このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新撰組異聞外伝 ~ 色取り月 蜜柑の香り ~


今は、秋。


ここは、東京。


一日を通して過ごしやすい日が続いている。


今日は、青空に白色の雲が浮かんでいる。


ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。


庭。


美鈴は微笑んで洗濯物を干している。


敬一は微笑んで来た。


美鈴は洗濯物を干すのを止めると、敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。斉藤さんの家に行くね。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「最近、斉藤さんの家に行く回数が増えているわね。迷惑にならないの?」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「迷惑にならないように、訪ねて良い日時を事前に確認をしているんだ。大丈夫だよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「家に上がる時も気を付けてね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。気を付けて行ってらっしゃい。」

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「気を付けて行ってきます!」

美鈴は敬一を微笑んで見た。


敬一は微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、町中。


青空に白色の雲が浮かんでいる。


風が心地良く感じる。


敬一は元気良く笑顔で歩いている。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉、生まれて間もない息子の剛の住む家。


玄関。


敬一は笑顔で元気良く訪ねてきた。


時尾は微笑んで来た。


敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。こんにちは。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「勉君と剛君に、逢いに来ました。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「勉も剛も、部屋に居るの。私も部屋に一緒に行くわ。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一も時尾を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉、剛の住む家。


時尾、勉、剛の部屋の前。


時尾は微笑んで来た。

敬一も微笑んで来た。


時尾は部屋の中に微笑んで話し掛ける。

「敬一君が来たの。今から、敬一君と一緒に、部屋の中に入るわね。」

敬一は部屋の中に微笑んで話し掛ける。

「勉君。こんにちは。今から部屋に入るね。」


部屋の中から、勉の明るい声が聞こえた。

「こんにちは。どーぞ。」


時尾は部屋の中に微笑んで入って行った。

敬一も部屋の中に微笑んで入って行った。


直後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉、剛の住む家。


時尾、勉、剛の部屋の前に在る縁。


勉は笑顔で居る。

剛は床の中で、静かに寝ている。


時尾は部屋の中に微笑んで入った。

敬一も部屋の中に微笑んで入った。


勉は時尾と敬一を笑顔で見た。

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「勉君。げんきだね。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「たくさん。げんき。」

敬一は勉を微笑んで見た。

時尾は剛を微笑んで見た。

敬一は剛を微笑んで見た。

剛は床の中で静かに寝ている。

敬一は時尾を見ると、時尾に微笑んで話し出す。

「剛君と勉君に、逢う時間が楽しみです。」

時尾は敬一を見ると、敬一に微笑んで話し出す。

「いつもありがとう。」

敬一は時尾を微笑んで見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんが部屋に居るの。逢う予定で大丈夫かしら?」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は剛を見ると、剛に微笑んで静かに話し出す。

「剛君。時間があったら、再び来るね。」

剛は床の中で静かに寝ている。

敬一は勉を見ると、勉に微笑んで話し出す。

「勉君。時間があったら、話そうね。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「たくさん。はなす。」

敬一は勉を微笑んで見た。


敬一は部屋の外へ微笑んで出て行った。


僅かに後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉、剛の住む家。


藤田五郎の部屋の前に在る縁。


敬一は微笑んで来た。


障子が普通に空いた。


藤田五郎が部屋から普通に出てきた。


敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。こんにちは。」

藤田五郎は敬一に話し出す。

「早く部屋の中に入れ。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。


藤田五郎は部屋の中に普通に入って行った。

敬一は部屋の中に普通に入って行った。


僅かに後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉、剛の住む家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は普通に居る。

敬一は微笑んで居る。


敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「勉君と剛君に、逢いに来ました。時尾さんが、斉藤さんが部屋に居ると教えてくれました。斉藤さんに逢いに来ました。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。俺に話があるのだろ。早く話せ。」

敬一は藤田五郎を不思議な様子で見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。話がまとまらないのか?」

敬一は藤田五郎を心配して見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。心配する表情になっている。大丈夫か?」

敬一は藤田五郎に困惑して話し出す。

「僕の話したい内容は、たいした内容に該当しません。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺に話したいから部屋に来たのだろ。悩まずに話せ。」

