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新撰組異聞外伝 〜 芒種の頃 〜


〜 第三版 〜


初夏の頃。


ここは、東京。


少しずつ暑さを感じる日が増えてきた。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


玄関。


沖田総司の息子の敬一が、笑顔で訪れた。


時尾は微笑んで現れた。


敬一は時尾に笑顔で話し出す。

「こんにちは!」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「こんにちは。五郎さんは部屋に居るわ。稽古着は五郎さんの部屋に用意したわ。」

敬一は時尾に笑顔で話し出す。

「いつもお気遣いありがとうございます! 直ぐに斉藤さんの部屋に行きます!」

時尾は敬一に微笑んで頷いた。


敬一は家の中に笑顔で入って行った。

時尾は家の中に微笑んで入って行った。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎の家。


稽古場。


藤田五郎は稽古着を着て、竹刀を持ち、普通の表情で居る。

敬一は稽古着を着て、竹刀を持ち、真剣な表情で居る。


敬一は竹刀を持ち、藤田五郎に真剣な表情で話し出す。

「お願いします。」

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を見ながら、竹刀を真剣な表情で構えた。

藤田五郎は敬一を見ながら、竹刀を普通の表情で構えた。


敬一は藤田五郎に竹刀を勢い良く打ち込もうとした。

藤田五郎は敬一の竹刀を普通の表情で強い力で素早く払った。

敬一は竹刀を持ち、驚いた表情で前のめりの体勢になった。

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一の背中を片手で僅かに強く押した。

敬一は竹刀を放して、驚いた表情で前に倒れた。

藤田五郎は竹刀を構えて、敬一を普通の表情で見た。

敬一は驚いた表情でうつ伏せになって倒れている。

藤田五郎は竹刀を構えて、敬一を普通の表情で見ている。

敬一は体を起こすと、竹刀を真剣な表情で持った。

藤田五郎は竹刀を構えて、敬一を普通の表情で見ている。

敬一は立ち上がると、藤田五郎に竹刀を真剣な表情で構えた。

藤田五郎は竹刀を構えて、敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に竹刀を勢い良く打ち込んだ。

藤田五郎は敬一の竹刀を普通の表情で強い力で素早く払った。

敬一は竹刀を持ち、前のめりの体勢になった。

藤田五郎は竹刀を構えて、足を普通の表情で少し前に出した。

敬一は竹刀を持ち、藤田五郎の足に躓いた。

藤田五郎は竹刀を構えて、敬一を普通の表情で見た。

敬一は竹刀を放して、驚いた表情で前へと倒れた。

藤田五郎は竹刀を構えて、敬一を普通の表情で見ている。

敬一は驚いた表情でうつ伏せになって倒れている。

藤田五郎は竹刀を構えるのを止めると、敬一に普通に話し出す。

「大丈夫か?」

敬一はゆっくりと起き上がると、悔しい様子で呟いた。

「大丈夫です。」

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に普通に話し出す。

「今までの斉藤さんは、僕の竹刀を受けてくれました。今日の斉藤さんは僕の竹刀を強く払って、背中を押して、足を掛けました。驚きました。」

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通に話し出す。

「今の敬一の経験と技術ならば、敬一の竹刀を全て避けて払うのみで勝てる。実行すると敬一の稽古にならないから、今まで実行しなかった。」

敬一は藤田五郎を僅かに悔しい様子で見た。

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通に話し出す。

「敬一が前に向かって倒れた理由は、俺の技術と敬一の技術の差、俺の体格と敬一の体格の差、俺の力と敬一の力の差、だけではない。敬一が俺の全ての動きを見ていない状況も、敬一が倒れた理由になる。敬一。俺の竹刀の動きの他に、俺の足元も含めた全ての動きを注意して見ろ。」

敬一は藤田五郎を悔しい様子で見た。

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通に話し出す。

「剣の型を覚える稽古と身を守る稽古は、違う内容の稽古だ。戦う道具は、剣のみではない。周りにある物を利用して戦う状況がある。身を守るだけならば、相手を斬る必要は無い。相手を手で押したり足を掛けたりして、相手を前に倒せれば、逃げる時間が出来る。今の時代は、相手を刀で斬る状況になる機会は少ない。」

