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隠しテーマは「交通」!?
愛知万博訪問記

長久手会場乗り場に入る燃料電池バス

写真は2005年7月撮影


2005年日本国際博覧会、愛・地球博に行ってきました。
大阪万博以来35年ぶりの総合博覧会となる愛知万博ですが、事前の盛り上がりに欠け、開幕当初は不入りを喧伝される始末でしたが、尻上がりに利用を伸ばしており、特に7月に入ると夏休みにも入らない梅雨どきというのに平日から連日10万人超の入場者数を数えるようになり、何時間も待たされる、パビリオンがろくに見れない、と当初の批判はどこへやらというような批判が出てきています。

「自然の叡智」をメインテーマに、環境を考えると言うお題目ですが、実はこの愛知万博、会場の内外には交通分野での見どころも豊富なのです。というか、交通システムがパビリオンと言ってもいいくらいで、「交通博覧会」としての側面も見えてきます。

混雑は仕方が無いとして、ならば交通関係だけに絞って見に行こうかと思っていたのですが、家族を置いていくと言うのも叶わぬ話でして、結局息子を連れての親子旅になってしまったので、交通機関だけを重点的に見るというわけにもいかなくなってしまいました。
まあ、息子が大きくなった時、「愛知万博に行ったか」と言う話題が必ずあるでしょうし、この後日本で「万国博」があるとも限らないので、大袈裟ではありますが「一生の思い出」として連れて行ったのです。

事実、私は大阪万博が開催されていたという記憶はあるのですが、会場には行っていません。6000万人の入場者を数えたあの万博、いかに関東に住んでいたとはいえ行っていてもおかしく無いイベントだっただけに、友人知人との話題に万博体験が出てくると、心のどこかで行けなかったという負い目があります。
そう考えると、以前どこかで見た万博のキャッチコピー「人生一度は万博だ」も、ふざけているようであって、真理を突いているといえます。


その1・午前はパビリオン見物

●出発まで
2005年7月9日未明、神戸の自宅を出発しました。
9時の開門と同時に入っても人気パビリオンは覚束ないとか、何時間も待たされると言う情報を耳にし
ており、取り敢えずマンモスと企業パビリオンの一つくらいは見ておきたい、後は外国館めぐりと交通探検と取り敢えず作戦を練りましたが、そうなると、何時までにどうやって入るかが鍵になります。
朝イチの「のぞみ」と「エキスポシャトル」で万博八草着が8時ちょうど。リニモに乗れば9時の開門より早く着けますが、どうも情報を総合するとそれでは遅いと言う話です。おまけにリニモに乗るのに時間が掛かると言う話もあり、この時点で鉄道は断念です。

万博のゲートは北、西、東の3箇所があるんですが、リニモの万博会場駅前にあたる北ゲート、そして
団体バスの発着に指定されている西ゲートは相当混みあうようです。シャトルバス関係しか来ない東ゲートか、瀬戸会場で入場してゴンドラで乗り込むと言うのがどうも穴場のようで、鉄道じゃ間に合わないので、パークアンドライドを調べてみました。
(東ゲートはリニモの陶磁資料館南駅前だが、リニモに乗れるかと言うリスクがあるため除外した)

愛知万博におけるパークアンドライドは、周辺部に駐車場を置き、所要時間10〜30分程度のバス輸送を
行うと言うもの。会場周辺では大規模な交通規制を敷くとありますが、こういうイベントの常として沿道の「民間駐車場」が雨後の筍のように出現して規制を骨抜きにしようと窺っています。
今回は公式のP&Rを見ると言うのも目的なので、公式ルートに乗っかりましたが、東ゲートに行く駐
車場は、名古屋空港、三好、尾張旭の3ヶ所ということがわかりました。
伊勢湾岸道から豊田JCT経由で東から回り込めば東名三好IC至近の三好も悪くは無いですが、関西方面
からだと名古屋空港がよさそうです。東名阪利用でしょうか、シャトルバスが高速利用のため着席前提と言うのもよさそうです。

ところがさらに調べてみると、名古屋空港はどうもP&Rの中でも一番人気のようで、早い時間のうち
に満車になるとか、シャトルバスに乗るのにかなり待たされるとか、芳しく無い評判が聞こえてきました。そうなると距離がある名古屋空港で待たされても困るわけで、三好か、尾張旭か、ということになるのです。
ここで急浮上したのが尾張旭。名古屋空港とは逆に、どうも空いているという情報が入ってきました。

