誘われているのか?」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「近藤さんがお酒を飲むために声を掛けたのは、土方さんと私だけらしいです。私が斉藤さんを誘って良いかと質問したら、近藤さんは了承の返事をしました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「近藤さんと土方さんは、義兄弟の契りを交わした仲だろ。近藤さんは総司を弟のように可愛がっているだろ。三人の付き合いは長い。今夜は三人で酒を飲め。」

沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。

「私は斉藤さんとも酒が飲みたいです。今夜は奢りなので、私も斉藤さんも安心して飲めます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は俺と酒が飲みたいのか?」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は面白い思考をしているな。」

沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。

「私は面白い思考をしているのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を見ながら、残念そうに軽く息をはいた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に残念そうに話し出す。

「今回は、とても残念ですが諦めます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は寂しそうに居なくなった。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司の姿は見えなくなった。


斉藤一は普通に居なくなった。


それから僅かに後の事。


ここは、近藤勇の居る部屋。


近藤勇は机に真剣な表情で向かっている。


土方歳三は普通に訪ねてきた。


近藤勇は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「総司が斉藤に酒を飲みに行こうと誘ったが、斉藤は了承の返事をしなかった。総司はとても残念がっていた。」

近藤勇は土方歳三に苦笑しながら話し出す。

「総司には歳の望み通りに三人で飲みに行こうと誘った。総司は斉藤も誘いたいと言った。総司の勢いに押されたのと、斉藤を誘っても問題ないと考えて、総司の話を了承した。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さんの判断通り、斉藤は誘っても問題ないだろ。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで囁いた。

「私は総司にさり気ない言動を取るのが難しい。これからは歳に頼みたいと思った。」

土方歳三は近藤勇を微笑んで見た。

近藤勇も土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は近藤勇に真剣な表情で囁いた。

「近藤さん。今夜は俺が中心になって話す。」

近藤勇は土方歳三に真剣な表情で頷いた。

土方歳三は近藤勇を真剣な表情で見た。

近藤勇も土方歳三を真剣な表情で見た。


それから暫く後の事。


ここは、一軒の料理屋。


一室。


近藤勇、土方歳三、沖田総司が居る。

卓の上には酒と肴が載っている。


沖田総司は近藤勇と土方歳三に笑顔で話し出す。

「今日は豪華ですね! 本当に奢りで大丈夫なのですか?!」

近藤勇は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は近藤勇と土方歳三に笑顔で話し出す。

「いただきます!」

近藤勇は沖田総司に微笑んで頷いた。

土方歳三も沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は杯の酒を美味しそうに飲み始めた。

近藤勇は杯の酒を微笑んで飲み始めた。

土方歳三も杯の酒を微笑んで飲み始めた。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、肴を美味しそうに食べた。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は杯の酒と肴を味わいながら、近藤勇と土方歳三に笑顔で話し出す。

「美味しいです!」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見た。

土方歳三も杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見た。


それから少し後の事。


ここは、一軒の料亭。


一室。


近藤勇、土方歳三、沖田総司が居る。

卓の上の酒と肴の量は、かなり減っている。


沖田総司は杯の酒と肴を美味しそうに味わっている。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に真剣な表情で頷いた。

土方歳三も杯の酒を飲みながら、近藤勇に真剣な表情で頷いた。

沖田総司は杯の酒と肴を味わいながら、近藤勇と土方歳三を不思議そうに見た。

土方歳三は杯の酒を飲むのを止めると、沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「総司。話しがある。」

沖田総司は杯の酒を飲むのを止めると、土方歳三を不思議そうに見た。

土方歳三は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「殿内を排除しなければならなくなった。」

沖田総司は土方歳三を驚いた表情で見た。

土方歳三は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「殿内は剣術に優れている。近藤さんと俺を理解する人物で、殿内以上に剣術に優れている人物は、総司だけだ。」

沖田総司は土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「殿内さんが大きな失策をしたのですか?」

土方歳三は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「殿内は、芹沢さんや近藤さんと違う考えを持つ人物だ。殿内の考えに同意する者を増やすために、京の町を出る噂がある。壬生浪士組の人数が増えるのは良い状況だが、近藤さんや芹沢さんに同意しない者が増えるのは非常に困る。壬生浪士組の今の状況に嫌気が差して京の町を去るという別な噂もある。京の町に二度と戻らなければ良いが、京の町に戻ってきたら対応が面倒だ。殿内に関する噂で正しいのが一つでもあれば、壬生浪士組にとって良い状況ではない。」

沖田総司は土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「近藤さんと土方さんを理解する人物で、殿内さん以上に剣術に優れている人物は、斉藤さんも該当しますよね。」

土方歳三は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「斉藤が壬生浪士組に正式に加わったのは今月だ。周りの隊士達は、斉藤が俺達と以前から繋がりのある過去を知らない。斉藤に頼む場合は、直ぐに実行しなければ、殿内が怪しむ。今の状況で確実に遂行できる人物は、総司だけだ。」

沖田総司は真剣な表情で考え込んだ。

土方歳三は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「嫌なのか?」

沖田総司は土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「殿内さんは仲間です。大きな失策をしていません。即答が出来ません。」