敬一は藤田五郎を真剣な表情で見た。

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通に話し出す。

「敬一。俺の話す意味が分かるか?」

敬一は藤田五郎に真剣な表情で小さく頷いた。

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通に話し出す。

「経験の差だ。悔しく思うな。」

敬一は藤田五郎を悔しい様子で見た。

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通に話し出す。

「先程の内容の稽古を続けると、敬一が剣道の稽古を出来なくなる。先程の内容の稽古は、事前に報告すると意味が無い。先程の内容の稽古を再び実施したいと考えているが、暫くは実施しない予定だ。安心して稽古を受けろ。」

敬一は藤田五郎に悔しい様子で小さい声で話し出す。

「お父さんは凄い人なのに、僕は物凄く未熟です。」

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通に話し出す。

「俺は総司が今の敬一より幼い頃に逢った時がある。」

敬一は藤田五郎を驚いた表情で見た。

藤田五郎は竹刀を持ち、敬一に普通に話し出す。

「総司も強くなりたいと悔しい思いを抱いていた。」

敬一は藤田五郎を真剣な表情で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司は確かに強い。総司は稽古を受けずに強くなった雰囲気がある。だが、総司が物凄く強くても、幼い頃は道場の師範などと勝負をして、簡単に勝てる訳が無い。総司は、悔しい気持ちと強くなりたい気持ちを、人前で見せなかったと思う。総司は明るく楽しく話す人物だった。総司が本当に強いからこそ、笑顔で居られた。」

敬一は藤田五郎を真剣な表情で見ている。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司が、悔しさ、辛さ、悩みを、表す姿を見た、数少ない人物がいる。数少ない人物の中の一人が、美鈴さんだ。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。大切な人を忘れています。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんです。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お父さんが斉藤さんに無理な内容の頼みや迷惑を掛けても、斉藤さんはいつも許してくれたと聞きました。お父さんとお母さんは、斉藤さんにお返しが出来ないのに、いつも優しく親切に接してくれたと聞きました。斉藤さんにとても感謝をしていると聞きました。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは悔しい思いをした時は無いのですか?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「無い。」

敬一が藤田五郎に微笑んで話し出す。

「本当ですか〜?」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一が藤田五郎に焦って話し出す。

「斉藤さん! 調子に乗って話してしまいました! ごめんなさい!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「怒っていない。安心しろ。」

敬一は藤田五郎に安心して話し出す。

「良かった〜!」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を不思議な様子で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「今日の稽古は終了だ。」

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「今日の稽古はとても勉強になりました! ありがとうございました!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。


少し後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は稽古着から普段着に普通の表情で着替えた。

敬一は稽古着から普段着に微笑んで着替えた。


時尾の穏やかな声が、部屋の外から聞こえた。

「お茶の用意が出来ました。」


藤田五郎は障子を普通に開けた。


時尾はお茶とお菓子を持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。


藤田五郎は障子を普通に閉めた。


時尾は敬一の前にお茶とお菓子を置くと、敬一に微笑んで話し出す。

「ゆっくりと休んでね。」

敬一は藤田五郎と時尾に笑顔で話し出す。

「いつもお気遣い頂いて、ありがとうございます!」

時尾は敬一を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎の前にお茶を微笑んで置いた。

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。


時尾は部屋の外へ微笑んで出て行った。


敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「いただきます!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は美味しくお菓子を食べ始めた。

藤田五郎は敬一を見ながら、お茶を普通の表情で飲んだ。

敬一はお菓子を食べながら、藤田五郎に笑顔で話し出す。

「斉藤さんは甘い物が苦手ですよね! 美味しいお菓子を食べられなくて残念ですね!」

藤田五郎はお茶を飲みながら、敬一を普通の表情で見ている。

敬一はお菓子を美味しく食べた。


少し後の事。


ここは藤田五郎の家。


玄関。


藤田五郎は普通に居る。

時尾は微笑んで居る。

敬一は笑顔で居る。


時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。七夕を一緒に過ごしたいと思っているの。勉も敬一君と一緒に七夕が過ごせたら、とても喜ぶわ。」

