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北海道調査 4  
2010年2月24(水) 四日目 <ウトロ(知床自然センター、フレペの滝)、斜里(斜里のラーメン)>


冬の知床> 

 釧路では加湿器を借りることができたので、同じ系列ホテルの斜里でも借りることが出来るかと思ったら、「加湿器はお部屋に用意してございます」ということでした。それはありがたいと思いましたが、その加湿器とは水を沸かすものと一体型になっているもので、正直しょぼいです。パワーは釧路で借りたやつとは比べ物になりません。お陰で一日経ってまた唇カサカサに戻ってしまいました。昨日から、どうもこのホテルとは相性がよくない気がします。

 朝食は1階の食堂で。鮭フレークが名物という触れ込みでしたが、それよりも山葵漬けがおいしくてご飯に合いました。しかしバイキングだとどうしても朝から食べ過ぎてしまう。


<朝6時の知床斜里駅前>

<本日の朝食>

 本日は冬の知床の現状視察(という名の観光)。昨日観光協会でヒアリングを行ったので、実際に冬の知床をこの目で見ておかなければなりません。ハイシーズンの夏とオフシーズンの冬ではどう違うのか。流氷とオーロラファンタジーで果たして成り立つのか。ホテルの隣にある斜里バスターミナルから8時10分発のウトロ方面バスに乗りました。


<ホテルの隣のバスターミナル>

<ウトロ行きバス>

 斜里駅からウトロまでは約1時間。出発後しばらくは斜里町内の直線国道をひたすら進み、しばらくするとオホーツク海に沿うように進みます。直線国道の周囲は、夏に来たときはじゃがいも畑だったと記憶していますが、冬だと一面の雪景色で果たしてどんな畑だったのか思い出せません。夏と冬で全然表情が違うのが面白い。そしてオホーツク海。もしかしたら今日は流氷があるのではないかというかすかな期待感は見事に裏切られました。どうやら一昨日くらいの南風で全部沖に流されてしまったらしい。タイミングが悪い時に来てしまったものです。ただ、若干の残骸のような流氷は見ることができたので(かなり小規模ですが)、まあ今回はそれでいいか。


<斜里町内>

<恐らく夏は畑>

<流氷のないオホーツク海>

<プユニ岬>

 9時過ぎに終点の知床自然センターに到着。夏に聞き取りをした場所ですが、自然センターも100平方メートル運動ハウスも、当たり前のように夏と冬では全然雰囲気が違います。夏の調査のときの写真を見比べてもらえると分かりますが、雪ってこんなに積もるものなんですね。改めて夏の写真を見て、その違いがよく分かりました。どこが道でどこが道じゃないか、全然分かりません。


<知床自然センター>

<100平方メートル運動ハウス>

 冬の知床は積雪のために多くの場所が立ち入り規制されており、知床峠、知床五湖などには足を踏み入れることができません。遊覧船もほとんど出てないし、オロンコ岩にも登れない。車で来られるのはこの自然センターまで。つまり観光らしい観光が全くできないわけで、おまけに寒いと来れば夏と比べて観光客もほとんどいなくなります。今回も自然センターにはほとんど観光客らしき人はいませんでした。

 100平方メートル運動ハウスの横の道からフレペの滝へ。夏の調査の最終日にも訪れていますが、夏とは全く違った風景でまるで別の場所に来たように思います。夏はいなかった鹿がたくさんおり、雪をほじくって土の中にある植物の芽を食べているようです。鹿も生きるために必死のようですが、これだけ鹿が多くなるとさすがに処分しなければならないわけだ。見る分にはかわいいですが、生態系管理になるとそうも言ってられないのでしょう。


<フレペの滝へ向かう>

<鹿のふん>

<雄鹿>

<三匹の鹿>

<鹿がたくさん>

 フレペの滝周辺にも鹿がたくさんおり、崖ぎりぎりまで行って餌を求めています。間違って海に落ちたりしないんだろうか。というか絶対何匹か落ちてるよなあ。鹿は「馬鹿」の代名詞になるくらいなんだし。冬のフレペの滝はかすかにちょろちょろと流れている程度で、後は青く凍っています。夏よりも別名の「乙女の涙」に近い気がします。やっぱり全然感じが違う。


<フレペの滝>

<急斜面で鹿は落ちないのだろうか>

 再び自然センターに戻り、タクシーを呼んでウトロの街の道の駅「ウトロシリエトク」へ移動。タクシーの運転手さんによると、本当に3日前までは海岸までびっしりと流氷に覆われていたそうで、何てタイミングが悪かったのかと。ただその分寒さは和らいでいるので助かっているので、どちらをとるかと言われると悩むところではあります。

 道の駅の売店では「知床産じゃがいも三種類食べ比べ」を謳った「知床3色串いもレンジャー」なるものが売られており、じゃがいも好きとしては食べない訳にはいけなくなりました。種類の違う大き目のじゃがいも団子3個に少し甘いたれがかかって120円。ということでYさんと二人で買って食べて見ました。それぞれのじゃがいもの種類が何なのか、店員のお姉さんに聞いてみましたが、上手い具合にはぐらかされました。どうも詳しく知らなかったようです。ネットで調べてみると、北あかり、メークイン、ノーザンルビーの三種のようです。それぞれ芋の色から味に至るまで微妙な違いがあります。でもじゃがいもなので、ひいき目に見てかなりおいしい。これで120円だったらかなりお買い得です。じゃがいもが美味しい土地は羨ましい。


