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新撰組異聞外伝 〜 藤花 瞬く間の出逢い 〜


〜 改訂版 〜


今は、藤田五郎と時尾が祝言を挙げてから、初めての年が終わり、二つめの年になる。


今は、春の季節を迎えている。


ここは、東京。


八重桜の花が咲いている。

藤の花が少しずつ咲き始めた。


ここは、町中。


時尾は微笑んで歩いている。


時尾は見頃の八重桜の傍を通り掛かった。


時尾は見頃の桜の傍で微笑んで止まった。


時尾は八重桜を微笑んで見た。


八重桜の花の咲く枝の間から青空が見える。


時尾は視線を微笑んで戻した。


時尾は微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、町中。


時尾は微笑んで歩いている。


時尾の視線の先に、咲き始めから少し経った藤の花が見えた。


時尾は藤の花の傍に微笑んで来た。


時尾は藤の花を微笑んで見た。


風が吹いた。


藤の花が風に乗ってゆっくりと揺れ始めた。


時尾は藤の花を見ながら、微笑んで呟いた。

「綺麗。」


風が止んだ。


藤の花はゆっくりと動きを止めた。


時尾は視線を微笑んで戻した。


時尾は微笑んで歩き出した。


夜の事。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


食卓の有る部屋。


藤田五郎は普通の表情で食事をしている。

時尾は微笑んで食事をしている。

食卓には、豪華ではないが丁寧に作られた食事が乗っている。


時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「用事があったので、少し外出しました。八重の桜の花が綺麗に咲く様子を見ました。咲き始めから少し経った藤の花も見ました」

藤田五郎は食事をしながら、時尾を普通の表情で見た。

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「境内に藤の花が綺麗に咲く天神様が、東京に在ると聞きました。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「天神様の境内か天神様の近くに、美味しいくず餅を食べられるお店が在ると聞きました。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さんの都合が付けば、藤の花の見頃の間に行きたいと思いました。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾を普通の表情で見た。

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さんは仕事で忙しいです。無理を言ってしまいました。今の話は忘れてください。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通に話し出す。

「時尾の話す天神様には行けないが、俺達の住む場所の少し近くに、藤の花の綺麗に咲く場所が在れば、行く。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。藤の花の綺麗に咲く場所を探します。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通に話し出す。

「無理をするな。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「食事の最中に長々と話してしまいました。申し訳ありませんでした。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通に話し出す。

「気にするな。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は食事をしながら、時尾を普通の表情で見た。


少し後の事。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


藤田五郎は普通の表情で食事を終えた。

時尾は微笑んで食事を終えた。


藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「部屋に戻る。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」


藤田五郎は普通に居なくなった。


僅かに後の事。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


藤田五郎の部屋の前に在る縁。


藤田五郎は普通に来た。


心地良い風が吹いた。


藤田五郎は夜空を普通の表情で見た。


夜空には綺麗な星が輝いている。


藤田五郎は庭を普通の表情で見た。


庭が淡い光に包まれた。


藤田五郎は庭を普通の表情で見ている。


庭の桜の花が満開の時と同様に咲いている。


藤田五郎は横を普通の表情で見た。


沖田総司が微笑んで居る。


藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。こんばんは。」

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「時尾さんが藤の花の咲く天神様に、斉藤さんと一緒に行きたいと話しました。斉藤さん。行く返事をしませんでした。何故ですか?」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと時尾さんが一緒に、天神様の境内に咲く藤の花を見て、美味しい評判のくず餅を食べる。素敵な思い出になります。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。本心から今の内容を話しているのか?」

沖田総司は藤田五郎を不思議な様子で見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「時尾の先程の話した内容と場所は、総司と美鈴さんが、江戸で行きたいと話した内容と場所の一つだ。」

沖田総司は藤田五郎を寂しく見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「総司のみが幾つかの事情によって江戸に来た。江戸は東京に呼び名を変えた。美鈴さんが江戸の呼び名の頃に来ていたら、僅かだが可能性があった。総司の今の状況を重ねると、美鈴さんが総司と一緒に藤の花の名所の天神様に行くのは無理だ。」

沖田総司は藤田五郎を寂しく見ている。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は美鈴さんの願いを叶えられなかった。俺が時尾の願いを叶えたとしても、総司は笑顔で俺の傍に居られるのか?」

沖田総司は藤田五郎を寂しく見ている。

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に寂しく話し出す。

「斉藤さん。私と鈴に気を遣って了承の返事をしなかったのですか?」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は藤田五郎に寂しく微笑んで話し出す。

「鈴の気持ちを考えると、とても辛いです。私は斉藤さんと時尾さんの楽しむ姿を見たいです。鈴が斉藤さんの今の質問の内容を聞いたら、鈴は斉藤さんに行くように笑顔で勧めると思います。」

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は藤田五郎を寂しく微笑んで見た。

藤田五郎は夜空を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に不安な様子で話し出す。

「斉藤さん。私は変な内容を話しましたか?」

藤田五郎は夜空を普通の表情で見ている。

沖田総司は藤田五郎に不安な様子で話し出す。

「変な内容を話したのならば、謝ります。」

藤田五郎は沖田総司を見ると、沖田総司に普通に話し出す。

「庭が淡く光っているが、星が綺麗に見える。」

沖田総司は藤田五郎を安心した表情で見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「時尾と共に、藤の花の名所の天神様に行く。見頃などの状況と合わせて行くから、行く日は不明だ。」

沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの様子が気になるのだろ。」

沖田総司は藤田五郎に寂しく微笑んで頷いた。

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「早く行け。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「いつもありがとうございます。」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「総司に礼を言われる言動はしていない。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは礼を言われる言動をたくさんしています。」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「無駄な内容を話す暇があるならば、何処にも行かずに直ぐに帰れ。」

