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東京見聞録  
2006年6月16日(金) 三日目
 <青瓦台、韓定食、高速バスでウルサンへ、ウルサン泊>


韓国の最高機関 大統領官邸「青瓦台」見学>

 「金曜日、ウルサンにある私の実家に一緒に帰らない?」

 二日前にボソンに言われていたこの一言で、今回の旅行は急展開を迎えることになりました。どちらにしろ土曜日にはテグに移動する予定だったけど、ウルサンに向かうとなると、移動が多すぎて疲れがたまりそう。しかもオキ君の話によると、ボソンのお父さんは非常に厳格で恐い人のようで。そんな話を聞くとますます行きづらい。。

 うんうん考えても埒が明かないので、ここは理論的に考えるのが一番。様々な要素を考慮して、僕ら・ボソン・ボソンの家族をプレイヤーとしたゲーム理論で解いてみることにしたのが昨日の夜。すると、均衡点は「ウルサンに行かず、もう一日ソウルに泊まること」になり、ボソン分析の結果と意思を伝えようと息巻いていました。しかし、ボソンの中ではもうウルサンに行くことは決定事項になっていたらしく、反論の余地はありませんでした。。世の中はゲームの通りに行かないね。というか、ボソンの点数を過小評価しすぎたのかもしれん。そういうわけで、今日の夕方ウルサンへ旅立つことになったのです。まさかウルサンへ行くことになろうとはね・・・。

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 8時起床。昨日はいつの間にか寝てしまっていて、途中まで板張りの床で寝ていたもんだから、若干体が痛い。一昨日、昨日の運動のせいでかもしれませんが・・・。ボソンも起きてくれたのですが、僕が寝た後に会社の同期から誘いがあって、断るわけにも行かず、また飲みに出かけたそうです。そしてさっき帰ってきたと。社会人の付き合いも大変だなぁと思ってしまいます。

 さて、今日は10時から大統領官邸である青瓦台(チョンワデ)見学の予定。普通日本人が行かないスポットではありますが、オキ君がメールで予約をしてくれました。ちなみにチョンワデを見学する場合、二週間前まえの申し込みが必要です。

 9時頃出発。ボソンの家には戻らないので、今日は重いボストンバックを持って移動することに。これがあとあと効いてきます。集合場所である景福宮(キョンボックン)までは地下鉄で移動。ところがこれが予想外に時間がかかる。キョンボックン駅に着いた時点で10時5分。時間にルーズな韓国とはいえ、警備が厳しい大統領官邸の見学はさすがに集合時間を過ぎると無理だろうと、半分諦めつつ、集合場所まで走ってみました。キョンボックンでは「守門将交代式」のイベントが行われていたけど、じっくり眺める時間など当然なく、素早く一枚写真を収めるのみ。


<景福宮の守門将交代式>

 地下鉄駅があるキョンボックンの西の端から、キョンボックンの東にある集合場所までは約500m。重い荷物を持って走るのは相当辛い。これで韓国に来てからの毎日、何かしらのハードな運動をしていることになります。こんなはずではなかったのだけど。半分諦めつつ、息を切らしながら集合場所に着くと、何とまだ大丈夫らしい。走った甲斐があった。

 しかし、何とか間に合ったと思ったものの、一向に出発する気配なし。さらに遅れて来る人もいて、これはもうさすが韓国としか言うほかありません。精一杯走ったのは一体何だったのか・・・。結局バスが出発したのは10時半。僕らを含む数人の個人の他、養護学校の生徒さん十数人と共に大統領官邸へ。

 チョンワデはキョンボックンの裏に位置していますが、昔はその位置さえ機密事項だったそうで、地図にも載っていなかったらしいです。大統領官邸が内部見学できるようになったのは1998年から。開かれた政府を謳ったキムデジュン大統領の方針だったらしく、ノムヒョン大統領になってからは一層開放が進んでいるという噂です。ただ、開放が進んだと言っても警備そのものは厳しいらしく、官邸前の道路は自由歩行が禁止となっていました。

