このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

東京見聞録
2005年3月13日() 三日目 <与那国島一周>


<与那国島一周物語 のち

 7時半起床。奥さん手作りの朝ごはんを頂いて、与那国島一周の旅へ。祖納集落内にあるレンタルサイクル屋で24時間1000円自転車を借り、雨が降りそうだったのでスーパーでレインコートを買い、準備万端。 


<今日の愛車>

 最初に与那国島の大まかな説明を。。

 与那国島は東西に長い楕円の形をしています。周囲の長さは27.49キロメートル、面積は28.88平方キロメートル、人口は約1750人。島内一周道路があり、これはほぼ海岸線に沿っています。今日はこの道を一周しようというわけです。距離にして大体21キロくらいだと思います。

 説明するのが簡単になるので、これからは島を時計になぞらえて説明していきます。与那国には三つの集落があります。1時の方向にある祖納、9時の方向にある久部良、6時の方向にある比川の三つです。今日は祖納から反時計回りに進み、久部良、比川を通って祖納に戻ってこようという計画です。比川を越えた6時のあたりから2時のあたりまではかなりの山道になっているらしい、ということを聞きました。まぁそこになったら頑張るしかない、ということで、いざ出発。

 まずは祖納集落のはずれにあるティンダハナタという巨岩を下から眺めてみました。


<高さ70mに位置するティンダハナタ>

 12時の方向まで来ると製糖工場が見えてきます。


<与那国町製糖工場>
 
<工場にある看板>

 さらに少し自転車を走らせると与那国空港です。石垣からは毎日最低一便、那覇からの直行便も週に何便か就航しているそうです。石垣や本当まで船で渡るのが大変だった与那国町民にとって、東京までも一日で行ける空港の完成は長年の悲願だったとか。


<与那国空港>

 空港近辺の風景は、まるで日本本土の離島のようでした。


<空港付近の平坦な道>
 
<山側の風景>

 10時の方向まで行くと、ダンヌ浜というビーチがあります。昨日に引き続いて荒れ模様の海ですが、波の色は綺麗なエメラルドグリーンをしていました。写真ではその迫力と美しさをなかなかお伝えできないのが残念です。右の写真はダンヌ浜から日本最西端の西崎を眺めたものです。左のほうにちょっと見えるのが西崎。西崎と書いて「いりざき」と読みます。これは太陽が「入る」ことから来ているそうです。


<荒れ模様のダンヌ浜>
 
<ダンヌ浜から西崎方面>

 ダンヌ浜からさらに行くと久部良集落です。集落に入った時点で雨が降ってきたので、今朝購入したレインコートを装着して準備万全。再度自転車を進めます。

 集落の海の近くに久部良バリという岩があります。幅約2m、深さ約3mの岩です。この久部良バリには悲しい歴史があります。その昔、琉球王朝から人頭税を課されていた与那国島の人々は、口減らしのために、島の妊婦にこの岩をジャンプして超えさせたそうです。無事に越えて成功する者もいたが、大半は飛び越えることが出来ず、墜落死したり怪我をして流産したりしたということでした。そういう悲しい歴史があるのです。


<九部良バリ>
 
<バリから九部良の街を眺める>

<九部良の漁業組合>

<牛がたくさん>

 いよいよ日本の西の端、西崎に向かいます。この頃には雨はやんでいました。西崎は久部良の近くにあります。が、結構標高が高いところにあるのです。自転車を押して山を登ること10分、ついに日本の最西端に到着!北緯24度27分00秒、東経125度56分04秒。東京からは1900km以上。思えば遠くへ来たものです。西崎は断崖絶壁の上にあるので、ものすごい風でした。

 日本の正真正銘東西南北の端で、一般人が立ち寄れるところはこの与那国島にある最西端しかありません。最北端は北方領土だし、最東端は南鳥島。さらに最南端は沖ノ鳥島という島か岩か分からないようなところだから、一般人が気軽に行ける訳ありません。波照間島はあくまで「有人島としての」最南端なので。ということで、ついにすぱくりは日本の端に立ったのでした。

 西崎からさらに西を望むと、100km先には台湾があります。しかし今日は天気が悪く、台湾の姿を見ることができませんでした。一説には台湾が綺麗に見えた次に日には天気が悪くなるらしいです。


