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新撰組異聞外伝 〜 青嵐 誠の心を受け継ぐ者 〜


〜 第三版 〜


ここは、東京。


天気が良く過ごしやすい日が続いている。


今日は爽やかな風が吹いている。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


客間。


沖田総司の息子の敬一は笑顔で居る。

時尾は微笑んで居る。


時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんを呼んでくるわ。少し待っていてね。」

敬一は時尾に笑顔で話し出す。

「はい!」

時尾は敬一を微笑んで見た。


時尾は客間から微笑んで出て行った。


少し後の事。


ここは、藤田五郎の家。


客間。


敬一は笑顔で居る。


藤田五郎は客間に普通に入ってきた。


敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! こんにちは!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「今日は初稽古の日です! 斉藤さんの稽古を受ける日が待ち遠しかったです! とても楽しみです!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺の就ける稽古は本当に厳しい。覚悟しろ。」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「はい!」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さんの以前の説明のとおり、稽古の用意をせずに来ました。本当に良いのですか?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一が稽古道具を持ち、俺の家に来るのは大変だ。敬一が稽古道具を持ち歩く姿と敬一が稽古道具を持ち訪ねる姿は、目立つ。一番の理由は、俺が稽古を就けると話して、俺が稽古の場所を決めた。以上の理由から、俺が稽古関係を用意した。敬一。気にするな。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「気遣って頂いて、ありがとうございます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「稽古の前に俺の部屋で話したい内容がある。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。


藤田五郎は客間から普通に出て行った。

敬一は客間から微笑んで出て行った。


僅かに後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は部屋の中に普通に入った。

敬一は部屋の中に微笑んで入った。


敬一は藤田五郎の部屋の中を珍しい様子で見た。


鞘に入った刀が置いてある。


敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に申し訳なく話し出す。

「すいません。斉藤さんの部屋を長々と見てしまいました。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「部屋を見られたくない人物は、部屋に入れない。初めての部屋に入った時に、不思議な感覚になる時がある。気にするな。」

敬一は藤田五郎に安心した様子で話し出す。

「斉藤さんが怒らなくて安心しました。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を不思議な様子で見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。刀から物凄い迫力を感じます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんが使った刀ですか?」

藤田五郎は敬一に普通の表情で首を横に振った。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「初めて見た刀のはずなのに、初めて見た刀に感じません。刀がとても気になります。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「“加賀清光”。総司の刀だ。総司が最期まで傍に置いた刀だ。」

敬一は鞘に入った刀を真剣な表情で見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を見ながら、真剣な表情で確認するように呟いた。

「“加賀清光”。お父さんの刀。お父さんが最期まで傍に置いた刀。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司は療養先の家の主に、総司の刀を俺に預けたいと頼んだそうだ。当時は幕府側の状況が悪く、総司は危険な状況だった。総司の療養先の家の主は、俺に総司の刀を直ぐに預けず、総司の刀を隠したそうだ。総司が亡くなった後に、俺に総司の刀を預けるために別な場所に移したそうだ。政局を含める状況が落ち着いてから、総司の療養先の家族が、俺に総司の刀を預けるために訪ねてきた。かなりの日数が経っていたが、総司の願いどおり、俺が総司の刀を預かった。」

敬一は鞘に入った刀を真剣な表情で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司が敬一のために遺した刀だ。」

敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。

「お父さんが僕のために遺した刀。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は鞘に入った刀を真剣な表情で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「刀を持ってみるか?」

敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に笑顔で話し出す。

「僕がお父さんの刀を持って良いのですか?!」

藤田五郎は敬一に普通に出す。

「総司が敬一のために遺した刀だ。俺に遠慮する必要はない。」

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は鞘に入った刀を普通の表情で取った。

敬一は藤田五郎と鞘の入った刀を笑顔で見た。

藤田五郎は敬一に鞘に入った刀を普通の表情で渡した。

敬一は藤田五郎から鞘に入った刀を笑顔で受け取った。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱くと、藤田五郎に笑顔で話し出す。

「とても重いです! お父さんはとても重い刀で戦っていたのですね!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司は刀の重さを感じる扱いを一度もしなかった。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「斬る時も危険な任務の時も、総司の傍に居た刀だ。総司が肌身離さなかった刀だ。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、鞘に入った刀を見て、寂しく呟いた。

「お父さんの傍に常に居た刀。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、鞘に入った刀を見て、寂しく呟いた。

「羨ましいです。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、鞘に入った刀を寂しく見た。


藤田五郎は敬一の前に静かに来た。


敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎を寂しく見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しく話し出す。

