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新撰組異聞外伝 〜 広い大地に碧い海 〜
〜 第三版 〜
今は夏の初め。
ここは、東京の町。
春の名残がたくさん残っている。
綺麗な青空が広がっている。
青空の中を白い雲がゆっくりと動いている。
気持ちの良い日になっている。
ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。
ここは、庭。
勉と沖田総司の息子の敬一が楽しそうに遊んでいる。
ここは、縁。
藤田五郎は勉と敬一を普通の表情で見ている。
時尾が藤田五郎の傍に微笑んで来た。
藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一君はとても良い子ですね。勉に素敵な兄が出来たみたいですね。」
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は勉と敬一を微笑んで見た。
藤田五郎は勉と敬一を普通の表情で見た。
それから少し後の事。
ここは、時尾と勉の部屋。
勉と敬一は、楽しそうに遊んでいる。
ここは、藤田五郎の部屋。
藤田五郎は普通に居る。
時尾の穏やかな声が部屋の外から聞こえてきた。
「五郎さん。お客様がいらっしゃいました。客間でお待ちになっています。」
藤田五郎は障子を開けると、普通に部屋を出た。
ここは、縁。
時尾は微笑んで居る。
藤田五郎は普通に来た。
時尾は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。
時尾は微笑んで居なくなった。
藤田五郎は普通に居なくなった。
これから僅かに後の事。
ここは、客間の前に在る縁。
藤田五郎は僅かだが静かに来た。
部屋の中から怪しい雰囲気は感じない。
藤田五郎は障子を僅かだが静かに開けた。
客間の中から聞き慣れた男性の明るい声が聞こえた。
「久しぶり〜!」
藤田五郎は障子を普通に閉めようとした。
客間の中の男性は障子に慌てて手を掛けた。
藤田五郎は障子に手を掛けたまま、閉めるのを普通に止めた。
客間の中の男性は障子に手を掛けながら、藤田五郎に焦って話し出す。
「藤田〜! 冗談は止めてくれよ〜!」
藤田五郎は障子に手を掛けたまま、客間の中の男性に普通に話し出す。
「最近の出来事になるが、変わった客が何度か訪ねてくるようになった。今回の客は、変だ。念のために、部屋の中に閉じ込めるための準備を始めようと思った。」
客間の中の男性は障子に手を掛けたまま、藤田五郎に苦笑しながら話し出す。
「確かに俺は変わった客かも知れないが、部屋の中に閉じ込める必要はないだろ。」
藤田五郎は障子に手を掛けたまま、客間の中の男性に普通に話し出す。
「今は刀を常に身に着けられる時代ではない。俺や家族の安全を考えると、変な客を部屋に閉じ込めるのが良い判断になる。」
客間の中の男性は障子に手を掛けながら、藤田五郎に苦笑しながら話し出す。
「藤田の話す内容は正しい。だが、俺は怪しい人物ではないから、部屋の中に閉じ込めなくて良いだろ。」
藤田五郎は障子から普通に手を離した。
客間の中の男性も障子から普通に手を離した。
藤田五郎は部屋の中に普通に入った。
ここは、客間。
藤田五郎は普通に入った。
客間の中に居る男性は、原田左之助になる。
原田左之助は、藤田五郎が別な名前の新撰組の隊士だった時に、共に活動した新撰組隊士になる。
原田左之助は、新撰組を途中で脱退して居なくなった。
藤田五郎は、原田左之助が新撰組を脱退した後に、別な名前のまま、新撰組から離れて会津に残って戦った。
藤田五郎と原田左之助は、新撰組に最後まで居なかった。
原田左之助が新撰組を脱退してからは、藤田五郎と原田左之助の間で連絡を取っていなかった。
藤田五郎は原田左之助に普通に話し出す。
「原田さん。お久しぶりです。」
原田左之助は藤田五郎を苦笑しながら見た。
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見た。
原田左之助は藤田五郎に笑顔で話し出す。
「では、改めて挨拶をするな! 藤田! 久しぶり!」
藤田五郎は原田左之助に普通に話し出す。
「原田さんは、彰義隊に入隊して、彰義隊に居る時の戦の怪我が原因で亡くなったと聞いた。無事に過ごしていたんだな。」
原田左之助は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「俺は彰義隊に入隊したけれど、俺には合わなくて直ぐに脱退したんだ。それから少し後に彰義隊が戦を始めたんだ。気付いたら、俺が彰義隊の戦が原因で亡くなった噂が広がっていたんだ。驚いたよ。」
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見た。
原田左之助は藤田五郎に微笑んで話し掛ける。
「彰義隊に俺に少し似た雰囲気の人物が居たんだ。その人物が俺と間違われて噂が広まったらしいんだ。俺は噂では亡くなった状況になっているだろ。俺にとって都合の良い内容の噂だから、噂を放っておいたんだ。」
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見ている。
原田左之助は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「噂が間違いだと分かったら、俺は再び追われるだろ。面倒だから、誰も俺を知らない場所で生きたくなったんだ。だが、息子の茂は幼かった。俺と一緒に行動したら、おまさも茂も危険になるだろ。俺が一人だけで居なくなると決めたんだ。」
藤田五郎は原田左之助に普通に話し出す。
「今はどこで過ごしているんだ?」
原田左之助は藤田五郎を見ながら、障子を笑顔で指した。
藤田五郎は原田左之助の指した方向を一瞥すると、原田左之助を普通の表情で見た。
原田左之助は障子を指すのを止めると、藤田五郎に慌てた様子で話し出す。
「藤田! 俺は海の向こうに行ったんだ! この国とは比較にならない程に広いんだ! この国とは違って全てが驚く程に大きいんだ!」
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見た。
原田左之助は藤田五郎に笑顔で話し出す。
「藤田! 海の向こうは本当に凄いぞ!」
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見ている。
原田左之助は藤田五郎に笑顔で話し出す。
「僅かずつだが、この国は落ち着き始めただろ! おまさや茂にどうしても逢いたくなったから、少しの間だけこの国に戻って来たんだ!」
藤田五郎は原田左之助に普通に話し出す。
「二人には会ったのか?」
原田左之助は藤田五郎に笑顔で話し出す。
「もちろん! おまさと茂には、真っ先に逢ったよ! 茂はしっかりとした子に育っている! おまさは相変わらず素敵だった! おまさと茂の無事な姿が見られて嬉しかった!」
藤田五郎は原田左之助に普通に話し出す。
「今回は二人を連れて行くのか?」
原田左之助は藤田五郎に寂しそうに話し出す。
「俺と一緒に居ると、二人が危険な状況は暫く続くと思うんだ。今回も俺が一人で戻ると決めた。」
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見た。
原田左之助は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「おまさと茂の傍で過ごせないのは、とても寂しいよ。だが、おまさと茂が無事で過ごしてくれるのが、一番に嬉しいんだ。」
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見ている。
原田左之助は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「藤田。子供がいるだろ。会いたいな。」
藤田五郎は原田左之助に普通に話し出す。
「部屋に居る。」
原田左之助は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「早く会いに行こう。」
藤田五郎は原田左之助に普通の表情で頷いた。
原田左之助は客間を微笑んで出て行った。
藤田五郎は客間を普通に出て行った。
それから僅かに後の事。
ここは、時尾と勉の部屋の前に在る縁。
藤田五郎は普通に来た。
原田左之助は微笑んで来た。
部屋の中に人の気配が無い。
原田左之助は藤田五郎を不思議そうに見た。
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見た。
原田左之助は辺りを不思議そうに見た。
藤田五郎は辺りを普通の表情で見た。
敬一は、藤田五郎と原田左之助の元に元気良く現れた。
勉も、藤田五郎と原田左之助の元に元気良く現れた。
藤田五郎は勉と敬一を普通の表情で見た。
原田左之助は敬一と勉を不思議そうに見た。
敬一は原田左之助と藤田五郎を不安そうに見た。
