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北京・西安調査 6  
2009年11月7日() 6日目   <西安(華清池、兵馬俑)、西安→北京、北京(シュウマイ、北京駅)>


<華清池と兵馬俑>

 6時起床。広い部屋に一人で寝ると、遅刻してしまうのではないかという恐怖感から早く目が覚めてしまいます。貧乏性も困りものです。さて、調査は前日で終わり、残り二日は飛行機での移動のみになりました。かなりお気楽気分です。しかし出発は朝8時と、結構な早さだったりします。まあせっかく来たから観光はしておきたいもの。西安なんて、次いつ来れるか分かったもんじゃないし。ということで気合を入れて、6時半の朝食開始とともにバイキング会場へ行き、華洋折衷の朝食をいただきました。ここのホテルの朝食はおいしいです。


<朝の鐘楼>

<本日の朝食>

 北京行きのフライトは夕方なので、それまでは西安近郊の観光をすることに。8時にホテルをチェックアウトして、貸切バスで西安市街から東へと向かいました。当たり前のようにバスの中ではぐっすり。けたたましいクラクションの音も、慣れると最早子守唄です。気が付くと1時間後、最初の目的地である華清池に到着。

 西安から東へ約30kmの位置にある華清池は、秦の始皇帝が離宮を設け、唐代に玄宗皇帝が豪華な「華清宮」を設けた場所。天然温泉が湧くこの場所で、玄宗皇帝と楊貴妃は簡単に言うといちゃいちゃしていたわけです。さらには1936年、裏の山に蒋介石が隠れたことで有名な「西安事件」の舞台となった場所でもあります。舞台となった裏山に上るためのロープウェイもありましたが、今回は残念ながら時間がないのでパス。休日ということもあってか、観光客が多かったのには辟易しましたが、1時間ほど園内を見物してきました。


<華清池>

<楊貴妃の像>

<ホットスプリングが湧く>

<昔は池も温泉の湯で満たされたらしい>

 園内には玄宗皇帝や楊貴妃専用の浴室が残されています。遺構が発見されたのは最近のことのようですが、当時はもっと巨大で、大理石で造られていたそうです。さすがにコンクリートむき出しの風呂には入らないか。楊貴妃の風呂の浴槽が深いのは、楊貴妃の髪が長かったからでしょうか。

 臣下専用の大浴槽はプールのように大きいですが、その周りを囲むように、物語風に楊貴妃と玄宗皇帝の歴史解説がありました。中国語で書かれているので一人だと分かりませんが、留学生のMさんが丁寧に説明してくれたお陰で良く分かりました。そう言えば、高校生の時に世界史でやったことを思い出します。安史の乱とか楊国忠とか開元の治とか。僕の場合、受験で世界史を選択しなかったので(センター日本史、2次日本史&地理というレアな組み合わせを選択したので)、世界史の知識は遥か彼方ですが、高校1年生当時の記憶が少し蘇りました。


<玄宗皇帝と楊貴妃専用の浴槽:蓮花湯>

<臣下専用の大浴槽:星辰湯>

<楊貴妃専用の浴槽:芙蓉湯>

<43度とちょうど良い温度の源泉>

 園内には八居易の「長恨歌」全文の石碑があり、これで昔の漢文の授業も思い出しました。いたなあ、白居易。高校の頃のお勉強はこう言うところで役に立ちそうです。楊貴妃は安史の乱の責任を取って、最後は自殺に追い込まれますが、死なずに逃げて日本にやってきたという説もあります。その楊貴妃の墓が、僕の故郷下関にも近い、山口県北部の向津久(むかつく)半島にあったりしますが、本場の遺構を見るとそういうことを言うのは何か申し訳ないような気がしてきます。何と言うか、スケールの大きさが違う。

 園内には見どころが多いので、1時間という時間は結構短く感じました。次に来る機会があったら、ゆっくり温泉に浸かりたいものです。純一君(=北京からついてきた謎の院生)が名物の柘榴を皆に買ってくれて、この辺りで彼は若干変だけど根は良い奴なんじゃないかと思い始めました。三日間同じ服を着続けているのでやっぱり若干変だとは思いますが。


<蓮の形をかたどった源泉の手湯>

<この辺りの名物、柘榴(1元)>

 再びバスに乗り、次は華清池からも近い兵馬俑へ。華清池は知らなかったけど、世界遺産である兵馬俑は僕でも知っています。秦の始皇帝の墓を守るために造られた、無数の人形兵士達。今回時間的に兵馬俑はちょっと無理かなと思っていたので、訪れることができて嬉しい場所です。兵馬俑はかなり広く、「入り口から展示場までは歩いて30分かかる」と説明されています。5元でカートに乗れるそうなので、お金を払って乗りましたが、カートで2分程度で着いてしまいました。明らかに歩いて30分はウソだろ。。狡い商売するなあ、全く。


