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新撰組異聞外伝 〜 立夏の頃 〜
〜 第三版 〜
今は、立夏の頃。
ここは、東京。
過ごしやすい日になっている。
今日は朝から青空が広がっている。
ここは、町中。
沖田総司の息子の敬一は、元気良く歩いている。
少し後の事。
ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の家。
藤田五郎の部屋の前に在る縁。
時尾は微笑んで来た。
時尾は部屋の中に向かって微笑んで話し掛ける。
「敬一君が来ました。敬一君は食卓の有る部屋でお茶を飲んで待っています。」
障子が普通に開いた。
藤田五郎は普通の表情で居る。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「敬一に、お茶を飲み終わったら、稽古の着替えなどのために、俺の部屋に来るように話してくれ。」
時尾は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は微笑んで居なくなった。
障子は普通に閉じた。
暫く後の事。
ここは、藤田五郎の家。
稽古場。
藤田五郎は稽古着で竹刀を持ち、普通の表情で居る。
敬一は稽古着で竹刀を持ち、真剣な表情で居る。
敬一は竹刀を持ち、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。
「お願いします。」
藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎に真剣な表情で竹刀を構えた。
藤田五郎は敬一に普通の表情で竹刀を構えた。
敬一は藤田五郎に竹刀を勢い良く打ち込んだ。
藤田五郎は敬一の竹刀を受けた直後に、敬一の竹刀を強い力で押した。
敬一は竹刀を持ち、後ろに向かって弾き飛んだ。
藤田五郎は竹刀を構えて、敬一に普通に話し出す。
「早く掛かって来い。」
敬一は竹刀を持ち、直ぐに立ち上がると、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。
「はい!」
藤田五郎は敬一に普通の表情で竹刀を構えている。
敬一は藤田五郎に竹刀を勢い良く打ち込んだ。
藤田五郎は敬一の竹刀を受けた直後に、敬一の竹刀を先程より強い力で押した。
敬一は竹刀を持ち、後ろに向かって弾き飛んだ。
藤田五郎は敬一に普通の表情で竹刀を構えた。
敬一は竹刀を持ち、直ぐに立ち上がると、藤田五郎に真剣な表情で竹刀を打ち込んだ。
暫く後の事。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎の部屋。
心地良い空気、青空と景色を見て楽しむために、障子が開いている。
藤田五郎は元の服に着替えて普通に居る。
敬一は元の服に着替えて普通に居る。
敬一は藤田五郎に悔しい様子で話し出す。
「斉藤さんに竹刀を上手く打ち込めません。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「敬一の実力では、俺に上手に竹刀を打ち込めない。」
敬一は藤田五郎を見ながら、落ち込んでため息をついた。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎に落ち込んで話し出す。
「厳しいです。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「俺の稽古は厳しいと最初に言った。音を上げたのか?」
敬一は藤田五郎に真剣な表情で話し出す。
「音を上げていません!」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「なぜ厳しいと言った?」
敬一は藤田五郎に真剣な表情で話し出す。
「理由は言いません!」
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎を真剣な表情で見た。
少し後の事。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎の部屋。
藤田五郎は普通に居る。
敬一は眠い仕草を見せながら居る。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「眠いのか?」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は眠い仕草を見せた。
心地良い日差しが、敬一を照らした。
敬一はゆっくりと目を閉じた。
藤田五郎は敬一を静かに横にした。
敬一は横になり、気持ち良く眠っている。
藤田五郎は掛け布団を静かに持ってきた。
敬一は横になり、気持ち良く眠っている。
藤田五郎は敬一に掛け布団を普通の表情で静かに掛けた。
心地良い日差しは、敬一を照らし続けている。
敬一は横になり、気持ち良く眠っている。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
時尾が小さい包みを持ち、藤田五郎の部屋の前に在る縁に微笑んで来た。
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は小さい包みを持ち、部屋の中に微笑んで静かに入った。
時尾は小さい包みを持ち、藤田五郎に微笑んで小さい声で話し出す。
「敬一君は寝てしまったのですね。」
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎に小さい包みを差し出すと、藤田五郎に微笑んで小さい声で話し出す。
