このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

導入編 3〜高瀬川と出逢う〜

 

 

 

 

大堀小学校を通り抜けると、軌道はどうしたことかやや北向きに転進し高瀬川から離れていく。

先ほど袂を判った上の原丘陵に復帰しようというのか?

奥に見える集落に向かっているようにも見えるが…

 

先ほどの二又分岐と同じように、道には不釣合いな程の電柱が設置されている。街路灯もある。この道もやはり大堀小学校からの通学路

として活用されているようだ。

 

山肌もその距離を僅かながらも詰めてきているようだ。

 

 

 

 

 

またもやSカーブである。今度はガードレール付である。

急速に高瀬川から距離を取っていく。

森林鉄道の目的からすれば、このような軌道の敷設は不可思議とも思える。

森林鉄道は木材を運ぶのみならず、地域に住む住民を浪江駅に送ると言う側面を持っていたとされる。大堀小学校前を通り、更に急なSカーブでもって旧大堀村の中心地にその進路を変えている。

軌道敷設時には多少なりとも大堀村の意向が働いていたのではないだろうか?今現在でもこの写真の位置から徒歩で浪江駅に行くには4〜50分を見積もらなければいけない。ご老人や子供ではもっと時間が掛かったことであろう。

森林鉄道敷設は大堀村にとっても渡りに水。少々の寄り道程度は許容範囲だったのだろう。

 

 

ここからはいよいよ浪江町が誇る「大堀相馬焼」の里に分け入っていく。

 

大堀相馬焼は釉薬(ゆうやく)の作用によるひび割れ模様が、えもいわれぬ風情を醸し出す陶器として全国的にも有名である。

 

大堀地区には大小の陶器店が点在し、多種多様な陶器を買い求めることが出来る。もちろん陶芸教室なども開かれており、総合的に陶業を学ぶことが出来るだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sカーブの後しばらくすると、軌道は急に西に向きを変えご覧のような景色が展開する。

今までの町道とは趣を異にするようだ。…というか、右端に見切れている農家への取り付け道路にしか見えない。

しかしながら農家の前を過ぎてからも舗装された道が緩い左カーブを描いていくので、ここが軌道跡と見て良いだろう。

自転車に乗り、撮影しながら前進を敢行する私に奥の軽トラの老人は少々怪訝な目を向けた。恐らくは農家のご主人であろう。

 

 

ちょっと通ります…

 

 

 

 

農家の前を通りすぎ、右手に木立を見ながら進むと右カーブが現れる。雰囲気満点ではないだろうか。

道路の幅はいよいよ狭まり、軽自動車1台分の幅くらいしかない。とはいえ、ここの道を使用する人は殆どが上↑の画像の農家に用事があるのであろうから特に問題はないのであろう。

向こうから誰も来ないのを確認して写真を撮影…もし自動車か何かが来たら大変間の抜けた正面衝突になることであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 小集落を抜けると、軌道は僅かにカーブを描き2車線の立派な道路と交差する。

 

交差する道路は県道「いわき浪江線」である。いわき市内の国道6号線より分岐し、山林を縫うようにして気持ちの良い道が続いている。

 

地元では「山麓線」と呼ばれ親しまれている。

 

この交差点からいわき市内まで1時間程度で着いてしまう。右折すれば国道114号線までは10分足らずだ。

 

 

 

 

 

 

もし、このHPを見て「私も行ってみたい!」と思ったならば、目印はこの看板である。

 

森林鉄道の軌道跡はこの先県道253号「落合浪江線」と名を変え葛尾村に通じていく。川の流れや森林を愛でる心のある方ならこの道はきっと期待に応えてくれる。

 

もし、急ぎの用事が葛尾にあるならば、このまま直進し国道114号を上がって南津島地区を経由して村に行くのが賢明である。

 

 

 

 

 

 

 

 

この先軌道跡はその森林鉄道たる本領を発揮し私たちに「道」の使命が何だったのかを静かに語りかける。

今までの景色から一変。それはそれは見事な渓谷と森を縫っていく。

僅かに残った鉄道の痕跡が私たちに感動と感激、驚愕を与えてくれる。

 

導入編 終了

 

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