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新撰組異聞外伝 〜 新蕎麦の香りの中で 〜


〜 改訂版 〜


今は秋。


ここは、東京。


天気の良い日は過ごしやすいが、天気の悪い日は肌寒さを感じるようになってきた。


ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は蕎麦を笑顔で美味しく食べている。

美鈴は蕎麦を微笑んで食べている。


敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。お蕎麦は頂き物だと話したよね。本当は、お母さんが打ったお蕎麦だね。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんが打ったお蕎麦だと思う理由は何かしら? 教えて。」

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「僕が帰った時に、お蕎麦を打ち終わった様子だったから。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんが頼んでお蕎麦を打ってもらったかも知れないわよ。」

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お蕎麦の食感もお蕎麦の見た目も、お母さんの打つお蕎麦と同じだよ。僕はお母さんが打つお蕎麦が分かるよ。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一を微笑んで見た。

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お父さんもお母さんが打つお蕎麦が分かるよね。大切な人物を言い忘れていた。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一を微笑んで見ている。

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「以上の状況から、僕の食べているお蕎麦は、お母さんの打ったお蕎麦です。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一を微笑んで見ている。

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。とても美味しいよ。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。ありがとう。」

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴を微笑んで見た。

美鈴も蕎麦を食べながら、敬一を微笑んで見た。

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「時尾さんの打つお蕎麦は、太さ、食感、香り、全て良いんだ。時尾さんのお蕎麦の茹で具合も良いんだ。時尾さんが、お蕎麦を打って料理すると、美味しいと評判のお蕎麦屋と同じだよ。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一を微笑んで見た。

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんの作る蕎麦汁は、味、濃さ、全て良いんだ。美味しいと評判のお蕎麦屋と同じだよ。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「お世辞でも褒めてもらえて嬉しいわ。」

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お世辞ではないよ。本当だよ。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一がお母さんの打つお蕎麦を食べて、美味しいと思うように努力するわね。」

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんの打つお蕎麦は美味しいよ。努力は要らないよ。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一を微笑んで見た。

敬一も蕎麦を食べながら、美鈴を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


敬一の部屋。


敬一は本を真剣な表情で読んでいる。


敬一は本を読むのを止めると、不思議な様子で呟いた。

「食事中のお母さんの様子が、普段と違った。何か遭ったのかな? 気になるな。」

敬一は不思議な様子で考え込んだ。

敬一は驚いた表情になった。

敬一は本を閉じると、動揺して呟いた。

「明日になったら、斉藤さんの家に行こう。お母さんに心配を掛けないようにしよう。」

敬一は僅かに落ち着かない様子で寝る準備を始めた。


翌日の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


藤田五郎は仕事で居ない。

時尾と勉は、居る。

敬一が訪ねている。


食卓の有る部屋。


時尾は微笑んで来た。

勉は笑顔で来た。

敬一は微笑んで来た。


時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。お蕎麦を食べない?」

敬一は時尾を僅かに動揺して見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君が私の打つお蕎麦を物凄く褒めてくれたから、調子に乗ってお蕎麦をたくさん打ったの。打ったお蕎麦の量を見たら、五郎さんと私と勉では食べきれない量だったの。敬一君。遠慮しないでお蕎麦を食べて。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。おそば。たべよ。」

敬一は時尾と勉を困惑して見た。

時尾は敬一に心配して話し出す。

「敬一君。調子が悪いの?」

敬一は時尾に僅かに慌てて話し出す。

「調子は悪くありません。元気です。」

時尾は敬一を心配して見た。

勉は敬一を不思議な様子で見た。

敬一は時尾に言い難く話し出す。

「時尾さん。斉藤さんは帰りが遅いですか?」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「普段と同じ時間に帰る予定よ。」

敬一は時尾を残念な様子で見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。お蕎麦に関する相談かしら。私で良ければ話を聞くわ。」

敬一は時尾を僅かに驚いて見た。

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は時尾に言い難く話し出す。

「時尾さんの打つお蕎麦は物凄く美味しいです。美味しいと評判のお店と同じです。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「褒めてくれてありがとう。」

敬一は時尾に言い難く話し出す。

「お母さんの打つお蕎麦も物凄く美味しいです。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は時尾に言い難く話し出す。

「お母さんの打ったお蕎麦を食べながら、時尾さんの打ったお蕎麦をたくさん褒めました。お母さんの打ったお蕎麦を食べながら、お母さんの作る蕎麦汁は美味しいと評判のお店と同じと褒めました。お母さんは、僕一がお母さんの打つお蕎麦を食べて、美味しいと思うように努力する、と話しました。お母さんは、僕がお母さんの打ったお蕎麦を食べながら、時尾さんの打ったお蕎麦をたくさん褒めたから、悲しくなったと思います。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。以前に、私の打ったお蕎麦を食べながら、お母さんの打つお蕎麦も美味しいと褒めていたわよ。」

敬一は時尾を不思議な様子で見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「気付いていなかったのね。」

敬一は時尾に不思議な様子で見ている。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「私は、今は東京に住んでいるけれど、会津で生まれ育ったの。会津では、お蕎麦は馴染みの濃い食べ物なの。会津では、祝言を挙げる前の女性の嗜みの一つに、お蕎麦が打てる、があるの。美鈴さんは京都で生まれて育っているのよね。京都はお蕎麦に馴染みの薄い地域だと聞いたわ。敬一君は美鈴さんと同じく京都で生まれ育ったのよね。私の打ったお蕎麦が美味しくて、美鈴さんの作る蕎麦汁が美味しい、と感じたのは当然だと思うの。」

敬一は時尾を微笑んで見た。

時尾も敬一を微笑んで見た。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「お蕎麦を頂いても良いですか?」

時尾は敬一に微笑んで頷いた。

勉は時尾と敬一を笑顔で見た。

敬一は時尾と勉を微笑んで見た。


翌日の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


玄関。


藤田五郎が包みを持ち、普通に訪ねてきた。


美鈴は微笑んで来た。


美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。こんにちは。」

藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「家に上がって休んでください。」

藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通の表情で頷いた。


藤田五郎は包みを持ち、家の中に普通に入って行った。

美鈴は家の中に微笑んで入って行った。


僅かに後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


藤田五郎は包みを持ち、普通に座った。

美鈴は微笑んで座った。


藤田五郎は包みを脇に置くと、美鈴に普通に話し出す。

「敬一は居るか?」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一は外出中です。少し経つと帰る予定です。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お酒と肴を用意します。少しお待ちください。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「敬一が帰る前に話したい内容がある。話し終わった後に余裕があれば、酒と肴を用意してくれ。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は美鈴の前に包みを置くと、美鈴に普通に話し出す。

「時尾が打った蕎麦だ。お裾分けだ。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。敬一が、時尾さんの打つお蕎麦は、とても美味しいと笑顔で褒めます。私も、時尾さんの打つお蕎麦を食べるのが楽しみです。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は包みを横に微笑んで置いた。

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「敬一が、美鈴さんの前で時尾の打つ蕎麦を褒めた状況を気にしていた。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一は素直で良い子です。総司さんは私の作る物は全て褒めてくれました。敬一も私の作る物は全て褒めてくれます。私はお蕎麦に馴染みの薄い生活が長かったです。敬一の様子を見て、私は努力を怠っていると気付きました。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「総司も敬一も、美味しくない物や口に合わない物は、隠さずに話す。総司と敬一が、美鈴さんの作る物と美鈴さんの用意する物を褒めるのは、美味しい証拠だ。自信を持て。」

美鈴は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「時尾は、会津で生まれて、会津で長く育った。会津では、祝言を挙げる前の女性の嗜みに一つに、蕎麦が打てる、がある。時尾は蕎麦に馴染みの濃い暮らしだ。美鈴さんは総司と逢うまで蕎麦に馴染みの薄い暮らしだった。美鈴さんが蕎麦を打つようになったのは、時尾よりかなり遅い。美鈴さんは器用で物覚えも良いが、時尾と美鈴さんの間に差が付くのは仕方が無い。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一に、好きな物や美味しい物をたくさん食べて欲しいと常に思っています。実際は無理に近い状況です。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「敬一は、俺や時尾や勉に、美鈴さんの作る物と美鈴さんの用意する物は、美味しいと幾度も笑顔で話している。心配するな。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。斉藤さんの話を聞いて安心しました。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎を微笑んで見た。


玄関から、元気の良い足音が聞こえた。


玄関から、敬一の元気の良い声が聞こえた。

「お母さん! ただいま!」


藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎に微笑んで頷いた。

「すいません。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。


美鈴は微笑んで居なくなった。


藤田五郎は普通に居る。


敬一が元気良く来た。

美鈴は微笑んで来た。


敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! こんにちは!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 今日は長く居ますか?!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは、時尾さんの打ったお蕎麦のお裾分けを届けてくれたの。斉藤さんは、忙しい時間を割いて来たの。斉藤さんに無理を言っては駄目よ。」