<ついにやってきた日本最西端>
 
<西崎からさらに西を見る>

 日本の最西端に立って感動したら、お腹がすいてきました。時間は11時。ちょっと早いけど昼食をとりに久部良集落まで戻ります。カレー専門店「ユキさんち」で手作りカレーを食べてきました。「ユキさんち」は古い赤瓦の伝統的な家屋を改築して、カレー屋にしたそうです。なかなか風情があるカレー屋でした。


<ユキさんちのチキンカレー>

 さて、昼食後。次の集落である比川集落を目指します。時計で言うと9時から6時に移動です。途中与那国馬が放されていました。与那国馬は小柄でおとなしく、繊細な性格をしているそうです。そして粗食に耐える、と。


<至るところに落ちている牛の糞>
 
<与那国馬>

<牧草を食べる与那国馬>

<きちんと厩舎に戻る与那国馬>

 さらに自転車を漕ぎ、ようやく比川集落に到着。比川集落は与那国にある三つの集落の中では一番小さな集落です。集落近くにはくるまえびの養殖場もあります。


<車えび養殖場>

 そして比川といえば、忘れてならないのがDr.コトーのオープンセット。「父さん、僕はついにここまで来たわけで・・・」というのは役違いですが、実際にここで撮影が行われているらしいです。

 実際にドクターコトーを見たことがないので、有り難味とかはわかりませんが、細部を見てみるとかなり作りこんであって美術さんの苦労が目に浮かびます。変なところに感心してしまいました。ドクターコトーは設定上「与那国島」ではないみたいですね。「志木那島診療所」と書いてありました。「那」だけが一致してます。。 


<オープンセット>

 Dr.コトーのセットを見た後は、3時の方向にある東崎を目指します。が、ここからが難所。標高が高くなりアップダウンがきつくなります。自転車を押して山を登ったり、ブレーキもかけず坂道を下ったりの繰り返し。途中には奇岩がいくつかあります。


<立神岩>
 
<軍艦岩>

<サンニヌ台>

<ハイビスカスと風車と牛>

 海からの風に飛ばされそうになりつつも何とか東崎に到着。ちなみに東崎と書いて「あがりざき」と読みます。東崎も断崖絶壁です。ちなみに東崎に着いた時点でついに太陽が照りだしました。


<東崎の灯台>
 
<東崎からウプドゥマイ浜>

 東崎を見た後は祖納に戻ります。これで与那国一周達成。長い道のりだったけど充実感抜群です。計21キロ。よく動いたもんだ。ただまだ午後4時で夕食までには時間があったので、まずは集落内にある与那国町伝統工芸館へ。与那国島伝統の与那国織の展示をやっていました。それでも時間があったので、今日最初に見たティンダハナタに登ってみることに。

 祖納の集落から900メートルほどの登り道を歩くと、ティンダハナタの下にある展望台に着きます。展望台からは祖納集落が一望できます。


<ティンダハナタから祖納を望む>
 
<ティンダハナタ展望台>

 帰りは集落を流れる田原川の川沿いを歩いて宿へ。田原川湿地帯には珍しい生物がいるらしく、世界最大の蛾であるヨナグニサンもいるそうです。ただ今日は風が強いのでそういった生物は見かけることができませんでした。下流から上流に向かって歩きましたが、下流では結構都市河川のような、いわゆる汚水の臭いがしました。ちょっと上流まで行けばそんなことはなかったけれども。。


<田原川湿地帯>

 宿に戻って一旦落ち着いたら、夕食です。今日は「国境」と書いて「はて」と読む居酒屋に行ってきました。昨日の女酋長の向かいです。クーポン券を持っていたので泡盛(まいふな)1合が無料に。嬉しいことです。酒はその1合だけにして、与那国名物のカジキマグロの皮の和え物や、豚の内臓を炒めた「中身チャンプルー」、カジキマグロの目の周り料理であるヒトミチャンなどなどを楽しみました。店のテレビでちびまるこちゃんとサザエさんをやっていて、今日は日曜日なんだ、と思い出す始末。旅に来ると曜日感覚がなくなります。


<泡盛とカジキマグロの皮の和え物>
 
<中身チャンプルーとヒトミチャン>

 ということで、今日も地元のおいしいものに舌鼓を打ちました。この日は動きすぎてさすがに疲れたので、9時ごろ早めの就寝。明日は西表島に向かいます。


←二日目へ   四日目へ→

旅行記トップにモドル

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください