このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新撰組異聞 〜 歳末 正月 薯蕷で大騒動 〜


〜 改訂版 〜


今は歳末。


ここは、京の町。


寒い日が続いている。


歳末のため慌しさを感じる時がある。


ここは、屯所。


近藤勇の部屋。


近藤勇は微笑んで居る。

土方歳三も微笑んで居る。


近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「会津には、食べ物に関する正月の言葉がある。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”、だろ。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「さすが歳。既に知っていた。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「会津は新撰組にとって大切な土地だ。俺も近藤さんも、同じ気持ちだ。既に知っていて当然だ。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「さすが歳。」

土方歳三は近藤勇を微笑んで見た。

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「会津に尊敬と感謝の気持ちを込めて“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を行ないたい。大晦日に年越し蕎麦を用意する。元旦も蕎麦を用意したい。良いかな?」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「隊士達は、お節料理の他に蕎麦も食べられると知ったら喜ぶ。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。お節料理の用意の他に、大晦日は蕎麦、元旦も蕎麦、二日は餅、三日はとろろ、の用意を頼む。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「了解。」

近藤勇は土方歳三を微笑んで見た。


部屋の外から、勢い良く走る数人の足音が聞こえた。


土方歳三は近藤勇を微笑んで見た。

「近藤さん。予想より早い展開で盛り上がる。」

近藤勇は土方歳三を微笑んで頷いた。

土方歳三は近藤勇を微笑んで見た。


僅かに後の事。


ここは、屯所。


縁。


沖田総司は笑顔で居る。

原田左之助も笑顔で居る。


原田左之助は沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司! 俺は今からおまさちゃんに逢う! おまさちゃんに、“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を説明する!」

沖田総司は原田左之助に笑顔で話し出す。

「私は斉藤さんに“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を説明します!」

原田左之助は沖田総司に笑顔で話し出す。

「総司! 後で打ち合わせをする! 忘れるな!」

沖田総司は原田左之助に笑顔で話し出す。

「はい!」


原田左之助は笑顔で勢い良く走り出した。


沖田総司は笑顔で勢い良く走り出した。


僅かに後の事。


ここは、屯所。


斉藤一の部屋。


斉藤一は普通に居る。


沖田総司が部屋を勢い良く訪ねた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 元旦に蕎麦です! 二日は餅です! 三日はとろろです! 楽しみですね!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 当日は気合を入れてたくさん食べましょう!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。会津の正月の風習の“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を話しているのか?」

沖田総司は斉藤一に普通に話し出す。

「斉藤さんは既に知っていたのですね! さすがです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「以前に、偶然に知った。さすがに該当する内容ではない。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんに“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を教えたいです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「三日とろろは無病息災も願って食べる。美鈴さんに教える考えは良い。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「近藤さんと土方さんは、無病息災も願って三日とろろを食べる内容を話しませんでした!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「近藤さんも土方さんも、無病息災も願って三日とろろを食べる内容を知っていると思う。話の展開の関係で登場しなかったと思う。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんと一緒に、“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を楽しみたいです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんに“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を説明した後に、美鈴さんと共に“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を楽しみたいと話す。美鈴さんや家族は、総司が“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を食べたいから説明したと思う。」

沖田総司は斉藤一の袖を掴むと、斉藤一に動揺して話し出す。

「斉藤さん! 私は鈴ちゃんに正月の三日間は逢えないのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「正月の挨拶のみで帰るか、“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”について念を押さなければ、美鈴さんに逢える。」

沖田総司は斉藤一の袖を掴んで、斉藤一に動揺して話し出す。

「私は“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”が食べられないのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。近藤さんと土方さんは、“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を用意するのだろ。美鈴さんと共に“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を食べられない可能性は高いが、総司は俺と共に“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を食べられる。」

沖田総司は斉藤一の袖を掴んで、斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「良く考えたら、斉藤さんの話すとおりですね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「良く考えなくても分かる内容だ。」

沖田総司は斉藤一の袖を掴んで、斉藤一を恥ずかしく見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。何時までも恥ずかしがるな。着物の袖を早く放せ。」

沖田総司は斉藤一の袖を恥ずかしく放した。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に恥ずかしく話し出す。

