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東京見聞録  
2005年2月5日(土) 四日目 <きび刈り二日目 〜リュウさんの畑>


<きび刈り二日目 〜リュウさんの畑 晴れ時々曇り

 7時起床。二日酔いじゃない朝は素晴らしい。身をもって再確認。朝食もご飯・味噌汁をきちんと食べる。きちんと食べないと、きび刈りは身が持ちません。

 7時40分、出発。今日はみなみちゃんと二人で豊原集落のリュウさんの畑へ行くことになっています。昨日は二日酔いの上に食事当番で早めに上がってしまったから、本当はもう一日佐藤家で修行して他の農家さんのところへ行きたかったんだけど、人数と割り振りの都合上そうはいかないらしい。こればっかりはしょうがないです。

 大富売店の前までゆずるさんに送ってもらうと、既にそこにはリュウさんが。リュウさんは僕のほうを見るなり、「おお〜、すぱくり君、元気だったか?」と出迎えてくれました。そしてリュウさんの軽トラの荷台に乗って、豊原にあるリュウさんの畑へ。

 リュウさんの畑に行くのは初めてではありません。3年前、2年前ともに3回ずつくらい行っています。農家さんの中ではゆずるさんの次にお世話になっている人です。リュウさんは顔も中身も星野監督に似ていて、時に優しく、時に厳しく接してくれます。

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 8時前に畑に着き、きび刈り開始。既にリュウさんのところのバイトさんが倒しを始めていました。リュウさん家は、今年は男性バイト、リュウさんの二人できび刈りをすることが多いようですが、今は体験の学生を二人を加えて四人できび刈りをするのが基本になっているみたいです。バイトさんと体験の男性が倒し、リュウさんと体験の女性がかさぎ、という役割分担も出来ているみたいでした。

 早速倒し。バイトさんに挨拶をして、倒しを始める。が、やっぱりスピードが上がらない。それどころがすぐに息が上がってしまう始末。リュウさんのところのバイトさんは倒しがそれほど速くないのが助かったけど、それにしても僕はダメでした。9時ごろからは晴れてきて、直射日光がどんどんどんどん体力を奪って行きます。10時の休憩の時には倒れるかと思うくらい疲労していたのに、仕事量は少ない。休憩中は疲れて話をすることもままならない状態に。

 話をすることが出来ない僕の状態を気遣ってか、リュウさんが話をしてくれました。リュウさんのところに来るバイトさんは、不思議と美男美女のカップルが多いのです。今年は男一人だけど、今まで計3組のカップルがバイトとして入っていたらしい。確かに3年前、2年前ともに美男美女カップルのバイトさんでした。どうしてリュウさんのところだけ二年続けてこういうことが起こるんだろうと不思議に思ったもんです。4人とも性格もよかったしな・・・。

 あと、この日は久しぶりに晴れたらしいです。僕は西表に来てまだ三日目だったからよくわからなかったけど、それまで寒波でず〜っと曇っていたらしく、久しぶりの青空は気持ちがいいと言っていました。だけど、その青空が久しぶりに働く人間にとってはきついんだな。この日西表島は結局23度まで上がりました。

 10時半、きび刈り再開。倒し手2人、かさぎ手2人なのでまだ倒さなければいけません。本当に死ぬかと思うくらい、この日の倒しは辛かった。12時の昼休みを迎えたときにはもうボロボロ。12時で一旦リュウさんの家に戻って弁当を食べます。リュウさんが取り寄せる弁当は、近くにあるコテージの総支配人と掛け合って作らせたものらしく、同じ値段なら島内で一番おいしくてボリュームのある弁当だ、と豪語しておられました。確かにその通りだった。。味とボリュームからして、500円の弁当じゃなかったです。。弁当をおいしく頂いて、ちょっと昼寝。

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 1時、作業再開。まだ倒し。2時にようやく倒しを終了してかさぎへ。これで少しは楽になるかと思ったら、かさぎのスピードも全く上がらない。どうしたものか・・・。基本的に農家さんはきび刈り時にはラジオを付けているんですが、ラジオの内容をぼーっと聞きながらかさぎをやっていました。どうやらシャラポワと浅越しのぶのことをやっていたらしい。沢松なおこ(だっけ?)が一生懸命語っていました。