「敬一君がお菓子を食べる時間が無くて寂しい思いをしないように、持ち帰れるお菓子を少し多めに用意しました。敬一君が起きたら渡してください。」
藤田五郎は時尾から小さい包みを受け取ると、時尾に普通に話し出す。
「時尾から敬一に渡した方が良いと思う。」
時尾は藤田五郎に微笑んで小さい声で話し出す。
「敬一君は私がお菓子を渡そうとすると、五郎さんと私に遠慮をして受け取らない時があります。五郎さんから敬一君にお菓子を渡す方が良いと思います。」
藤田五郎は小さい包みを持ち、時尾を普通の表情で見た。
時尾は藤田五郎に微笑んで小さい声で話し出す。
「敬一君はお菓子をいつも笑顔で食べます。敬一君の笑顔を見ると、私も笑顔になります。敬一君がお菓子を笑顔で食べる姿を想像しながら、お菓子を用意しています。気が付くとお菓子を多めに用意しています。」
藤田五郎は小さい包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は小さい包みを持ち、時尾に普通に話し出す。
「敬一が直ぐに起きたら、菓子を食べる時間があるかも知れない。」
時尾は藤田五郎に微笑んで小さい声で話し出す。
「敬一君が早く起きた時は声を掛けてください。別なお菓子を用意します。」
藤田五郎は小さい包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。
勉が藤田五郎の部屋の前に在る縁に笑顔で来た。
藤田五郎は小さい包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は勉を微笑んで抱いた。
勉は時尾を笑顔で見た。
時尾は勉を抱いて、藤田五郎の傍に微笑んで静かに来た。
勉は笑顔で居る。
藤田五郎は小さい包みを持ち、時尾と勉を普通の表情で見た。
勉は藤田五郎と時尾に笑顔で話し出す。
「おにいちゃん。あそぶ。」
時尾は勉を抱いて、勉に微笑んで小さい声で話し出す。
「敬一君は疲れて休んでいるの。休ませてあげましょう。」
勉は時尾に笑顔で話し出す。
「あそぶ。やくそく。」
時尾は勉を抱いて、勉に微笑んで小さい声で話し出す。
「敬一君が早く起きたら、遊んでもらいましょう。敬一君が遅くまで寝ていたら、敬一君と遊ぶ約束をしましょう。」
勉は時尾に笑顔で頷いた。
時尾は勉を抱いて、勉に微笑んで静かに話し出す。
「お母さんと一緒に部屋に戻りましょう。」
勉は時尾に笑顔で頷いた。
時尾は勉を抱いて、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「戻ります。」
藤田五郎は小さい包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は勉を抱いて、部屋を微笑んで静かに出て行った。
勉は部屋を笑顔で出て行った。
藤田五郎は小さい包みを机に置くと、敬一を普通の表情で見た。
敬一は気持ち良く眠っている。
部屋の中が心地良い空気に包まれた。
藤田五郎は庭を普通の表情で見た。
季節はずれの桜が満開になって咲いている。
藤田五郎は横を普通の表情で見た。
沖田総司は敬一の眠る傍で微笑んで座っている。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。こんにちは。」
藤田五郎が沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「敬一の稽古の要望を話しに来たのか?」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一が怪我をしなければ充分です。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「敬一は稽古中に怪我をするほど下手ではない。見込みのある人物を教える時は、厳しい稽古になってしまうが、敬一は怪我をせず音を上げずに稽古を受けている。」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さんが敬一を褒めてくれて嬉しいです。でも、無茶な行動はしないでください。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「総司は子供にも容赦の無い稽古を就けると有名だった。総司本人の子供の稽古の内容は心配するんだ。」
沖田総司は藤田五郎に寂しく微笑んで話し出す。
「敬一は斉藤さんの稽古を受ける日を、とても楽しみにしています。敬一が怪我をして斉藤さんの稽古が受けられなくなったら、敬一は悲しみます。鈴は物凄く心配します。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に心配して話し出す。
「敬一は斉藤さんの稽古を受けている状況を、鈴に簡単な内容でしか話していません。敬一なりに鈴を気遣っています。敬一が怪我をした後の状況を考えると、心配になってしまいます。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司が敬一を寂しい微笑みで見ると、藤田五郎に静かに話し出す。
「鈴は、敬一が斉藤さんから本格的な稽古を受けていると、薄々ですが気付いています。敬一が稽古中に怪我をしたら、鈴が物凄く心配します。斉藤さんと時尾さんが敬一のために様々な気遣いをしていると知ったら、鈴が物凄く遠慮して、斉藤さんと時尾さんにお礼をするために無理をします。敬一は鈴の様子が想像できるから、鈴に詳しい内容を話せないと思います。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「稽古の内容も稽古の方針も変更しない。敬一の技術と体力ならば、大きな怪我をする心配はない。俺も更に注意する。」