もともとここを敬遠した理由は土地勘がなく判りづらいことと、シャトルバスが一般道しか通らないということ
なんですが、背に腹は替えられません。名古屋在住の友人に聞くと、幸いそのあたりを何度も通っているそうで、渋滞はまず大丈夫とのこと。アクセスも、東名阪の大森ICで降りて、すぐ左折しての一本道だそうで、尾張旭に決めましたが、まさに賭けです。公式には駐車場は8時開門、シャトルバスは8時10分始発だそうですが、ゲートに8時には着けるように繰り上がっていると言う情報もあり、取り敢えず駐車場に7時半までに着いて、8時にゲートに着けるようにシャトルバスに乗ると言う目標を立てました。


●開門まで
名神を一路一宮に向かいますが、途中の竜王でいったん出たり入ったり。これは100kmまでの大都市圏早朝深夜割引と、同じく100kmまでの大都市圏以外の通勤割引を上手に組み合わせるため。これで乗りなおしのターミナルチャージが数百円掛かるものの、ベースが5割引ですから大きいです。
6時半に岐阜の養老SAで朝食休憩。九州からの名古屋行きの夜行高速バスや福井からのセントレア行きリムジンに混じり、団体バスの多いこと。この時間にこんなところと言うと万博見物としか考えられないわけで、先行き不安です。
再び高速に戻ると朝のラッシュが近いのか交通量が増えてましたが、渋滞することもなく一宮ICに着き、そのまま直結している名古屋高速一宮線に入りました。

名古屋高速一宮線

東名阪の清洲JCTまでの開業で都心に直結していないので、一宮の手前にはくどいほど都心環状へは小牧ICから小牧線を、と案内してましたが、大型を中心とした利用が目立つのは予想外です。清洲で概ね名古屋西方面に向かっていたので、四日市など臨海部へ急ぐのでしょうか。
東名阪は交通量がさらに多く、楠JCTの手前では万博駐車場案内がお目見え。名古屋空港は名古屋高速へ、尾張旭は直進とあります。
名古屋東部の丘陵地帯を抜けるトンネルに入ると、トンネルの中で大森ICの出口があります。ちょうど外環道の和光ICのような構造ですが、ロードマップからは読み取りにくい構造です。
そのまま側道であるR302に合流し、すぐの交差点を駐車場案内に従って左折しました。

万博駐車場案内(左:東名阪道楠。右:尾張旭)

結局この道は片側2車線で流れており、10分も経たずに尾張旭駐車場です。7時半をやや回っておりちょっと予定より遅くなりましたが、見込み通り駐車場は開いてましたし、予想以上に空いていたので、バス乗り場に程近いブロックに停められました。

尾張旭駐車場入口駐車場からバス乗り場を望む

会場に持っていく荷物を選び、水筒は持って、ペットボトルをクルマに置いてバス乗り場へ。行列がすでに折り返していましたがバスはまだ出て無いようです。バスは10台ほど待機しており、最初はすぐに出すでしょうから3〜4台目くらいで乗れるでしょうか。

ただ、バスに乗るには1日1回3000円の駐車料金を精算して、バス乗車証代わりのコインをもらわないといけないのですが、その精算機の場所がややあさっての位置にあるのは問題でしょう。もっとも、駐車場にいっぱい入ってくるようになれば良い位置になるのですが。
そのコインはコインと言うより角は取ってあるが四角いプラスチック製のチップです。片面に万博マークと「東ゲート」、もう片面にPマークと「尾張旭」とあり、ゲートと駐車場の確認にもなります。
精算時に同乗者の人数を入力するのですが、結局それを確認されたことはなく、何のためなんだろう...