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「直ぐに行きます。」

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。行く前に、一言だけ話したいです。ありがとうございます。再び呼んでくださいね。」

藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。一言だけでなく、二言になっている。」

沖田総司は藤田五郎を苦笑して見た。

藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。

藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。


藤田五郎は庭を普通の表情で見た。


庭の桜は元の姿に戻っている。


藤田五郎は夜空を普通の表情で見た。


夜空には綺麗な星が輝いている。


藤田五郎は部屋の中に普通に入って行った。


幾日か後の事。


ここは、東京。


藤の花は見頃を迎えている。


ここは、たくさんの藤の花の咲く場所。


辺りには、見頃となった藤の花がたくさん咲いている。


たくさんの人達が藤の花を見るために訪れている。


時尾は藤の花を微笑んで見ている。

藤田五郎は普通に居る。


時尾は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「たくさんの人が藤の花を見るために訪れていますね。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「人が多い。離れた時に面倒だ。藤の花を観る間は、俺の腕を掴め。藤の花を安心して観られる。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お言葉に甘えて腕を掴みます。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎の腕を微笑んで掴んだ。

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤の花を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤の花を微笑んで見ている。

藤田五郎は時尾と藤の花を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、辺りを微笑んで見た。


時尾の視線の先に、幼さの残る男の子の後姿と母親の後姿が見えた。


母親は人込みの中で、男の子を気遣う様子が後姿だが分かる。

男の子も人込みの中で、母親を気遣う様子が後姿だが分かる。


時尾は藤田五郎の腕を掴んで、母親の後姿と男の子の後姿を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎の腕を掴みながら、離れた場所を微笑んで見ている。

藤田五郎は時尾の視線の先を普通の表情で見た。


藤田五郎の見える範囲には、藤の花と人込みが見えるだけになる。

藤田五郎の見える範囲で変わった様子はない。


時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「後姿だけですが、素敵な親子を見みました。」

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「母親は男の子を気遣っていました。男の子も母親を気遣っていました。母親からは、男の子を温かく包む様子が伝わってきました。男の子からは、母親を信頼して慕う様子が伝わってきました。親子共に、優しい人物だと思います。」

藤田五郎は時尾を普通の表情で見ている。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「人が多いためだと思いますが、直ぐに姿が見えなくなりました。」

藤田五郎は時尾を普通の表情で見ている。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤田五郎に申し訳なく話し出す。

「五郎さんは仕事などで忙しいです。都合を付けて頂いて、藤の花の見頃の時期に来ました。藤の花を観ていませんでした。申し訳ありません。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「藤の花を観て楽しい気持ちになる。藤の花の以外を観て、楽しい気持ちになる。楽しい気持ちは、同じだ。時尾は様々な光景を観て楽しい気持ちになった。問題は無い。」

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「俺達の居る場所は、藤の花の名所の天神様ではない。有名な美味しいくず餅を食べるのも、有名な美味しいくず餅を買うのも、無理だ。帰る途中で、別な美味い物を買って、家で食べよう。」

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤の花を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾を普通の表情で見ている。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、藤田五郎を微笑んで見た。


藤田五郎は普通に歩き出した。

時尾は藤田五郎の腕を掴んで、微笑んで歩き出した。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

藤田五郎さんと藤田時尾(旧姓:高木時尾)さんが祝言を挙げたのは、明治七年(1874年)頃ではないかと言われています。

「新撰組異聞外伝」関連の物語は、藤田五郎さんと藤田時尾さんが祝言を挙げたのは、明治七年(1874年)として展開しています。

この物語を書きたいと思ったのは、藤田勉さんが生まれる前の藤田五郎さんと時尾さんが、藤の花を一緒に見ていて、同じ場所に一組の親子が来ていて、藤田時尾さんだけが一瞬だけ後姿を見るか声を聞く、という場面を想像した事から始まります。

当初は、物語の展開について楽しんで考えていました。

物語を書こうとすると、悩んでしまい、物語に出来ませんでした。

理由の一つに、何時の時点の物語にするか、がありました。

藤田五郎さんと藤田時尾さん側から考えると、結婚後の間もない頃か、結婚後の最初の年を越した藤の花の咲く頃が良いと考えました。

そうすると、敬一君と美鈴さんは、京都から東京に早い時期に引っ越した事になります。

幼い敬一君と美鈴さんが、京都から東京に早い時期に引っ越すのは大変だと思いました。

いろいろと考えて、藤田勉さんが生まれる前で、藤田時尾さんだけが一組の親子を見る、この二つの設定は変えずに物語を書こうと思いました。

藤田勉さんが生まれたのは、明治九年(1876年)12月15日です。

藤田五郎さんが西南戦争のために九州に向かうのは、明治十年(1877年)5月18日頃になるそうです。

藤田五郎さんと藤田時尾さんが中心の物語ですが、他の物語とかけ離れ過ぎないように書こうと思いました。

基本的には短編集なので、このような出来事があったかも知れない、と考えてください。

物語に会話だけで登場する、東京に在る藤の花の名所の天神様は、江戸時代の頃から天神様の境内に藤の花が咲いていたそうです。

同じく物語に会話だけで登場している、美味しい評判のくず餅を売お店は、江戸時代から在りました。

当時から美味しいと評判のくず餅だったそうです

現在(2007年4月現在)も、藤の花の名所の天神様と美味しい評判のくず餅を売るお店は賑わっています。

「藤花(とうか)」についてです。

「藤の花」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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