土方歳三は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「屯所では話せない内容だから、別な場所で話すために準備をしていた。芹沢さんも殿内に対して何かしらの行動を起こしそうな雰囲気がある。芹沢さんが近藤さんに近い内に酒を飲む場合は費用を用意すると言った。芹沢さんは、静観するのか、俺達の動向を探っているのか、はっきりと判断できない。」

沖田総司は真剣な表情で考え込んだ。

土方歳三は沖田総司に真剣な表情で話し出す。

「永倉は嫌な時は断る。永倉の思考と合わない場合は、殿内に伝える可能性がある。永倉に頼むのは危険だ。総司が断った場合は、斉藤に頼む。斉藤には是が非でも了承させる。」

沖田総司は土方歳三を驚いた表情で見た。

近藤勇は沖田総司に真剣な表情で頷いた。

沖田総司は近藤勇と土方歳三に真剣な表情で話し出す。

「今回の件、承知しました。」

近藤勇は沖田総司に真剣な表情で頷いた。

土方歳三も沖田総司に真剣な表情で頷いた。

沖田総司は近藤勇と土方歳三を真剣な表情で見た。


その翌日の事。


ここは、落ち着いた雰囲気の寺。


寺の中。


沖田総司と少女は、楽しそうに話している。

少女の脇には包みが置いてある。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。包みから美味しい香りが広がっているね。包みの中には、桜餅が入っているのかな?」

少女は包みを手に取ると、微笑んで話し出す。

「桜餅の合う季節が終わろうとしています。沖田さんが京の町の桜餅を美味しいとたくさんお話しされていたので、桜餅を用意しました。」

沖田総司は少女に慌てた様子で話し出す。

「催促したみたいでごめんね!」

少女は包みを広げると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田さんは大変で大切で忙しいお仕事をしています。たくさん食べてもお腹が空くと思います。催促しているとは思いません。」

沖田総司は複雑な表情では考え込んだ。

少女は包みを持ちながら、沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は少女に考え込みながら話し出す。

「私は大変で忙しい任務に就いているのかな?」

少女は包みを持ちながら、沖田総司を不思議そうに見ている。


沖田総司の腹から音が待った。


沖田総司は少女を慌てた様子で見た。

少女は沖田総司の前に包みを置くと、微笑んで話し出す。

「沖田さん。遠慮せずにたくさん食べてください。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんの用意してくれる食べ物は全て美味しいから、本当に遠慮しないで食べたら困るな!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お菓子を作られた方も桜餅も喜んで食べる方に逢えて嬉しいと思います。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。大切な人を忘れているよ。」

少女は沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「菓子を選んだ人。菓子を用意した人。鈴ちゃんだよ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「桜餅の合う季節は終わろうとしているんだね。鈴ちゃんのために、桜餅を作った人のために、桜餅のために、しっかりと味わって食べないといけないね。」

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「いただきます!」

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は桜餅を取ると、美味しそうに食べ始めた。

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は桜餅を食べながら、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 美味しいよ!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「喜んで頂けて嬉しいです。」

沖田総司は桜餅を美味しそうに食べた。


それから何日か後の事。


ここは、京の町。


月が淡く輝いている。


ここは、四条大橋。


殿内義雄が酔いながらゆっくりと歩いている。

殿内義雄は旅姿をしている。


殿内義雄の後ろから、強い殺気を感じた。


殿内義雄は立ち止まると、後ろを怪訝そうに見た。


近藤勇が殿内義雄を睨んでいる。


殿内義雄は近藤勇を驚いた表情で見た。

近藤勇は殿内義雄を睨みながら、刀に手を掛けた。

殿内義雄は慌てた様子で刀を見た。


旅支度をした関係で、刀は布に包んである。


殿内義雄は慌てた様子で走ろうとした瞬間に足元がふらついた。

近藤勇は殿内義雄を睨みながら、今にも刀を抜く様子に見える。

殿内義雄は驚いた表情で踏ん張った。


殿内義雄はふらつきながら、恐怖に表情で逃げ始めた。


殿内義雄の後ろから強い殺気を感じた。


殿内義雄は立ち止まると、後ろを恐怖の表情で見た。


沖田総司が殿内義雄を冷たい表情で見ながら、刀に手を掛けている。


殿内義雄は沖田総司を恐怖の表情で見た。

沖田総司は冷たい表情で瞬く間に刀を抜いた。

殿内義雄は沖田総司を恐怖の表情で見ている。

沖田総司は冷たい表情で殿内義雄を斬った。

殿内義雄は目を見開きながら、崩れ落ちた。

沖田総司は刀を持ちながら、殿内義雄を冷たい表情で見た。


殿内義雄は事切れている。


近藤勇は沖田総司の横に真剣な表情で来た。


沖田総司は刀を持ちながら、近藤勇を冷たい表情で見た。

近藤勇は沖田総司に真剣な表情で頷いた。


沖田総司は刀を持ちながら、真剣な表情で居なくなった。

近藤勇は真剣な表情で居なくなった。


その翌日の事。


ここは、落ち着いた雰囲気の寺。


寺の中。


沖田総司と斉藤一が居る。


沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。

「斉藤さん。突然に出掛けようと言いましたね。私に頼み事があるのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。雰囲気が普段と僅かに違う。屯所内といえども、全て気の許せる人物ばかりではない。気を付けろ。」

沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。

「雰囲気が普段と違いますか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。忠告ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「友達というのは良いですね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺と総司は友達ではないだろ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは私の大切な友達です。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺は、相談には乗れないかも知れないが、話しは聞ける。」

沖田総司は斉藤一に言い難そうに話し出す。

「今日は、鈴ちゃんにとても逢いたい気持ち、鈴ちゃんにどのような様子で逢えば良いのか分からなくて悩む気持ち、両方の気持ちを抱いています。寂しいです。複雑です。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に言い難そうに話し出す。

「何日か前に鈴ちゃんと話しました。鈴ちゃんは私に大切で大変な任務に就いていると言いました。鈴ちゃんは優しくて良い子です。私は鈴ちゃんに対して恥ずかしくない任務に就きたいです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は恥ずかしい任務に就いているのか?」

沖田総司は斉藤一に僅かに慌てた様子で話し出す。

「私は幕府と京の町を守る任務に就いています。重要な任務です。私は鈴ちゃんに大切な任務に就いていると自信を持って話せます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、大切な任務に就いている、しっかりと任務を務めている。総司が自信を持って言えるのなら問題ないだろ。」

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「これから鈴ちゃんに逢いに行きます。鈴ちゃんは本当に良い子です。斉藤さんも鈴ちゃんに逢って欲しいです。斉藤さん。一緒に行きましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今回は美鈴さんと二人で過ごせ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司は寺の外に微笑んで出て行った。

斉藤一は寺の外に普通に出て行った。


それから少し後の事。


ここは、京の町。


沖田総司と少女は、楽しそうに話しながら歩いている。


少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田さん。桜餅を買ってからお寺に行きませんか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと桜餅が食べられるんだ。楽しみだな。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私は京の町に疎いから、桜餅を買う店は鈴ちゃんに任せるよ。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。


晩春の頃。

壬生浪士組の一人の隊士が亡くなった。

近藤勇は恩人へ宛てた文に、失策をした一人の隊士を討ったという内容を書いた。

近藤勇が恩人へ宛てた文の内容が、全て真実かは誰にも分からない。

たくさんの想いを抱える沖田総司にも分からない。

何が起きても普段と同じ斉藤一にも分からない。


幾重の日々が過ぎた今も、真実の分からない状態が続いている。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

今回の物語は、壬生浪士組の殿内義雄さんが殺害された出来事を基にして書きました。

殿内義雄さんは、剣術の腕の優れている人物だったそうです。

文久三年三月二十五日(1863年5月12日)、または、文久三年三月二十四日(1863年5月11日)に、殿内義雄さんは四条大橋で闇討ちに遭い殺害されます。

遺体が見付かったのが文久三年三月二十五日らしいので、文久三年三月二十四日に殺害されたかも知れません。

文久三年の夏に近藤勇さんが何名か宛ての文に、同士が失策を仕出かしたので討ったという内容を書いたそうです。

この出来事を差していると考えられています。

この出来事には近藤勇さんと沖田総司さんの他に数名ほどが加わっているそうです。

殿内義雄さんは、お酒をたくさん飲まされた状態で、旅支度をしていたので刀は布に仕舞った状態で、殺害されたそうです。

殿内義雄さんを襲ったのは、近藤勇さんと沖田総司さんで、殿内義雄さんを斬ったのは、沖田総司さんといわれています。

近藤勇さんと殿内義雄さんの間に確執が生まれた原因は、殿内義雄さんの性格に問題があった、芹沢鴨さん一派による粛清、近藤勇さんとも芹沢鴨さんとも考えや志が違った、などの幾つかの説があるそうです。

斉藤一さんの名前が新撰組関連の文書に初めて登場するのは、文久三年三月十日(1863年4月27日)だそうです。

斉藤一さんが壬生浪士組に参加したのは、近藤勇さん達が京の町に残留を決定した日付などから、文久三年三月四日(1863年4月21日)〜文久三年三月十日(1863年4月27日)の間と考えられています。

今回の物語は、殿内義雄さんの名前を使用すると混乱する可能性がありますが、時間経過も含めて分かり易くするために、殿内義雄さんの名前を使用しました。

ご了承ください。

「新撰組異聞」関連では、沖田総司さんが斉藤一さんと山口一さんが同一人物と知るのは、京の町で逢ってから少し後の設定になります。

今回の物語では、直前頃に知った事になっています。

「新撰組異聞」関連では、鈴ちゃんは沖田総司さんの呼び方を何度か替えます。

最初は「沖田様」で、牡丹の花の咲く頃に「沖田さん」になり、紫陽花の咲く頃に「総司さん」となります。

「花影(かえい)」は「月の光などによって出来る花の影。特に、桜の花の影。」です。

「花見月(はなみづき)」は「陰暦三月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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