新撰組異聞外伝　〜　節分　〜


〜　改訂版　〜


今は節分が近付く頃。


ここは、東京。


寒さが続いている。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


時尾と勉は、居る。

藤田五郎は仕事のため居ない。

沖田総司の息子の敬一が笑顔で訪ねている。


食卓の有る部屋。


時尾は微笑んで居る。

敬一は笑顔で居る。

食卓には、焙じ茶が載っている。


時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「節分が近付いているわね。敬一君も節分の日は、豆撒きをするのかしら？」

敬一は焙じ茶を飲むと、時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「勉が幼いから、五郎さんと節分の豆撒きについて相談したの。節分の日は、藤田の帰りを待たずに、私と勉で豆撒きを始める予定なの。勉は幼いから、上手に豆を撒けないと思うの。敬一君の参加があれば、勉は上手に豆が撒けると思うの。何より、敬一君と豆撒きが出来たら、楽しいと思うの。敬一君が節分の日に余裕があれば、私達の家の豆撒きに参加できるかしら？」

敬一は焙じ茶を飲むのを止めると、微笑んで考え込んだ。

時尾は敬一に話し出す。

「敬一君は、敬一君の家の節分の行事が一番よ。無理しないでね。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「お母さんに確認をしてから返事をしても良いですか？」

時尾は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は焙じ茶を飲むと、時尾を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、敬一と母親の美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで居る。

美鈴も微笑んで居る。

食卓には、焙じ茶が載っている。


敬一は焙じ茶を飲むと、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。斉藤さんと時尾さんは、勉君の年齢を考えて、斉藤さんの帰りを待たずに、時尾さんと勉君で豆撒き始めるんだ。時尾さんと勉君で豆撒きをすると寂しい雰囲気になるかも知れないから、僕も豆撒きに誘われたんだ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんとご家族にはたくさんお世話になっているし、早い時間に節分の行事が終わるのならば、斉藤さんに迷惑を掛けずに感謝の気持ちが表せるわ。敬一が帰ってから豆撒きをしましょう。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。ありがとう。明日になったら、時尾さんに了承の返事をするね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を微笑んで見た。


翌日の事。


ここは、藤田五郎の家。


時尾と勉は、居る。

藤田五郎は仕事で居ない。

敬一は笑顔で訪ねている。


食卓。


時は微笑んで居る。

敬一は微笑んで居る。

食卓の上には、焙じ茶が載っている。


敬一が時尾に微笑んで話し出す。

「お母さんが節分の豆撒きの参加を了承しました。節分の豆撒きを楽しみにしています。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「いつも気遣ってくれてありがとう。当日が楽しみね。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は焙じ茶を美味しく飲むと、時尾を微笑んで見た。

時尾は焙じ茶を飲むと、敬一を微笑んで見た。


節分の数日前の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は本を真剣な表情で読んでいる。


美鈴は焙じ茶を持ち、微笑んで来た。


敬一は本を読むのを止めると、美鈴を微笑んで見た。

美鈴は敬一の前に焙じ茶を置くと、敬一に申し訳なく話し出す。

「邪魔をしてごめんね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんは邪魔をしていないよ。安心して。」

美鈴は敬一に申し訳なく話し出す。

「敬一。節分の日に出掛ける予定があるの。帰りが少し遅くなるかも知れないの。」

敬一は美鈴を僅かに驚いて見た。

美鈴は敬一を申し訳なく見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕が一人で豆撒きをするよ。お母さん。無理しないで。でも、節分の豆の用意は頼んでも良いかな？」

美鈴は敬一に申し訳なく頷いた。

敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴は敬一に申し訳なく話し出す。

「敬一。ごめんね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕がお母さんの分まで、節分の豆撒きをしっかりとするよ。心配しないで。」

美鈴は敬一を申し訳なく見た。

敬一は焙じ茶を飲むと、美鈴を微笑んで見た。


節分当日の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで居る。


美鈴は豆の入った器を持ち、申し訳なく来た。


美鈴は器を箪笥の上に置くと、敬一に申し訳なく話し出す。

「節分の豆は炒ったわ。箪笥の上に置くわね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。ありがとう。」

美鈴は敬一に申し訳なく話し出す。

「敬一。出来るだけ早く帰るからね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。無理しないで。心配しないで。」

美鈴は敬一を申し訳なく見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「少し早いけれど、僕は斉藤さんの家に出掛けるね。行ってきます。」