<道の駅ウトロシリエトク>

<おいしそうなじゃがいも>

<新発売の串いもレンジャー>

<串いもレンジャーおいしいです>

 じゃがいもを食べたばかりですが、続いて昼食。ウトロバスターミナルの近くにある 「一休屋」 へ。3人で同じ焼魚定食(840円)を注文しました。今日の焼き魚はときしらず(鮭)のカマの部分ということで、脂が乗っていてかなりおいしかった。味噌汁も魚で取った出汁が効いており、ご飯が進みます。食事に関してはここ二日くらい不振が続いていたので、久しぶりにヒットが出た気分です。知床はやっぱり鮭がうまい。2000円以上出して海鮮丼を食べるより、1000円以下で焼魚を食べた方がいいような気がしてきました。


<焼魚定食>

<ときしらずのカマをアップ>

 ウトロではこけももジュースと樹液を飲みました。どちらも夏にも飲んだものですが、冬に飲むとまた違うような気がしないでもありません。特に白樺の樹液は、夏はただの水にしか思えませんでした、今回はほんのり甘味があっておいしかった。夏と冬で樹液の成分にも違いが出てくるのでしょうか。どっちも1本300円なので、頻繁には飲めないかな。


<こけもも>

<白樺樹液100%>

 ウトロの街は巨大な温泉ホテルが立ち並ぶ、知床観光の一大拠点です。しかし冬はやはり観光業は厳しいのか、メインストリートを歩いている人もほとんどいません。夏と冬とでこんなにも表情が違うわけですね。知床の冬は厳しいことは見聞きして知っていたつもりになっていましたが、こうして実際に訪れるとその実感は何倍にもなります。自然保護や環境保全の面からすれば人が訪れないことは良い方向に働くのかもしれませんが、観光業にとっては大きな打撃になるわけで、だったらと疑似オーロラを作り出す「知床ファンタジア」に力を入れたくなるのも分かります。

 ただ一点、他の地域と違って知床地域の凄いところは、農業や漁業といった一次産業が盛んであり従事者収入も高いので、観光業に頼らずとも地域経済が成り立つことです。この産業と環境の絶妙なバランスは、地域が成り立つための必要な要因であることは間違いないでしょう。なるべく早く、これを理論化して論文にしないとね。今回は実際に冬の知床を見ることが出来てよかった。この目で見るものは、文章で読むものよりも確かな説得力があります。


<ウトロの街>

<ウトロの街2>

<オロンコ岩>

<ペレケ川>

 これ以上ウトロにいてもやることがないので、12時45分のバスに乗って再び斜里の街へ。さすがに夜まで待って知床ファンタジアを見るのもねえ・・・。

<斜里の街>

 1時半に知床斜里駅前に到着し、今日は予定がないので夕食までフリータイムになりました。しかし斜里の街は昨日ほとんど歩いて見てしまったので、特にこれ以上見たい場所もありません。知床博物館も夏に行ったし。ちょうど乾燥で喉がやられて若干体調が下降気味だったので、風邪薬を飲んでホテルの部屋で仕事をしつつ大人しくしておくことにしました。テレビでは繰り返しオリンピックフィギュアスケートのショートプログラムの様子を繰り返していて、キムヨナの最後のバキューンと鉄砲を打つ様子を何度見たことか。しかし浅田真央とキムヨナで5点近くも差があったかねえ。


<昨日は見えなかった海別岳が見える>

 ただずっとホテルの部屋にいるのも気が滅入るので、4時頃散歩に出かけることに。と言っても隣にある知床斜里駅までなので、散歩というほどの距離ではありませんが。列車が来ない時間の知床斜里駅は静かで、雪国の駅っぽく旅情を誘います。駅員が複数人いる比較的大きな駅ですが、どこかのんびりとした雰囲気が漂っています。


<知床斜里駅>

<駅前にあるオジロワシの像>

<ゴマフアザラシの剥製>

<駅のホームにノロッコ号が停まっている>

 その後ホテルに戻り、温泉に入ったり薬の影響で少し寝たりして夜7時。再び集合して夕食へ。ホテルの近くにある 「しれとこ来々軒」 へ行ってみました。小さな町のラーメン屋としてはかなり評価が高いそうで、僕は味噌野バターコーンラーメンを、YさんFさんは味噌野菜チャーシュー麺を注文。味はしっかりとしていますが、思ったよりもさっぱりとした味で、いかに東京の味噌らーめんがどろどろで濃いかというのが分かります。個人的にはこういう味噌らーめんの方が好みです。何より寒い中、味噌ラーメンを食べるというシチュエーションが最大のスパイスになっています。量もかなり多くて満足。ここのラーメンならまた来て食べたい。


<味噌野菜バターコーンラーメン>

<餃子>

 ホテルに戻った後、夜10時頃からYさんの部屋で少し飲むことになり、昨日道の駅で買っておいた網走ビール製造の春夏秋冬シリーズとジャガポックルを持参して参加。夏の調査の時は知床(春)、ハマナス(夏)、流氷(冬)の三種類だった気がしますが、最後のじゃが(秋)が出来てこれで四季が全てそろったようです。じゃがドラフトにはジャガイモとマタタビが入ってるそうで、ほんのりとジャガイモの香りがするようなしないような。。


<春:知床ドラフト>

<夏:ハマナスドラフト>

<秋:じゃがドラフト>

<冬:流氷ドラフト>

 次の日も結構朝早いので、12時にお開きなり就寝。


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