原田左之助は敬一を驚いた表情で見た。
藤田五郎は原田左之助と敬一を普通の表情で見た。
勉は藤田五郎と原田左之助を不思議そうに見た。
敬一は藤田五郎に普通に話し出す。
「藤田さん。お客様がいらっしゃったのですね。気付かずに騒いですいませんでした。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「今日の客は、俺の昔の知り合いだ。心配するな。」
敬一は藤田五郎を不安そうに見た。
原田左之助は敬一を見ながら、藤田五郎に懐かしそうに話し出す。
「藤田。あいつに凄く似ているな。」
藤田五郎は原田左之助を普通の表情で見た。
原田左之助は藤田五郎を見ると、心配そうに話し出す。
「話してはいけない内容だったのか?」
藤田五郎は原田左之助を見ながら、普通の表情で首を横に振った。
原田左之助は敬一を見ると、藤田五郎に懐かしそうに話し出す。
「藤田。総司に凄く似ているな。顔はほとんど似ていないのに、一瞬だけ総司を見たように感じた。不思議な感覚だった。」
敬一は藤田五郎と原田左之助を不安そうに見た。
原田左之助は勉を見ると、微笑んで話し出す。
「この子が藤田の息子だな。」
藤田五郎は原田左之助に普通に話し出す。
「俺の息子の勉だ。」
原田左之助はしゃがみ込むと、勉に笑顔で話し出す。
「勉君! 元気でいろよ! 強い男になれよ!」
勉は原田左之助に笑顔で頷いた。
原田左之助は元気良く立ち上がった。
敬一は原田左之助に真剣な表情で話し出す。
「原田さん。僕と総司という方は、似ているのですか?」
原田左之助は敬一を見ると、笑顔で話し出す。
「総司と君は、雰囲気は凄く似ているが、顔はほとんど似ていないな。君の方が総司より断然にかっこ良いぞ!」
敬一は原田左之助に笑顔で話し出す。
「僕と総司という方は似ているのですね! ありがとうございます!」
原田左之助は敬一に笑顔で話し出す。
「ぜひ君に話して欲しい言葉があるんだ!」
敬一は藤田五郎を確認するように見た。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「君の好きにしろ。」
敬一は原田左之助を見ると、微笑んで話し出す。
「どのような内容を言葉を話せば良いのですか?」
原田左之助は敬一の耳元に顔を近付けると、微笑んで何かを囁き始めた。
敬一は原田左之助の話を笑顔で聞いた。
原田左之助は敬一から微笑んで離れた。
敬一は原田左之助に笑顔で話し出す。
「原田さん! かっこ良いです! 向こうでも思い切り楽しんでくださいね! 再び一緒に飲む時を楽しみに待っています!」
原田左之助は敬一笑顔で話し出す。
「ありがとう! 次に逢う時は、ぜひ君の名前を教えてくれ! 楽しみに待っているよ!」
敬一は原田左之助に笑顔で話し出す。
「はい! 楽しみに待っていてください!」
原田左之助は敬一に笑顔で話し出す。
「俺にも茂という名前の息子がいるんだ! もし逢った時は、仲良くしてくれ! いつの日かみんなで一緒に飲もう!」
敬一は原田左之助に笑顔で話し出す。
「はい! ぜひ一緒に飲みたいです!」
原田左之助は敬一に笑顔で頷いた。
藤田五郎は敬一と原田左之助を普通の表情で見た。
原田左之助は藤田五郎を見ると、笑顔で話し出す。
「楽しい時間が過ごせた! 藤田を訪ねて本当に良かった!」
藤田五郎は原田左之助に普通の表情で頷いた。
原田左之助は、藤田五郎、敬一、勉に笑顔で話し出す。
「次に逢う時まで元気でいろよ!」
藤田五郎は原田左之助に普通の表情で頷いた。
敬一は原田左之助に笑顔で話し出す。
「はい!」
勉は原田左之助に笑顔で頷いた。
原田左之助は楽しそうに居なくなった。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「昔の出来事になるが、一緒に仕事をしていた。」
敬一は原田左之助が去った方向を真剣な表情で見た。
藤田五郎は原田左之助の去った方向を普通の表情で見た。
勉は藤田五郎と敬一を笑顔で見た。
それから少し後の事。
ここは、時尾と勉の部屋。
藤田五郎は普通に居る。
勉は笑顔で居る。
敬一も笑顔で居る。
敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。
「僕とお父さんは凄く似ているのですね!」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「総司と敬一は、顔はほとんど似ていないが、雰囲気は凄く似ている。だが、総司と敬一は、全く違う。総司は、総司。敬一は、敬一だ。」
