武藤 亜希子 [日本] Akiko Muto [Japan]
無くしものテント Lost articles tent
人々の記憶の底に埋もれている「失われたもの、できごと」を紙に書き、テントのポケットに入れていき、人々の記憶に包まれるテントを作っていく作品。
「昔は日常的にあったけど、今はなくなってしまったもの」や「今は語り継がれなくなってしまった昔話」などを集めるコンセプトとしての作品は、とても興味深いものがありました。 しかしながら、作品を訪れた時、その多くが「○○がなくなった」とか「○○を忘れてしまった」といった、コンセプトとちょっと違ったものが多かったことが残念に思いました。
2009年作品 「越後妻有交流館・キナーレ」 回廊北
原 游 [日本] Yu Hara [Japan]
Indirect Mail 時間差レター Indirect Mail
越後妻有交流館・キナーレに設置されているIndirect Mailポスト。 このポストに専用の往復葉書を投函することにより始まる作品。 普通の郵便と同じように往信先に届いたIndirect Mailに返信すると、返信先には2009年に届く。 その時間差が、今から想像する未来と、未来から振り返る今を結びつける。 2009年とは、3年後に第4回の大地の芸術祭が開催されることを願うものでもある。
2006年作品 「越後妻有交流館・キナーレ」 回廊北 第3回期間中〜
Sleeping Mail 時間差レター2 Sleeping Mail Time Difference Letter II
キナーレの正面入り口から中に入ると、今回も大きなオレンジ色のポストが出迎えてくれる。 今回は、専用の絵葉書に描かれた7通りのデザイン毎に、異なった時間を経た(寝かされた)後に配達される。 その「寝かされる」時間には、「植物の種を蒔いてから花が満開になるまで」、「越後妻有に雪がつもるまで」、「風船を膨らませてからしぼむまで」といった、何となく時間がわかるようなものから、「雨で水瓶のかさがいっぱいになるまで」、「街で1から100までの数字を見つけるまで」といった、誰にも予測のできないもの、そして、「サンタクロースがくるまで」「紙粘土の猫に毛がはえそろうまで」といった、ファンタジーチックなものまで色々とあり、その時間の経過は、専用のブログで見ることができる。 ある時間が経過すれば配達されるという明瞭さと、いつそれが達成されるか分からない曖昧さを楽しむ作品。
2009年作品 「越後妻有交流館・キナーレ」 回廊北 第4回期間中〜
鈴木 えみ [日本] Emi Suzuki [Japan]
TSUMARING TSUMARING
「歩くことが好きな作家」と紹介されている鈴木氏。 会期中、妻有の地を歩きながら、地図に大きな輪(RING)を描こうという作品。 毎日加えられていく写真と、道端に置かれていったオレンジ色の糸をまとめたものから、鈴木氏の足跡を感じ取ることができる。 7月21日にスタートした「TSUMARING」は、8月27日にゴールされ、一つの輪が描かれた。
歩いて大きな輪(RING)を描くというのは、とても素敵な作品だと思いました。 直接、お会いしたり、見掛けることはかないませんでしたが、仕事中にふと「今も歩いていらっしゃるんだろうか」と考えたりしました。 この「TSUMARING」という作品名は、「RING」という意味はもちろんであるとともに、「-ing」という現在進行形にも見えてくるような気がしました。 鈴木氏が、「今まさに、妻有を歩いている、体感している」という作品でもあったように思います。
2006年作品 「越後妻有交流館・キナーレ」 回廊北・越後妻有広域 第3回期間中のみ
中村 未歩 [日本] Miho Nakamura [Japan]
絶対交換会 Absolute Exchange Gathering
絶対交換会とは、来場者から私物を提供してもらい、その代りに、その前の来場者が提供した私物を受け取るという交換会。 交換会が行われる日には、作者自らが扮する「白犬 たまみ」が、来場者を出迎えてくれた。
初め、「あれ、どこかで見たことあるな」と思い、記憶をたどってみると、そういえば、前年の「大地の祭り」のときに、農舞台でお見掛けしたのを思い出しました。
最終日の夕方、キナーレを訪れると、まだまだ来場者が訪ねており、絶対交換会を行っていました。 心なしか、たまみさんは寂しげに見えました。
2009年作品 「越後妻有交流館・キナーレ」 回廊北 第4回期間中のみ
ナウィン・プロダクション有限会社 (ナウィン・ラワンチャイクン) [タイ] Navin Production Co.Ltd. (Navin Rawanchaikul) [Thailand]
こへび物語 A Tale of Little Snake
一匹のこへびにまつわる絵本、「こへびものがたり」。 この絵本の挿絵でデザインされた、越後妻有交流館・キナーレに会期中のみ設置されている「こへびCafe」。 とても優しい絵が、この空間を優しく包んでいる。 小学生とのワークショップの記録も展示されている。 この「こへび物語」という作品名には色々な意味が込められているように感じる。
2006年作品 「越後妻有交流館・キナーレ」回廊北 「こへびCafe」 第3回期間中のみ