行列の向こうに精算機バス乗車開始(2台目)

程なくバスが入ってきて、7時40分頃に第一陣の発車。一般道経由ですが名阪近鉄と伊豆箱根の観光タイプ車を使用しており、座席定員で切っているようです。
続々とバスが据えつけられ乗り込みますが、3台目のところであとちょっとで満員、と言うとき、係員が「補助席でも宜しいでしょうか」と聞いてきました。前のグループが躊躇したのを見て、すかさず名乗りを上げて息子を促して乗り込みます。目的はあくまで万博、バスに乗るのではありませんから早く乗れるほうが肝心です。
そして出発したバスは途中渋滞もなく進みましたが、一部片側1車線区間があるのがネックで、時間帯によっては滞るかもしれません。
やがてパビリオンや観覧車が見えてきて北ゲート脇でリニモと名古屋瀬戸道路に合流。で、我が東ゲートは意外と距離がある感じで、バスが走った分が北ゲート比で余計に歩く距離になるだけにやきもきします。

尾張旭で待機するシャトルバス

東ゲートに着いたのは8時前で、10分ちょいという感じでした。補助席に座っていると言うことは真っ先に降りないと他のお客さんが降りられませんから、最後に乗って最初に降りると言うラッキーな展開です。
エスカレーターで下にあるゲートに向かうのですが、脇にある大階段は封鎖しており、群集雪崩対策なんでしょうが、だったらもっと設計を考えてほしいです。
ゲート正面から伸びる行列に着いたのですが、10口はあるゲートの30人目くらいでしょうか。そこで1時間も待つかと思うと息子が持つかどうか心配になりました。

東ゲート全景(モリゾーゴンドラから)



●ラッキーな展開
足元は環境対策なのか、ウッドチップが敷き詰められています。ふと見ると行列は見る見る伸び、ゲート前からの列は最後尾に達し、一緒になってバス乗り場のほうに十重二十重に折れ曲がって延びていってます。こうしてみると私の立っている位置はまんざらでもなく、こうなると尾張旭と言う選択、そして先発のバスに乗り込んだ選択は良かったようです。
ゲートの頭上を瀬戸会場からのゴンドラが行き来していますが、まだ営業はして無いようです。もしこれが営業していて客が乗ってたら穏やかでは無いでしょうが。

東ゲートに並ぶ人々セキュリティチェック
(警備員の足元の籠にペットボトルが...)

結局8時45分ごろに繰り上げての入場開始。前評判どおりのセキュリティチェックですが、あれだけ言われてもゲートでペットボトルを放棄する人の多いこと。もっとも、チェックをごみ捨て場と考える不心得者かもしれませんが。
そんなに時間が掛かった感じもなくセキュリティを抜け、自動改札機にチケットを通すと入場です。頭上を走るゴンドラも乗客がおり、瀬戸会場から「空路」乗り込む人とも競争です。とはいえ、あからさまに走る人がほとんどいないのは予想外で、こっちも息子の体力を温存しないといけないので、ポツポツと小雨が降ってきたなかを早歩きで企業ゾーンへ向かいます。

企業ゾーンへの奔流の中、いつしかトヨタ館の整理券はこちらと言う行列に吸い込まれてしまいました。並ぶだけ並んでアウトだったらどうしようという不安半分で並びましたが、仕切りのロープを越えて横入りした客に警備員が注意、だけでなく引き出してしまうのには驚きましたが、まじめに並んでいる人にとってはありがたく、引き出されたほうも文句は言えないようで、かえってスッキリします。
並んでいる人はトヨタもいいが、他のパビリオンの予約も、と気が気じゃないようで、列から出る人、中にはちゃっかりと並んでいる間に知人に頼んで他の予約をさっさと済ませる人もいます。
で、そこまで厳しいチェックはどうも人数把握のようで、後方では「配布終了」の看板が立ち、結局取れないと評判のトヨタ館の整理券をゲットできました。

時間は11時40分集合とあり、まずまずです。しからばマンモスも、とマンモスラボに向かい、10時のブルーラボをゲット。結局「目玉」を昼過ぎまでに見れると言う望外の結果になったのです。
まあ冷やしマンモスならぬ冷凍マンモスは動く歩道に乗っての鑑賞という、さすが名古屋らしい合理的なやり方に驚き、トヨタ館は別稿の通りと時は過ぎたのですが、この時点で会場は人、人、人でもはやパビリオンに入るというレベルではなくなっていました。
結果から言うと、このあとアフリカ共同館に入った程度で、土産を買うのも公式ショップの常設店は入場制限、雨に濡れ細りながら屋台の店で並んで買うと言うほどで、「目玉」の2ヶ所を押さえられてよかったと喜ぶべきなのか、「目玉」の2ヶ所だけで終わってしまったとして嘆くべきなのか、複雑な結果でした。
まあその時点で史上第3位、15万5千人強の入場者を数えるという大入りの日だったことを考えると、それでも良しとせねばならないのかもしれません。

長久手会場内



その2・交通を堪能した午後へ




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