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ファイルナンバー007:木戸川森林鉄道の欠片 2
〜芝坂隧道〜
(福島県双葉郡楢葉町)
左の画像は木戸ダム工事に伴って行なわれた道路の付け替え状況を図示した看板を撮影したものである。
蛇行する赤い色の線が木戸川森林鉄道(跡)→楢葉町道女平東沢線と思われる。
茶色と黄緑色の線が木戸ダム工事用道路→県道250号線下川内竜田停車場線である。
木戸ダムの建設が決定された後、ダム建設予定現場までの工事用道路が建設された。
平成20年の木戸ダム完成後の現在では、県道250号線下川内竜田停車場線として一般車両の通行が可能になった。
木戸ダムにアプローチする為にはこの「新芝坂トンネル」(しんしばさかトンネル)(延長283m:平成7年竣功)を通る必要がある。
※ 県道250号線について
ファイルナンバー005「誰も知らない木橋と潜水橋」
にも県道250号線が登場する。
本来の県道250号線
と言うルートだったのだが、「不通区間の迂回」と言う名目によって大幅にルートを変え、
竜田駅〜楢葉町井出〜楢葉町女平〜川内村乙次郎(おっとじろう)〜川内村下川内
と言うルートに変更された。
(楢葉町井出〜楢葉町女平間:県道35号いわき浪江線と重複)
(楢葉町女平〜川内村乙次郎〜川内村下川内間:楢葉町道女平東沢線→木戸ダム工事用道路→乙次郎林道(林道改修))
県道を新たに設定せずに、既存の県道のルート変更という方法を経てダム工事用道路は県道へ昇格した。
県道上に架かる「七色橋」(なないろばし)から新芝坂トンネルのダム側の坑口を見る。
ダム工事用の大型車両を通す為だろうか、断面が大きくとられているように見える。
「新」芝坂トンネルがあるという事は、当然「旧」芝坂トンネル(隧道)もあった。
新トンネルの脇には使われなくなった旧トンネル(隧道)がひっそりと佇んでいる。
…新トンネルの傍ら、少し奥まった場所に「芝坂隧道」が残されていた。
森林鉄道を出自とする隧道独特の断面をしている。
坑口両脇の切り通しが隧道の雰囲気を盛り上げている。
あれ…バリケードが壊れている。
以前(平成17年頃)来た時は厳重に封鎖されていたのに…
向こう側の光も見える。
…とりあえず入ってみよう。
芝坂隧道の内部は至って平穏だった。
坑口から10m程の間はコンクリートで巻き立てられている。
通過する車はもはや無い筈なのだが、道床は固く締まっており、徒歩による通行に不便は感じられない。
コンクリート巻き立て部分が終わると、ご覧のように素掘り+モルタル吹き付けに内部が変化する。
森林鉄道廃止後、隧道はかなり拡大され一般車両が通行できるようになったと言う。
恐らくは拡大時に現在のような形態になったものと思われる。
向こうの坑口もバリケードが一部欠損しており、通り抜けは出来そうだ。
向こうの坑口付近もコンクリートで巻きたてられている。
隧道が車道として現役であった頃は、隧道内での鉢合わせを防ぐために入り口手前でライトをパッシングして対向車の有無を確認したそうである。
元の地点に戻り、振り返ると使われなくなった遊歩道のようなものが見えた。
これは恐らく木戸川森林鉄道跡(町道)であろう。
県道に役割を譲った道はゆっくりと木に覆われていく。
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