「刀はお父さんの最期の時も傍で過ごしたのですね。僕はお父さんの傍で一瞬も過ごしていません。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しく話し出す。

「斉藤さん。なぜ、お父さんは、お母さんと僕を京都に残して東京に行ったのですか? なぜ、お父さんは、お母さんと僕を残して先に亡くなったのですか?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「過ぎた出来事を話しても、過去は変わらない。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しく話し出す。

「刀は要らないから、お父さんの傍で生まれてお父さんの傍で過ごしたかったです。刀は要らないから、お父さんに生き続けて欲しかったです。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しく話し出す。

「僕はお父さんの傍で過ごした経験が無いのに、お母さんと僕はお父さんと離れて京都に居たのに、刀はお父さんの最期の時も傍で過ごしました。刀が物凄く羨ましいです。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。辛いか? 悲しいか?」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎を寂しく見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「男が人前で泣ける時は、親が亡くなった時と大切な人が亡くなった時だけだ。今は敬一が人前で泣ける時だ。我慢するな。辛ければ、泣け。悲しければ、泣け。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しく話し出す。

「お父さんが亡くなったと知った時に、斉藤さんは泣きましたか?」

藤田五郎は敬一に普通の表情で首を横に振った。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しく話し出す。

「斉藤さんにとって、お父さんは大切な人ではないのですか? 斉藤さんにとって、お父さんは大切な人ではないから、泣かなかったのですか?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺にとって、総司は大切な人物だ。だが、総司が亡くなったと知った時も、総司が亡くなったと知ってから暫くの期間も、偲んで泣ける状況ではなかった。俺が総司のために泣かなかった一番の理由は、総司は辛い時も悲しい時も、笑顔で過ごした。俺は、総司が総司のために泣くのを望んでいないと思うから、泣かなかった。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しく話し出す。

「お父さんは、辛い時も悲しい時も、笑顔で居たの?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司は、辛い時も悲しい時も、人前で泣かなかった。総司は、辛い時も悲しい時も、笑顔で過ごした。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しく話し出す。

「お父さんのたくさんの想いを知る刀なのですね。とても重い刀ですね。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しくもたれ掛かった。

藤田五郎は敬一を普通の表情で抱いた。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎にもたれ掛かり、藤田五郎に寂しく話し出す。

「なぜ、お父さんはお母さんと僕と離れた場所で亡くなったのですか? なぜ、お父さんは僕と一度も逢わすに亡くなったのですか? お父さんの傍で過ごした刀が羨ましいです。お父さんが亡くなった時に傍に居た刀が羨ましいです。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で抱いている。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に寂しくもたれ掛かっている。

藤田五郎は敬一を抱いて、敬一に普通に話し出す。

「敬一。総司に逢いたいか?」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎から寂しく離れた。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎を真剣な表情で見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。

「僕にはお母さんが居ます。僕には斉藤さんが居ます。僕は一人ではありません。僕はお父さんに逢えなくても大丈夫です。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一は、“新撰組一番組組長 沖田総司”の命を受け継ぐ自慢の息子だ。敬一は、“新撰組一番組組長 沖田総司”の想いを受け継ぐ自慢の息子だ。今の時代に武士と喩えるのは合わないかも知れないが、敬一は立派な武士だ。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司の刀は、俺が暫く預かる。総司の刀を返せ。」

敬一は藤田五郎に鞘に入った刀を真剣な表情で渡した。

藤田五郎は敬一から鞘に入った刀を普通の表情で受け取った。

敬一は藤田五郎を真剣な表情で見た。


藤田五郎は鞘に入った刀を敬一に見えないように丁寧に仕舞った。


敬一は藤田五郎を真剣な表情で見た。


藤田五郎は新たな鞘に入った刀を丁寧に取り出した。


敬一は藤田五郎を真剣な表情で見ている。


藤田五郎は鞘に入った刀を持ち、敬一の傍に普通に来た。


敬一は藤田五郎と鞘に入った刀を真剣な表情で見た。

藤田五郎は鞘に入った刀を敬一に普通に渡した。

敬一は藤田五郎から鞘に入った刀を真剣な表情で受け取った。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一が持つ刀も、敬一に譲る。敬一が望むならば、家に持ち帰って構わない。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱くと、藤田五郎に驚いて話し出す。

「今回の刀も重いです! 今回の刀からも物凄い迫力を感じます! お父さんの刀ですか?!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「“摂州住池田鬼神丸国重”。俺が使っていた刀だ。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に慌てて話し出す。

