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新撰組異聞 ~ 冬至 柚子湯と南瓜と小豆粥 ~


冬になっている。


ここは、京の町。


朝晩になると寒い日が続いている。

日中も天気が悪いと、寒さを感じるようになってきた。


冬至が少しずつ近付いてきた。


ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。


本堂。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「冬至の日を含める数日間、柚子湯に浸かる、小豆粥も食べる、内容が決まったんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「柚子湯にたくさん浸かれるのですね。小豆粥をたくさん食べられるのですね。楽しみですね。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「数日に分ける理由は、隊士の人数や任務の状況から考えると、冬至の一日だけでは無理だからなんだ。柚子湯にたくさん浸かれるかは、分からないんだ。」

少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。

「気付きませんでした。すいません。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは、隊士の人数や任務の形態を知らないよね。仕方がないよ。気にしないでね。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「冬至の柚子湯。冬至の小豆粥。縁起物みたいなものだよね。冬至の日に、小豆粥を食べて、柚子湯に浸かりたいんだ。」

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。冬至の日に、少しの時間で良いです。逢えますか?」

沖田総司は少女に考えながら話し出す。

「冬至は少し先になるよね。詳しい予定は、決まっていないんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんは、お仕事で忙しいです。無理を話してしまいました。今の話は忘れてください。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「冬至の日に行きたい場所が在るならば、冬至の日の予定を確認するよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「冬至の日に行きたい場所は無いです。今の話は忘れてください。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。我慢していない? 無理していない? 大丈夫?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「冬至の日に逢いたくなったら、遠慮せずに教えてね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、屯所。


斉藤一の部屋。


斉藤一は普通に居る。


沖田総司が部屋を僅かに落ち着かない様子で訪ねた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「鈴ちゃんに逢いました。鈴ちゃんを家まで送りました。部屋に戻ったのですが、落ち着きません。斉藤さんに話したくて訪ねました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「鈴ちゃんが、冬至の日に私と逢いたいと話しました。私は、先の予定なので、私の予定が決まっていないと話しました。鈴ちゃんは、私に冬至に逢いたい話を、私に忘れて欲しい、と話しました。悩みがあるのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが心配なのだろ。土方さんに、冬至の日に予定を空けて欲しいと話せ。」

沖田総司は斉藤一に困惑して話し出す。

「鈴ちゃんが、私に逢いたい気持ちを確証のできる雰囲気で話していません。鈴ちゃんに冬至の日に予定が入っていたら、みんなに迷惑を掛けます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは、総司に勢いで話したから、総司に忘れて欲しいと話した、などと思わないのか?」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「鈴ちゃんは勢いで話す子ではありません。私に逢いたい理由が有ると思います。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「冬至の日までに、美鈴さんが総司に理由を話す可能性が有る。総司が、冬至の日に偶然に予定の空く可能性がある。当面は様子を見ろ。」

沖田総司は斉藤一に心配して話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


翌日の事。


ここは、少女の住む家。


玄関。


斉藤一が普通に訪れた。


少女は不思議な様子で現れた。


斉藤一は少女に普通に話し出す。

「話したいが、外は寒い。部屋で話したい。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、少女の住む家。


少女の部屋。


斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。


斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。冬至の日に向けて、準備をしているのか?」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「冬至の日は、暫く先です。準備はしていません。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「冬至の日に、総司さんや斉藤さんに逢えるならば、渡したい物がありました。渡したい物の準備はしていません。気にしないでください。」

斉藤一は少女を普通の表情で見ている。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんから、屯所では、冬至の日を含める数日間、小豆粥を食べて柚子湯に浸かる、などの内容を聞きました。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「楽しみですね。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。


数日後の事。


冬至の日を迎えた。


沖田総司の冬至の日の任務と斉藤一の冬至の日の任務は、普段より時間が掛からずに終わる内容になっている。


沖田総司は、任務の内容を聞いて、嬉しい仕草を見せた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


屯所では、冬至の日を含める数日間、朝夕に小豆粥を食べる予定になっている。

屯所では、冬至を含める数日間、柚子湯に浸かる予定になっている。


隊士達は、小豆粥を予定どおりに食べている。


ここは、屯所。


一室。


沖田総司は小豆粥を笑顔で美味しく食べている。

斉藤一は小豆粥を普通の表情で食べている。


沖田総司は小豆粥を食べ終わると、斉藤一に笑顔で話し出す。

「今日は、私も斉藤さんも、柚子湯に浸かれますね!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「私が柚子湯の一番風呂ですよ! 斉藤さんは柚子湯の二番風呂ですよ!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。


暫く後の事。


ここは、屯所。


玄関。


沖田総司が任務を終えて普通に戻ってきた。


沖田総司は報告や片付けのために、屯所の中に普通に入って行った。


少し後の事。


ここは、屯所。


玄関。


斉藤一が任務を終えて普通に戻ってきた。


斉藤一は報告や片付けのために、屯所の中に普通に入って行った。


少し後の事。


ここは、少女の住む家。


台所。


少女は、南瓜を包丁で微笑んでゆっくりと切っている。

少女は、南瓜を切り終わると、南瓜を鍋に微笑んで入れた。

少女は、火加減と南瓜の煮え具合を微笑んで確認した。


少し後の事。


ここは、屯所。


斉藤一の部屋。


斉藤一は普通に居る。


沖田総司は部屋を笑顔で訪れた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 今から鈴ちゃんの家に行きます! 斉藤さんも一緒に行きませんか?!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は部屋を笑顔で出て行った。