「明日、鈴ちゃんに“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を説明します。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”は、会津の正月の風習だ。場所によっては、元旦に餅、二日に蕎麦、三日にとろろを用意するらしい。三日とろろは無病息災も願って食べる。美鈴さんにしっかりと説明しろ。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。


数日後の事。


ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。


本堂。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんから教えて頂いた“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”について、家族に話しました。家族は喜んで話を聞いていました。大晦日は年越し蕎麦を用意します。元旦と二日は普段どおりで、三日にとろろを用意する話になりました。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「楽しみだね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。とろろをたくさん食べて無病息災を祈願してね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。三日にとろろを食べに来ますか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私は鈴ちゃんに“元旦そば、二日にもち、三日とろろ”を説明しただろ。斉藤さんが、鈴ちゃんに説明したのに正月三日の食事の時間に出掛けたら、三日とろろを催促したと思われると説明したんだ。斉藤さんの話すとおりだから、遠慮するよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんも斉藤さんも、優しくて気配りが出来ます。」

沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。

「斉藤さん。優しいよね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私は屯所でとろろをたくさん食べるよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お正月の三日は、家族で三日とろろを楽しみます。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。


幾日か後の事。


今は正月。


三日とろろを食べる日。


季節は春。


ここは、京の町。


寒い日が続いている。


今は朝。


ここは、屯所。


だし汁を作る姿やとろろを作る姿が見える。

隊士達が三日とろろを楽しみに待つ姿が見える。


斉藤一の部屋。


斉藤一は普通に居る。


沖田総司が部屋を元気良く訪ねた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! とろろ汁を食べるためのだし汁の香りが届きます! お腹が空きました!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。朝から物凄く元気だな。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「今日は三日とろろの日です! とろろ作りもだし汁作りも、普段より丁寧です! 今から張り切らなければ、何時、張り切るのですか?!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 気合を入れてください!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 早く気合を入れてください!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 気合を入れましたね! 早く行きましょう!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は部屋を笑顔で出て行った。

斉藤一は部屋を普通に出て行った。


僅かに後の事。


ここは、屯所。


庭。


幾人もの隊士達の姿が見える。

三日とろろを用意する人達の姿が見える。


「三日とろろをたくさんください! ご飯は丼に山盛りでお願いします! とろろ汁もご飯を美味しく食べられるように、たくさんお願いします!」

「俺も総司と同じ量で頼む!」

「斉藤さんの分も先程の私の説明と同じ量でお願いします!」

「総司。原田。丼に山盛りのご飯を残さずに食べられるのか?」

「勿論です!」

「私も斉藤さんも、残さずしっかりと食べます! 安心してください!」

「斉藤。大丈夫なのか?」

「斉藤さんは頷きました! 安心してください!」

「斉藤。本当に頷いたのか?」

「土方さん! 近藤さん! 話が長いから、三日とろろが食べられません!」

「土方さん! 近藤さん! 三日とろろを食べる時間が遅くなります! 細かい話は後でお願いします!」


「元旦そば、二日にもち、三日とろろ」は、正月を過ごすための風習の一つ。

本日は、正月三日。

三日とろろを食べる日になる。

屯所内を和やかで賑やかで楽しさが暫く包む状況が確実になった。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

「三日とろろ」についてです。

会津地方では「元旦そば、二日にもち、三日とろろ」という言葉があるそうです。

朝食時のお節料理と一緒に、元旦に蕎麦、二日に餅、三日にとろろ汁、を食べる風習をいうそうです。

地方や家庭によっては、元旦に餅を食べて、二日に蕎麦、三日にとろろ、を食べる事があるようです。

三日とろろには、無病息災の祈願も込められているそうです。

この物語は、三日とろろを中心に書きました。

この物語は、内容と雰囲気から、題名は「薯蕷」、物語の中は「三日とろろ」・「とろろ」にしました。

会津の食文化は奥深いです。

興味がある方は、各自でお調べください。

「歳末(さいまつ)」についてです。

「歳の暮れ。年末。」です。

冬の季語です。

「正月(しょうがつ)」についてです。

「一年の最初の月。年の初めを祝う行事が行なわれる期間。」です。

新年の季語です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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