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東京見聞録
2006年3月20日() 四日目 <倉吉(三佛寺、三朝温泉、倉吉の街並み)、鳥取(鳥取砂丘)>


<三徳山三佛寺>

 7時起床。旅行中毎日早起きとなると相当疲れます。

 昨日の夜、駅前のスーパーで買っておいたご飯と肉じゃがを食べ、出かける準備。山陰4日目の朝にして、ようやくいい天気。今日はこの旅行のメインイベントでもある三徳山の山登りを控えているので、これほどうってつけの天気はありません。ん〜、待ち遠しい。。

 7時半にチェックアウトし、倉吉駅前のバスターミナルへ。7時41分のバスに乗って三徳山(みとくさん)三佛寺を目指します。朝一番のバスなので、乗客はまばら。バスは途中三朝温泉街を通り、野を越え山を越え三徳山を目指します。段々と標高が高くなり、急峻な景色が広がっていきます。倉吉から南に進んでいるので、中国山地の方へ近づいています。

 三佛寺はその寺の古さもさることながら、寺の裏山(=修験道)にある数々の仏教建築物を見ることにもあります。その修験道は道なき道を行くも同然、左右に崖があったりロープを頼りに登ったりと、野性味あふれる苦行なんだそうで、その苦行を乗り越えて最後まで行くと、鳥取県で唯一国宝に指定されている「投入堂」という建築物が見られるのです。この投入堂、写真で見ると「どうやってそんなところに建てたのか?」というくらい、崖にぎりぎりのところに建っています。伝説では、1300年前に行者が法力によって木材を投げ入れて作られた・・・ということで「投入堂」という名前がついているそうです。是非とも間近にこの目で見てみたい。

 バスは三徳山三佛寺入り口到着。ここまで来たのは僕らのみ。


<三佛寺入り口付近の風景>

<三佛寺に続く階段>

 三佛寺の周辺は、川と山の自然に囲まれていいところです。さて、行くか!と気合を入れて本堂に続く階段を登ろうとすると、足元に無造作に張られていた手書きの紙が。なになに・・・?と見てみると・・・

   投入堂への登山は積雪のため1月から3月まで閉山しています。
   開山は4月以降の予定です。
   なお、本堂には年中参拝可能です。


 ・・・何ということでしょう。せっかくここまで来たのによぅ。ショックだわ。まぁ、ちゃんと確認してこなかった自分が悪いのだけれども。。

 登山は諦めないといけないけど、とりあえずお参りだけはすることに。朝一番のバスで来たので、まだ他に参拝客はいません。受付のお兄さんに「朝早く来てもらったのに山登りできなくてすみません」となぜか謝られるし、宝物殿の前を掃除していたおじさんにも「登山ができるとかできないとかの情報を、もうちょっと広報しないといけないと思ってます」と言われるし、まるで僕が登山しに張り切って朝早く来て、でもよく見たら登山できませんというのに気付いてがっくりし、仕方なく本堂にお参りしているのがばればれじゃないか。。

 本堂でお参りしたあと、登山の入り口にまで行ってみると、やはり「この先許可なく立ち入り禁止」でした。確かに雪は凄い。でも今日いい天気なのになぁ。西表のピナイサーラの滝登山とか、イノシシ狩り登山とかしたんだから、多少危ない山道の心得はあるんだけどなぁ。行きたいなぁ・・・と後ろ髪惹かれつつも退散します。


<うっそうとした山に囲まれる本堂>

<ここから先が修験道。冬は登山禁止>

 宝物殿によって投入堂の説明や仏像を眺め、参道を引き返します。参道を降りていると、動きやすい格好をして、手には軍手、背中にリュックサックという姿をした人々とすれ違いました。あぁ、みなさんもこれから登山をしようと思ってここまでやっていらしたのね。でも登山はできないのよ。教えて差し上げようかと思ったけれど、それはあまりにも可哀想です。自らの目で現実を確かめてください。

 近くまで行って投入堂を見られないものの、麓の駐車場から山の中にある投入堂を見ることができる、というので行って見ました。確かに見える。すごい、崖に張り付くように建っている。


<遠くに投入堂。デジカメぎりぎり一杯のズームで。>

 これを見たらやっぱり登らないといけないよな。・・・よし、決めた。5月にもう1回登りに来る。今年は三佛寺開山1300年祭なので、イベントや特別開帳もあるはず。その時期に合わせてまた行きます。待っていろ、投入堂!