沖田総司は藤田五郎を見ると、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。
「気遣いありがとうございます。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は藤田五郎に真剣な表情で礼をした。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一のために、菓子を幾度も用意して頂いてありがとうございます。」
藤田五郎が沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「礼を言うほどの内容ではない。」
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「敬一は菓子を美味しく食べる。親子は細かいところまで似るのだと感心している。」
沖田総司は藤田五郎を苦笑して見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は敬一を微笑んで見た。
敬一は気持ち良く眠っている。
沖田総司は敬一を微笑んで見ている。
藤田五郎は沖田総司と敬一を普通の表情で見た。
心地良い風が部屋の中に向かって吹いた。
沖田総司は藤田五郎を見ると、藤田五郎に静かに話し出す。
「実は、私が亡くなる少し前に、夢の中で不思議な出来事がありました。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は敬一を切ない表情で見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は縁の傍に微笑んで来た。
藤田五郎は縁の傍に普通の表情で静かに来た。
沖田総司は藤田五郎に静かに話し出す。
「或る人物が私の子供が近い内に亡くなると話しました。或る人物は私に子供を助けたいか質問しました。親ならば子供を助けたいと思いますよね。私は子供を助けたいと答えました。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に静かに話し出す。
「或る人物は、私の返事の後に、子供を助けるのを諦めたら、私の命が助かると話しました。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎に静かに話し出す。
「当時の私は、鈴と敬一のために、地の底を這いつくばっても生きると覚悟を決めていました。或る人物は私の覚悟を知って、先程の話は良い提案だと話しました。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎に辛い様子で話し出す。
「私は鈴と敬一のために地の底を這いつくばっても生きると決めたのに、一瞬だけ私を一番に考えて、一瞬だけ悩みました。私は駄目な父親です。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「総司は二つの人生の内の一つ人生が選べると言われたのだろ。悩む時間や悩む状況は様々だが、誰でも悩むと思う。総司は敬一の命を選んだ。総司は立派な父親だ。」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さんの話を聞いて安心しました。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は青空を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「良い天気ですね。」
藤田五郎は青空を見ると、普通の表情で頷いた。
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は敬一の傍に微笑んで来た。
藤田五郎は敬一の傍に普通の表情で静かに来た。
敬一は横になり、気持ち良く眠っている。
沖田総司は敬一を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司と敬一を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎を見ると、藤田五郎に静かに話し出す。
「私が生きていれば、鈴と敬一は今より楽な生活をしていたかも知れません。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「変わらない状況を話すのは、時間の無駄だ。変わらない状況を考えるのも、時間の無駄だ。」
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は敬一を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。私が来た理由を知りたいと思っていますね。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「私は斉藤さんに呼ばれて来ました。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。
「俺は総司を意味も無く呼んでしまったのか。次からは更に気を引き締める。」
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