 バスは大統領官邸へ到着。まずは敷地に入るに当たって荷物検査。怪しい日本人が二人、大きなボストンバックを持って見学するからどうかわかりませんが、ボストンバックの中までくまなく調べられました。持っていた本までぱらぱらめくられて、何か身体検査をされているようだった。まぁ大統領官邸に入るわけだから、それくらいのセキュリティチェックは必要だろうけれども。

 まずはシアターのようなところへ入れられて、大統領官邸説明のビデオ鑑賞。僕らに配慮してくれたのか、日本語の字幕がついていて大変ありがたい。基本的にはノムヒョンが「ようこそ、大統領官邸へ」と言っている内容で、まぁ広報ビデオみたいな感じ。

 ビデオを見た後は、お土産の大統領官邸特製キーホルダーをもらい、敷地の見学。説明は全て韓国語なので、大事なところだけオキ君に訳してもらいました。養護学校の生徒が多かったからか、基本的には笑いを交えた楽しい説明だったみたいです。(韓国語がわからないから真相はわからんが。)大統領官邸はもう少し緊張感が張り詰めているところかと思っていたから、少し拍子抜け。

 最初は官邸内にある公園。ここの公園は大統領が子供たちと触れ合ったりするところであり、奥にある屋敷では非公式会談が行われたりするらしいです。樹齢700年と言われる木が中心に鎮座しています。


<芝生が広がる>

<樹齢700年の木と非公式会談上>

 次に元々チョンワデの建物があったところを見物し、現在のチョンワデ本館へ。チョンワデ本館が今の位置に移ったのは1988年のことで、結構新しい建物のようです。本館の前を通る途中、ノムヒョンはこの中にいるのかとガイドさんに聞いてみると、今日は左の建物にある執務室で働いておられるらしいとのことでした。今考えると、北朝鮮のテポドン発車問題で、このときは大変だったのかもしれません。


<青い瓦の大統領官邸、チョンワデ>

 チョンワデ全景が望めるところで記念撮影。チョンワデと後ろにそびえる山がいいコントラストを成しています。チョンワデという名前の由来は、瓦が青いから。だから青瓦台(チョンワデ)。英語では「ブルーハウス」と言うらしいです。間近に見ると確かに青かった。機能性を重視した日本の首相官邸よりも、チョンワデは美を強調している感じです。

 続いて隣にある迎賓館。ここで小泉対ノムヒョンの会談も行われているらしい。


<迎賓館>

 以上でチョンワデ観光は終了。聞いていた話だと、写真撮影はチョンワデ本館前一ヶ所しかできないとか、私語厳禁とか、いろいろ厳しい制約があるということでしたが、実際に行ってみると写真撮影可のポイントも多く、寛大な感じがしました。これも国民の政府であることを強調したいノムヒョン大統領の方針なのか。ということは、大統領が変わると見学の方針も変わるかもしれないということです。開かれたチョンワデを見学したい方は、ノムヒョンが大統領である今のうちがチャンスかもしれませんよ。

<韓定食を食べる>

 大統領官邸の西の出口から放り出された二人。今日の昼食は韓定食を食べるつもりで、あらかじめ店をピックアップしていました。あまり歩きたくないのでキョンボックンの近く、ということで。しかし、店はキョンボックンの東側。今いるのは西側。チョンワデの前は通れないので、巨大なキョンボックンの周りをぐるっと回らなければいけません。これは誤算。まあ文句を言っても仕方がないので、重い荷物を持って汗をかきながら移動します。

 チョンワデを出ると、インラインスケートを履いた、スポーツマンのような人々がたくさんいます。何か大会でもあるんかな?とスケーターを見てみると、背中には「SEOUL CITY POLICE」の文字。何と彼らはソウル市警の警察官なのでした。ソウルでは移動効率を考えて、インラインスケートの警察官がいるんだと。相当なカルチャーショックだ。それっと本当に効果あるのでしょうか?

