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新撰組異聞外伝 〜 白露の頃 〜
〜 第三版 〜
夏が終わり、秋になっている。
ここは、東京。
夏の名残のような暑さは続くが、夏の暑さとは違う暑さを感じるようになってきた。
今日は青空が広がっている。
早い時間のため、僅かに暑さを感じる程度になる。
ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。
縁に吊るした硝子の風鈴が見える。
食卓の有る部屋。
美鈴は微笑んで縫い物をしている。
敬一は微笑んで来た。
美鈴は縫い物を止めると、敬一を微笑んで見た。
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「お母さん。斉藤さんの家に出掛けるね。」
美鈴は敬一に心配して話し出す。
「怪我は辛くないの? もしかして、斉藤さんに稽古を就けてもらうの?」
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「怪我はほとんど痛くないよ。斉藤さんに稽古を就けてもらうのは、少し先になるよ。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「気を付けて行ってらっしゃい。斉藤さんとご家族に、迷惑を掛けないようにね。」
敬一は美鈴に微笑んで頷いた。
美鈴は敬一を微笑んで見た。
暫く後の事。
ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。
食卓の有る部屋。
時尾は微笑んで居る。
敬一も微笑んで居る。
敬一の前には、麦茶が置いてある。
時尾は敬一に微笑んで話し出す。
「怪我が先日より治っている様子ね。安心したわ。」
敬一は時尾に微笑んで話し出す。
「お気遣いありがとうございます。無理をしないように気を付けて過ごします。」
時尾は敬一に微笑んで話し出す。
「敬一君が怪我をした時に、私は直ぐに気付かなかったわ。更に注意をするわ。」
敬一は時尾に微笑んで話し出す。
「普通は、僕が勉君と遊ぶ最中に木に登ると思いません。気にしないでください。」
時尾は敬一を微笑んで見た。
敬一は時尾に微笑んで話し出す。
「麦茶を飲み終わったら、斉藤さんの部屋に行きます。」
時尾は敬一に微笑んで頷いた。
敬一は麦茶を美味しく飲んだ。
時尾は敬一を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎の部屋。
藤田五郎は普通に居る。
敬一は微笑んで居る。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「怪我がかなり治っているな。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。斉藤さんに再び稽古を就けてもらう日が楽しみです。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「稽古中に無理をして怪我が悪化する場合がある。怪我が完治するまで焦らずに待て。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「今日は日本橋に出掛ける。」
敬一は藤田五郎を不思議な様子で見た。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「今回も出掛ける間は、親子の設定にする。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
暫く後の事。
ここは、東京。
青空が広がっている。
僅かに暑さを感じる。
藤田五郎は普通に歩いている。
敬一は微笑んで歩いている。
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「日本橋に出掛ける理由を伝えていなかった。金鍔を買うために日本橋に行く。」
敬一は藤田五郎に不思議な様子で話し出す。
「きんつば?」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「金鍔は菓子の名前だ。」
敬一は藤田五郎に考え込んで呟いた。
「金鍔。食べた時があったかな?」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「金鍔を見れば、食べたか食べていないか分かる。今から悩むな。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。お父さん。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、東京。
日本橋。
たくさんの人達の姿が見える。
ここは、金鍔を売る店。
客が居る。
店員は微笑んで居る。
藤田五郎は店の中に普通に入ってきた。
敬一は店の中に微笑んで入ってきた。
店員は藤田五郎と敬一を微笑んで見た。
敬一は金鍔を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お父さん。金鍔は丸い形をしているんだね。刀の鍔の形に見えるよ。」
藤田五郎は敬一に普通に話し出す。
「刀の鍔に似ている様子から、“金鍔”の名前が付いたそうだ。」
敬一は金鍔を納得した様子で見た。
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お父さん。金鍔は美味しそうだね。金鍔を食べる時が楽しみだよ。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は店員に微笑んで話し出す。
「金鍔を買います。」
店員は藤田五郎と敬一の傍に微笑んで来た。
僅かに後の事。
ここは、金鍔を売る店の前。
藤田五郎は包みを持ち、店から普通に出てきた。
敬一は店から微笑んで出てきた。
藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。
「金鍔を買った。家に帰る。」
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。お父さん。」
藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎を微笑んで見た。
