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渓谷編 1
〜迫る山肌〜
県道35号線から県道253号線に入る。
福島県ではこの3段式の青看が基本的なようだ。
ここから森林鉄道終点の落合まではまだ22kmもあるのだ。
県道はしばらくの間はごく普通の2車線道路になっている。
道路脇には陶器店が点在する。もちろん店頭販売もしている。
陶器店巡りもまた楽しい。
陶器店のある大堀集落を抜けると、県道は急速にその幅を狭める。
軌道跡はこの県道ではなく、画像右側に写る築堤状の場所のようだ。
築堤を辿って行くと…
ご覧の様に石垣で固められた立派な築堤が目に入る。
これは恐らく森林鉄道の軌道跡であろう。
築堤の幅は狭く、現在の交通事情には即していない事が分かる。
築堤と県道は画像の地点で合流する。
合流地点には山肌を僅かに削って設えた祠があった。
県道のそばには山が迫ってきた。
軌道跡は山肌と高瀬川の僅かな隙間を縫うように通されていた。
道路はごく僅かな上り坂だ。
日差しも充分。気分良好な道だ。
山肌に取り付いた軌道跡は森林鉄道らしい表情を見せる。
僅か50年前にはこの場所をディーゼル機関車に率いられた木材列車が下りてきたのだ。
大正時代にはトロッコが単行で運搬手のスピード調整のみで下りて来たという。
しばらく進むと年季の入った橋が見えた。
名は「小丸橋」と言う。
親柱には「浪江営林署」の銘盤が誇らしげにはめ込まれている。
小丸橋は森林鉄道を車道化する際、営林署の手で施工が行われたものと考える。
橋を渡り、反対側の親柱を見ると「昭和34年1月竣功」と書かれていたであろう銘板があった。
現在では県道として福島県の管理下に置かれているが、森林鉄道から県道に移行するまでは営林署が管理していたのであろう。
小丸橋の下を覗く。
橋脚は川面から2〜3mは石積みになっている。その石積の上に現在の小丸橋の基礎がコンクリートで作られている。
わざわざ作り直す必要が無い程森林鉄道の橋脚は強固だったのだろうか。
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