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新撰組異聞 〜 大寒の頃 大根湯の湯気の中 〜


〜 改訂版 〜


暦は、春。


ここは、京の町。


冬のような寒い日が続いている。


ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。


本堂。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。京の町の冬から春の初めは寒いね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「江戸は、冬から春の初めは暖かいのですか?」

沖田総司は少女に苦笑して話し出す。

「江戸は、南の国ではないから、冬から春の初めは寒いよ。江戸より南に在る国は、暖かいと思っていたから、京の町が寒いと思わなかったんだ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「大根湯に浸かると体が温かくなるよね。今の京の町は寒いから、大根湯にたくさん浸かって過ごそうね。」

少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「江戸では、大根湯をお風呂に足して浸かるのですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私の話す大根湯は、風邪をひいた時に飲む大根湯ではなくて、薬用風呂の大根湯だよ。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。

「鈴ちゃん。薬用風呂の大根湯を知らないの?」

少女は沖田総司を不思議な様子で考えながら見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんも知らない内容があるんだ。」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「ごめんなさい。」

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃんは私より物知りだよね! 鈴ちゃんが、大根湯を知らないから、不思議に思ったから確認のために話したんだ! 変な内容で話してしまった! ご免ね!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。京の町は大根湯に浸からないの?」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「他の方達は、大根湯に浸かるかも知れません。私の家では、大根湯に浸かった記憶がありません。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私が、大根湯の用意と大根湯の浸かる方法を、教えるよ。鈴ちゃん。落ち込まないで。元気を出して。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「気付いたら、帰る時間が近付いている。帰り道で大根湯について説明するね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、屯所。


一室。


斉藤一は普通に居る。

数人の隊士は普通に座談している。


沖田総司が部屋の中に元気良く入ってきた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

数人の隊士は雑談を止めて、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 話したくて探しました! 話しても良いですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


数人の隊士は部屋から普通に出て行った。


沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「外は寒いですよね。みんなは話の途中で何処に行くのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺と総司のみになった。総司は俺に気兼ねなく話せる。細かい状況は気にするな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「寒い日が続きますよね。大根湯に浸かると体が温かくなりますよね。鈴ちゃんに薬用風呂の大根湯について話しました。鈴ちゃんは薬用風呂の大根湯を知りませんでした。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは京の町の住人だ。薬用風呂の大根湯を知らない可能性はある。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。変な内容を話して、美鈴さんを困らせただろ。」

沖田総司は斉藤一を不安な様子で考えながら見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。

「斉藤さん! 私は鈴ちゃんに帰り道で大根湯について説明すると話したのに、鈴ちゃんとの話す時間が物凄く楽しくて、大根湯について説明するのを忘れました!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「次に美鈴さんに逢った時に、大根湯について説明しろ。」

沖田総司は斉藤一に落ち込んで話し出す。

「大根湯の用意には、二日から十日ほど掛かります。鈴ちゃんに次に逢った時に大根湯について説明したら、鈴ちゃんが大根湯に浸かる時が更に遅くなります。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「大根湯の作る方法の一つに、大根を干さずに作る方法がある。心配するな。」

沖田総司は斉藤一に落ち込んで話し出す。

「鈴ちゃんが、大根を干す方法の大根湯に浸かりたいと思う可能性があります。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に落ち着かない様子で話し出す。

「今から鈴ちゃんの家に行きます! 鈴ちゃんに大根湯について説明します!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんの家に行って、大根湯の説明を始めたら、美鈴さんが休めなくなる。説明は明日にしろ。」

沖田総司は斉藤一に僅かに納得せずに話し出す。

「でも〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんのためだ。納得しろ。」

沖田総司は斉藤一に渋々と頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


翌日の事。


ここは、少女の住む家。


玄関。


沖田総司は二本の大根を持ち、微笑んで訪ねた。


少女は微笑んで来た。


少女は沖田総司と大根を不思議な様子で見た。

沖田総司は二本の大根を傍に置くと、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。こんにちは。」

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「総司さん。こんにちは。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに、薬用風呂の大根湯の説明を忘れてしまった。ご免ね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「薬用風呂の大根湯には、大根の葉が必要なんだ。薬用風呂の大根湯の準備を直ぐに始められるように、大根を用意したんだ。遠慮せずに使って。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。外は寒いですよね。温かい飲み物を用意します。家に上がって休んでください。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの部屋で薬用風呂の大根湯について説明しても良いかな?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、屯所。


一室。


斉藤一は普通に居る。

数人の隊士は普通に雑談している。


沖田総司が数本の大根を持ち、部屋の中に笑顔で入ってきた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

数人の隊士は雑談を止めると、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は大根を横に置くと、斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 話したくて探しました! 話しても良いですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


数人の隊士は部屋から普通に出て行った。


沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「外は寒いですよね。みんなは話の途中で何処に行くのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺と総司のみになった。総司は俺に気兼ねなく話せる。細かい内容を気にするな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに薬用風呂の大根湯について説明しました。鈴ちゃんに用意した大根を渡しました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが大根湯を気に入った時のために、帰る途中で大根を買いました。大根湯の準備を始めます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。


翌日の事。


ここは、屯所。


庭と軒先。


大根の葉が干してある。


縁。


土方歳三は大根の葉を不思議な様子で見ている。


斉藤一は普通に来た。


土方歳三は大根の葉を見ながら、斉藤一に普通に話し出す。

「斉藤。話しても良いか?」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を見ると、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「総司が満面の笑顔で大根の葉を干していたらしいな。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「総司があの子に薬用風呂の大根湯について説明したそうです。薬用風呂の大根湯の準備には、二日から十日ほど必要です。あの子が薬用風呂の大根湯を気に入って、再び薬用風呂の大根湯に浸かりたいと思う可能性が有ります。総司は、あの子が薬用風呂の大根湯に直ぐに浸かれるように、大根の葉を干しました。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「暫くの間は、大根の葉に注意して過ごさなければならないな。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「先日の出来事ですが、事情を知らない隊士が大根の葉を取ろうとしました。総司は大根の葉を取ろうとした隊士に、物凄い勢いで怒りました。他の隊士は総司の物凄く怒る様子を見ました。土方さんは今の話の中で注意すると話しました。何も知らない人物の他は、大根の葉に注意して過ごします。」

土方歳三は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。


数日後の事。


ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。


本堂。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「大根湯に浸かりました。大根湯のお風呂から出ても、体が温かいままでした。」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんは大根湯を気に入ってくれたんだ! 嬉しいな!」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「大根湯の準備のために、屯所で大根の葉を干しているんだ! 鈴ちゃんに干した大根の葉を分けるね!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「屯所のみなさんで大根湯に浸かるための準備ですよね。私は頂けません。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんに大根湯を更に好きになって欲しいんだ。遠慮せずに返事をして。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。大根の葉を頂きます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。


翌日の事。


ここは、屯所。


たくさんの大根が届いた。


一室。


たくさんの大根が置いている。


沖田総司は部屋の中に笑顔で入ってきた。

斉藤一は部屋の中に普通に入ってきた。


沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 大根湯に浸かれますね! 楽しみですね!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「屯所で大根の料理がたくさん食べられますね! 楽しみですね!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「たくさんの大根料理は作れるが、全員で料理を分けると、総司の想像より一人分の量は少ないと思う。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「味噌汁や漬物ならば、全員で分けてもたくさん食べられますよ!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を普通の表情で見た。


翌日の事。


ここは、京の町。


空が橙色に染まり始めた。


ここは、少女の住む家。


風呂場。


少女は大根湯に微笑んで浸かっている。


湯船には、沖田総司が屯所で干した葉の入る布袋が浮かんでいる。


少女は大根湯に浸かり、湯船に浮かぶ布袋を微笑んで取った。


湯気が揺らめいた。


少女は大根湯に浸かり、布袋を持ち、布袋に微笑んで話し出す。

「総司さん。ありがとうございます。」


少女は大根湯に浸かり、布袋を湯船に微笑んで戻した。


布袋は湯船に静かに浮かんだ。


湯気が揺らめいた。


少女は大根湯に浸かり、大根湯を微笑んで見た。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

「風呂」についてです。

江戸時代には銭湯をたくさんの人達が利用していました。

現在とは違い「蒸し風呂」のようになっていて、「戸棚風呂」と呼ばれる形だったそうです。

熱くなっている小石の上に水を掛けて蒸気を出していたそうです。

浴槽には膝の高さほどのお湯しかありませんでした。

下半身はお湯に浸して、上半身は小石から出る蒸気で温めていたそうです。

蒸気が逃げないようにするために、「石榴口(ざくろぐち)」が考えられたそうです。

天井から低く板を下げて、蒸気を逃げないようにしていました。

お風呂に入る人達はこの板をくぐって、風呂場の中へと入っていったそうです。

現在でいう風呂に近い、深く浸かる風呂も江戸時代に出来ました。

「据え風呂」というそうです。

「慶長年間の末頃」に出来たそうです。

井戸水などから沸かす風呂だったそうです。

一般の庶民の家に広まったそうです。

普及していたのは「鉄砲風呂」や「五右衛門風呂」だったそうです。

「鉄砲風呂」は、鉄の筒に燃えている薪を入れてお湯を温める風呂です。

鉄の筒でやけどをしないように、筒を遮るように柵で防護していたそうです。

「鉄砲風呂」の形の風呂は、江戸で主流になっていたそうです。

「五右衛門風呂」は、下の鉄釜を熱して温める風呂です。

こちらはやけどをしないように、「釜板、兼、底板」を下に敷いて風呂に入ったそうです。

「五右衛門風呂」の形の風呂は、関西で主流になっていたそうです。

「大根湯(だいこんゆ)」についてです。

「大根」の辛味成分には、炎症を鎮め、咳止め、殺菌などに効果があるといわれています。

その関係から、番茶などに大根おろしと生姜などを混ぜて飲む事があります。

風邪をひいた時に、大根の角切りと蜂蜜を漬けた汁を飲む事もあります。

この物語に登場する「大根湯」は、薬用風呂の一種類です。

農村地帯で冷え性や婦人病などの民間療法として入っていたそうです。

干した大根には、温泉成分の塩化物や硫化イオンなどの無機成分が多いそうです。

保湿効果を高め、新陳代謝を促進する働きがあるそうです。

「大根湯」の用意について簡単に書きます。

詳細は各自でご確認ください。

大根一本分の葉を風通しの良い日陰に干して乾燥させます。

乾燥させた葉を「干葉(ひば)」と言います。

乾燥させる期間は気候などで変わりますが、二日から十日ほどです。

乾燥させた葉を細かく刻んで布袋に入れます。

風呂に入れ、水から沸かします。

時間の都合などで生の葉を使う場合は、刻んでからすり鉢ですった絞り汁を使うそうです。

「大寒(だいかん)」についてです。

二十四節気の一つです。

現在の暦で、一月二十日頃、または、この日から「立春」までの期間をいいます。

寒さが最も厳しくなる頃です。

寒中の真ん中で、一年で最も寒い時期です。

武道ではこの頃に寒稽古が行われます。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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