このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

東京見聞録  
2006年12月27日(水) 三日目   <金沢(三つの茶屋街)→福井→永平寺→福井(ソースカツ丼)→福井泊>


三つの茶屋街>

 朝6時半、納豆の腐ったような臭いと顔の周りを飛び交う小蠅の音で目が覚めました。最悪の目覚めです。小蠅はともかく、この納豆の腐ったような臭いは一体何なのだ?と部屋の扉を開けると、廊下から強烈に臭ってきました。臭いの出所は結局分からなかったけど、本当にあれは腐った臭いだった。何て目覚めだ。

 本当は今日はもう少しゆっくりしてから金沢の街をぶらぶらする予定だったのですが、このホテル(というかもはやホテルという表現は使いたくないけど)から一刻も早く出たかったので、さっさと荷物をまとめて7時過ぎにチェックアウト。本当に自業自得とは言え、最悪なホテルだった。あれで3300円も取っちゃいけないよ。

 金沢の街はかなり雨が降っていて、風がかなり強いです。大型の傘を差していても歩きづらい。とりあえず喉も渇いていたし朝食もとりたかったので、近江町市場近くにあるスターバックスで小休憩。レシート見るとここは「武蔵が辻めいてつエムザ店」だそうです。ここで本日のコーヒーのショートとスモークサーモンとクリームチーズのサンドイッチの計660円。窓越しにしとしとと降る雨や出勤途中のサラリーマンを眺めながら朝食。

 朝食を終えてから再び歩いて茶屋街に向かいます。午前中は金沢にある三つの茶屋街(主計町、ひがし茶屋街、にし茶屋街)を見て回り、加賀百万石の城下町を偲んでみようかと。一晩寝て足の調子は少しはよくなってますが、疲れがたまっているのか歩くとやっぱり痛い。しかし徒歩で最初の目的地である主計町へ。雨も降っているので、歩いて20分くらいかかりました。

 主計町は川沿いに広がっている茶屋街で、三つの茶屋街の中では一番新しいそうです。なかなか風情があっていい感じ。朝早い上に雨が降っているので、観光客は僕一人しかいませんでした。でもこういうところは誰もいない雨の中、一人で歩くのが乙なものです。


<主計町茶屋街>

<対岸から>

 続いて近くにあるひがし茶屋街へ。ここは観光客向けに整備されているのか、一番規模が大きく、綺麗に整っていました。主計町と同じく雨+朝というシチュエーションだったので、僕以外に誰もいなかったけど、もしこれで人がたくさんいて店でも開いていれば、その雰囲気は飛騨高山のさんまちに非常に似ている気がします。やっぱりこういうところは他の観光客がいないときに、しっとりと歩くのが風情があってよろしいです。9時を過ぎていれば、重要文化財に指定されている「志摩」に入ってお茶屋の見学をしようと思ったけど、時刻はまだ8時40分。雨の中20分待つのはきついので次に行きます。


<ひがし茶屋街>

<志摩(重要文化財)>

 次の目的地はにし茶屋街。ただひがし茶屋街からにし茶屋街までは結構な距離があります。「移動に金はかけない」の信念のもと、最初は歩いていたけど、足が痛い上に雨風がひどいから、もうすぱくりさんギブアップ。3分の1くらい歩いたところがちょうど兼六園の下で、ちょうどバスが来たのでバスに乗りました。にし茶屋街まで200円で、さすがにバスだから速いし楽。時間節約できるなぁ。これだったら最初からバスに乗っておけばよかったよ。。結局歩いたら1時間はかかるであろう道を、バスは10分で運んでくれました。

 にし茶屋街は一番普通の生活に溶け込んでいるという印象です。ひがし茶屋街と比べるとそんなに規模は大きくないけど、すぐ側を幹線道路が通っているので結構にぎやか(ただ雨+朝で相変わらず人はいなかったけど)。にし茶屋街には入場無料の「西茶屋資料館」があったので、開館時間(9時半)と同時に入って見物してきました。

 この資料館はお茶屋「吉米楼」跡地に当時のつくりを再現したもので、吉米楼は大正時代の作家、島田清次郎の小説『地上』の舞台となったところらしいです。ということで、この資料館の1階部分は島田清次郎の資料館みたいになっています。しかし僕は残念ながら島田清次郎を知らない。大正時代のベストセラー作家らしいんだけれども。。仕方ないので1階は軽く見る程度にして、2階のお茶屋の再現を重点的に見てきました。こういうところで芸妓さんと旦那衆が遊んでいたわけね。赤い部屋だから興奮したんだろうか??


