このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新撰組異聞外伝 〜 歳暮 蓮根の贈り物 〜


〜 改訂版 〜


今は、一年の終わりの月が近付いている。


ここは、東京。


寒さを感じる時が現れた。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


食卓の有る部屋。


食卓には、食事や酒や肴が載っている。

藤田五郎は酒と肴を普通の表情で味わっている。

時尾は藤田五郎と勉に気を配りながら、微笑んで食事をしている。

勉は笑顔で食事をしている。


勉は食事をしながら、時尾に笑顔で話し出す。

「おいしい。」

時尾は食事をしながら、勉に微笑んで話し出す。

「褒めてくれてありがとう。次も勉に褒めてもらえる美味しい食事を作るわね。」

勉は食事をしながら、時尾に笑顔で頷いた。

時尾は食事をしながら、勉を微笑んで見た。

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾と勉を普通の表情で見た。

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「蓮根を安く分けて頂ける話がありました。頼んで良いですか?」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通に話し出す。

「今の時期に蓮根を受け取ると、御節料理用には少し早いと思う。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「蓮根を分けて頂ける時期は、お節料理を作る頃です。説明が足りませんでした。すいませんでした。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通に話し出す。

「謝る内容に該当しない。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎を微笑んで見た。

勉は食事をしながら、藤田五郎と時尾に笑顔で話し出す。

「れんこん。おにいちゃん。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君の家もお節料理用の蓮根を用意しますよね。敬一君は、勉と遊んでくれます、手伝いをしてくれます、たくさん気遣ってくれます。敬一君と美鈴さんの分の蓮根も一緒に頼んで良いですか?」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通に話し出す。

「蓮根を安く分けてもらえる量を調整できる場合は、敬一と美鈴さんの分も頼んでくれ。蓮根を安く分けてもらえる量を調整できない場合は、御節料理の蓮根の量を調整して、敬一と美鈴さんに分けくれ。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

勉は食事をしながら、藤田五郎と時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。れんこん。よろこぶ。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾と勉に普通の表情で頷いた。

時尾は食事をしながら、勉に微笑んで頷いた。

勉は食事をしながら、藤田五郎と時尾を笑顔で見た。


同じ頃。


ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


食卓には、食事が載っている。

敬一は笑顔で美味しく食事をしている。

美鈴は敬一を見ながら、微笑んで食事をしている。


敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。気付くと一人で準備をしている時が多いよね。今年は早く話すね。僕に出来る年末新年の準備は手伝うからね。遠慮せずに言ってね。」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「今回は、幾日か後に年末年始の準備を始めるわ。年末年始を含めた用事のある時は、お母さんの心配をしないで、用事を優先してね。」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「分かった。」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一の言葉に甘えて、今回の年末年始の準備は、手伝いをたくさん頼むわね。」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「任せて。」

美鈴は食事をしながら、敬一を微笑んで見た。

敬一は食事をしながら、美鈴を微笑んで見た。

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。たくさん食べたいお節料理を教えて。」

敬一は食事をしながら、美鈴に不思議な様子で話し出す。

「近い内に、お節料理の準備を始めるの?」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一のたくさん食べたいお節料理の良い食材を見付ける時があると思うの。確認のために質問したの。」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんがたくさん食べたいお節料理をたくさん用意して。」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。遠慮しないで。」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「遠慮していないよ。」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「たくさん食べたいお節料理を思い出したら、遠慮せずに言ってね。」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は食事をしながら、敬一を微笑んで見た。


幾日か後の事。


一年の終わりの月になっている。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


藤田五郎は、仕事で居ない。

時尾と勉は、居る。

敬一が、元気良く訪ねている。


食卓の有る部屋。


時尾は勉と敬一を見ながら、焙じ茶を微笑んで飲んでいる。

勉は薄くて温めの焙じ茶を笑顔で美味しく飲んでいる。

敬一は焙じ茶を笑顔で美味しく飲んでいる。


時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。お節料理用の蓮根を安く分けてもらえる話があったの。良い話だから、蓮根を多く頼んだの。頼んだ後に考えたら、量を間違えて多く頼み過ぎていたの。五郎さんに相談したの。敬一君の家でお節料理に蓮根料理を作るならば、頼む量を変更しなくて済む内容の話になったの。」

敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。

「お母さんに確認します。早く返事をします。」

時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。ありがとう。」

敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。

「困った時はお互い様です。」

時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一を微笑んで見た。

敬一は焙じ茶を飲むのを止めると、時尾に僅かに慌てて話し出す。

「喩えを間違ってしまいました。」

時尾は焙じ茶を飲みながら、敬一に微笑んで話し出す。

「正しい喩えをしているわ。」

敬一は時尾を微笑んで見た。

勉は焙じ茶を飲みながら、時尾と敬一に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。おせち。れんこん。たのしみ。」

敬一は勉に微笑んで頷いた。

勉は焙じ茶を飲みながら、敬一を笑顔で見た。

時尾は焙じ茶を飲みながら、勉と敬一を微笑んで見た。

敬一は焙じ茶を飲むと、時尾と勉を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


食卓には、食事が載っている。

敬一は笑顔で美味しく食事をしている。

美鈴は敬一を見ながら、微笑んで食事をしている。


敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「時尾さんが、お節料理に使うための蓮根を安く分けてもらえる話を受けて、蓮根を多く頼み過ぎたんだって。お母さんが蓮根を頼んでいなければ、一緒に頼んだ状況に出来るから、斉藤さんや時尾さんが、助かるという内容の相談があったんだ。僕は、お母さんに確認して、早く返事をすると答えたんだ。」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「お節料理に使う蓮根は、今は頼んでいないの。喜んで了承の返事をしましょう。」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「明日になったら、僕から時尾さんに返事をするね。」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで頷いた。

敬一は食事をしながら、美鈴を微笑んで見た。


幾日か後の事。


一年の終わりの月の中で、更に末日に近付いた。


ここは、東京。


一日の間で寒さを感じる時間が増えている。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


敬一も美鈴も、居る。


玄関。


藤田五郎が包みを持ち、普通に訪ねてきた。


美鈴は微笑んで来た。


藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通に話し出す。

「蓮根を持ってきた。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「寒い中をお越し頂いてありがとうございます。」

藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通に話し出す。

「互いの年末年始の準備に困らないために、蓮根を早く届けた。気にするな。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「家に上がって休んでください。」

藤田五郎は包みを持ち、美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎を微笑んで見た。


藤田五郎は包みを持ち、家の中に普通に入って行った。

美鈴は家の中に微笑んで入って行った。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の在る部屋。


食卓には、酒と肴と蓮根が載っている。

藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

敬一は蓮根を微笑んで見ている。

美鈴は藤田五郎と敬一を微笑んで見ている。


藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。

「夕飯の支度をしなくて良いのか?」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「夕飯の支度はほとんど終わっています。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴を普通の表情で見た。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「蓮根。お幾らですか?」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。

「蓮根は、歳暮だ。支払いは要らない。」

美鈴は藤田五郎に申し訳なく話し出す。

「蓮根をお歳暮で頂けません。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。

「敬一は、勉と良く遊んでくれた、家の手伝いをしてくれた。遠慮せずに受け取ってくれ。」

美鈴は藤田五郎に申し訳なく話し出す。

「敬一は斉藤さんから剣道の稽古を就けて頂いています。剣道の稽古の費用を無料にして頂いています。蓮根をお歳暮として受け取れません。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。

「何時になるか分からないが、勉にも剣道の稽古を就けたいと思っている。俺が、敬一に剣道の稽古を就けるのは、敬一のための他に、俺と勉のためでもある。」

美鈴は藤田五郎を申し訳なく見た。

敬一は藤田五郎と美鈴を心配して見た。

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。

「他にも理由がある。時尾は、敬一が、勉と遊んでくれて、家の手伝いもしてくれたから、感謝している。美鈴さんに感謝の気持ちを表したいと話した。美鈴さんから蓮根の代金を受け取ると、時尾も困る。」

美鈴は藤田五郎を申し訳なく見ている。

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。

「蓮根の代金は、俺が訪ねた時の酒と肴の費用に充ててくれ。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「分かりました。斉藤さんに喜んで頂けるお酒とお肴を用意します。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、美鈴に普通に話し出す。

「無理のない程度に頼む。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

敬一は藤田五郎と美鈴を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


食卓の有る部屋。


食卓には、酒と肴が載っている。

藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

時尾は微笑んで居る。


藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通に話し出す。

「想像どおり、美鈴さんは蓮根の代金を用意する気持ちがあった。俺と時尾の日頃の感謝の印の歳暮として受け取って欲しいと話した。美鈴さんは、最初は遠慮をしたが、最後は喜んで受け取ってくれた。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「良かったですね。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。