美鈴は敬一を僅かに驚いて見た。


敬一は微笑んで走りながら居なくなった。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎の家。


時尾と勉は、居る。

藤田五郎は仕事で居ない。

敬一は微笑んで訪ねている。


食卓の有る部屋。


時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。

敬一は微笑んで居る。

食卓には、豆の入った升が載っている。


敬一は勉に微笑んで話し出す。

「勉君。節分の豆撒きが一緒に出来るね。楽しみだね。」

勉は敬一に笑顔で頷いた。

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「勉君。豆撒きを始めるよ。」

勉は敬一に笑顔で頷いた。

時尾は豆を微笑んで取った。

敬一は豆を笑顔で取った。

勉も豆を笑顔で取った。


少し後の事。


ここは、藤田五郎の家。


一室。


時尾は豆を持ち、微笑んで来た。

勉は豆を持ち、笑顔で来た。

敬一も豆を持ち、笑顔で来た。


時尾は豆を撒きながら、微笑んで声を出す。

「鬼は外〜　鬼は外〜」

敬一は豆を撒きながら、笑顔で声を出す。

「鬼は外〜！　鬼は外〜！」

時尾は豆を撒きながら、微笑んで声を出す。

「福は内〜　福は内〜」

敬一は豆を撒きながら、笑顔で声を出す。

「福は内〜！　福は内〜！」

勉は豆を握り思い切り投げると、笑顔で声を出す。

「おにはそと〜！　おにはそと〜！　ふくはうち〜！　ふくはうち〜！」


豆が勢い良く近くに落ちた。


豆が勢い良く飛び跳ねた。


勉は豆を持ち、時尾と敬一を笑顔で見た。

敬一は豆を持ち、時尾と勉を微笑んで見た。

時尾も豆を持ち、勉と敬一を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎の家。


豆撒きは終了している。


玄関。


藤田五郎が普通に帰ってきた。


時尾は微笑んで来た。

敬一は笑顔で来た。

勉は笑顔で来た。


敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「斉藤さん！　お帰りなさい！」

勉は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「おかえり。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お帰りなさいませ。」

藤田五郎は、時尾、勉、敬一に、普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。家で豆撒きをするだろ。帰らなくて大丈夫なのか？」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「今日は急いで帰らなくても大丈夫です。斉藤さんと話したいです。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。部屋で話そう。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」


藤田五郎は家の中に普通に入って行った。

敬一は家の中に微笑んで入って行った。

時尾は家の中に微笑んで入って行った。

勉は家の中に笑顔で入って行った。


僅かに後の事。


ここは、藤田五郎の家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は部屋の中に普通に入った。

敬一は部屋の中に微笑んで入った。


藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。美鈴さんは敬一の帰りを待っているだろ。何が遭った？」

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんは仕事で帰りが遅くなるそうです。僕はお母さんに一人で豆撒きをするから遅くなっても大丈夫だと話しました。お母さんは節分の豆を用意してくれました。一人で豆撒きをするのは寂しいです。遅く帰れば、お母さんと豆撒きが出来るかも知れません。斉藤さんとたくさん話してから、家に帰ろうと思いました。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「食事はいつ食べるつもりだ？」

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんが遅くなった時のために、おにぎりを用意してくれるそうです。お母さんは先に食べるように話したけれど、お母さんと食事をしたいです。お母さんの帰りを待ちます。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。寂しい表情をするな。」

敬一は藤田五郎に寂しく頷いた。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「帰る途中に辺りが暗くなるかも知れない。豆撒きに付き合ってくれた礼を兼ねて、家まで送る。」

敬一は藤田五郎に寂しい微笑みで頷いた。

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を寂しい微笑みで見た。


少し後の事。


ここは、東京。


藤田五郎は普通に歩いている。

敬一は僅かに寂しく歩いている。


敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんは僕のために仕事も家事も含めて一人でたくさんしています。僕は節分の豆撒きを一人でするから寂しくて落ち込んでいました。お母さんは仕事をしているのに、僕が一人で寂しい気持ちになっていないか心配していると思います。お母さんが仕事を上手に出来なかった時は、僕の責任です。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「僕は物凄く未熟者です。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一はしっかりとしている。敬一は成長している。安心しろ。」

敬一は藤田五郎に寂しく頷いた。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家の前。


家の中は暗い。


藤田五郎は普通に来た。

敬一は寂しく来た。


敬一は家を寂しく見た。

藤田五郎は敬一と家を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お母さんは家に帰っていないみたいです。僕でも簡単な食べ物は用意できます。家に上がって休んでください。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。


敬一は家の中に微笑んで入って行った。

藤田五郎は家の中に普通に入った。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


台所。


敬一は台所を不思議な様子で見ている。


藤田五郎は普通に来た。


藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。何をしている。」

敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お酒が残っていたと思うので探しています。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。酒の用意をしてから豆を撒くと、終わりの時間が遅くなる。俺への気遣いは後にして、豆撒きの準備を先にしろ。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんの話すとおりですね。豆撒きの準備を始めます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。


敬一は微笑んで居なくなった。

藤田五郎は普通に居なくなった。


僅かに後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は豆撒きの準備を微笑んでしている。

藤田五郎は普通に居る。


藤田五郎は庭を普通の表情で見た。


桜の咲く様子が見える。


藤田五郎は横を普通の表情で見た。


沖田総司は藤田五郎を微笑んで見ている。


藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は敬一を寂しく見た。

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で囁いた。

「美鈴さんは敬一と豆を撒けないかも知れない。敬一は寂しがっている。俺が総司に豆を渡す。敬一は気付かないが、総司も豆を撒け。」

沖田総司は藤田五郎を見ると、微笑んで頷いた。

敬一は豆を持ち、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。豆撒きの準備が終わりました。一緒に豆撒きをしてもらえると嬉しいです。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎と敬一を微笑んで見た。