<三朝温泉>

 再びバスに乗って来た道を戻り、途中の三朝(みささ)温泉で下車。本当なら山登りで疲れた体を癒そうと思っていたのだけど、思いのほか早く来ることになってしまった。

 三朝温泉はラジウム含有量世界一の温泉。世界一ですよ、世界一。でもラジウムっていうのは放射線だよな、大丈夫なんかな・・・?という文系的単純不安を抱えつつ、「株湯」という公衆浴場へ。

 株湯は三朝温泉の中でも最古の場所だそうで、三朝温泉誕生の伝説にも登場するそうな。そのくらいだからさぞ立派なところなんだろう・・・と思ったら、めちゃくちゃ質素でした。扉を開けたらすぐ脱衣所で、その広さは1畳分。風呂は3畳。からんのようなところが一ヶ所しかなく、もちろんシャワーもなし。3人入れば満員です。僕が入ったときには、既に地元のオジサンと思しき人達が3人いて、定員オーバーとも思える4人目の僕が入り、風呂はいっぱいいっぱいになりました。まぁ料金200円だから何とも言えない。

 先に入っていたオジサンたちが上がり、最終的には僕一人になりました。一人だとかなり快適。お湯を味わう余裕もある。ラジウムがどういう風にいいのかいまいち分からないけど、普段シャワーばかりの身にとっては、温泉の湯船につかることだけでも有難き幸せです。


<株湯>

<このお湯をペットボトルに詰める>

<結構狭い株湯>

<起源も分かる>

 1時間近く温泉に浸かった後、三朝温泉街を散策。温泉街のいたるところにウインドーギャラリーがあって、歩いていると面白い街です。ラジウム関連でキュリー夫人の像とか、なぜかパブや18歳入場禁止の店が多かったとか、そういうのにも驚いたけど。


<三朝温泉街>

< カエルギャラリーのあい〜んカエル>

<高野豆腐の彫刻ギャラリーも>

<三朝温泉発祥の伝説:侍と狼>

<河原には無料の混浴露天風呂も>

<昼食の海鮮丼>

 昼食に温泉街にある食事亭で海鮮丼を食べて、バスで倉吉市内に戻ります。

<倉吉の街並み>

 倉吉は赤瓦・白壁土蔵群の街並みが有名です。思ったよりもこぢんまりしていたけれど、いい雰囲気。赤瓦一号館から八号館まであって、その中にいろいろな店があります。


<白壁土蔵群>

 まず、六号館の桑田醤油醸造へ。古い商家です。そこにあった「しょうゆアイス」なるものを食べることに。普通のアイスクリームの中に、醤油が入ってるという文字通りのアイスです。醤油の香りと、かすかな塩辛さが絶妙。甘みの中にほんの少し塩辛さがあると、甘さが引き立っておいしい。おはぎを作るとき、小豆に砂糖と塩を加えるとか、スイカに塩をかけて食べるとか、そんな感じに似てます。

 一号館は主に土産品の建物。鳥取名物のなし製品がずらり。そんな中で「山芋スティック」が気になったけど、今は買わず。


<桑田醤油醸造>

<桑田醤油醸造のしょうゆアイス>

<川と白壁>

<壁が大きい>

 バスに乗って倉吉駅に戻り、電車の時間まで駅前の御土産屋を物色。そこにもあった「山芋スティック」。やっぱりこれは買っておかなければならないだろう。よし、買おう。


<倉吉駅>

<山芋スティック>

 電車に乗って鳥取へ。車中、早速山芋スティックを食べてみる。おぉ、これは甘くないぞ。フライドポテトの山芋版なのね。ビールに合いそうだ。電車の中でやめられないとまらないになりそうだったので、強い決断力を持って半分残しました。

 倉吉から鳥取に向かう車中は、乗客も少なくて静か。田舎の風景が広がります。が、途中女子高生数人が乗ってきて、ぎゃーぎゃーやかましいったらありゃしない。声でかいし、化粧濃いし、おまけにルーズソックスだし。今どきルーズソックスって。情報伝達のスピードは早くなったんじゃなかったのでしょうか・・・。

 一昨日の一畑電鉄に乗ったときも女子高生が多かったけど、山陰の女子高校生は大きく二つに分けられそうです。一つは純情素朴な田舎の女の子。もう一つは、さっきのような行き過ぎた子。東京で見かけるような一般的な子がなかなかいない。この二極化現象は不思議。

