古巻 和芳+夜間工房 [日本]
Kazufusa Komaki + Nocturnal Studio [Japan] 繭の家−養蚕プロジェクト
Cocoon House - Sericulture Project かつて養蚕を営んでいた空家を使った作品。
作品の展示されている2階には、繭を用いた幻想的な作品が展示されている。
この作品のために養育された繭と、場の持つかつての記憶が融合し、昇華していく作品。 「繭の家」と名付けられた、作品の展示されている家屋に入ると、「どうぞ」と、こへび隊の方が2階へと案内して下さいました。
何となく懐かしい、少し急な階段を上がると、真っ暗な空間にいくつか作品が展示されていました。
まずは、市松模様のように繭が鮮やかに並べられた作品が目を引きます。
その手前には箱があり、中からさらさらと音が聞こえます。
「この音は、蚕が桑の葉を食べる音なんです」と、こへび隊の方が説明して下さり、「開けてみて下さい」とのことでしたので、おそるおそる開けてみると…。
ぜひ皆さんも作品を訪れて、開けてみて下さい。
次に、こへび隊の方に案内された方へ行くと、壁の隙間から差し込む光が照らす、小さな赤い箱がありました。
蓋を開けると、その底には、真っ白に彩られた冬景色でしょうか、繭で作られたこの集落のジオラマが広がっていました。
話によると、つい昨年、かつて養蚕をされていらした、この家のおじいさんが亡くなったとのことで、天からこの集落を眺めた様子を再現したとのことでした。
そして、その隣りには、繭玉が天昇していくような、幻想的な作品が展示されていました。
これも、おじいさんに捧げる作品とのことでした。
過去と現在を蚕が結びつける空間に感動しました。
狭い空間に、これほどまでに様々な思いが凝縮された空間というのは、初めての体験でした。
作品を堪能し、1階へ下りると、集落の方がもてなしてくれました。
茶の間の一角には、繭玉が積み重ねられており、また、テーブルの上には、繭玉を使った人形が置かれていました。
集落の方々も、久しぶりの養蚕を楽しまれているように感じました。 2006年作品
蓬平 空家
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