敬一は藤田五郎に豆を差し出すと、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「よろしくお願いします。」

藤田五郎は敬一から豆を受け取ると、敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は豆を持ち、藤田五郎を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


一室。


敬一は豆を持ち、笑顔で来た。

藤田五郎は豆を持ち、普通に来た。

沖田総司は微笑んで来た。


敬一は豆を撒きながら、笑顔で声を出す。

「鬼は外〜！　鬼は外〜！」

藤田五郎は豆を軽く握ると、沖田総司に普通に渡した。

沖田総司は藤田五郎から豆を受け取ると、豆を撒いて、笑顔で声を出す。

「鬼は外〜！　鬼は外〜！」

藤田五郎は豆を撒きながら、普通に声を出す。

「鬼は外。鬼は外。」

敬一は豆を撒きながら、笑顔で声を出す。

「福は内〜！　福は内〜！」

沖田総司は豆を撒きながら、笑顔で声を出す。

「福は内〜！　福は内〜！」

藤田五郎は豆を撒きながら、普通に声を出す。

「福は内。福は内。」

沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。

敬一は豆を持ち、藤田五郎を笑顔で見た。

藤田五郎は豆を持ち、沖田総司と敬一に普通の表情で頷いた。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


豆撒きは終わった。


玄関。


美鈴が微笑んで帰ってきた。


敬一は笑顔で来た。

藤田五郎は普通に来た。

沖田総司は微笑んで来た。


美鈴は藤田五郎に申し訳なく軽く礼をした。

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お帰りなさい！」

美鈴は敬一に申し訳なく話し出す。

「帰りが遅くなってごめんね。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「大丈夫だよ！　斉藤さんと一緒に豆撒きをしたんだ！　とても楽しかったよ！」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

敬一が美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん！　歳の数の豆を食べよう！」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

藤田五郎は敬一と美鈴を普通の表情で見た。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「直ぐにお酒の用意をします。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「今日は遠慮する。敬一と節分の行事を続けろ。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「いつもお気遣い頂いて、ありがとうございます。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。私からもお礼を言います。ありがとうございます。」

藤田五郎は沖田総司と美鈴に普通の表情で囁いた。


藤田五郎は普通に居なくなった。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家


食卓の有る部屋。


沖田総司は微笑んで居る。

敬一は微笑んで居る。

美鈴は微笑んで居る。

食卓には節分用の豆が載っている。


美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「最初にお父さんの歳の数の豆を取りましょう。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は沖田総司の歳の数の豆を取ると、微笑んで皿に載せた。

敬一は自分の歳の数の豆を微笑んで取った。

美鈴も自分の歳の数の豆を微笑んで取った。

敬一は豆を微笑んで食べ始めた。

美鈴も豆を微笑んで食べ始めた。

沖田総司は敬一と美鈴を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、藤田五郎の家。


玄関。


藤田五郎は普通に帰ってきた。


時尾は微笑んで現れた。


時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お帰りなさいませ。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「歳の数の豆を用意しました。縁起物です。ぜひ食べてください。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。


僅かに後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで居る。

美鈴も微笑んで居る。

沖田総司は微笑んで居る。


沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。


敬一は皿を見ると、美鈴に不思議な様子で話し出す。

「お母さん。お父さんのために用意した豆がお皿に載っていないよ。」

美鈴は皿を見ると、敬一に不思議な様子で話し出す。

「本当ね。不思議ね。」

敬一は美鈴を見ると、美鈴に笑顔で話し出す。

「お父さんが節分の豆撒きのために来たのかな？！　お父さんは節分の豆撒きが無事に終わったから、歳の数の豆を食べて帰ったのかな？！」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一の話のとおりだと、とても嬉しいわね。」

敬一は美鈴を笑顔で見た。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


明日は、春分。

寒さは続くが、少しずつ春の気配が増えていく。




＊　　　　　　＊　　　　　　　＊　　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

節分の物語です。

皿が空になった理由は、皆様のご想像にお任せいたします。

「節分（せつぶん）」についてです。

本来は、各季節の始まりの日（立春・立夏・立秋・立冬）の前日を言います。

現在では、「春の節分」だけが行われています。

春の節分の場合は「立春の前日」になるため、「二月三日」が多いです。

季節の変わり目には邪気が生じると考えられています。

それを追い払うために、この日の夕暮れに柊の鰯の頭を刺したものを戸口に立てておいたり、炒った大豆をまいて歳の数だけ食べたりする風習があります。

敬一君の時代には、豆をまいたり豆を食べたりする風習は既にあったようです。

鬼の役を決めて豆を投げる事が、いつから始まったのかは分かりませんでした。

節分の行事はかなり古くから宮中で行っていました。

その当時の節分の行事の内容は、現在と少し違っていたようです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





←前 　　　　　　　　　　 目次 　　　　　　　　　　 次→