敬一は時尾に笑顔で話し出す。

「家に帰ったら、お母さんに確認します! 返事は少し待っていてください!」

時尾は敬一に微笑んで頷いた。

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎と時尾に笑顔で話し出す。

「今日もありがとうございました!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

時尾は敬一に微笑んで頷いた。


敬一は笑顔で居なくなった。


少し後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋の前に在る縁。


藤田五郎は普通に来た。


藤田五郎は庭を普通の表情で見た。


季節はずれの桜が満開になって咲いている。


藤田五郎は部屋の中に普通に入った。


直後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は部屋の中に普通に入った。


藤田五郎は普通の表情で横を見た。


沖田総司が藤田五郎を笑顔で見ている。


藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。敬一に私の子供時代の話をしましたね。」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「敬一のために必要だから話した。大事な息子のためだ。諦めろ。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一は斉藤さんの稽古を受けて間もないです。今日の稽古は、斉藤さんが背中を押したり足を掛けたりしました。敬一は驚いたために上手く対処が出来ませんでした。敬一を心配しながら見てしまいました。」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「他の人物では無理だが、敬一だから少し無茶な稽古をした。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんが敬一を評価してくれて、とても嬉しいです。」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「もしもの時のために、知っておく方が良い内容を教えたまでだ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「敬一をこれからもよろしく頼みます。」

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の面白い話は、たくさんある。敬一は暫く落ち込む気持ちにならない。良かったな。」

沖田総司は藤田五郎に慌てて話し出す。

「斉藤さん! 敬一に変な内容を話さないでください!」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎を慌てて見た。

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は藤田五郎を苦笑して見た。


部屋の外で風が吹いた。


桜の花びらが、たくさん舞い始めた。


沖田総司は桜の舞う様子を微笑んで見た。

藤田五郎は桜の舞う様子を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。戻る時間が近付きました。」

藤田五郎は沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。直ぐに呼んでくださいね。」

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。


藤田五郎は庭を普通の表情で見た。


桜は元の姿に戻っている。


藤田五郎は障子を普通に閉めた。


少し後の事。


ここは、敬一と母親の美鈴の住む家。


玄関。


敬一が元気良く帰ってきた。


美鈴は微笑んで現れた。


敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん! ただいま!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お帰りなさい。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん! 斉藤さんの家で、七夕を一緒に過ごそうと誘われたんだ! お母さんも一緒に行こうよ!」

美鈴は敬一に心配して話し出す。

「無理にお願いをしていないわよね。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「無理にお願いしていないよ! お母さんも一緒に行こうよ!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一は七夕に誘われたのだから、斉藤さんとご家族に迷惑を掛けないように、楽しんで過ごしなさい。お母さんは、少しだけ考えさせてね。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「返事は僕が伝えるからね! お母さんも一緒に出掛けられるように都合を付けてね!」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴を笑顔で見た。


雨の降る日が少しずつ増えていく。

来月は、七夕を楽しむ月になる。

敬一にとって、楽しみな出来事が一つ増えた。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

沖田総司さんが子供の頃に悔しがっていた話は「新撰組異聞外伝 短編 桜の舞 記憶の中の最初の出逢い」の中の出来事になります。

剣道の練習中の場面で、藤田五郎さんが「前に倒れる」理由などを話す、敬一君が悔しがる、などが登場します。

剣道で前に倒れる状態になるのは、余り上手ではない、勢い良く相手に向かっているために間合いなどを考えていない、などの理由があるそうです。

ただし、子供と大人のような身長差がある相手の場合、力(腕力、体力等)の差がある相手の場合には、相手の対応しだいで、前に倒れる可能性があるそうです。

敬一君は「新撰組異聞外伝」では、剣道の筋が良く上手な設定のため、前に倒れる事を悔しがっています。

現在の剣道と藤田五郎さんが敬一君に教える剣術は、かなり違います。

身を守るなどの実践的な剣術から考えると、物語のような状態では、前に倒れる可能性があるそうです。

大人と子供の力の差、藤田五郎さんと敬一君の技術の差から考えると、この設定が一番無難だと考えられるそうです。

「芒種(ぼうしゅ)」は「二十四節気の一つ」です。

「六月五日〜六日前後」、または、「この日から夏至までの期間」、です。

稲や麦など芒のある穀物の種蒔きの時期の頃をいいます。

蟷螂(かまきり)や蛍が現れ始め、梅の実が黄ばみ始める頃だそうです。

現在は、種蒔は芒種の時期よりも早くやっているそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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