心地よい風が部屋の中に向かって吹いた。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「今日は敬一の傍に長く居られました。とても嬉しかったです。ありがとうございます。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。戻る時間が近付いています。再び呼んでくださいね。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。
藤田五郎は庭を普通の表情で見た。
桜は元の姿に戻っている。
心地良い風が部屋の中に向かって吹いた。
敬一は驚いた様子で体を起こした。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎に驚いた様子で話し出す。
「すいません! 寝てしまいました!」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「寝る敬一には何でも出来そうだった。せっかくの機会だったから、幾つか試せば良かった。」
敬一は藤田五郎に申し訳なく話し出す。
「勉君と遊ぶ約束があったのに寝てしまいました。気が緩んでしまったと思います。次から気を付けます。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「敬一が無理して起きていて、勉と遊ぶ途中、稽古、帰る途中、などで何か起きたら、総司と美鈴さんに申し開きが出来ない。家の中で寝るならば、何か起きたとしても、俺か時尾が居るから対処できる。敬一。寝たくなった場合は、敬一が場所と状況を確認して問題が無いと判断してから寝ろ。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「勉が敬一と遊びたがっている。勉と遊ぶ日の約束をしてくれ。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は部屋から微笑んで出て行った。
少し後の事。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎の部屋。
藤田五郎は普通に居る。
敬一が部屋の中に笑顔で入ってきた。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「勉君と遊ぶ日の約束をしました。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「家に帰ります。」
藤田五郎は机から小さい包みを持った。
敬一は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は敬一に小さい包み差し出すと、敬一に普通に話し出す。
「家に持って帰れ。」
敬一は藤田五郎から小さい包みから受け取ると、藤田五郎に不思議な様子で話し出す。
「ありがとうございます。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「言い忘れていた。包みの中には、菓子が入っている。家に帰ってから食べろ。」
敬一は藤田五郎に小さい包みを差し出すと、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「勉君に食べて・・・」
藤田五郎は敬一の話を遮ると、敬一に普通に話し出す。
「敬一のために用意した菓子だ。持って帰れ。」
敬一は小さい包みを敬一の側に戻すと、藤田五郎に微笑んで話し出す
「ありがとうございます。家でお母さんと一緒にゆっくりと食べます。今日も本当にたくさんありがとうございました。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は小さい包みを持ち、藤田五郎を微笑んで見た。
東京には青空が広がる。
時折、心地良い風が吹く。
敬一は小さい包みを大事に持ち、家に帰るために笑顔で歩いている。
春の名残を長く残しながら、夏の気配が少しずつ増えていく。
春から夏へと少しずつ変わっている。
本格的な夏の気配を感じる時は、少し先になる。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願いします。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
敬一君が藤田五郎さんから指導を受ける剣道の稽古は、始まったばかりです。
沖田総司さんが稽古を就ける時は厳しかったそうです。
子供でも手加減をしなかったと伝わっています。
楽しい雰囲気の剣術の稽古だったとも伝わっているそうです。
沖田総司さんが年齢を重ねる間に考えが変わった可能性があります。
多摩に居る間に変わったのか、京の町に着てから変わったのか、詳しい事は分かりません。
この物語で、沖田総司さんが敬一君の誕生の間もない頃に起きた出来事について話す内容は、「新撰組異聞 短編 愛逢月に蓮華が咲いて」の物語が基になっています。
「立夏(りっか)」は「二十四節気の一つ」です。
夏の気配が現れて来る頃の事を言います。
五月五日〜五月六日頃、または、「立夏」の日から「小満」の前日までです。
「立夏」は、「春分」と「夏至」の中間になります。
「立夏」から「立秋」までが夏になるそうです。
この物語は、五月の頃で、「立夏」から「小満」の前日までの頃を、想定して書きました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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