 他にもデモ(確かFTAに関することだったと思う)をしている団体と、それに対峙する武装した警察官の大群。さすがデモの国、韓国。ここでもカルチャーショック。


<ソウル市警のスケート部隊>

<デモと後ろで待機する警察>

 そういう不思議な光景を横目で見ながら。重い荷物を持って歩くこと40分。1時近くになってようやく目的の店に到着。青受亭(チョンスジョン)という韓定食の店で、店内は地元の人で満員。

 ここで注文したのは、韓定食2人前。値段は韓国では高めの一人13000ウォン(約1500円)。宿泊代は0だし、移動費もなるべく抑えている今回の旅行、金を使うところは食しかないということで、奮発しました。

 さて韓定食。16種類のナムルと魚のから揚げ、チゲ2種類に貝ご飯と味噌汁という、何とも贅沢なラインナップ。皿の位置は決まっているらしく、店の人がきびきびと並べてくれました。そしてこれがうまかった。これだけのボリュームと味だったら、1500円は格安だと思います。韓定食は全部が全部辛いわけではないから、辛さが苦手な僕でも難なく食べられます。特に貝ご飯は味が染み込んでいておいしかった。


<位置が決まっているナムル>

<貝ご飯はゴマ油が効いておいしい>

 帰りはさすがに歩くの勘弁だったので、バスに乗って地下鉄駅へ。運転の荒いバスだったけど、バスは楽です。地下鉄に乗って、汝矣島(ヨイド)へ。

<国会議事堂と国会図書館>

 キョンボックンから30分くらいで汝矣島(ヨイド)に到着。ヨイドは漢江に浮かぶ中州で、テレビ局やら国会議事堂やらが立ち並ぶビジネス街になっています。オキ君が国会図書館に行くというので、せっかくの機会だしついていってみることにしました。

 ヨイド駅で降りて、荷物をロッカーに預けて国会議事堂方面へ。ビジネス街だけあって、整然とした雰囲気が漂っています。途中、「ここは真夏のビーチか?」と思いたくなるような格好をしたキャンペーンガールのお姉さま方がいらっしゃって、道行くサラリーマン達は皆一様に足を止めていました。ビル砂漠にあるオアシスの如く、おじさんがひょいひょい足を止める姿を目の当たりにすると、おじさんが哀れでなりません。まぁ、うちらも足を止めたけどさ。あんな姿で呼び止めたれたら、ねぇ。。

 お姉さん達とお別れして、国会図書館へ。国会図書館と国会議事堂は同じ敷地内にあるので、国会議事堂の入り口から入ろうと思ったら、警備の人から「図書館の入り口から入ってくれ」と。仕方なく図書館入り口に回ると、ここでも再び検問。パスポートを提示して中に入ります。


<韓国の国会議事堂>

<韓国の国会図書館>

 韓国の国会図書館は日本のそれとだいたい同じですが、一つ大きく違うのは論文が全てデータベース化されており、検索した段階でその場で印刷できるというものです。これはすごい。まるでE-journalみたいだ。日本の国会図書館ももしこういうシステムを採用してくれたら、本当に楽になるんだけれど。

 オキ君が論文を印刷しているあいだ、図書館内をうろうろしてみました。大きさとしては日本の3分の1程度といったところでしょうか。韓国語がわからないから利用価値とかわからないけども。

 国会図書館を一通り見た後、近くにあったヨイド公園で一休み。韓国らしくアスファルトのかなり広い公園で、バスケットやインラインスケートにいそしむ人々がたくさんいました。マイボール持参でバスケットに励むサラリーマン。午後2時を回っているというのに、バスケットをしていていいのでしょうか。彼の処遇が気になります。あとはインラインスケートに励む学生達。さっきの警察官といい、どうやら韓国ではインラインスケートが流行りらしい。そういう人たちを横目に、17茶を飲んで休憩。


<ヨイド公園>

<1を足してしまった17茶>

<高速バスでウルサンへ>

 ヨイド公園でしばし休憩をとった後、地下鉄に乗って東ソウルバスターミナルへ。バスターミナルでボソンと待ち合わせて、ウルサン行きのチケットを購入。高速バスは安いと思っていたら、何と21300ウォン(約2400円)。こんな高いのか。とはいっても、日本に比べたら激安だろうけど。

 ロッテリアで時間を潰し、5時10分発のウルサン行きに乗車。バスはほぼ満員です。少し高いけど、まぁ横3列の優等バスなのでゆったりと過ごすことができます。

 バスのテレビでは音なしで韓国のバラエティ番組を放送していて、細かくはわからないものの大体の内容を理解することができました。海兵隊の師団かなんかにお邪魔して、歌を歌わせたり躍らせたり果てはお母さんと涙の対面を果たすというもの。まぁ安っぽい番組だった。しかも時期を考慮してか司会のお姉ちゃん達は赤いTシャツ着てるし。くだらないと思いながらも、ついつい見てしまいました。海外で番組を見るというのは、言葉はわからないけど結構楽しいものがあります。

 兵役のある韓国の中でも、海兵隊は特別な存在で、志願制だそうです。上下関係がめちゃくちゃ厳しく、その分兵役後の繋がりも強いらしい。海兵隊の知り合いがいるオキ君から、海兵隊の上下関係の凄さの一端を聞いて、もうほんとにびっくりました。びっくりという言葉しか見当たらない。公序良俗の観点からここに載せるのははばかられる話ばかりなので、詳しいことが知りたい人は直接聞いてください。

 ソウルを出て高速に入り、しばらくすると周りは人っ子一人いないような風景になります。韓国は都市への人口集中具合が半端じゃない。オキ君が言っていた「韓国はドラゴンクエスト。つまり町と町の間には何もない」というのは、かなりいいとこついている表現です。そんな車窓を眺めていると、いつの間にか寝てしまってました。

 気がつくと7時。どこかのサービスエリアで20分間の休憩。この間に夕食を食べることになり、日本と同じようなフードコートでビビンバ5000ウォン(約550円)を注文。ナムルとご飯が別れて出てきました。コチュジャンをたっぷりかけてよく混ぜて食べると、結構おいしかった。高速の飯はあまりうまくないという話を聞いていましたが、そんなこともなくなかなかのレベルの食事でした。ただ、時間がなかったので大急ぎで食べてしまったために、後から胃がもたれてしまった。


<日本と同じようなサービスエリア>

<夕食はビビンバ>

<ウルサンの夜>

 再びバスに乗り、再び眠りに落ち、気がついたらウルサンでした。ソウルから約4時間20分、9時半にウルサン着。バス停には、恐いと噂のボソンのお父さんが車で迎えにきてくれました。車のドアをバタンと閉めて「そんな音させなくても閉められるだろ!」と怒られたことがあるオキ君は、「ドアはすぱくり君閉めて」と弱気になっていて、若干こちらも緊張します。でも実際会ってみると、聞いていたほど恐い感じではなく安心。ただ、家に戻る途中で「前の車おせーよ、何やってるんだこの野郎!」とお怒りになられていて、この人を怒らせてはいけないと決意したのでした。

 ボソン家実家について、お母さん、お祖母さんにご挨拶。そしてボソン弟ともご対面。何となく落語家に似ていて、ノリがいい弟です。お母さんがスイカを切ってくれて、スイカを食べながらしばし休息。

 さて、今日はもう夜も遅いし、久しぶりに酒を飲まずにゆっくり寝られるな、と思ってると、ボソンとボソン弟が当然の如く「じゃあ今から飲みに行こうか」と。ああ、もうこうなる運命なのね。まぁせっかくの韓国。みんなの好意を反故にするのは忍びないので、思いっきり楽しむことにしました。

 向かったのは家の近くにあるスポーツバーのような居酒屋。マッコリよりもどろどろしている「トントン酒」を飲みながら、チヂミやムール貝の煮物を食べる。トントン酒はキンキンに冷えていて、ヨーグルトのように滑らかで、本当にうまい。おいしいのでついつい何杯ものんでしまいました。マッコリと同じかと思っていたら、飲み比べると若干違うんですね。


<テーブルを囲む>

<シソのチヂミ>

 結局2時ごろまで飲んで家に戻り、家に戻ってからもダイニングで少々飲んだ後、お父さんが「うるさいぞ」と言ったので寝ることに。ボソン弟の部屋で男三人が川の字なって寝たのでした。


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