<園内は広いのでカートで移動>

<まずは1号坑>

 まずは体育館のような1号坑。写真で見たことのある風景が目の前に広がります。実際にこの目で見ると、その広さと圧倒的な迫力を感じます。この人形達は、どれ一つとっても同じ顔がないそうです。これだけのものが自分の足元から発掘されたら、そりゃびっくりすることでしょう。

 続いて2号坑。1号坑は歩兵中心で前線の下級兵士という位置付けのようですが、対して2号坑は弓やカンフー(?)の達人っぽい人形がある、ちょっと上級兵士の人形が発掘・展示されている場所でした。大きな解説では中国語と英語に並んで、「秦の夢物語り」という日本語があり、日本人観光客が多いことを伺わせます。人形の靴の裏の滑りどめまで事細かに造られていて、一体造るのにどれほどの時間がかかったのか、そしてさらにこの全体の人形を作るのにどれだけの時間がかかったか。考えると気が遠くなりそうです。


<2号坑>

<2号坑内部>

 続いて博物館。発掘してから8年間かけて復元したという馬4匹と馬車の展示や、発掘作業の様子・方法が展示されていました。しかし一番謎だったのは、入ってすぐのところにあった兵士の人形と女の子の人形が手を繋いでいる展示です。大きさの比較だそうですが、兵士が大きすぎるので、どこをどう比較していいのかが良く分かりません。あと、女の子の髪形や洋服が戦時中から戦後すぐにかけての日本の女の子のようで何とも。。目だけがやけにリアルで怖い。


<博物館>

<馬四匹と馬車>

<実際の大きさ比較>

<戦前の日本人みたいな人形>

 最後は3号坑。3号坑は権力の中心に近い場所に当たるそうです。しかし首のない人形が多く、ちょっと不気味でもあります。


<3号坑>

<中心部に近いらしい>

 兵馬俑の人形が作られたのは秦の始皇帝の時代で、今から2200年前のこと。日本ではまだ弥生時代前期から中期に当たるころで、その当時にこれだけの技術で、これだけの規模のものが作られたことは驚愕に値します。日本で埴輪や古墳が作られたのはそれから600年も後の話。やっぱり中国はすごいですね。時間がなかったので1時間半の見物時間でしたが、いいものを見せてもらいました。今度来た時は始皇帝の墓にも行ってみたい。

 昼食は兵馬俑近くの「老孫家飯荘」。イスラム料理である羊肉泡モーの有名な店だそうです。西安はシルクロード東端の地であり、イスラム教徒も多いため、羊肉も頻繁に食べられるそうです。今日の夜は機内食で、明日の昼は自由時間ということで、今回最後のくるくるテーブルでの食事になりました。


<老孫家飯荘>

<今回最後のくるくるテーブル>

 食事は当たり前のようにビールと共に。この調査のよいところは、昼間からビールが飲めることです。。先生達が率先して飲んでくれるので、学生の僕らとしてもありがたい。写真の通り、基本的には緑の野菜を中心としたヘルシーな昼食でした。大量の食事で胃が疲れている体にはありがたい。A4が有名な羊肉泡モーで、羊の肉と骨で取った出汁に、ちぎったパンを入れて食べる(というか飲む?)独特のスープ。僕は羊が苦手ですが、このスープはあっさりしていて、パンにスープの旨味が染み込んでおり、おいしく食べられました。食感も良い。B4は鳥をまるごとローストしたもの。これもおいしい。

ABC
1
2
3
4

 1時間の昼食の後は、バスに乗って1時間かけて西安咸陽空港へ。空港到着が3時半で、フライトは5時半。搭乗まで1時間半近く時間があったので、空港内をうろうろと散策して過ごしました。北京の乾燥と寒さで、結構な人が喉方面を中心として体調を崩しており、実は僕もこの日の朝くらいから喉が猛烈に痛くて仕方なくなってきたところでした。あと一日とはいえ、ここで体調を崩しては困るので、一昨日辺りから風邪薬を服用し始めたところでしたが、僕の携帯薬セットには一番必要な喉飴がありません。ということで空港の出発ゲートにある薬局で中国の喉飴を買いました。16個入りで8元(=120円)。店員さんにはもっと高い24元(=360円)の喉飴を進められましたが、まあとりあえず喉をうるおしておきたいだけなので、安さを追求しました。たった240円程度をケチるのはせこい気もしますが・・・。留学生の人達はみんな高い方を買っていたしなあ。


<西安咸陽国際空港>

<国内線のチケット>

 今回も中国国際航空便。出発は5時25分でしたが、またしても10分くらい早く離陸しました。中国恐るべし。行きの機内食がまずかったので、今回は機内食をパスして、到着後北京で夕食を、と思っていましたが、帰りの機内食は思った以上においしくてびっくりしました。お陰で全部食べてしまった。北京発と西安発で、作っている工場が違うということでしょうか。


<夕日が機内に差し込む>

<案外おいしかった機内食>

 北京首都国際空港には7時20分到着予定でしたが、着陸は何と6時50分。30分も早い到着です。中国国内線は遅延は当たり前と聞いていましたが、逆に早く出発・到着したので驚きでした。空港からは貸切バスに乗り、再びノボテルシンチャオホテルへ。


<北京に到着した中国国際航空便>

<北京空港のバス乗り場>

<北京の夜 前門と北京駅>

 8時半にホテルに到着してチェックイン。最後の夜は機内食で夕食を食べたため、残り時間はフリーです。純一君(=西安についてきた謎の中国人院生)が前門を案内してくれるというので、学生陣は地下鉄に乗って前門へ。初日は午後明るい時間に訪れた前門ですが、夜の前門は初めてです。ライトアップが美しい。本当に綺麗になった。


<夜の前門>

<夜の前門大街>

 機内食だけで小腹がすいたので、北京を代表するシュウマイの名店「都一処(といっしょ)」へ。清の乾隆帝がお忍びで訪れたこともある店です。3年越しでようやく来ることができました。店に入ったのが9時過ぎで、営業時間が10時までということで、「没有」(売り切れ)の品が多かったですが、まあ機内食を食べていたので、スープにシュウマイ4種類でちょうどよかったかと。ビールは間違ってアルコールフリーを注文してしまいましたが、中国のビールは元々あっさりしているので、アルコールフリーでもほとんど変わらない感じです。シュウマイは一個一個が大きくて、食べ応えがあります。個人的には豚シュウマイが一番おいしかった。あと、やっぱり羊は苦手です。


<ようやく来れた都一処>

<きのこスープ>

<豚シュウマイ>

<多分何かの肉のシュウマイ>

<羊肉シュウマイ>

<野菜シュウマイ>

 純一君の先輩に当たり、日本にも留学した経験があるという女性もいらして、食後はしばし夜の前門大街を散策。10時過ぎという時間にも関わらず、綺麗なライトアップで、本当にテーマパークのようです。


<夜の前門大街>

<煙る夜の前門大街>

 11時頃ホテルに戻り、純一君とお別れ。最後には彼が良い人だということが分かりましたが、結局何のために西安についてきたのかは謎のままでした。ちなみになぜ純一というコードネームがついたかというと、単にしぐさが石田純一に似ていたからです。顔は全然似てないですが、石田純一と言われてから目を細めて見ると、何となくそれっぽく見えないこともなくはないかもしれないと言い切れなくはない、という感じです。本人に「日本の大スター、石田純一に似ている」と伝えると、本人まんざらでもなさそうな様子でした。そういうところが石田純一っぽい。

 北京最後の夜。せっかくなのでもう少し街を散策しようと、修士のN君K君Hさんと、地下鉄で一駅の北京駅まで行ってみることに。全員が中国語の分からない日本人で、治安があまりよくない北京駅まで行くのはなかなか勇気がいりますが、ホテルから近いしまあ大丈夫だろうということで、歩いて北京駅まで。ホテルから15分程度で北京駅に到着しました。

 深夜近くの北京駅、さすがに治安は悪そうです。煙って靄がかかっている状態が、より一層その雰囲気を増大させます。駅前の広場を歩いていると、いかにも怪しそうな物売りが声をかけてきます。しかし分かったのは、中国語が分からないのはこう言う場面ではプラスに作用するということです。何か言われても意味が分からないのでびくびくする必要もないし、適当に日本語で言っていれば向こうも逃げて行きます。海外に出たら自信過剰に振る舞うくらいしないと駄目ですね。


<夜の北京駅>

<煙る北京駅前>

 北京駅からは深夜であろうがお構いなしに長距離列車が出ています。夜中2時台に三本とか。この雰囲気に何故かテンションの上がった僕らは、記念に切符を買うことにしました。次の日の午後の、一番安い天津の「楊村駅」までの切符で、7元です。僕らがこの切符を買ったために、乗れなかった人がいたとしたら本当にすみません。


<夜中もひっきりなしに発着>

<安い切符を買ってみた>

 時刻は深夜12時。北京駅前には旅人のために、マクドナルドや吉野家、ケンタッキーといったファーストフード店が軒を連ねています。そんな中に、上海で行った24時間営業の李先生があったので、今日の締めに牛肉麺(14元)を食べてきました。ビール(8元)もつけて。くるくるテーブルの高級な食事もいいけれど、こういうファーストフードのような地元の食事もいいものです。安くてうまい。上海で食べた麺と少し違うような気がしましたが、ラー油を入れるとより一層おいしくなります。


<李先生の牛肉麺>

<ビールも飲む>

 満足してホテルに戻ったのが深夜1時前。薬を飲んで1時半に就寝。


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