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新撰組異聞外伝 ~ 風車の咲く頃 ~


~ 改訂版 ~


今は、明治。


国を治めているのは、幕府ではなく政府と呼ぶ組織となっている。


沖田総司は、幼い敬一の父親であり、美鈴の夫になる。

沖田総司は、明治の時代を迎える前に病で亡くなった。


沖田総司は新撰組一番組組長を務めていたので、幕府側の人物として、名前が知られた方だった。


幕府側に味方した本人や家族に対する政府や世間の態度は冷たい。


敬一と美鈴は、幕府側の身内と知られないように静かに暮らしている。


今は初夏になって直ぐの頃になる。


ここは、京都。


綺麗な青空が広がっている。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


一室。


敬一は美鈴を笑顔で見ている。

美鈴は綺麗な柄の着物を微笑んでたたんでいる。


美鈴は綺麗な柄の着物を微笑んでたたみ終わった。

敬一は美鈴を笑顔で見ている。

美鈴は着物を微笑んで風呂敷で包んだ。

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「おかあさん。おでかけ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「頼まれた着物が仕上がったの。天気が良いから、今から着物を届けに行くの。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「るすばん。する。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんは敬一と一緒に出掛けたいの。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「いっしょ。でかける。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「出掛ける準備をしましょう。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。


少し後の事。


ここは、町中。


美鈴は着物を包んだ風呂敷を持ち、敬一を気遣い、微笑んで歩いている。

敬一は笑顔で歩いている。


少し後の事。


ここは、一軒の家。


美鈴は風呂敷の包みを持ち、微笑んで止まった。

敬一は美鈴を見ながら、笑顔で止まった。


美鈴は着物を包んだ風呂敷を持ち、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。着いたわ。家の中に入ったら、笑顔で挨拶をしましょうね。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。


美鈴は風呂敷の包みを持ち、家の中に微笑んで入って行った。

敬一は家の中に笑顔で入って行った。


少し後の事。


ここは、町中。


敬一は笑顔で歩いている。

美鈴は敬一を気遣いながら、微笑んで歩いている。


敬一の視線と美鈴の視線の先に、風車を売る場所が見えた。


辺りに風が吹いた。


たくさんの風車が一斉にくるくると回り始めた。


敬一は風車の回る様子を笑顔で見た。

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴を見ると、美鈴に笑顔で話し出す。

「きれい。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「風車を買って帰りましょう。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


敬一は風車を売る場所へ笑顔で歩き出した。

美鈴は風車を売る場所へ微笑んで歩き出した。


僅かに後の事。


ここは、風車を売る場所。


敬一は笑顔で来た。

美鈴は微笑んで来た。


美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。好きな風車を選びなさい。」

敬一は風車を笑顔で見た。


赤色、青色、模様入り、などのたくさんの風車が飾ってある。


敬一は赤色の綺麗な模様の有る風車を笑顔で指した。


美鈴は敬一に不思議な様子で話し出す。

「赤色で模様の有る風車を買うの?」

敬一は風車を指すのを止めると、美鈴に笑顔で頷いた。

風車を売る男性は風車を笑顔で取った。

美鈴は風車を売る男性に微笑んでお金を払った。

風車を売る男性は敬一に風車を笑顔で渡した。

敬一は風車を売る男性から風車を笑顔で受け取った。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お母さんが風車を持つわ。」

敬一は風車を持ち、美鈴に笑顔で話し出す。

「もつ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「風車を持つのが辛くなった時は、お母さんに教えてね。」

敬一は風車を持ち、美鈴に笑顔で頷いた。


敬一は風車を持ち、笑顔で歩き出した。

美鈴は敬一を気遣いながら、微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家の近く。


敬一は風車を持ち、笑顔で歩いている。

美鈴は敬一を気遣いながら、微笑んで歩いている。


敬一は風車を持ち、笑顔で止まった。

美鈴は敬一を見ながら、微笑んで止まった。


敬一は美鈴に風車を笑顔で差し出した。

美鈴も敬一に微笑んで話し出す。

「敬一の代わりに風車を持つわね。」

敬一は美鈴に風車を差し出して、美鈴に笑顔で話し出す。

「おかあさん。おくりもの。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お母さんに贈るために風車を選んでくれたの?」

