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大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 十日町 −その18−

2006年7月23日撮影
2006年7月23日撮影

小川 次郎/日本工業大学小川研究室 [日本]
Jiro Ogawa/Ogawa Laboratory,
Nippon Institute of Technology [Japan]

マッドメン
Mudmen

モミガラパークに新たに設置された作品。
ゴツゴツといびつな形をしている。
しかし、よく見ると、なるほど、人々が両手を広げ、手を取り合っている姿が見えてくる。
その空間に入ると、手を取り合う人の向こうには緑が見え、何だかホッと一息のつける、優しい空間に感じました。

「2007夏 越後妻有 大地の祭り」期間中、作品を訪れました。
作品では、8月8, 9日に「マッドメン コスプレコンテスト」が行われ、マッドメンたちは、その時に作られた服を着ていました。
なかなか素敵な服を作ってもらったようで、マッドメンたちが喜んでいるようにも見えました。

2006年作品
鍬柄沢
常設

2006年7月23日撮影
2006年7月23日撮影
2007年8月12日撮影
2007年8月12日撮影
2009年8月8日撮影
2009年8月8日撮影

小川 次郎/日本工業大学小川研究室 [日本]
Jiro Ogawa / Ogawa Laboratory,
Nipponn Institute of Technology [Japan]

みらい
Future

民家が取り壊されてできた空き地に、集落に設置されていた火の見櫓を移設し、その火の見櫓を中心として作り上げていった広場。
道端に山積みされていた資材を利用しているという。
七夕飾りや鉢植えの花々、朝顔など、集落の人々とともに、静かだった空間をにぎやかな広場に作り上げていった。
そして、そのにぎやかな広場には、人々が集い、再びにぎやかな声に包まれた。

2009年作品
鍬柄沢

2009年8月8日撮影
2009年8月8日撮影
2006年8月12日撮影
2006年8月12日撮影

アイシャ・エルクメン [トルコ]
Ayse Erkmen [Turkey]

ここで何が起きたのか
What Happened!

外見は、この辺りにある一般の民家である。
一体、「ここで何が起きたのか」と、訪れた者は不思議に思う。
玄関を空け、中に入る、特段何ともない。
靴を脱いで、部屋の中に入ると…、その荒れ果てた空間に、「ここで何が起きたのか」を、にわかに理解することができない…。
破壊された食器、崩れ落ちた壁、足の踏み場もないほどに物が散乱した部屋、そして、2004年10月のカレンダーと、5時56分で止まった時計…。
それに見舞われてから、時が止まってしまった空間…。
訪れた者は、次第に「ここで何が起きたのか」を知ることとなる。
作品は、「平成17年新潟県中越大震災」に見舞われた家屋をそのまま展示している。
意識せずとも流れている「時」というものを、止まってしまった「時間」と「空間」で感じる作品。

震災における被害というものは、目を背けたくもなり、逆に、目に焼き付けておかなければならないという気持ちにもなります。
正直、この作品を見ていて、「これは、果たして作品なのか。事実ではないか」と自問自答をしていました。
設置された通路に沿って一通り歩き、改めて動きの止まったカレンダーや時計を見ていると、次第にこの空間に蓄積された「時」というものが感じられるようになってきました。
その「時」は、長く、重いものでした。
家屋の外に出ると、正面に伸びたツタだけが、この家屋の中で今を生きている、そんな気がしました。

2006年作品
池沢 個人宅
第3回期間中のみ

2006年8月12日撮影
2006年8月12日撮影
2009年8月8日撮影
2009年8月8日撮影

石塚 沙矢香 [日本]
Sayaka Ishizuka [Japan]

うかのめ
rice deity

「うかのめ(稲魂女)」とは、「食物をつかさどる神」のことだという。
作品の展示されている民家に入ると、天井から真っ白な筋が幾筋も下がっている。
真っ白な筋をよく見ると、それは、お米が一粒一粒、糸に接着されて作られた、「米の糸」であることがわかる。
「米の糸」とともに、この空家に残されていた道具や農具が吊るされている。
もしかしたら、これらの道具や農具が、「うかのめ」の手によって、神々の世界へと導かれようとしている瞬間なのかもしれない。

「第4回大地の芸術祭」期間中の8月8日、作品を訪れました。
作品の展示されている空家は、「第3回大地の芸術祭」で「ここで何が起きたのか」が展示されていた家屋であり、まずは、この家屋が残されていたことに驚きました。
しかしながら、この家屋を前にすると、否が応でも、3年前の展示、そして、新潟中越大震災のことを思い出さざるを得ませんでした。
おそるおそる家屋に入ると、3年前の荒れ果てた屋内は、当然といえば当然ですが、すっかりきれいになっており、ほっとしました。
そして、それだけではなく、「米の糸」の凛とした感じが、空間を引き立てており、その間に吊るされている道具や農具に対する、尊敬のようなものを感じました。

2009年作品
池沢 空家

2009年8月8日撮影
2009年8月8日撮影
2006年8月12日撮影

ドミトリ・グトフ [ロシア]
Dmitry Gutov [Russia]

掛け軸
Scroll

里山の風景の中に掛けられた、大きな掛け軸。
「遠い昔の思い出」が書かれた掛け軸が、ゆらゆらと風に揺れている。
集落のお年寄りとの、協働プロジェクト。

とても心地よい作品でした。
残念だったのは、雨の後で訪れたため、掛け軸がよじれてしまっていたことです。

2006年作品
池沢
第3回期間中のみ

2006年8月12日撮影
2006年8月12日撮影

安 奎哲(アン・ギューチャル) [韓国]
Ahn Kyu Chul [South Korea]

記憶の扉
Doors of Memories

船坂の集落に現れた、全面を引き戸で囲われた家。
家の内部も、色々な引き戸で部屋が区切られている。
その引き戸に刻まれた傷や色褪せたシールなど、引き戸の持つたくさんの記憶がこの空間に留まっている。
過疎と震災で寂しくなった集落の中で、かつての喧騒と団欒を感じる空間。

2006年作品
船坂
第3回期間中のみ

2009年8月8日撮影
2009年8月8日撮影

アントニー・ゴームリー [イギリス]
Antony Gormley [UK]

もうひとつの特異点
Another Singularity

作品名の「もうひとつの特異点」は、「宇宙の起源」を意味しているという。
作品の展示されている家屋に入ると、柱や梁がむき出しになっており、その広々とした空間の床から天井まで、何本もの紐が空間に交錯している。
ふと、中心部に、紐の交錯だけではない、何かの形が作られているのがわかる。
それは、紐の交錯する空間に身をゆだねるような、ゴームリー氏の姿だという。

第4回期間中の8月8日、作品を訪れました。
しばらく坂道を上り、作品の展示されている家屋に着きました。
外からは全く中がどうなっているかわかりませんでした。
早速、家屋に入ると、まずは、その空間に驚きました。
本来、壁や床によって繋がることのなかった空間が、作品のために壁や床が取り払われ、紐によって繋がっているということに、不思議な感覚を覚えました。
色々な方向から作品を眺めていると、その中心部に人影が見えるような気がしてきました。

2009年作品
二ツ屋 空家



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十日町 -その17-
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