敬一は藤田五郎に微笑んで見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「勉君と剛君に、逢う時がとても楽しみです。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「少し訪問の回数が多いかな、少し訪問する時間が長いかな、などと、心配になる時があります。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「勉は敬一の訪問を喜んでいる。時尾は敬一の訪問を楽しみに待っている。俺も時尾も、訪問の難しい日時は隠さずに教えている。気にするな。」

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。


部屋の外から、時尾の穏やかな声が聞こえた。

「お茶をお持ちしました。」


藤田五郎は障子を普通に開けた。


時尾は、お茶と蜜柑の載るお盆を持ち、部屋の中に微笑んで入ってきた。


藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は、藤田五郎の前にお茶と蜜柑を、敬一の前にお茶と蜜柑を、微笑んで置いた。

敬一は蜜柑を不思議な様子で見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「蜜柑が手に入ったの。少しだけど食べて。帰る時に、少しだけどお裾分けするわ。美鈴さんと蜜柑を食べて。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕はお菓子を幾回も頂いています。みなさんで食べてください。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「私達では食べ切れないの。気にしないで。」

敬一は藤田五郎と時尾に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。蜜柑を頂いて帰ります。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎と敬一を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。


時尾は部屋から微笑んで出て行った。


敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は蜜柑の皮を剥くと、蜜柑を笑顔で美味しく食べた。

藤田五郎はお茶を飲みながら、敬一を普通の表情で見た。

敬一は蜜柑を笑顔で美味しく食べ終わった。

藤田五郎はお茶を飲みながら、敬一に普通に話し出す。

「敬一。俺は蜜柑を要らない。俺の分の蜜柑を食べて良い。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。頂きます。」

藤田五郎はお茶を飲みながら、敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は蜜柑の皮を剥くと、蜜柑を笑顔で美味しく食べた。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉、剛の住む家。


玄関。


藤田五郎は普通に居る。

時尾は包みを持ち、微笑んで居る。

敬一は微笑んで居る。


時尾は敬一に包みを渡すと、敬一に微笑んで話し出す。

「先程の話した蜜柑よ。少しだけど、持って帰ってね。」

敬一は時尾から包みを受け取ると、藤田五郎と時尾に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は包みを持ち、藤田五郎と時尾に微笑んで話し出す。

「失礼します。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

時尾は敬一に微笑んで頷いた。


敬一は包みを持ち、微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


玄関。


敬一は包みを持ち、微笑んで帰ってきた。


美鈴は微笑んで来た。


敬一は包みを持ち、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。ただいま。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お帰りなさい。」

敬一は包みを持ち、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。斉藤さんと時尾さんから、蜜柑をお裾分けでもらったんだ。一緒に食べようよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「夕飯の後に食べる? 先に食べる?」

敬一は包みを持ち、美鈴に微笑んで話し出す。

「夕飯の後に一緒に食べたいな。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「食事の後に蜜柑を食べましょう。」

敬一は包みを持ち、美鈴に微笑んで話し出す。

「お父さんに先に蜜柑を食べてもらいたいな。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。一緒に蜜柑を持って行く?」

敬一は包みを持ち、美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


敬一は包みを持ち、家の中に微笑んで入って行った。

美鈴は家の中に微笑んで入って行った。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで居る。

美鈴も微笑んで居る。

食卓には、蜜柑が載っている。


敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「頂きます。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「頂きます。」

敬一は蜜柑を微笑んで持った。

美鈴も蜜柑を微笑んで持った。

敬一は蜜柑の皮を微笑んで剥いた。

美鈴も蜜柑の皮を微笑んで剥いた。

敬一は蜜柑の皮を剥くのを止めると、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。僕は斉藤さんの家で蜜柑を食べたんだ。蜜柑の皮を剥いたけれど、僕の蜜柑を食べて。」

美鈴は蜜柑の皮を剥くのを止めると、敬一に不思議な様子で話し出す。

「敬一。お腹が一杯なの?」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。斉藤さんと時尾さんは、敬一に蜜柑を食べて欲しいから、斉藤さんの家と敬一の家に、蜜柑を用意したと思うの。お母さんに気を遣わなくて良いのよ。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「分かった。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「僕は先に二個も蜜柑を食べたんだ。蜜柑を半分だけ食べる。残りの蜜柑の半分は、お母さんが食べて。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は皮を剥き終った蜜柑を微笑んで半分に割った。