敬一は美鈴に風車を差し出して、美鈴に笑顔で頷いた。

美鈴は敬一から風車を受け取ると、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。ありがとう。」

敬一は美鈴を笑顔で見た。

美鈴は風車を持ち、敬一を微笑んで話し出す。

「家に帰ったら、ゆっくりと風車を見ましょう。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。

美鈴は風車を持ち、敬一を微笑んで見た。

敬一は前を指すと、美鈴に笑顔で話し出す。

「はな。きれい。」

美鈴は風車を持ち、前を微笑んで見た。


敬一の傍と美鈴の傍に、風車に似た大きな花が咲いている。


美鈴は風車を持ち、敬一を見ると、敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんと敬一の前に咲く花は、“風車”、というの。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「かざぐるま。おなじ。きれい。」

美鈴は風車を持ち、敬一に微笑んで頷いた。

敬一は風車の花を笑顔で見た。

美鈴は風車を持ち、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。帰りましょう。」

敬一は美鈴を見ると、美鈴に笑顔で頷いた。


敬一は笑顔で歩き出した。

美鈴は風車を持ち、微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


玄関。


敬一は笑顔で帰ってきた。

美鈴は風車を持ち、微笑んで帰ってきた。

美鈴は風車を持ち、敬一を微笑んで見た。

敬一は眠い仕草を見せている。

美鈴は風車を持ち、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。眠いの?」

敬一は美鈴に眠い仕草で頷いた。

美鈴は風車を持ち、敬一を微笑んで抱いた。

敬一は直ぐに目を閉じた。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


敬一と美鈴の部屋。


床が敷いてある。


美鈴は敬一を微笑んで静かに寝かせた。

敬一は床の中でぐっすりと寝ている。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


美鈴は部屋から微笑んで静かに出て行った。


僅かに後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


沖田総司の位牌の前。


美鈴は風車を持ち、沖田総司の位牌を微笑んで見ている。


美鈴は風車を持ち、沖田総司の位牌に微笑んで話し出す。

「頼まれた着物が仕上がったので届けました。敬一は私を気遣って留守番すると話しました。敬一は体が大きくなり始めています。敬一を、抱いて出掛ける、背負って出掛ける、などが、少しずつ大変になりました。敬一は、体が大きくなり始めていますが、長い距離を歩くためには、体が小さいです。今日は、敬一には家に着くまで歩いてもらいました。敬一は、大変だったはずなのに、ずっと笑顔で歩いていました。敬一は家に帰った途端に寝てしまいました。敬一の年齢ならば、留守番をさせる家が多いと思います。世の中が落ち着き始めているとしても、突然に万が一の出来事が起こるかも知れません。幼い敬一を一人にして、万が一の出来事が起きたら、総司さんと敬一にお詫びの方法がありません。敬一が一人で判断が出来る年齢になるまで、私一人では頼りないですが、敬一の傍に居て守りたいと考えています。」

美鈴は風車を持ち、沖田総司の位牌に微笑んで話し出す。

「総司さん。綺麗な色の綺麗な柄の風車ですよね。敬一に風車を買うと話したら、敬一本人のためではなく、私のために選んでくれました。敬一の想いがとても嬉しかったです。」

美鈴は風車を持ち、風車に微笑んで軽く息を吹き掛けた。


風車はくるくると回り始めた。


美鈴は風車を持ち、風車の回る様子を微笑んで見た。


風車の回る早さが、少しずつ遅くなっていく。


美鈴は風車を持ち、沖田総司の位牌を見ると、沖田総司の位牌に微笑んで話し出す。

「総司さん。話しを聞いて頂いてありがとうございました。」


風車の動きが止まった。


美鈴は風車を持ち、沖田総司の位牌の前から微笑んで居なくなった。


幾つかの季節が過ぎた。


敬一は、少しずつ成長をしている。

敬一は、一人で出掛ける機会が増えた。

美鈴は、敬一を心配しながらも、敬一を微笑んで見送る。


更に幾つかの季節が過ぎた。


今は初夏になって直ぐの頃になる。


ここは、東京。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


藤田五郎は出掛けているので居ない。

時尾と勉は、普段と同じように居る。


時尾と勉の部屋。


時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。


勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。くる。たのしい。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「敬一君は少し経ったら来ると思うの。楽しみね。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おとうさん。もどる。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「お父さんは敬一君が家に来る前には帰ると話して出掛けたわ。お父さんは少し経ったら帰ると思うの。」