暫く後の事。
ここは、東京。
藤田五郎は包みを持ち、普通に歩いている。
敬一は微笑んで歩いている。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お父さん。僕も包みを持つよ。」
藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。
「重くない。気にするな。」
敬一は藤田五郎を心配して見た。
藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。
「話題を変える。敬一。日本橋まで出掛けて、疲れを感じているだろ。美鈴さんが居る家で過ごせば、敬一は早く落ち着いて休める。美鈴さんが居る家に行く。」
敬一は藤田五郎を僅かに寂しい表情で見た。
藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。
「敬一。寂しい顔をするな。美鈴さんが心配する。」
敬一は藤田五郎に僅かに寂しく話し出す。
「家に直ぐに戻ると、お父さんと一緒に居る時間が短くなるよね。寂しいな。」
藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。
「敬一が無理をして怪我が悪化したら、美鈴さんも俺も時尾も勉も辛い気持ちになる。敬一。無理をするな。敬一の都合の良い時に、遠慮せずに訪ねろ。」
敬一は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は包みを持ち、敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お父さん。家に着く少し前に、普段の呼び方に戻す方が良いかな?」
藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
玄関。
藤田五郎は包みを持ち、普通に来た。
敬一は微笑んで来た。
美鈴は微笑んで現れた。
敬一は美鈴に笑顔で話し出す。
「お母さん! ただいま!」
藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「今日も敬一を送って頂いてありがとうございます。」
藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「敬一。お帰りなさい。」
敬一は美鈴を微笑んで見た。
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。家の中で休んでください。」
藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通の表情で頷いた。
敬一は家の中に微笑んで入って行った。
美鈴は家の中に微笑んで入って行った。
藤田五郎は包みを持ち、家の中に普通に入って行った。
少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
縁に吊るした硝子の風鈴が見える。
食卓の有る部屋。
藤田五郎は普通に居る。
藤田五郎の傍には数個の包みが置いてある。
敬一は微笑んで居る。
美鈴も微笑んで居る。
食卓の上には、麦茶が載っている。
藤田五郎は食卓に大きめの包みと小さめの包みを置くと、美鈴に普通に話し出す。
「大きい包みは、美鈴さんの分の金鍔と敬一の分の金鍔だ。小さい包みは、総司の分の金鍔だ。」
美鈴は藤田五郎に申し訳なく話し出す。
「総司さんと私と敬一のために、たくさんの金鍔を買って頂いて申し訳ありません。」
藤田五郎は敬一と美鈴に普通に話し出す。
「日本橋に在る金鍔を売る有名な店に、敬一と出掛けたいと思っていた。敬一と美鈴さんに、東京が江戸と呼ばれる頃から続く金鍔を食べて欲しいと思っていた。良い機会だったから、敬一と日本橋に在る金鍔を売る有名な店に出掛かけた。楽しんで食べられる数の金鍔を買った。敬一は勉と遊んでくれる。敬一が勉と遊ぶ最中に、怪我をした。詫びと感謝の両方を兼ねている。安心してくれ。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「総司さんと私と敬一で、味わって食べます。ありがとうございます。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎と美鈴を微笑んで見た。
藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。
「美鈴さんに相談せずに出掛けた。美鈴さんに家に着いて直ぐに事情を説明しなかった。悪かった。」
美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「私は東京の町に不慣れです。離れた場所に出掛ける機会は少なくなってしまいます。私も敬一も喜んでいます。お気遣いありがとうございます。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さんの横に在る包みは、時尾さんと勉君の分の金鍔ですね。」
藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。
美鈴は藤田五郎と敬一に微笑んで話し出す。
「金鍔はご家族と共に家で楽しんで食べますよね。お酒の用意をしてきます。少しお待ちください。」
藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。
「酒は要らない。家に帰る。総司と美鈴さんと敬一で金鍔を楽しんで食べてくれ。」
美鈴は藤田五郎に申し訳なく話し出す。
「外は暑いです。遠慮せずに休んでください。」
藤田五郎は美鈴を普通の表情で見た。
優しい風が吹いた。
硝子の風鈴が風に揺れて、涼しく透明な音を鳴らした。
藤田五郎は硝子の風鈴を普通の表情で見た。
美鈴は硝子の風鈴を微笑んで見た。
藤田五郎は美鈴を見ると、美鈴に普通に話し出す。
「少し休んでから家に帰る。」
美鈴は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お酒の用意をしてきます。少しお待ちください。」
藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。
