このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
隠しテーマは「交通」!?
愛知万博訪問記
モリゾーゴンドラ(瀬戸駅) |
写真は2005年7月撮影
その2・交通を堪能した午後
●まずは燃料電池バス、そしてモリゾーゴンドラ
トヨタ館を出ると隣が瀬戸会場へのモリゾーゴンドラの乗り場です。長久手会場内を行きかうキッコロゴンドラが600円と相当なお値段なのに対し、ゴンドラか燃料電池バスに乗らないと行き来が出来ない瀬戸会場ですからこちらは燃料電池バスも含めて無料です。
混み合うモリゾーゴンドラ長久手駅 |
ところがゴンドラは60分待ちの表示に頭を抱えましたが、息子がゴンドラに興味を示している今しかチャンスは無いわけで、しからばと燃料電池バスで移動して帰りにゴンドラにしようと考えました。
バス乗り場への案内 | 乗り場に停車中の燃料電池バス |
エリアの中なのか外なのかいまいちわからないエリアが瀬戸会場行きのバス乗り場。行列が結構伸びており、ここも待ちそうですがしかたがありません。何が楽しいのかわからない息子には、水素と言ってもまだ判らないだろうから「お水で動くバス」(だいぶ違うけど...)と興味をつなぐように仕向けましたが、都バスでの乗車体験から考えると、静かなくらいであとはとりわけ、というところだけに待ってまで乗ると言うことに納得するかどうか。
燃料電池バス車内 |
結局1台待って乗りましたが立席です。窓ガラスも含めてラッピングされており視界は微妙に効きません。モニターがあり、「ケロケ郎」と少女の掛け合いで環境と燃料電池についてのお勉強が出来る仕掛けですが、まあ会場外の一般道をノソノソと走るだけですからそれでもいいんでしょうね。瀬戸会場に着くと駐車場には何台か燃料電池バスが停車中ですが、全車尾張小牧230(ひらがな)2005というのには参りました。ただ、白ナンバーと言うのはどうなんでしょうね。無償の限定輸送だから良いと言う判断なのでしょうが。
ちなみにこの燃料電池バスは8台あると言うことですが、万博終了後はどうなるのでしょうか。都バスの燃料電池車は営業を終了したそうですが、それと合わせると9台もの大所帯、万博バージョンだけでも8台ですから、ちょっとした路線を完全に賄える規模であり、試作というより量産前提の増加試作と言うような位置づけに見えるんですが。
瀬戸会場に着いた燃料電池バス | 瀬戸会場エントランス |
で、たどり着いた瀬戸会場はのんびりしてます。瀬戸日本館が結構良いと言う話を聞いたんですが、モリゾーゴンドラでとんぼ返り、と言いたいところ、息子がゲートすぐのウェルカムハウスの萱葺きに目を奪われて動かないので小休止しました。
市民パビリオンから瀬戸会場を見る | モリゾーゴンドラ瀬戸駅遠景 |
モリゾーゴンドラへ市民パビリオンの外周を螺旋状に大回りする構造はいかがなものかと思いつつ瀬戸駅にたどり着くと20分待ちとのこと。ゴンドラを帰路にしたのは正解です。6人乗りで4人家族と相乗りでしたが、スキー場によくある「ゴンドラ」そのものと言う感じでした。
いざ出発、と言いたいところ、下り勾配を進んですぐ方向転換の中継点へ。信号所のような感じでいったん停車してしまうため、ゴンドラが集中するので衝突、追突するのではと焦ってしまいます。
瀬戸ゲート前の駐車場を過ぎると民家があるための瞬間曇りガラス区間。神戸の六甲ライナー(住吉−魚崎間)でもお馴染みの機能ですが、ゴンドラのような狭い空間で見えなくなると想像以上に圧迫感があります。ゆえにパンフや乗り場でくどいほど案内しているんでしょうね。
再び視界が晴れると下には名古屋瀬戸道路とリニモの線路が。そして東ゲートを見やりつつ急降下して長久手駅に着きましたが、相変わらずの長蛇の列でした。
瀬戸会場ゲート方向 | 瞬間曇りガラス作動中 |
●そして自転車タクシー
お次は自転車タクシーです。これは息子のリクエストですが、新交通だの何だのはそれなりに見ていても、自転車タクシーは早々あるもんじゃないだけに興味があるようです。
