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新撰組異聞外伝 ~ 冬至の頃 古を繋ぐ温もり ~


藤田五郎と高木時尾は、祝言を挙げた。


幾つかの月が過ぎた。


冬至が近付く頃になった。


ここは、東京。


一日を通して寒さを感じる日が始まっている。


ここは、藤田五郎と妻の時尾の住む家。


食卓の有る部屋。


食卓には、温かい食事が載っている。


藤田五郎は普通の表情で食事をしている。

時尾は微笑んで食事をしている。


時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「冬至の日は、小豆粥と南瓜の料理を作りたいと考えています。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さん。希望の南瓜料理はありますか?」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通に話し出す。

「任せる。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「私の知る南瓜料理の種類は少ないです。五郎さんの希望の南瓜料理があれば、遠慮せずに教えてください。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通に話し出す。

「時尾の作る料理は美味しい。時尾が知る南瓜料理が食べたい。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「分かりました。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は食事をしながら、藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通に話し出す。

「小豆は縁起物だ。小豆粥を冬至の朝夕の食事で食べたい。」

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「分かりました。小豆粥を朝夕の食事で用意します。」

藤田五郎は食事をしながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで頷いた。


幾日か後の事。


冬至の当日。


ここは、東京。


朝。


静けさに包まれている。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


台所。


時尾は微笑んで料理を作っている。


料理を作る音が台所に穏やかに響いている。


少し後の事。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


食卓の在る部屋。


時尾は食事を食卓に微笑んで並べ終えた。


藤田五郎は普通に来た。


時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「食事の用意が終わりました。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は食卓を普通の表情で見た。


食卓には、小豆粥、南瓜の煮物、豆の煮物、漬物などが載っている。


時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さんは仕事があります。小豆は縁起物ですが、小豆粥のみでは次の食事までにお腹が空きます。朝なので食べ易くて食べ応えのあるおかずを用意しました。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

藤田五郎は食事を普通の表情で食べた。

時尾は食事を微笑んで食べた。

藤田五郎は食事を食べながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は食事を食べながら、藤田五郎を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


台所。


時尾は微笑んで料理を作っている。


料理を作る音が台所に穏やかに響いている。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


玄関。


藤田五郎は普通に帰ってきた。


時尾は微笑んで来た。


時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さん。お帰りなさい。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「先にお酒を楽しみますか?」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「肴を兼ねて、南瓜料理を用意しました。小豆粥は、お酒を楽しんだ後に用意します。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「柚子湯も用意しました。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に僅かに困惑して話し出す。

「五郎さんはお仕事から帰って直ぐなのに、玄関で長話をしてしまいました。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「気にするな。」

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。


藤田五郎は家の中に普通に入っていった。

時尾は家の中に微笑んで入っていった。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


食卓の在る部屋。


藤田五郎は普通に来た。


食卓には、酒、南瓜の炒め物、南瓜の金平、漬物、焼き魚、などが載っている。


藤田五郎は料理を普通の表情で見た。


時尾は微笑んで来た。


藤田五郎は時尾を見ると、時尾に普通に話し出す。

「時尾。小豆粥を食べないのか?」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さんと一緒に、小豆粥を食べたいと思いました。今は五郎さんの晩酌にお付き合いします。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「今日は晩酌を早く終える。食卓に載る料理を食べながら、晩酌に付き合ってくれ。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

藤田五郎は杯の酒を飲みながら、南瓜料理を普通の表情で食べた。

時尾は南瓜料理を微笑んで食べた。

藤田五郎は南瓜料理を食べながら、時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は南瓜料理を食べながら、藤田五郎を微笑んで見た。


幾つもの季節が過ぎた。


藤田五郎と時尾の間に、長男の勉が生まれた。


勉は元気に育っている。


藤田五郎は、沖田総司の息子の敬一、沖田総司の妻で敬一の母親の美鈴、に逢った。


更に幾つかの季節が過ぎた。


今は冬至の少し前の頃になる。


ここは、東京。


一日を通して寒さを感じる日が始まっている。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


食卓には、豪華ではないが丁寧に作った食事が載っている。


敬一は微笑んで美味しく食事をしている。

美鈴は微笑んで食事をしている。


美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。冬至が近付いているわよね。冬至の日に、冬至の七種を使った食べたい料理はある?」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんの作る食事は全て美味しいから、お母さんの好きな料理を作って。」

美鈴は食事をしながら、敬一を微笑んで見た。

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。僕が調理に時間の掛かる料理を希望した時を考えて、希望の料理の確認をしたの?」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一が冬至に食べたい料理があるのに、間に合わない理由で食べられないと、残念に思うわよね。念のために、早く確認したの。」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「さすが。お母さん。」

美鈴は食事をしながら、敬一を微笑んで見た。

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。冬至の日に、食べたい料理を思い出した。」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。遠慮せずに教えて。」

敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「南瓜の金平。南瓜の漬物。食べたいな。間に合うかな?」