敬一は藤田五郎を嬉しそうに見た。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎に嬉しそうに話し出す。
「僕や勉君や茂君が大きくなったら、斉藤さんと原田さんと一緒にお酒を飲みたいです!」
藤田五郎が敬一に普通に話し出す。
「敬一。大切な人物を忘れている。」
敬一は藤田五郎を不思議そうに見た。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「敬一が忘れた人物は、総司だ。」
敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。
「お父さんを忘れては駄目ですよね! 僕もお父さんと一緒にお酒を飲みたいです!」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「総司は楽しい出来事が好きだから、名前を忘れると騒いだり怒ったりして面倒だぞ。」
敬一は藤田五郎を笑顔で見た。
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。
「お父さんと斉藤さんと勉君と一緒にお酒を飲みたいです!」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎を嬉しそうに見た。
勉は藤田五郎と敬一を笑顔で見た。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「そろそろ家に帰ります。今日はありがとうございました。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は勉に笑顔で話し出す。
「勉君! またね!」
勉は敬一に笑顔で話し出す。
「またね。」
敬一は勉を笑顔で見た。
敬一は笑顔で部屋を出て行った。
勉も笑顔で部屋を出て行った。
藤田五郎は普通に部屋を出て行った。
それから少し後の事。
ここは、東京。
青空が広がっている。
ここは、藤田五郎の家の近く。
敬一は元気良く歩いている。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。
勉は敬一を笑顔で見ている。
敬一の姿は見えなくなった。
藤田五郎は勉を普通に抱いた。
勉は藤田五郎を笑顔で見た。
藤田五郎は勉を抱きながら、家へと普通に歩きだした。
勉は藤田五郎に抱かれながら、藤田五郎を笑顔で見た。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
原田左之助さんが新撰組を去った後、そして、原田左之助さんが敬一君と逢う、以上の内容が登場する物語です。
物語の時間設定は、藤田五郎さんと敬一君が初めて逢ってから少し経った頃を想定して書きました。
題名の「広い大地に碧い海」は、原田左之助さんをイメージして考えました。
原田左之助さんは、新撰組を去った後に、彰義隊に参加して、その中での戦いの傷がもとで亡くなったというのが、一般的な説として伝わっています。
この説が正しければ、原田左之助さんは沖田総司さんより先に亡くなった事になります。
原田左之助さんは、新撰組を去ってから、中国(清の頃だと思います)に行った説もあります。
中国に行った説は、原田左之助さんらしいと考えました。
今回の物語は中国に行った説を基にして書きました。
物語の設定当時の状況では、日本と中国を何度も行き来は出来ないと思いますが、原田左之助さんが妻子に逢うために、日本に一時的に戻ってきた設定にしました。
中国という遠い所に行った原田左之助さんが、日本に戻ってきた説があります。
この説の原田左之助さんが日本に戻った時期は、今回の物語の設定から数十年後の事になるそうです。
原田左之助さんは奥さんを大事にしていた方だそうです。
原田左之助さんは子供も大事にしていた方だと思います。
原田左之助さんの奥さんのおまささんと息子さん茂さんは、日本にずっと居たようです。
今回の物語は、原田左之助さんが妻子と一緒に中国に行かなかった理由も考えながら書きました。
原田左之助さんは、次に日本に戻る時の楽しみが一つ増えました。
敬一君は、父親の沖田総司さんを少しずつ意識するようになりました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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