<にし茶屋街です>

<にし茶屋街>

<西茶屋資料館>

<お茶屋の中はこんな感じ>

 このあと本当は近くにある寺町を散策して、忍者寺の異名を持つ妙立寺を見学したかったのだけど、見学は要予約だったのと時間が厳しいので諦めて、バスで金沢駅方面へ戻りました。そしてホテルで荷物を受け取って金沢駅へ。金沢駅に隣接したお土産モールみたいなところでいくつかお土産を物色して、お麩とあんころ餅をお買い上げ。どちらとも金沢の名物らしいです。知らなかった。

 こうして10時57分発の電車に乗って金沢をあとにしました。あの忌々しきホテルのお陰で金沢のイメージが下がってしまったけど、ホテルのことさえなければ金沢はしっとりとしたいい街だったし、今度は晴れた日にもう一度じっくりと街歩きしてみたいと思います。

 金沢の最後におまけ写真を二つ。一つは金沢の繁華街。金沢は北陸の支店経済の中心地だけあって、その人口規模よりも大きな商業的集積があるという印象です。あと駅前よりも駅から少し離れた香林坊・武蔵が辻付近が中心繁華街なのも特徴か。だから最近の駅前再開発で、香林坊や武蔵が辻の商店街は危機感を覚えているらしい。もう一つの写真は金沢駅前地下の地下道みたいなところ。地下街があるわけでもなく、人通りがあるわけでもなく、無駄に広いスペースです。これはどうにかしないと勿体無いぞ。


<金沢の繁華街>

<広大なスペース>

 金沢から福井までは普通電車で約1時間半。段々と天気がよくなってきました。


<小松の小松工場>

<少し晴れてきた>

<福井から永平寺へ>

 金沢から1時間半かけて、12時22分に福井到着。1時32分の永平寺行きバスに乗るつもりなので、とりあえず今日宿泊予定のホテルに荷物だけ預けに行くことにしました。昨日のことがあったので、まさか今日もそんなホテルじゃないだろうな、と過度に心配してしまいました。今日泊まるホテルは福井城址(現福井県庁)のお堀に面して立っているので、お堀沿いを散歩しながらホテルへ。福井城址は今は県庁として使われているみたいですが、城址に県庁を構えるってどうなんでしょうか。城がそのまま県庁になっただけで、県庁が権力の象徴みたいに見えてしまい、若干違和感があります。城址は公園として整備して、県庁は他の場所に建てた方がいいと思うけど。と思いながらお堀周りを10分くらい歩いてたら、今日のホテルが見つかりました。今日はどうやら普通のホテルのようです。よかったよかった。


<福井県庁>

<福井県庁の表玄関>

 ホテルに荷物を預けて、バスの出発まで40分くらいあったので、昼食に福井名物のソースカツ丼を食べに行くことにして歩き出しました。時間的にはぎりぎりだけど、まあ何とかなるだろうと。しかし地図を見ながら進んだのに、行けども行けども店が見えてきません。おかしい、これはおかしいぞ・・・。で20分ほど歩いてようやく気がつきました。地図を間違って読んでいた!本当は西に進まなければいけないのに、僕は何を血迷ったか北へずんずんと進んでいたのです。20分も歩いたから結構な距離を来ています。足痛いところに何をやっておるのか。これで昼食は完全に諦めなければならず、バスに間に合うかどうかも怪しくなってきました。なんせ今いるのは駅から歩いて30分の距離なのです。このバスを逃すと次は2時間後までないので、逃すわけにはいきません。だから足痛いけど早歩き。天気はいいから汗が出てくる。やっとのことで福井駅に着いてバス乗り場を探していると、福井駅前ではなくてアーケード街から出ることが発覚。ひー!またそこから歩いて、発車の2分くらい前に何とか到着しました。今回の旅行はこういうのが多すぎる・・・。