 1時間ほど電車に揺られ、鳥取に到着。

<鳥取砂丘>

 鳥取に着いたのが4時10分、砂丘行きのバスは駅前4時20分発。10分の間にホテルに行ってチェックインをして荷物を預かってもらい、また駅前のバスターミナルに戻ってこなければいけません。ホテルが駅から近かったからよかったものの、久しぶりに走った走った。何とかバスに間に合い、鳥取砂丘へ。

 それにしても、鳥取駅前は予想していたよりもはるかに都会でした。凡そ人口20万人規模都市の駅前とは思えない。高いビルはないものの。雲の巣状にアーケード街が広がっていて、しかも活気があります。この駅前の栄えっぷりは、下関よりも凄いんじゃないか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 鳥取砂丘に着きました。山陰の観光地として全国区なのは、何と言っても鳥取砂丘でしょう。ぼてぼて茶や三佛寺を知らなくても、鳥取砂丘は全国の皆さんご存知のはず。

 「砂丘入り口」と書かれた階段を上り、頂上へ。頂上へ着くと、目の前の視界がぱーっと開けました。おぉぉぉ、これが鳥取砂丘か!一面が砂・砂・砂です。起伏が激しく、自然の力というものに畏れ入ります。


<遠くに見える「馬の背」と下に見える「オアシス」と若者の集団。落差約40m。>

<出発してきた方向を眺める>

<海風によってできる風紋>

 「馬の背」と呼ばれる小高い丘になっている地点を目指して歩きます。砂だから歩きにくい。特に上りになると、砂に足をとられて大変です。ひーこらひーこら歩いていると・・・

 馬の背にいた20歳くらいの男達が何かはしゃぎだしたよ。一番上の写真でごみのように小さく見える集団ね。仲間内だけで盛り上がり、何を血迷ったかそのうちの一人が素っ裸になって下の「オアシス」に一直線。それに続く仲間たち。何やってるんだか。あまりにはしゃいでいるので、周りの観光客も変な目で見てました。下の写真ではすでに水溜りに二人ほどダイブしてますね。まぁ20歳くらいが一番ああやって馬鹿する時期なんだろうけど。


<はしゃぐ若者達。意外に傾斜はない>

 まぁそんな集団はさておいて、ようやく馬の背に到着しました。出発地点からだとかなり急な崖のように見えたのですが、実際馬の背に立ってみるとそうでもありません。結構下りは思ったよりも緩いです。しかも足元砂だから、こけても怪我することないし、そりゃさっきの若者達も走って下りたくなるわけだ。

 こんな時間に来たのは砂丘と日本海に沈み行く夕日を見たかったから。しかし、夕日が沈むまでまだ少々時間があります。海風が寒いので、風の当たらない馬の背の陰に隠れて待ちます。

 そして夕日の時間。


<砂丘に沈む夕日>

<鳥取賀露漁港に沈もうとする夕日>

 1時間前と比べて人が極端に少なくなっていたけど、海風が身に凍みるほど寒いけど、靴に砂が入りまくってしまったけど、待った甲斐があった。馬の背に沈んでいく夕日が綺麗です。じゃあ次は馬の背まで登って、海に沈む夕日を・・・と思ったら、水平線近くになって太陽が消えてしまった。霞が邪魔をしてしまったみたい。ここまで待ったのに・・・。今の時期に夕日を見るのは難しいですね。

 砂丘をあとにして、砂丘会館という観光施設へ。6時を過ぎていたので客はほとんどおりません。お目当ての砂丘たまごも売切れだし、梨ソフトクリームも売切れだし。梨ソフトクリームは食べたかった。

 ということで、最終6時半のバスに乗って市街地へ。

<鳥取の夕食>

 一旦ホテルに戻った後、ホテルの人にお勧めの食事どころを聞き、その店へ行ってみることに。アーケード街2階にある家庭的雰囲気の居酒屋でした。おばさん一人で全てをこなしている。頑張ってるなぁ。こういう居酒屋は大切にしていかないといけませんね。

 鳥取名物ということで、長芋の刺身や鯖の糠漬け(?)などなど。あとは湯豆腐やゴーヤチャンプルやおでん。長芋の刺身はシャキシャキしていて、こんなにおいしいとは思わなかった。今度鳥取に来ることがあったらまた来よう。


<長芋の刺身>

<鯖の糠漬け。うまい。>

 夕食後、近くのスーパーで朝食と梨を買い、ホテルに戻って一日を振り返りつつ就寝。今日もよく動いた。


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