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サービスエリアでのロードマップ配布廃止
ドライバーの情報提供よりも物販優先の悪しき風潮
エル・アルコン 2006年5月9日
※この作品は「交通総合フォーラム」とのシェアコンテンツです。
この連休、高速道路を使ってレジャーに帰省にと出かけた方も多いかと思います。そうしたドライブの途中、ある小さな変化に気づいた方も多いのではないでしょうか。
その変化は、高速道路で従来配布していたロードマップ(エリアガイド)がなくなっていたことです。
その変化に気づいたのは山陽道の某サービスエリアでのこと。最近は配布数を絞るべく案内所の係員に申し出ないと貰えないので、申し出ると、これまでのそれとは似ても似つかぬペラ紙の「エリアインフォメーション」を渡されました。
こんなんじゃない、地図が欲しいというと、係員は、地図は3月31日でなくなりました。今はこれです。と澄ました顔で言うだけです。見ると従来は中国・四国地方で1部だったのに、中国・岡山エリア、中国・広島エリア、近畿・神戸エリア、四国エリアと細分化されています。
高速道路のロードマップの配布の歴史は古く、1980年代にはありました。かつては路線別だったのですが、東北道と常磐道、東名と中央道、中国四国地区は複数ルートがあることから1葉になるなどの変化がありますが、「最末期」には北海道、東北北部、東北南部、関越、北陸、東名中央、近畿、中国四国、九州、沖縄の10種類を数えていました。
ドライバー用という建前ですが、観光バスや高速バスの利用者にとっても便利な品であり、本来趣旨から外れた利用が多いことから、案内所のカウンターで請われれば配布する形態になったのは上述の通りですが、かつてはラックに置いてあり、それもその路線のみならず全国規模で置いてあることもありました。(かつて常磐道の友部SAで九州版を手に入れたこともある)
カウンター配布になり、常備している地図もその路線のみで、隣の地域版があれば御の字という状況になったのですが、一方で金を払ってでも入手したいというニーズがあるのも事実で、近年は全国セットを500円で頒布しており、私もそれを購入しています。
市販の地図があるのにこのロードマップを重宝する理由は、広域地図として高速道路のほか、国道、有料道路、地方道ならびに大まかな地形と地名が記載されていることと、サービスエリア、パーキングエリアの情報として、設備や駐車スペース数、レストランの主要メニューが記載されており、ドライバーの情報源としてはかなり利便性が高かったです。
余談ですが、一時期のロードマップにはトイレの「ブース数」が記載されており、これも混雑時の判断材料としては重要でした。
今回細分化された
「エリアインフォメーション」
は、SA、PA情報はあるのですが、従来版と比べるとメニューの掲示が減るなど情報が少なく、また、路線に従って表示されていたものが、ポンチ絵のような位置関係図の周囲に分散されてしまい、順序も入り組んで分かりづらくなりました。一例を挙げると岡山エリア版の場合、右上に中国道上月PAを置き、反時計回りに並ぶ順番が勝央SAの次は米子道に入り、再び真庭PAから中国道に戻ります。中国道は七塚原SAで終わり、山陽道瀬戸PAになりますが、吉備SAの次は岡山道高梁SAを挟んで再び山陽道道口PAとなり、高坂PAまで続きます。
さらに物販がないPAは無視されており、ガイドとしては非常に中途半端です。
裏面にはポンチ絵でない縮尺による地図がありますが、高速、有料と国道に、一部地方道だけの記載になり、県名はあるものの都市名や鉄道といった地図に必須の表記がなくなりました。これではロードマップとしての用をなさないわけですし、世に「酷道」と呼ばれ、ここを通るくらいなら並行する県道を走ったほうがマシという区間が多いです。ここまで簡略化されるとこの地図のみを使う人がいるとは思えませんが、危険なルートに誘導されたり、ありえないルートを取らされかねません。
最悪なのは、IC、JCT、SA、PAのキロ程表示及びIC間の区間距離の表示がなくなったこと。
市販のロードマップはIC、JCTベースの区間距離の表示はありますが、SA、PAのそれはまずありません。さらに起点からのキロ程表示はないわけで、キロポストを使った位置確認をする材料がなくなったのは論外にも程があります。
前に拙サイトで効率優先で夜間どころか日中営業の給油所も削減して、
給油所間隔が特に夜間は危険なまでに開いていることを指摘しましたが
、今回はその重要な情報になる距離情報を取り上げたわけです。
確かに新しいガイドは従来のロードマップの1/4程度の大きさですが、細分化されたそれは、従来の中国四国版だと5種類分に相当するわけで、違う版を起こすことも含めて、コストダウンになっているかも疑問です。
コスト削減を図るのであれば、たまに県別の観光ガイドを兼ねたロードマップがラックに刺さってますが、これのように観光関係の広告を募れば従来同様のものを提供できないことはないでしょう。実際、従来版は広告主はわずか1社であり、「企業努力」が足りません。
今回の改悪は、SA、PAの管理がハロースクエアとJ-SAPAから、各高速道路会社の子会社に移管されたことが契機になっていますが、物販には夢中な各社ですが、ドライバーへのインフォメーションについて距離情報を全く知らせないという致命的な改悪をするとは、とんだ民営化効果であり、早急に従来版の新版を出すべきです。
SAやPAについては公団時代末期から物販優先で、休憩スペースが削られて事実上スナックコーナーになっているケースが眼に余っていましたが、今回の改悪で情報提供能力まで削ったことで、ますますドライバーの休憩施設とは程遠いかたちにしようとする姿勢がはっきりしてきたようです。
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