勉は時尾を笑顔で見た。


玄関から戸の開く音が聞こえた。


時尾は勉に微笑んで話し出す。

「お父さんを玄関に迎えに行きましょう。」

勉は時尾に笑顔で頷いた。


時尾は部屋を微笑んで出て行った。

勉は部屋を笑顔で出て行った。


僅かに後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


玄関。


藤田五郎は普通の表情で居る。

藤田五郎の傍には、大きくて綺麗な色の風車の花の咲く植木鉢の包みが二つ置いてある。

包みの傍に、風車が置いてある。


時尾は微笑んで来た。

勉は笑顔で来た。


藤田五郎は時尾と勉に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お迎えが直ぐに出来ませんでした。すいません。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「気にするな。」

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「風車を譲ってもらった。一つは、敬一と美鈴さんに譲りたい。時尾。先に選んでくれ。」

時尾は二つの包みを微笑んで見た。


大きくて綺麗な色の風車の花が植木鉢に植わっている。


時尾は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。共に綺麗な風車の花です。私はどちらの風車の花でも良いです。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君に、先に好みの風車を選んで欲しいと話したら、気を遣いますよね。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さんか私が、敬一君の風車を見る様子から想像して、敬一君と美鈴さんに譲る風車を選んで、帰りに渡す。以上の方法を考え付きました。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

勉は藤田五郎と時尾を笑顔で見た。

藤田五郎は玩具の風車を取ると、勉に玩具の風車を普通に渡した。

勉は藤田五郎から玩具の風車を笑顔で受け取った。

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「勉。良かったわね。」

勉は玩具の風車を持ち、時尾に笑顔で頷いた。

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「お父さんに風車を頂いたお礼をしっかりと言いましょう。」

勉は玩具の風車を持ち、藤田五郎に笑顔で話し出す。

「ありがと。」

藤田五郎は勉に普通の表情で頷いた。


玄関の外から、敬一の元気の良い声が聞こえた。

「こんにちは! 敬一です!」


勉は玩具の風車を持ち、藤田五郎と時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。きた。」

時尾は勉に微笑んで頷いた。

藤田五郎は勉に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さん。出掛けた姿で玄関に居ると、敬一君が気にすると思います。部屋に戻って着替えてください。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「勉。お母さんと一緒に敬一君を迎えましょう。」

勉は玩具の風車を持ち、時尾に笑顔で頷いた。


藤田五郎は家の中に普通に入って行った。


時尾は玄関の戸を微笑んで開けた。

勉は玩具の風車を持ち、玄関の外を笑顔で見た。


敬一の笑顔の姿が見えた。


時尾は敬一を微笑んで見た。

勉は玩具の風車を持ち、敬一を笑顔で見た。


風を受けてくるくると回る玩具の風車。

晩春から初夏に掛けて咲く風車の花。

二つの風車がたくさんの想いを受けて、穏やかに時を紡いでいく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

植物の「風車(かざぐるま)」についてです。

キンポウゲ科の落葉蔓植物です。

日本原産です。

玩具の「風車(かざぐるま)」に花の形が似ているところから名付けられたそうです。

花びら状の萼を八枚持つ「風車」のような花が咲きます。

江戸時代に多くの園芸品種が作られたそうです。

八枚以下や八枚以上の花びら状の萼を持つ「風車」もあります。

花の「風車」の季語は「夏」ですが、玩具の「風車」の季語は「春」です。

「鉄線花(てっせんか)」についてです。

キンポウゲ科の落葉蔓植物です。

中国原産です。

「鉄線花」は「鉄線(てっせん)」の別名です。

他の別名には「鉄線蓮(てっせんれん)」があります。

蔓が細くて丈夫という事から「鉄線」という名前が付いたそうです。

花びら状の萼を六枚持つ大型の花が咲きます。

日本には古くから渡来していて、観賞用として栽培されていたそうです。

「クレマチス(Clematis)」についてです。

「鉄線」、「風車」、「外国産」の総称です。

八枚以下や八枚以上の萼がある品種があります。

「クレマチス」は、現在の暦で、四月下旬から六月下旬に掛けて咲きます。

「茶花(ちゃばな)」に使用する花の一種類です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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