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に半分に割った蜜柑の片方を微笑んで渡した。

美鈴は敬一から蜜柑の半分を微笑んで受け取った。

敬一は半分の蜜柑を持ち、美鈴に微笑んで話し出す。

「頂きます。」

美鈴は判断の蜜柑を持ち、敬一に微笑んで話し出す。

「頂きます。」

敬一は半分の蜜柑を微笑んで美味しく食べた。

美鈴は判断の蜜柑を微笑んで食べた。

敬一は半分の蜜柑を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。蜜柑湯に浸かりたいな。」

美鈴は半分の蜜柑を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「今日の食べた蜜柑を使って、蜜柑湯を用意するわね。」

敬一は半分の蜜柑を食べながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「楽しみだな。」

美鈴は半分の蜜柑を食べながら、敬一に微笑んで話し出す。

「蜜柑の皮が乾燥するまで待っていてね。」

敬一は半分の蜜柑を食べながら、美鈴に微笑んで頷いた。


数日後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで居る。

美鈴も微笑んで居る。


美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「蜜柑の皮が乾燥したの。今夜、蜜柑湯を用意したいと思うの。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「楽しみだな。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


風呂場。


敬一は蜜柑湯に微笑んで浸かっている。


湯船に蜜柑の皮の入った袋が浮かんでいる。


敬一は蜜柑湯に浸かり、蜜柑の皮の入った袋を微笑んで持った。


蜜柑の香りと湯気が、敬一を包んだ。


敬一は蜜柑湯に浸かり、蜜柑の皮の入った袋を持ち、微笑んで呟いた。

「気持ち良いな。」


蜜柑湯の温かさと蜜柑の香りが、敬一を包んだ。


甘酸っぱくて美味しい蜜柑。

温かくて甘酸っぱい香りの蜜柑湯。

蜜柑の季節は、蜜柑の香りと蜜柑湯の温かさの中で、穏やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は、藤田五郎さんの二人目のお子さんの藤田剛さんが生まれた十月の終わりの頃から十一月の始めの頃の物語です。

物語の中での時間設定は、「新撰組異聞外伝 中編 真澄の鏡 十月桜の咲く中で」に、少し重なる頃から少し後の出来事になります。

「お風呂」についてです。

現在でいう「お風呂」に近い、深く浸かる「お風呂」は、江戸時代に出来ました。

「据え風呂」というそうです。

「慶長年間の末頃」に出来たそうです。

井戸水などから沸かすお風呂だったそうです。

一般の庶民の家に広まったそうです。

普及していたのは「鉄砲風呂」や「五右衛門風呂」だったそうです。

「鉄砲風呂」は、簡単に言うと、鉄の筒に燃えている薪を入れてお湯を温めるお風呂です。

鉄の筒でやけどをしないように、筒を遮るように柵で防護していたそうです。

この形のお風呂は、江戸で主流になっていたそうです。

「五右衛門風呂」は、簡単に言うと、下の鉄釜を熱して温めるお風呂です。

こちらはやけどをしないように、「釜板、兼、底板」を下に敷いてお風呂に入ったそうです。

この形のお風呂は、関西で主流になっていたそうです。

「蜜柑湯(みかんゆ)」についてです。

日陰干しした蜜柑の皮を布袋に入れて、浴槽に浸してお風呂に入ります。

現在の一般的な浴槽だと、20個前後の皮があると良いそうです。

血行が良くなり、保湿効果があるそうです。

蜜柑の皮の成分によって美肌効果もあるといわれているそうです。

「蜜柑(みかん)」についてです。

江戸時代の末期には、既に「蜜柑」を食べていました。

現在は、「蜜柑」と言うと、「温州みかん(うんしゅうみかん)」を想像する方が多いと思います。

当時は「紀州みかん(きしゅうみかん)」の方が、良く食べられていたようです。

最初は「蜜柑」というと「紀州みかん」でした。

「温州みかん」は後から出来た「蜜柑」になります。

当初「温州みかん」は余り広まらなかったようです。

「色取り月(いろどりづき)」についてです。

「色取月」とも書きます。

「木の葉の色付く月という意味から、陰暦九月の異称」となるそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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