同じ頃。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


食卓には、焙じ茶が載っている。

敬一は微笑んで居る。

美鈴も微笑んで居る。


敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんの作る蓮根を使ったお節料理が食べられるんだ。楽しみだな。当日まで待てるかな?」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「少しだけ年内に食べる?」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「蓮根は縁起物だよ。楽しみとご利益は、しっかりと来年に向けて取っておこうよ。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。希望の蓮根料理はある?」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんの作る料理は全て美味しいから、お母さんに任せるよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一に喜んでもらえる蓮根料理を作るわね。」

敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴も敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「焙じ茶をいただきます。」

美鈴も敬一に微笑んで話し出す。

「焙じ茶をいただきます。」

敬一は焙じ茶を笑顔で美味く飲んだ。

美鈴は焙じ茶を微笑んで飲んだ。


蓮根は縁起物。

藤田五郎の想い、時尾の想い、勉の想い、敬一の想い、美鈴の想い。

蓮根がたくさんの想いを更にしっかりと見通せるようにした。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

「蓮(はす)」関連についてです。

ハス科。

多年水生草。

「蓮の花」は、夏の季語です。

「蓮の実(はすのみ)」は、秋(晩秋)の季語です。

「蓮根(れんこん)」・「蓮根掘る(はすねほる)」は、冬(初冬)の季語です。

蓮は、根、実、葉、花、などが、食用として利用できます。

万葉集に掲載された歌は、四首あるそうです。

四首共に、仏教時関係なく、綺麗な女性を連想して詠んでいるようです。

「蓮根」は、「蓮」の地下茎です。

食用として利用できます。

万葉の時代は蓮を食用として利用する事は無かったらしく、主に観賞用として利用していたようです。

蓮(蓮根も含む)が食用として利用され始めたのは、鎌倉時代からになるそうです。

江戸時代には、一部の蓮根料理は門外不出となっていたそうです。

古くから食用として利用されている事が分かります。

明治時代初期頃までは、蓮根は高価な食材だったそうです。

明治時代中期以前は、裕福な人達や身分の上の人達は食べていますが、それ以外の人達は、特別な時以外は食べる機会の少ない食材だったようです。

蓮根は蓮田で栽培します。

蓮の花は、7月から8月に掛けて咲きます。

蓮根は少しずつ太くなっていきます。

ある程度の太さやしっかりと太くなると、蓮田から蓮根を掘り出して収穫します。

早生種では梅雨明け頃から掘り出して収穫が始まります。

蓮根の掘り出しの中心になる時季は、晩秋から冬です。

蓮根の旬は、10月頃から翌年3月頃です。

寒い時季が中心になるため掘り出す作業は大変だそうです。

晩生種も含めると、梅雨明け頃から春に掛けて掘り出して収穫が出来ます。

蓮根は穴が開いているので、「先が見通せる」という事で、縁起物として「御節料理(おせちりょうり)」に利用しています。

「蓮の実」は、蓮の種子です。

未熟な物は、甘いので生食で利用されています。

完熟した物は、乾燥してお菓子や料理の材料に利用されています。

漢方や薬膳料理に利用されています。

蓮の調理方法や効能についての詳細は、各自でご確認ください。

「お歳暮(おせいぼ)」についてです。

冬の季語です。

お歳暮は、古代中国の季節ごとに神様にお供え物をするという風習が基になったといわれています。

江戸時代のお歳暮は、武士の間では組頭への贈り物として、商家ではお得意様への贈り物として、結婚をした家の間で、分家から本家への贈り物として、などに利用していたそうです。

血縁関係や血縁関係に近い関係の繋がりとして、日頃の感謝を込めて、などの思いを込めてお歳暮を贈っていたそうです。

明治時代になると、自分達の生活の向上や出世などのために、立場が上の人への贈り物と利用するという状況が増えてきたそうです。

現在では、家族、親戚、友達、会社関係、日頃や過去にお世話になった人、などと人によって贈る対象が様々になっています。

お歳暮を贈る期間は、地域によって変わりますが、新年の準備を始める前(12月中旬)の間に贈っていたそうです。

現在では日付を前後して贈る方もいるそうです。

「歳暮(せいぼ)」は、「年の暮れ。年末。歳末。」と「世話になった人などに年末に贈り物をすること、また、その贈り物。」、の意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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