敬一は美鈴を残念な様子で見た。

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「少しだが時間に余裕がある。心配するな。」

敬一は美鈴を笑顔で見た。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お酒と肴を用意します。少しお待ちください。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。


美鈴は微笑んで居なくなった。


藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を笑顔で見た。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


藤田五郎は家に帰ったので居ない。

敬一と美鈴は、居る。


ここは、食卓の有る部屋。


敬一は蕎麦を笑顔で美味しく食べている。

美鈴は蕎麦を微笑んで食べている。


美鈴は蕎麦を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「時尾さんの打つお蕎麦は美味しいわね。」

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「時尾さんは美味しい蕎麦を打つために努力したと思うの。時尾さんの打つ美味しいお蕎麦を食べられて、嬉しいし、勉強になるわ。お母さんも美味しいお蕎麦を打つために努力するわ。」

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんと時尾さんから、蕎麦打ちを教えてもらおうかな。」

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんで良ければ、蕎麦打ちを教えるわ。時尾さんに蕎麦打ちを教えてもらう時は、迷惑を掛けないように気を付けて頼みなさい。」

敬一は蕎麦を食べながら、美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は蕎麦を食べながら、敬一を微笑んで見た。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

この物語の補足です。

「蕎麦(そば)」が食べられる有名なお店や地域は、北日本側に多いように思います。

「饂飩(うどん)」が食べられる有名なお店や地域は、西日本側に多いように思います。

藤田五郎さん達の生きた時代も似た状況だったと思います。

西日本側の京都に、有名な蕎麦で「鰊蕎麦(にしんそば)」があります。

鰊蕎麦は京都のお店の主人が考案したそうです。

鰊蕎麦を考案したお店は、藤田五郎さんが斉藤一さん名乗っていた頃には、商売を行っていたそうです。

ただし、鰊蕎麦を考案したのは、「明治十五年(1882年)」だそうです。

鰊蕎麦が登場したのは、この物語の時間設定より後になります。

「蕎麦」についてです。

日本では、紀元前7000年ほど前の縄文土器から蕎麦を食べていたらしい痕跡が発見されているそうです。

14世紀頃には年貢として納められていたそうです。

15世紀頃には、寺院などで蕎麦を麺にして食べられるようになっていたそうです。

庶民も蕎麦を麺にして食べるのが広まるのは、江戸時代になるそうです。

江戸時代の蕎麦は、現在のファーストフードのような感覚で食べていたそうです。

お菓子屋さんが副業で蕎麦や饂飩を提供する事があったそうです。

人気のあるお店では、蕎麦や饂飩を中心に提供するように鞍替えする事があったそうです。

現在の「新蕎麦(しんそば)」が食べられる時期は、産地が海外などにも広がった関係で、長い期間になっています。

日本国内で育つ新蕎麦が食べられる頃は、現在の暦で、9月末頃〜11月頃だそうです。

この物語の時間設定では、9月末頃に新蕎麦を食べるのは難しいかも知れません。

現在の状況や詳細な地域は分かりませんが、会津では結婚前の女性の嗜みの一つに蕎麦を打てる、があるそうです。

藤田時尾さんは、長女で、妹か弟がいました。

藤田時尾さんは武士の娘ですが、以上の状況から考えると、蕎麦打ちは何度も経験していると思います。

「蕎麦湯(そばゆ)」についてです。

蕎麦のゆで汁です。

蕎麦は水に溶出する栄養分が多いので、蕎麦を食べた後に蕎麦湯を飲む事があります。(ただし、蕎麦を茹でる時間は短めなので、ゆで汁に残る栄養分は想像より少ない、と考える方もいます。)

蕎麦の栄養分がゆで汁に全く残らない訳ではなく、蕎麦汁に蕎麦湯を足して適度な濃さに調整して飲む、などの、栄養、蕎麦、蕎麦汁、を含めて楽しむために、蕎麦湯を利用するのは良い方法のように思います。

蕎麦湯は、蕎麦汁に足して飲む、そのまま飲む、お酒で割って飲む、などの様々な方法で飲んでいます。

蕎麦湯に関する記録は、江戸時代初期頃に幾つか登場するそうです。

蕎麦湯の歴史も長いようです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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