 佐藤家では今年はラジオはないんだけど、大抵の農家ではラジオをつけています。これはラジオの時報で時間がわかったり、かさぎのときに暇にならないようにするためだと思うんだけど、真相はよく知りません。ただ倒している時なんかはラジオの音は全く聞こえません。ラジオをかさぎ手の専売特許みたいなものなのです。

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 結局この日は能率が上がることなく5時終了。一旦リュウさんの家まで送ってもらい、リュウさん家の庭で飲み会が始まります。リュウさんは手伝いに来た学生を必ずもてなすのです。それが手伝ってもらったことに対する礼儀であり、僕の感謝の気持ちなのだ、ということを以前聞きました。本当にいい人です。

 まずはビールで乾杯!仕事の後のビールは五臓六腑に染み渡るねぇ。特に今日は暑かったからビールが余計においしいです。ただ今日の仕事量じゃな・・・。その辺があったのでちょっと素直に乾杯できなかったところもありました。いろんな話をしつつ、ビールを4本ももらって、島(泡盛のこと)に移ります。リュウさんは島が大好きです。

 僕は思い切って今日の自分はどうだったかリュウさんに尋ねてみました。するとリュウさんは

  「どうした、すぱくり君。今日は何を躊躇しとったか」
  「おれはお前の2年前を知っとるが、全く今日はだめだった」
  「今日のお前は倒しもかさぎも0点だ!」
  「何か心の中に引っかかるものがあるんじゃないか?あるからそうなるんだ!」
  「そんなことじゃお前の人生、ダメになるぞ!」
  「かさぐときは無心でかさげ!」

 僕が思っていたことをずばっと言ってくれました。確かに心の中に引っかかるものがあったのかもしれない。だからと言ってそれを理由にしてはいけないのです。きび刈りは個人的な理由は通用しません。あくまで仕事。その日のノルマをクリアしないといけないのです。体験だからといって甘えたことを言ってはいけないのです。

 リュウさんに言われてはっと目が覚めた感じがしました。そうだそうだ、きび刈りは無心でやらないといけないのだ。今年は今までそれを忘れてしまっていました。厳しく指摘してくれたリュウさんには感謝です。こうやってガツンと言ってくれる人はなかなかいないですから。

 リュウさんはバイトさんの今日の働きに対して、より大きな雷を落としていました。やっぱりバイトは厳しいな・・・。僕よりも倒しもかさぎも速かったんですけどね。きび刈りは厳しい世界なんだということを改めて実感したのでした。

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 その話とは別に、リュウさんとはイノシシ狩りの話をしました。昨日の午後、すのはリュウさんにイノシシ狩りに連れて行ってもらったのです。僕もその話を聞いて「うらやましいな〜」と思っていたので、ちょっとイノシシ狩りの話を出してみました。すのによるとイノシシ狩りのための山登りは、ある意味きび刈りよりもきついということだったので、その辺の話から入ることにしました。

 すぱくり:「すのがシシ狩りに連れて行ってもらったみたいですけど、シシ狩りって相当きついものらしいですね。」
 リュウさん:「そうさな〜。山登りは結構しんどいさ。」
 すぱくり:「すのは『きび刈りより辛い』って言ってましたけど。」
 リュウさん:「(笑)そうか〜。じゃあすぱくり君も今度シシ狩りに行ってみるか?」

 やった〜!!!です。見事にイノシシ狩りに連れて行ってもらうことになりました。一緒にいたみなみちゃんもシシ狩りに行くことに。日程は2月9日の午後。楽しみになってきました。イノシシがかかってるといいけどな・・・。

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 リュウさんとは他にも色々な話をし、ご飯までいただいて9時に古見まで送ってもらいました。ありがとうございます。ビール4本に島2杯も飲んで、結構酔っ払ってしまった・・・。。この日は帰ってシャワーを浴び、プロテインとウコンを飲んで11時就寝。明日はナカソコさんの畑です。 


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