<福井駅周辺は工事の真っ最中>

<ようやくバス亭に着いた・・・>

 永平寺行きの直行バスに乗って出発。バスの乗客は10人くらいしかいなくて、採算は大丈夫なのかと心配になります。バスは福井市街を抜け、どんどんと山の中に入って行き、30分くらいで永平寺門前に到着。意外と近いのね。

 何はともあれ腹が減っていたので、門前にあるそば屋「てらぐち」へ。福井の二大名物の一つ、越前おろしそばを食べなければいけません。何はともあれ腹が減っていたので、おろしそばの大盛り1000円を注文していただきました。大盛りは普通盛りが二皿。分かりやすい。普通盛は600円だからお得かな。

 そばはかなり腰があって、歯ごたえがあります。そして大根おろしがつーんとくる。これが越前名物の辛いおろしそばか。元気が出そうです。腹が減っていたので、すぐに完食してしまいました。おいしかった。付け合せのごま豆腐もおいしかった。


<おろしそば大盛り>

 そしていよいよ永平寺の見学。500円払って中に入ると、見学順はあらかじめ決められていて、自分で勝手に回っていきます。事前に聞いたところだと観光客が何人かまとまって行動するということだったけど、今日は完全に個人で勝手に回れという感じでした。まあ一人旅だったらこっちの方が断然いいからいいんだけど。

 永平寺は曹洞宗の大本山で、今も全国各地から雲水と呼ばれる修行僧が修行に来ていて、見学中にも何人もの雲水さんを見かけました。何度も座禅修行に来ているすのさんによれば、雲水は観光客相手には真面目な姿しか見せてはいけないらしいのですが、今日は観光客が少ないのも影響してか、掃除中も結構私語をしている雲水さんを見かけました。仏門修行の身の人達が、「マジでぇ?」とか「超ウケる!」とか言っているのを見るとやや幻滅すると同時に、あぁ彼らも人の子なんだという安心感も覚えるので不思議です。しかもそういう私語をしていた雲水さん達は、開祖道元の墓である「承陽殿」の中を掃除している人たちでした。承陽殿は説明書によれは「日本曹洞宗の発祥の根源として曹洞宗の聖地とでも言うべき場所です」とあるので、そこであまりふざけちゃまずいんじゃないでしょうかね。まぁ、観光客の前ではあまりはめを外さないほうがよろしいかと。

 とは言っても全ての雲水さんがそうなのではなくて、もちろんもくもくと掃除をし、仏門に没頭している人たちもいました。そういう人たちを見るとこちらも背筋がピンと伸びます。

 永平寺はさすが曹洞宗の大本山だけあって、つくりも立派。古いところは古く、新しいところは新しくというメリハリがはっきりしていて素晴らしい。。伽藍の廊下には、背筋を伸ばさないといけないような、凛として張り詰めた空気が漂っています。さすが大本山。苔むした庭や大木も美しい。でも新しいところは新しくて、受付では最新式のパソコンが導入されており、普通のオフィスのようなところで坊主頭の雲水さんたちが働いているのを見るとやや違和感アリですが、これも修行だそうです。全てをじっくり見物したので、ゆうに1時間以上かかりました。

 とグダグダ言いましたが、僕が何を言っても伝わらない気がするので、数枚の写真をどうぞ。


<永平寺門前>

<傘松閣>

<伽藍の廊下は階段で結ばれている>

     

 一通り伽藍を見物して、次は宝物館へ。寺の宝物館というとしょぼいものが多いので、どうせ・・・と思ってたらこれが最新式の博物館みたいなところで驚きました。映像解説もある。2002年改築というから新しいのかな。古さに固執せずに新しいものを取り入れているのが永平寺のすごいところだと思います。宝物館には国宝に指定されている道元筆の「普勧坐禅儀」を始めとして、数々の宝物が展示されているので見ごたえありです。「普勧坐禅儀」、高校のときの日本史で覚えたもんだ・・・。

 永平寺の見物を終えて、永平寺から少し山側に歩いて寂光苑へ。ここは道元の750回忌の記念事業として2000年に整備されたそうで、永平寺歴代住職の墓があります。最近(とはいってもここ50年間くらい)に亡くなった住職の墓はまだきれいですが、2代とか3代とか、昔になると墓石が苔むしたり割れたりしていて、かなりの歴史を感じさせます。ここは誰も人がいなかったので、すぐ側を流れる永平寺川の川音が聞こえてくるだけ。静寂とはこのこと。