「お父さんの刀と同様に、斉藤さんの傍に常に居た刀ですよね! 受け取れません!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一の話すとおり、俺の傍に常に居た刀だ。俺が傍に常に置いた大事な刀だ。刀が再び必要になった時のために、大切に隠し続けた大事な刀だ。俺にとって大切な刀だから、敬一に譲ると決めた。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に驚いて話し出す。

「斉藤さんにとって大切な刀を、僕が受け取る訳にはいきません! 勉君に譲ってください!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「勉の傍には、俺と時尾が居る。勉を守る状況になった時は、俺と時尾で勉を守れる。だが、美鈴さんの傍に居るのは、敬一だけだ。美鈴さんを守れる人物は、敬一だけだ。敬一が美鈴さんを守る時に刀を使う機会は、無いに等しいと思う。俺は、敬一ならば、弱さを隠すために刀を使わず、大切な人物を守るために刀を使うと、信じている。以上の理由で、俺の刀を敬一に譲ると決めた。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎を真剣な表情で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「今から、敬一の持つ刀は、俺の刀ではなく、敬一の刀になる。敬一は刀を好きに使える。例えば、資金に困る状況が起きた時に、刀を売れる。俺は、敬一のためになる行為ならば、刀を売っても刀を譲っても気にしない。ただし、俺の大事な刀を雑に扱う行為や俺の刀を悪い出来事を実行するために使う行為は、絶対に許さない。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎を真剣な表情で見ている。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一が総司の刀を持つのは早過ぎる。総司から、敬一にとって本当に必要な時に刀を渡して欲しいと頼まれた。俺は総司との約束を守らなければならない。今は敬一に総司の刀を渡せない。今は敬一に総司の刀を頻繁に見せない。敬一が総司の刀を見たいと思った時は、俺を訪ねろ。俺が敬一に総司の刀を見せる。」

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。

「分かりました。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は鞘に入った刀を胸に抱いて、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。

「斉藤さん。幾日後になるか分かりませんが、僕はお父さんの刀も斉藤さんの刀も、受け取りに来ます。僕がお父さんの刀と斉藤さんの刀を受け取りに来る日まで、お父さんの刀と斉藤さんの刀を守ってください。よろしくお願いします。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司との約束は守る。敬一との約束も守る。」

敬一は藤田五郎に鞘に入った刀を真剣な表情で渡した。

藤田五郎は敬一から鞘に入った刀を普通の表情で受け取った。

敬一は藤田五郎に真剣な表情で深く礼をした。

藤田五郎は鞘に入った刀を持ち、敬一に普通の表情で頷いた。


藤田五郎は鞘に入った刀を敬一に見えないように丁寧に仕舞った。


藤田五郎は敬一の傍に普通に来た。


敬一は藤田五郎を真剣な表情で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。今の話は、当分の間、俺と敬一の二人だけの秘密だ。」

敬一は藤田五郎に真剣な表情で話し出す。

「はい!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「話は終わった。稽古の準備を始める。」

敬一は藤田五郎に真剣な表情で話し出す。

「はい!」

藤田五郎は敬一に普通に普通の表情で頷いた。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は普段着を着て、普通に居る。

敬一は先程と同じ服を着て、微笑んで居る。


敬一は微笑んで軽く息をはいた。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「厳しい稽古でした。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺の就ける稽古を止めるか?」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「止めません! 次の稽古もお願いします!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「今日は勉君と遊んでいません! 明日に勉君と遊びたいです! 大丈夫ですか?!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「一年を通して、遠慮せずに訪ねろ。俺は仕事などで家に居ない時があるが、時尾と勉は、家に居る。時尾と勉は、家を長時間も留守にする機会は物凄く少ない。敬一は約束をしても約束をしていなくても、心配せずに家を訪ねろ。」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「はい!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「家に帰りたいと思います! 今日もたくさんありがとうございました!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。


少し後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋の前に在る縁。


藤田五郎は普通に来た。


辺りが心地好い空気に包まれた。


藤田五郎は庭を普通の表情で見た。


庭の桜は、満開になって咲いている。


藤田五郎は横を普通の表情で見た。


沖田総司が藤田五郎を笑顔で見ている。


沖田総司は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! お久しぶりです!」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「自分の子供が辛い時に現れず、今頃になって現れた。」

沖田総司は藤田五郎に悲しく話し出す。

「私が姿を現せるのは、私に逢いたいと望む人物の想いを受けた時です。先程の場所に、私に逢いたいと望む人物は居ませんでした。斉藤さんは私の状況を分かっているのに、私を呼びませんでした。」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「敬一は、総司の刀を見た時に泣くかも知れないと思ったが、泣かなかった。だが、敬一に総司の刀を渡すのは少し早い。敬一は総司の刀が今も存在していると知った。敬一は更に強くれなれるはずだ。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「私は、斉藤さんに私の刀の件について全て任せました。私が斉藤さんだったとしても、敬一に対して斉藤さんと同じ決断をしました。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「敬一は凄い子だ。驚く時が多い。」

沖田総司は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「敬一は斉藤さんを驚かすほどに凄い子なのですね! 嬉しいです!」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「敬一は本格的に剣術の稽古を受ければ、遥かな高みに到達できる人物だ。だが、今の敬一は、俺の話すところまで目指す考えは無い。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんに敬一の剣術の腕を褒めてもらえて嬉しいです。敬一も斉藤さんが褒めたら喜びます。私は敬一を褒めたくても褒められません。斉藤さん。機会があったら、敬一を褒めてあげてください。敬一が困った時には、敬一が悩んだ時には、相談に乗ってあげてください。よろしくお願いします。」

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで深く礼をした。

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎を考え込んで見た。

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に心配な表情で話し出す。

「斉藤さん。斉藤さんの刀を勉君に譲らずに、敬一に譲って良かったのですか?」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は俺の刀を譲るのに相応しい人物を見付けた。勉と敬一だ。勉に俺の刀を譲るより、敬一に俺の刀を譲る方が良いと考えた。敬一が総司の刀を受け取るのは、暫く先の出来事になる。俺が決めた内容だ。敬一には刀が必要だと考えた。総司。気にするな。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで頷いた。

藤田五郎が沖田総司に普通に話し出す。

「総司。総司の刀と総司の書いた手紙が、俺の所に届くまでに、かなりの月日が掛かった。」

沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。

「かなりの月日が掛かった理由の一つに、斉藤さんが幾度も名前を変えて過ごした、があります。仕方がありません。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司が藤田五郎に慌てて話し出す。

「斉藤さん! 変な意味で話した訳ではありません!」

藤田五郎が沖田総司に普通に話し出す。

「総司の刀は、良い時期に届いた。総司の書いた手紙は、俺が敬一に逢う前に届いて欲しかった。今は過ぎた出来事だ。俺は気にしない。」

沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は桜を普通の表情で見た。

沖田総司は桜を微笑んで見た。

沖田総司は藤田五郎を見ると、藤田五郎に僅かに寂しく話し出す。

「斉藤さん。帰る時間が近付いてきました。」

藤田五郎が沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。直ぐに呼んでくださいね。待っています。」

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。


爽やかな風が藤田五郎に向かって吹いた。


藤田五郎は庭を普通の表情で見た。


桜は先程と同じ姿に戻っている。

新緑の葉が太陽の光で輝いている。


藤田五郎は部屋の中に普通に入って行った。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は、既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

藤田五郎さんと沖田総司さんの子供の敬一君が、初めて逢ってから間もない頃の設定、敬一君が沖田総司さんの刀の存在を初めて知った時、の物語です。

誠の心を持つ沖田総司さんと斉藤一さん、そして、誠の心を受け継いだ敬一君の物語です。

「新撰組異聞外伝」関連の敬一君が登場する物語の中で、大切な物語の一つと考えて書きました。

藤田五郎さんは、結婚してから、子供が生まれてから、印象が変わったらしい、という話があります。

藤田五郎さんが敬一君と接する時は、斉藤一さんの気持ちと藤田五郎さんの気持ちの両方を持ちながら接する設定です。

沖田総司さんの刀についての補足です。

沖田総司さんが所持したとされる「加賀清光」の正確な名前は、「加州金沢住長兵衛藤原清光」です。

別名は「乞食清光」です。

「池田屋事変」の後に研ぎに出しています。

研ぎ屋の記録に残っているそうです。

「加賀清光」は、確認の取れる範囲になりますが、沖田総司さんが所持した可能性の高い刀のようです。

そのため、この物語の中に名前が登場しています。

沖田総司さんの刀は、沖田総司さんが亡くなった後に、沖田総司さんの姉の沖田ミツさんが何処かに奉納した話が伝わっています。

物語掲載時になりますが、刀を奉納した詳しい場所も刀の所在も分からないそうです。

斉藤一さん(藤田五郎さん)の刀についての補足です。

斉藤一さんが所持したとされる刀は、「摂州住池田鬼神丸国重」です。

斉藤一さんの刀の所在は、物語掲載時になりますが、確認が取れないため分からないそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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