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新撰組異聞外伝 ~ 処暑の頃 薄荷が紡ぐ絆 ~


今は処暑の頃。


ここは、東京。


夏のような暑さが続いている。


今は夜。


暑さは和らいでいる。


ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。


縁の傍。


硝子の風鈴が吊るしてある。


敬一は硝子の風鈴を微笑んで見ている。

美鈴も硝子の風鈴を微笑んで見ている。


風が吹いた。


硝子の風鈴が透明で涼しい音を鳴らした。


敬一は美鈴を見ると、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。硝子の風鈴の音は良いね。」

美鈴は敬一を見ると、敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。明日は斉藤さんに剣道の稽古を就けてもらう日ね。しっかりと休んで稽古に備えなさい。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「分かった。寝る準備をするね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。


敬一は家の中に微笑んで入って行った。

美鈴も家の中に微笑んで入って行った。


翌日の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は麦茶を普通の表情で飲んでいる。

敬一は麦茶を笑顔で美味しく飲んでいる。


敬一は麦茶を笑顔で飲み終わった。

藤田五郎は麦茶を普通の表情で飲み終えた。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「ご馳走様でした!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「斉藤さんの稽古を受ける時が楽しみです! 斉藤さんと一緒に居る時は楽しいです!」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に笑顔で話し出す。

「勉君と一緒に居る時も楽しいです! 時尾さんと一緒に居る時も楽しいです!」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を心配して見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に心配して話し出す。

「斉藤さんは僕と一緒に居る時間は楽しくないですよね。一人で盛り上がってしまいました。すいません。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺に遠慮や気遣いをせずに楽しめ。」

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「はい。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を寂しく見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。落ち込んだ気持ちの稽古は、怪我をする。気持ちが落ち着いてから稽古の準備を始める。」

敬一は藤田五郎に大きな声で話し出す。

「僕は落ち込んだ気持ちになっていません! 僕が落ち込んだ気持ちだとしても、稽古の準備は出来ます!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「稽古の道具は、技術の向上、心の向上、様々な良い影響を与える。稽古の道具を感謝して利用しなければならない。刀を含める武具だけでなく、稽古の道具も、大切な人物や本人を守る時に、大切な命を預ける道具だ。今の敬一は未熟だ。今の敬一は直ぐに気持ちを切り替えられない。敬一は、冷静以外の気持ちの時に、命を預ける道具と向き合うのか?」

敬一は藤田五郎に大きな声で話し出す。

「僕は斉藤さんが思うほど未熟ではありません!」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。


敬一は部屋から勢い良く出て行った。


直後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


時尾と勉の部屋。


時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。


勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。けいこ。おわる。あそぶ。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「敬一君には、稽古が終わったら、少し休んでもらうの。敬一君が家に帰るまでに余裕があれば、遊んで欲しいと頼みましょう。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。やすむ。おわる。たのむ。」

時尾は勉に微笑んで頷いた。

勉は時尾を笑顔で見た。


部屋の外から、敬一の早く歩く足音が聞えた。


勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「お母さん。敬一君と一緒に少しだけ話しても良いかしら?」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おかあさん、おにいちゃん。はなす。よい。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「部屋で待っていてね。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「へや。まつ。」

時尾は勉を微笑んで見た。


時尾は部屋から微笑んで出て行った。


直後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


縁。


敬一は僅かに不機嫌な様子で早く歩いている。


時尾の穏やかな声が、敬一の後ろから聞えた。

「敬一君。麦茶のお代わりを頼むために、私を探しているのかしら?」


敬一は驚いて止まった。


敬一は後ろを驚いて見た。


時尾は敬一を微笑んで見ている。


時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「気付かなくてご免なさい。直ぐに麦茶を用意するわ。」

敬一は時尾に慌てて話し出す。

「違います!」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。部屋の外は暑いわね。部屋の中で話しましょう。」

敬一は時尾に慌てて話し出す。

「はい!」

時尾は敬一を微笑んで見た。


時尾は微笑んで歩き出した。

敬一は慌てて歩き出した。


僅かに後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


時尾と勉の部屋。


勉は笑顔で居る。


時尾は部屋の中に微笑んで入った。

敬一は部屋の中に慌てて入った。


勉は時尾と敬一を笑顔で見た。

敬一は勉を僅かに困惑して見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんが敬一君に失礼な言動をしたのね。ご免なさい。」

敬一は時尾に慌てて話し出す。

「斉藤さんは僕に失礼な言動をしていません!」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「安心したわ。」

敬一は時尾に言い難く話し出す。

「時尾さん。時尾さんと勉君の部屋で、時尾さんと勉君と一緒に居ても良いですか?」

時尾は敬一に微笑んで頷いた。

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「いっしょ。」

敬一は時尾と勉を微笑んで見た。


直後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


時尾と勉の部屋の傍に在る縁。


藤田五郎は普通に居る。


藤田五郎は普通の表情で静かに居なくなった。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


藤田五郎の部屋。


藤田五郎は普通に居る。


部屋の外から、時尾の穏やかな声が聞えた。

「五郎さん。部屋で話しても良いですか?」


藤田五郎は障子を普通に開けた。


時尾は部屋の中に微笑んで入った。


藤田五郎は障子を普通に閉めた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君は私と勉の部屋に居ます。敬一君は少し落ち着きました。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君は、敬一君本人の言動のために、五郎さんの稽古が受けられなくなると思って心配しています。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「敬一の気持ちが落ち着いたとしても、今日の稽古は中止にする。俺の発言の関係で今日の稽古が中止になった。敬一の都合に合わせて、今回の代わりの稽古の日を調整する。以上の内容は、俺から敬一に伝える。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お願いします。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「昨日のお裾分けの薄荷。敬一に用意できる量は残っているか?」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君が帰るまでに準備します。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


時尾と勉の部屋。


時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。

敬一は考えながら居る。


時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。五郎さんが敬一君の戻りが遅くて心配していると思うの。五郎さんを許してもらえるならば、五郎さんの部屋に戻ってくれるかしら?」

敬一は時尾に考えながら話し出す。

「僕は斉藤さんに失礼な言動をしました。斉藤さんは僕を心配しているのでしょうか?」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんは敬一君を心配しているわ。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「おとうさん。おにいちゃん。しんぱい。」

敬一は時尾と勉に微笑んで話し出す。

「時尾さん。ありがとうございます。勉君。ありがとう。」

時尾は敬一に微笑んで頷いた。

勉は敬一を笑顔で見た。


敬一は部屋から微笑んで出て行った。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


藤田五郎の部屋の前に在る縁。


敬一は考えながら来た。


藤田五郎が部屋から普通に出てきた。


敬一は藤田五郎に申し訳なく話し出す。

「斉藤さん。ごめんなさい。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を申し訳なく見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。喉が渇いた。時尾に飲み物の用意を頼む。敬一も共に来るか?」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「はい。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。


藤田五郎は普通に歩き出した。

敬一は微笑んで歩き出した。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


玄関。


時尾は微笑んで居る。

敬一は微笑んで居る。


敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「今日もありがとうございました。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「外は暑いわ。気を付けて帰ってね。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」


藤田五郎が包みを持ち、普通に来た。


時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さん。行ってらっしゃい。」

藤田五郎は包みを持ち、時尾に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎と時尾を不思議な様子で見た。

藤田五郎は包みを持ち、敬一を見ると、敬一に普通に話し出す。

「敬一。行くぞ。」

敬一は藤田五郎を不思議な様子で見た。


藤田五郎は包みを持ち、家を普通に出て行った。

敬一は家を慌てて出て行った。


少し後の事。


ここは、町中。


藤田五郎は包みを持ち、普通に歩いている。

敬一は不思議な様子で歩いている。


敬一は藤田五郎に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。何処に出掛けるのですか?」

藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。

「敬一の家に薄荷を届けるために出掛けている。再び薄荷湯に浸かって楽しめ。」

敬一は藤田五郎に不思議な様子で話し出す。

「再び知り合いから薄荷をたくさん分けてもらったのですか?」

藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。

「数日ほど前に分けてもらった薄荷と同じだ。」

敬一は藤田五郎に慌てて話し出す。

「知り合いから分けて頂いた薄荷ですよね! 僕とお母さんは、お裾分けで既に頂きました! 再びお裾分けで頂いたら、斉藤さんと時尾さんと勉君が利用できなくなります!」

藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。

「分けてもらった薄荷の量は多い。敬一と美鈴さんに再びお裾分けをしても大丈夫だ。」

敬一は藤田五郎と包みを考えながら見た。

藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。

「敬一。今回は稽古が出来なかった。今回の代わりの稽古は、敬一の都合に合わせる。敬一の都合の良い日を教えろ。」

敬一は藤田五郎に慌てて話し出す。

「斉藤さんは仕事があります! 斉藤さんの都合に合わせて稽古の日を決めてください!」

藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は包みを持ち、敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。僕は未熟です。先程の発言は訂正します。」

藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は包みを持ち、敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎を心配して見た。

藤田五郎は包みを持ち、敬一を普通の表情で見ている。

敬一は藤田五郎に心配して話し出す。

「斉藤さん。僕は斉藤さんに失礼な言動をしました。お母さんに秘密に出来ません。お母さんから、斉藤さんに迷惑を掛けないために、斉藤さんの稽古を受けないように言われるかも知れません。」

藤田五郎は包みを持ち、敬一に普通に話し出す。

「敬一は俺に失礼な言動をしていない。敬一が美鈴さんに伝える内容は無い。美鈴さんは、敬一が俺達に失礼な言動をしたら、敬一に俺の稽古を受けないように話す前に、直ぐに謝る内容を話す。敬一が心配する出来事は起きない。美鈴さんに余計な心配を掛けるな。」

敬一は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は包みを持ち、敬一を普通の表情で見た。


翌日の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


風呂場。


敬一は薄荷湯に微笑んで浸かっている。


薄荷の入る袋がゆったりと浮かんでいる。


敬一は薄荷湯に浸かり、薄荷の入る袋を微笑んで取った。


薄荷の入る袋と薄荷湯から、薄荷の香りが更に広がった。


敬一は薄荷湯に浸かり、薄荷の入る袋を持ち、薄荷湯と薄荷の香りを、微笑んで楽しんだ。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


美鈴は微笑んで縫い物をしている。


敬一は微笑んで来た。


美鈴は縫い物を止めると、敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。薄荷湯は、とても気持ち良くて、楽しかったよ。次はお母さんが薄荷湯を楽しんでね。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お母さんも薄荷湯を楽しんでくるわね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は縫い物を微笑んで片付けた。

敬一は美鈴を微笑んで見た。


美鈴は部屋から微笑んで出て行った。


処暑の頃は、薄荷湯と様々な優しい想いと共に、穏やかに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからの後書きになります。

「薄荷(はっか)」についてです。

シソ科の多年草です。

高さは、20cm~60cmになります。

長楕円形の葉が互生します。

開花期は、8月~10月です。

葉の付け根に淡紫色の唇形の小花が群がって咲きます。

葉には、メントールが多く含まれています。

料理、薄荷湯、ハーブティー、香料、駆風、芳香胃健、などに利用しています。

薄荷は江戸時代より更に前の時代からあります。

日本に薄荷が着たのは、江戸時代よりかなり前になるそうです。

「薄荷湯(はっかゆ)」関連についてです。

江戸時代には、薬用のお風呂を専門に提供している銭湯があったそうです。

「菖蒲湯」や「柚子湯」は、既にあったそうです。

薄荷湯がいつからあるのかは分かりませんでした。

当時の薄荷の値段と当時の薬用の銭湯専門店で薄荷湯に入る時の値段は、分かりませんでした。

薄荷の値段、薄荷湯に浸かる値段、共に高価な可能性があります。

ご了承ください。

「薄荷湯」の入り方を簡単に説明します。

日陰干しした薄荷の葉を布袋に入れます。

桶などに袋を入れて、熱湯を掛け15~20ほど蒸らします。

袋と煮出したお湯ごと浴槽に入れます。

詳細は各自でお調べください。

この物語の補足です。

「新撰組異聞外伝 月の輝き 薄荷の香り」より後の出来事として書きました。

「処暑(しょしょ)」についてです。

「二十四節気」の一つです。

現在の暦で「8月23日頃」、及び、「前記の日から白露(はくろ)(現在の暦で、9月7日~9月8日)までの期間」です。

暑さが峠を越えて後退し始める頃です。

二百十日や二百二十日と共に、台風の得意日になっているそうです。

秋の季語です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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