美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。

「南瓜の金平。南瓜の漬物。両方とも間に合うわ。」

敬一は食事をしながら、美鈴を微笑んで見た。

美鈴も食事をしながら、敬一を微笑んで見た。


数日後の事。


ここは、藤田五郎と時尾の住む家。


藤田五郎は仕事で居ない。

時尾と勉は、居る。


時尾と勉の部屋。


時尾は微笑んで掃除をしている。

勉は笑顔で居る。


勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。くる。」

時尾は掃除をしながら、勉に微笑んで話し出す。

「敬一君が来る日ね。楽しみね。」

勉は時尾に笑顔で頷いた。

時尾は掃除を微笑んで終えた。

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「そうじ。おわり。」

時尾は勉に微笑んで頷いた。

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「きれい。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。よろこぶ。いえ。あそぶ。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「敬一君が家で気持ち良く楽しく遊んでくれると良いわね。」

勉は時尾に笑顔で頷いた。

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「敬一君にお菓子を用意するの。冬至には早いけれど、南瓜を使ったお菓子を用意したいと思っているの。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。よろこぶ。」

時尾は勉を微笑んで見た。

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「敬一君はお菓子を用意している状況が分かると遠慮するわ。敬一君にはお菓子を出す時まで秘密ね。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「ひみつ。する。」

時尾は勉を微笑んで見た。

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おとうさん。おにいちゃん。あう。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「お父さんには、今日は敬一君が訪れる日だと話しているの。お父さんは仕事の日だから、敬一君に逢えないかも知れないわ。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おにいちゃん。おとうさん。あう。えがお。おとうさん。おにいちゃん。あう。たのしい。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「敬一君はお父さんに逢う時を楽しみにしているわね。敬一君を見ていると分かるわ。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「おとうさん。おにいちゃん。いえ。おくる。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「お父さんが早く帰ってきて、お父さんが疲れていなければ、勉が敬一君を家まで送って欲しいと頼んでいたと伝えるわ。」

勉は時尾に笑顔で話し出す。

「ありがと。」

時尾は勉を微笑んで見た。

勉は時尾を笑顔で見た。

時尾は掃除用具を微笑んで持った。


時尾は掃除道具を持ち、部屋から微笑んで出て行った。

勉は部屋から笑顔で出て行った。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

「冬至の七種(とうじのななくさ)」についてです。

京都の風習と伝えられています。

「冬至(とうじ)」に「ん」が二つ続く七種類の食べ物を食べると、病気に掛からずに過ごせると伝えられているそうです。

「冬の七種」は、「南瓜(かぼちゃ)(※なんきん)」、「人参(にんじん)」、「金柑(きんかん)」、「蓮根(れんこん)」、「銀杏(ぎんなん)」、「寒天(かんてん)」、「饂飩(うどん)(※うんどん)」です。

「冬の七種」は、「運(うん)」・「鈍(どん)」・「根(こん)」に通じ出世すると伝えられているそうです。

「冬至(とうじ)」についてです。

二十四節気の一つです。

現在の暦の12月22日頃、または、現在の暦の12月22日頃から「小寒(しょうかん)(現在の暦で、翌年の1月5日頃)」までの期間をいいます。

北半球では太陽が最も低く、夜が最も長くなる日です。

冬至の日に、柚子湯に入り、小豆粥や南瓜を食べると、風邪をひかないといわれています。

冬至の日に柚子湯に入るのは、「冬至」を「湯治(とうじ)」、「柚子」を「融通が利く。融通良く。」に掛けているといわれています。

古代では、冬至を一年の始まりとしていたそうです。

太陽太陰暦では、十九年に一度、冬至の日が11月1日となる事があるそうです。

これを「朔旦冬至(さくたんとうじ)」と呼ぶそうです。

「朔旦冬至(さくたんとうじ)」は、新月と冬至が重なるそうです。

朔旦冬至の時は盛大に祝っていたそうです。

一番最近の朔旦冬至は、1995年だそうです。

次の朔旦冬至は、2014年だそうです。

冬至の日に南瓜を食べる風習は、江戸時代中期頃から始まったといわれているそうです。

冬至の日に柚子湯に入り小豆粥を食べる風習が始まった時期の確認は取っていません。

2009年~2012年の冬至は、12月21日です。

2013年~2014年の冬至は、12月22日です。

念のためにご確認ください。

この物語の補足です。

藤田五郎さんと高木時尾さんが祝言を挙げた年は、明治七年(1874年)頃と伝わっています。

この物語の前半の時間設定は、藤田五郎さんと時尾さんが祝言を挙げて初めて迎える冬至の頃、藤田五郎さんと時尾さんが祝言を挙げて一年以内、を想定して書きました。

この物語の後半の時間設定は、藤田五郎さんが敬一君と美鈴さんと逢って初めて迎える冬至の前を想定して書きました。

この物語の設定時期に、藤田五郎さんと敬一君は逢っていない設定です。

この物語に登場する、「南瓜の煮物」、「南瓜の炒め物」、「南瓜の金平」、「南瓜の漬物」は、実在するメニューです。

物語設定時より前を含めて、東京や京都で食べられていたかについては調べていません。

調理方法も含めた詳細については、各自でご確認ください。

「古(いにしえ)」についてです。

「過ぎ去った古い時代。過ぎ去った月日。亡くなった人。」の意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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