美鈴は微笑んで居なくなった。
敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お父さんが斉藤さんを引き止めるために、硝子の風鈴を鳴らしたように感じました。」
藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。
敬一は藤田五郎を微笑んで見た。
暫く後の事。
ここは、東京。
空の色が橙色に染まり始めている。
ここは、藤田五郎の家。
玄関。
藤田五郎は包みを持ち、普通に帰ってきた。
時尾は微笑んで現れた。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お帰りなさい。」
藤田五郎は包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一君と美鈴さんは喜んでいましたか?」
藤田五郎は包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「良かったですね。」
藤田五郎は包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は包みを持ち、時尾に普通に話し出す。
「時尾の分の金鍔と勉の分の金鍔を買った。」
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
藤田五郎は包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。
藤田五郎は包みを持ち、家の中に普通に入って行った。
時尾は家の中に微笑んで入って行った。
少し後の事。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎の部屋の前に在る縁。
藤田五郎は普通に来た。
心地好い空気が辺りを包んだ。
藤田五郎は普通の表情で庭を見た。
庭に季節はずれの桜が綺麗な姿で咲く姿が見えた。
藤田五郎は部屋の中に普通に入って行った。
直後の事。
ここは、藤田五郎の家。
藤田五郎の部屋。
心地好い空気に包まれている。
藤田五郎は横を普通の表情で見た。
沖田総司が藤田五郎を笑顔で見ている。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。こんばんは。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一と鈴にいつも気遣って頂いてありがとうございます。」
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「敬一は俺の家に居る間に怪我をした。総司にも美鈴さんにも敬一にも、申し訳ないと思っている。敬一に怪我をさせた詫びを兼ねている。詫びの一部しか返していない。」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「敬一は男の子です。元気に遊んで、真剣に稽古に取り組めば、怪我をする可能性は高いです。鈴も私と同じ考えです。斉藤さんも時尾さんも勉君も、悪くありません。気にしないでください。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。
「私は木に登っても落ちません。敬一は誰に似たのでしょうか?」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。
「斉藤さん。返事をしてください。」
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「話を変える。敬一と美鈴さんに、総司の分の金鍔を預けた。総司は金鍔を食べていないのか?」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さんに礼を伝えてから、金鍔を食べたいと思いました。」
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「俺への礼は言った。直ぐに金鍔を食べに行け。」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。
藤田五郎は障子を開けると、庭を普通の表情で見た。
庭の桜は季節どおりの姿に戻っている。
藤田五郎は普通に障子を閉めた。
同じ頃。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
敬一の明るい話し声が聞こえる。
「お母さん! 金鍔はとても美味しかったね!」
「お母さんも美味しいと言って食べる姿を見て、とても嬉しい気持ちになったんだ!」
「お父さんも美味いと言って食べてくれたかな?!」
「次に斉藤さんに逢った時に、僕がお母さんとお父さんの分までお礼を言うね!」
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。
物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
「金鍔(きんつば)」についてです。
和菓子です。
刀の鍔に似ている事から、「金鍔」の名前が付いたそうです。
四角い形の金鍔を見掛ける事が多いです。
この物語で、藤田五郎さんと敬一君が出掛けたお店は、「日本橋」、「丸い金鍔」、の言葉から、想像したお店があるかも知れません。
日本橋に在る江戸時代から再改訂時に続くお店です。
新撰組の人達が活動する時代には、既に江戸の町に在ったお店になります。
「日本橋」に在るお店の「金鍔」は、適度な甘さで美味しかったです。
「日本橋」に在るお店の「金鍔」以外のお菓子も、何種類か食べました。
「金鍔」以外のお菓子も美味しかったです。
江戸時代の「金鍔」は、一年をとおして手に入る手軽な和菓子だったそうです。
そのため、江戸での和菓子として人気があったようです。
「白露(はくろ)」は「二十四節季の一つ」です。
大気が冷えてきて、露が出来始める頃の事をいいます。
「九月八日頃」、または、「九月八日頃から秋分までの期間」です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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