斉藤一は部屋を普通に出て行った。


少し後の事。


ここは、少女の住む家。


玄関。


沖田総司は微笑んで訪れた。

斉藤一は普通に訪れた。


少女は不思議な様子で現れた。


沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「今日は任務が予定より早く終わったんだ。約束していないけれど、鈴ちゃんに逢いたくて訪ねてきたんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんと斉藤さんに、逢えました。嬉しいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今日は冬至です。南瓜の煮物を作りました。少し前に、南瓜の煮物が出来上がりました。南瓜の煮物を食べませんか?」

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「ありがとう!」

少女は沖田総司を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、少女の住む家。


少女の部屋。


沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。


沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんの作った南瓜の煮物。楽しみですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。


少女が南瓜の煮物や焙じ茶などを載せたお盆を持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。


沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

少女は、沖田総司の前と斉藤一の前に、南瓜の煮物と焙じ茶を微笑んで置いた。


南瓜の煮物からは、湯気が立っている。

焙じ茶からも、湯気が立っている。


沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「いただきます!」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は南瓜の煮物を笑顔で美味しく食べた。

斉藤一は南瓜の煮物を普通の表情で食べた。

少女は沖田総司と斉藤一を僅かに心配して見た。

沖田総司は南瓜の煮物を一口だけ食べると、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 美味しいよ!」

斉藤一は南瓜の煮物を一口だけ食べると、少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

沖田総司は南瓜の煮物を食べながら、少女を笑顔で見た。

斉藤一は南瓜の煮物を食べながら、少女を普通の表情で見た。


小豆粥の湯気。

南瓜の煮物の湯気。

柚子湯の湯気。

冬至の日は、たくさんの湯気に包まれる。

冬至の日は、たくさんの湯気に包まれながら、ゆっくりと過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

「風呂」についてです。

江戸時代には銭湯をたくさんの人達が利用していました。

現在とは違い「蒸し風呂」のようになっていたそうです。

「戸棚風呂」と呼ばれる形だったそうです。

熱くなっている小石の上に水を掛けて蒸気を出していたそうです。

浴槽には膝の高さほどのお湯しかありませんでした。

下半身はお湯に浸して、上半身は小石から出る蒸気で温めていたそうです。

蒸気が逃げないようにするために、「石榴口(ざくろぐち)」が考えられたそうです。

簡単な説明ですが、天井から低く板を下げて、蒸気を逃げないようにしていました。

風呂に入る人達はこの板をくぐって、風呂場の中へと入っていったそうです。

現在でいう「風呂」に近い、深く浸かる「風呂」も、江戸時代に出来ました。

「据え風呂」と呼ぶそうです。

「慶長年間の末頃」に出来たそうです。

井戸水などから沸かす風呂だったそうです。

一般の庶民の家に広まったそうです。

普及していたのは「鉄砲風呂」や「五右衛門風呂」だったそうです。

「鉄砲風呂」は、簡単に言うと、鉄の筒に燃えている薪を入れてお湯を温める風呂です。

鉄の筒でやけどをしないように、筒を遮るように柵で防護していたそうです。

この形の風呂は、江戸で主流になっていたそうです。

「五右衛門風呂」は、簡単に言うと、下の鉄釜を熱して温める風呂です。

こちらはやけどをしないように、「釜板、兼、底板」を下に敷いて風呂に入ったそうです。

この形の風呂は、関西で主流になっていたそうです。

「柚子湯(ゆずゆ)」についてです。

柚子を半分切ってお風呂に浮かべる、柚子の果汁を絞ってお風呂の中のお湯に直接入れる、など、いろいろな入り方があります。

私の家では、料理で残った柚子を、そのまま浮かべて「柚子湯」に入ります。

血行を促進して、疲労回復や、腰痛、ヒビ、アカギレなどに効果があるそうです。

疲労回復、冷え性、などにも効果があるそうです。

肌をしっとりとさせて美肌効果もあるといわれています。

柚子には、精油成分があります。

「柚子」は、エッセンシャルオイルに使われています。

「柚子湯」と言うと、「冬至」を思い出す方も多いと思います。

「冬至(とうじ)」についてです。

二十四節気の一つです。

12月22日頃(現在の暦)、または、12月22日(現在の暦)から「小寒(しょうかん)(1月6日頃[現在の暦])」までの期間をいいます。

北半球では太陽が最も低く、夜が最も長くなる日です。

「冬至」の日に、柚子湯に入り、小豆粥や南瓜を食べると、風邪をひかないと言われています。

古代では、「冬至」を一年の始まりとしていたそうです。

太陽太陰暦では、19年に一度、冬至の日が11月1日となる事があるそうです。

これを「朔旦冬至(さくたんとうじ)」と呼ぶそうです。

この時は盛大に祝っていたそうです。

一番最近の「朔旦冬至」は、1995年だそうです。

次の「朔旦冬至」は、2014年になるそうです。

「冬至」に「南瓜(かぼちゃ)」を食べるようになったのは、江戸時代の中期の頃からと言われています。

「南瓜」は日本古来の野菜ではありませんが、江戸時代には既に手に入る野菜でした。

冬の時期に、採れる野菜や保存できる野菜も少ない中で、南瓜は冬至の頃に食べられて保存の利く野菜でした。

そこから冬至に南瓜を食べるという習慣が始まったそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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