ところがこれも結構な列。しかし大人2人と子供1人が限界で合乗りなしなのでなかなか捌けません。係員と運転手の話を聞くと、どうも人出が予想外に多く、急遽増車したようで、程なく続々と現れましたが、今度は雨がとうとう本降りになってしまい、吹きさらしの自転車タクシーは難儀です。聞くと特に開放感溢れるブリジストン型は雨が降ると店じまいだそうで、次が着たら写真を撮ろうと思ってたのにそれっきり。配車間隔も開いてしまいしんどかったです。
自転車タクシーは会場内を一周する人工地盤の空中回廊「グローバルループ」を周回する交通機関で、指定された停留所ごとの乗り切り制です。同様に周回する3両連結のグローバルトラムは乗り通しもできるようですが、こちらは都度降りないといけません。
運転手は相当きついようで、停留所ではペットボトルの飲料をがぶ飲みして呼吸を整えてましたが、その合間にも雨で濡れた椅子を拭いたりと相当な重労働です。ちなみに料金は大人300円、子供200円。運転手の様子を見ているとイベント用としてはありだとしても、公共交通として成立するかは疑問です。
自転車タクシー | 中からグローバルループを見るとこんな感じ |
やってきたのはヤマハ型。親子で座ったところを撮ってもらうなどしてから出発しましたが、雨は遠慮会釈なく吹き込んできます。
グローバルループは歩行者の通路でもありますから、まさにトランジットモール状態ですが、ここまで人が多く、かつ傘をさす人が多いと収拾がつきません。運転手がまたユニークで、自転車備え付きのベルを鳴らさずに、口三味線宜しく「チリンチリン、自転車が通ります!」と呼びかけて注意を促しますが、聞くと、ベルで追い散らすよりも温かみがあるからとのこと。確かに金属質なベルを鳴らされるより、呼びかけられると角も立たないようで、スムーズに道が開きますが、自転車タクシーなる珍品を目の当たりにしてのリアクションは面白いです。もっとも、乗ってる側も晒し者的な感覚でしたが。
さらに聞くと、1周40分ですが道路事情によりだいぶ遅れるそうで、お疲れ様と言うところでしょう。
欧州各国のパビリオンが集中しているグローバルコモン3で下車となりますが、ここもすごい人。ドイツ館では2時間以上待ちなので並ばないでくださいと並ぶことを拒否する始末というわけで、西エントランス経由で空いてそうなアフリカ諸国のグローバルコモン5へ向かいました。その混み合うグローバルループを自転車タクシー同様グローバルトラムが通りますが、こちらは3連のバス見たいな乗り物ゆえ、前方に先導者を歩かせての通過です。しかも「トラムが通ります!」と呼ばう姿は、京都N電の「電車が来まっせ!危のうおまっせ!」の世界そのものでして、トランジットモールの現実もこうなってしまうのでしょうか...
危のうおまっせ! |
●最後はIMTS
グローバルコモン5に着くとエジプト館が40分待ちとのこと。当てが外れて共同館の民族楽器や民家の模型を冷やかしてEXPOドームへ向かいます。会場最南端のここからはIMTSで一気に北ゲートに向かうのですが、雨で冷えた上に人ごみに当てられたのか息子も疲れが激しいようで、このあたりが潮時でしょう。北ゲートに着いたらもう帰るから、モリゾーが運転するバスで帰ろう、となだめます。
と言いつつもEXPOドーム駅の手前でIMTSの走行写真を撮ってるのですから冷たい父親です。
EXPOドーム駅に進入するIMTS | EXPOドーム駅 |
10分ヘッドの運行ですが、長蛇の列で2便待ちとなってしまいました。残念だったのは1本前が毎時1本見当のモリゾー・キッコロメッセ行きの3号車がある便だったこと。ラッキーだったのは1本後が2時間強に1本現れる西ゲート止めだったこと。天候がよくて息子が元気であればメッセに立ち寄ってモリゾーやキッコロを探そうと1本前の3号車に乗れたんですが(メッセ行きは人気がなく空いていた)、それどころで無い状態だったので諦めました。
で、モリゾーが運転するバス、というのは無人での隊列走行をするため、運転台にモリゾーのぬいぐるみが置いてあるのです。なかなか粋というかユニークな、それでいて「無人」を印象付ける演出ですが、万一に備えた係員が乗っている1号車と違い、2号車は助手席にキッコロも座っています。隊列走行を実感するには2号車のほうがいいのですが、1号車でした。
運転手はモリゾー!? |
「駅」の表記に「今度の列車は」の案内、そしてホームドアとバスと言うより軌道系交通の色彩が強いですが、車体はバスそのもの。ただ、単線で「駅」では交換待ちをしたり、「駅」前後の走路の分岐にはポイントよろしくガイドレールがあるなど、システム的には軌道そのものです。センサーによる隊列走行ということで速度はかなり控えめで、グローバルトラムなどと違い、グローバルループはさすがに通れないので、地平の専用走路を通りますが、空中回廊の下はまさに舞台裏で、西ゲート駅の先では「踏切」まで出てくるわけで、ユニークと言うかシュールな眺めでした。
ホームドア付きの乗り場(EXPOドーム駅) | グローバルループの下を行く... |
さすがに燃料電池ではなくLNGなのでバスっぽいサウンドを感じながら企業ゾーンBの裏手を走り、そしてEXPOドーム同様北ゲート駅でも先端のループ線を回りこんでからホームに入りました。
最後はループで回りこむ |
●万博会場を後にして
上述のように雨に打たれながら屋台で土産を買いましたが、モリゾーの不人気、キッコロの人気は気の毒なほどで、どの屋台もモリゾーの濃い緑が目立ちます。
そして東ゲートへ向かうと17時からの半日券出の入場待ちの行列が出来ています。それを横目にゲートを出ると、朝方不可解に思ったエスカレーターが、まだ来場者もいるため上り下り1台ずつの運行になっており、思わぬ渋滞ですが、これは不細工な話です。
問題のエスカレーター 右手に使われていない大階段 | シャトルバス乗り場 |
帰りのシャトルバスも「補助席で宜しいでしょうか」の声に手を上げてさっさと乗車しましたが、途中懸念されていたあたりでやはり混んで所定よりやや遅い25分での到着でしたが、すれ違う会場行きにはそこそこの乗客がまだいました。
気になったのは北ゲートに続々と着いていた三重交通の路線車で、背面に広告やぐらを組んだ田舎のバスそのもののデザインで、しかも一時代前のデザインの車両がほとんどです。どうも万博八草へのリニアを補助するシャトルバスになっているようですが、車両繰りの問題があるとはいえ、会場内では最先端を行くバスの試乗すらしているというのに、他社のバスと比べても段違いにみすぼらしい車両を導入すると言うのは無神経に過ぎやしないでしょうか。
尾張旭駐車場出口 |
駐車場を後にして帰路は大森ICではなく、敢えて会場前を通過してみました。傍迷惑と言われればそれまでな行動ですが、まあ混んではいないことを確認しての通過です。北ゲート前から西ゲートの横を通るとすぐ名古屋瀬戸道路の長久手IC。第二入口とあり、万博対応のロングランプのようで、ほどなく第一入口と合流して料金所ですが、万博が終わったらどうするの?と言うくらいのブースの数には驚きです。
東名直結は便利ですが、シャトルバスや団体バスくらいしか姿が見えないあたり、万博対応としても過剰だったのかも。
長久手IC |
雄大な日進JCTの構造に、都心方面への延伸計画があるのだろうなと思いつつ東名に合流し、名古屋ICで東名阪道へ。名古屋IC、名古屋西JCT経由で東名阪均一区間を挟んで東名と東名阪を乗り継ぐ場合、東名、均一区間、東名阪それぞれに通勤割引が適用になると言う特例を体験し、名阪国道経由で神戸に帰りました。
最後に、お約束の飲食事情ですが、飲み物は拍子抜けするほど簡単に手に入りました。ペットボトルや紙コップ飲料は市価と同じですから、銘柄にこだわらなければ無理してぬるくなったペットボトルを持ち込む必然性は無いですね。食事のほうは弁当を含めて落ち着いてと言う雰囲気ではないことは確かで、外国パビリオンでの食事を今回はしなかったので何ともいえませんが、西エントランスあたりの飲食店街はかなりごった返していました。私は早めにマンモスから程近いワールドレストランなるフードコートで食べましたが、割り切ってそういう軽食系で済ませるしかないのではと思います。
「お弁当は早めに」の立て看板 しぶしぶ解禁した感じが伝わりますね |
強行軍に雨と人ごみが加わり、息子は尾張旭を出てまもなく爆睡状態に入りましたが、楽しい一日でした。
乗り物だけでも楽しめますが、その乗り物も待つというのがちょっと辛いかもしれません。まあ、ハイテクにローテクと両極端な品揃えは掛け値なしに面白かったです。
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