<永平寺川>

<歴代永平寺住職の墓>

 寂光苑から永平寺に戻るときにトイレに行きたくなったので、誰もいない山小屋のようなトイレへ。使う人も少なそうだし、どうせ汚いトイレなんだろうと思ってたら、これがどのペンキもピカピカでびっくりしました。毎日雲水さんが丁寧に掃除をしているそうです。掃除も修行というらしいけど、さすがだね。恐れ入りました。

 こうして永平寺の見物は終わり。本当なら雪でも積もっていたら最高だったんだろうけど、晴れていただけでもよしとしなければいけないかもしれません。4時20分のバスに乗って福井駅へ。このバス、僕以外に4人家族しか乗ってなかったけど、採算は大丈夫なんだろうか・・・?

<ソースカツ丼と氷見の寒ブリ>

 5時前に福井駅に到着し、少し早いけれど夕食をとることにしました。福井に来たらソースカツ丼を食べなければいけません。福井でカツ丼といえばソースカツ丼だそうで、一般的なカツ丼は「たまごとじカツ丼」と言うとか言わないとか。ということで昼に食べられなかった 「ヨーロッパ軒総本店」 へ。ソースカツ丼の元祖の店だそうです。昼の道間違いで相当懲りたので、今回は入念に地図を確認して行ってきました。そしてカツ丼(820円)を注文。


<福井名物 元祖ソースカツ丼>

 内容はご飯の上に薄いソースカツが三枚ほど乗っているというシンプルなもの。しかしこれがうまい。一般的な豚カツの3分の1くらいの薄さだけど、これが不思議とボリューム感があっておいしいのです。どういう風に揚げているんだろうかが気になります。これは究極のB級グルメだと思う。

 ソースカツ丼を食べ終えて店を出ると、ぽつぽつと雨が降り出してきました。さっきまでいい天気だったので、冬の日本海の天気は変わりやすいものです。連日の歩きっぱなしで既に足は痛いの限度を超しているけど、夜のつまみを探して福井駅近くにある西武のデパ地下で刺身なんかを物色。そしたら今日獲れた氷見産寒ブリの刺身が売っていました。値段もさすがで、刺身なのに850円。高い。しかし、ついに見つけた氷見の寒ブリ、捜し求めた氷見の寒ブリ、食べないわけにはいきません。迷いもなく買いました。「すぱくりは ひみさんかんぶりのさしみを てにいれた!」

 氷見産寒ブリの刺身を持って、ホテルにチェックイン。今日のホテルはすごくまともで安心しました。いや、多分普通なんだけど、昨日の宿泊所があまりに酷かったから感動も大きくなります。シャワーが出る部屋っていいね。小蠅がいない部屋っていいね。

 とりあえず昨日浴びることができなかったシャワーを浴びてすっきりし、ビールとともに寒ブリの刺身を頂きました。脂が乗っててうまいわ。一昨日高岡で食べた三重産の寒ブリよりも脂のノリがすごいです。トロにも引けを取らないとろけ具合。これが氷見の寒ブリというものなのか。あまりにおいしかったので、11切れあった刺身はすぐになくなってしまいました。

 刺身を食べた後、しばらくしてからお茶を飲みながらおやつの時間。金沢で買ってきた和菓子をいただきました。金沢は和菓子処としても有名で、今回はその中でも有名な「福梅」と「あんころもち」を。どっちもおいしかった。


<氷見産寒ブリの刺身>

<金沢の和菓子その1 福梅>

<金沢の和菓子その2 あんころもち>

<中は9個のあんころもち>

 ホテルの窓からは福井城址(現福井県庁)が見えて、泊まったホテルの中で一番いい景色でした。3900円でこれなら、このホテルはお得。周りも静かだし。「ホテルフクイキャッスル」はお勧めです。


<ホテルの窓から福井城址を眺める>

 次の日も早いので、この日も早めの就寝。きちんとしたホテルで寝ると幸せですね。


←二日目へ   四日目へ→

旅行記トップにモドル

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください