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高速3社の独自エリアガイドの使い勝手
ロードマップ配布「廃止」のその後
エル・アルコン 2006年9月16日
インフォメーション(山陽道・三木SA) |
※この作品は「交通総合フォーラム」とのシェアコンテンツです。
この春、これまで高速道路のサービスエリアで配布されていたロードマップ(エリアガイド)の配布が廃止され、西日本高速道路の管内では 到底使い物にならないようなレベルのガイドになった ことについては、 ここでも論じました 。
不鮮明で恐縮ですが、岡山県エリアのガイド(表裏)。ガイド部分については上記リンクに写真あり | |
地図は高速と国道のみ | 県別に細分化され、ポンチ絵のようなエリアガイド |
その後、東日本、中日本、西日本ともに独自版を作成して従来のロードマップに替えていることが判明しましたが、この夏に高速道路を行き来して、ようやく各社版を見比べることが出来ました。
ちなみにあまりの落差に愕然とした西日本版ですが、7月に早々と刷新しており、
その告知
では、末尾にわざわざポイントを大きくして「なお、従前のエリアインフォメーションにつきましては、お客様に色々とご不便をお掛けしまして誠に申し訳ございませんでした。」と書いており、よほど苦情が相次いだのであろうことをうかがわせます。
その間、一部のエリアでは民営化に伴いハロースクエアなどの特殊法人がなくなったから発行できなくなりましたと言うもっともらしい告知があったりしましたが(阪和道紀ノ川SA)、その特殊法人はSA、PAの運営がメインで、民営化後は各社の子会社が運営しており、無くなったから発行できないのならSA、PAの運営すら出来ないわけで、苦し紛れの言い訳でした。
さて、出揃った各社版の中身を見比べて見ましょう。
各社のガイド。左から東日本、中日本、西日本 |
●東日本版
ここはこれまでとガラッと変わりました。
角川書店(角川クロスメディア)と組んで、「ウォーカー」シリーズの体裁で「ハイウェイウォーカー」と言う月刊フリーマガジンになりました。サイズはA4で、関東上信越、東北、北海道の3区分となり、管轄の関係もありますが、5区分が3区分に減っています。反面、東北と関東の区切りが東北道が那須高原SA(那須-白河)、常磐道が関本PA(北茨城-いわき勿来)、磐越道が上川PA(津川-西会津)とこれまでより南側になっており、やや不便です。(磐越道は新潟側が関東上信越版に掲載であることに注意)
ただ、外見は一番変わったものの、内容は従来版をほぼ踏襲しており、地図ではIC間及び主要国道の拠点間の距離表示、またSA、PAマップではSA、PAやICの起点からのキロポストに即した距離表示や、物販のないトイレだけのPAの案内もそのままです。レストランや物販の写真やメニューを別掲にしているため、すっきりしています。惜しむらくはスマートICの案内があるのですが、文字が小さすぎて極めて読みづらいことです。もっとも、免許取得の条件になっている視力があれば読めると言うことかもしれませんが。
地図とSA、PAマップを地図の区分ごとにセットにしており、地図だけを見ようとすると飛んでいますが、これは慣れの問題でしょう。
「ウォーカー」を名乗るだけに沿線ガイドやドライブガイドも充実しており、かつてのハイウェイニュースも統合した格好で、これは良い出来ですが、地図情報だけを求める時には、ややうっとうしい点は否めません。
●中日本版
こちらもサイズはA4版になりました。東名・中央版と、北陸・名神・東名阪版の2種類が発行されています。
季刊で、こちらはJTB(JTBパブリッシング)と組んでいます。
こちらの特徴はエリアガイドが地図形式ではなく表組みになったこと。トイレだけのPAも掲載されており、駐車場台数情報もありますが、中日本ネクシス(SA、PA管理会社)以外が管理するSAのショップ情報が無いのは不親切です。(例:東海北陸道ひるがの高原SA)
問題なのは、地図を含めて一切の距離情報が無いこと。IC間区間距離やSA、PAやICのキロポストに即した距離が分かりません。これはドライバーへの情報伝達として失格であり、早急な改善が望まれます。
また、地図の道路表記が、中日本高速とそれ以外という色分けになっており、さらに高速道路と自動車専用道路の区別がつかないことも問題でしょう。東海環状道のように高速道路と同レベルであればいいんですが、八王子バイパスや箱根新道が東名と同じ線で描かれているのはいかがなものか。
後述する西日本版が刷新された現在、3社の中で一番見劣りがします。
●西日本版
こちらは従来のサイズを踏襲しています。関西版と中国版、四国版、九州・沖縄版の4種類になり、従来より1種類増えましたが、中国版と四国版は地図は共通です。
季刊で、他2社と違い出版社とのタイアップは無いようです。「うまいもん&イベントガイド」とあり、公団時代にたまに発行されていた県や地方単位のガイド兼マップの体裁に近いです。
内容は結局元に戻った格好で、地図ではIC間の距離表示は復活しましたが、主要国道の距離表示は無し。従来のガイド兼マップには距離表示が一切無く、その点では国道の距離表示を除けば良い形での統合と言えます。
エリアインフォメーションも、路線図に記載されたSA、PAに示された番号を見て、四周にあるガイドを見る形になりました。これは実は前のバージョンと原理は一緒ですが、路線図がポンチ絵からデフォルメはあるが地図形式になっており、格段の進歩です。
エリアのキロポスト情報も復活しており、さらに小数第一位まで記載されており、上下線でやや異なるケースも忠実にキロポスト表示がなされており、ここは3社の中で一番情報量があります。
ただ、相変わらずトイレだけのPAは番号が振られておらず、路線図から読み取るしかなく、駐車可能台数案内もないのは難点です。
自販機だけ設置のPAは案内されているだけに、よけいにその「格差」が気になります。
公団時代の体裁に近いデザインといい、前のバージョンの反動ともいえる部分が目立ちますが、批判が多かったであろうとはいえ、3ヶ月足らずで改めたということは評価できます。
●全体の問題
これまでのロードマップ(エリアガイド)は、全国でデザインが統一されてました。道路施設協会の経営の「不透明」さが指摘されたことで、ハロースクエアとJ-SAPAに分離した時にもそれは継続されていましたし、両社ともお互い他社管轄のSA、PAも公平に表記していました。
しかし、今回の分割、民営化で出来た3社は、各社でデザインを分けてしまいました。
掲載されている基本情報も、距離情報を中心に格差があり、デザインも体裁もかなり異なることから、利用者にとっては慣れの問題もあるとはいえ、不便であることは確かです。
特に大阪から新潟や長野といった3社跨ぎになるケースはその典型でしょう。
さらに、路線、区間で峻別されたことで、他社情報が入りにくくなったことが挙げられます。
従来、その路線だけのマップを配布していましたが、別の路線に直通するケースが多い路線では、頼めばそのマップももらえましたし、境界が近いエリアによっては初めから両方を置いていました。
同じ社内では例えば西日本の第二神明明石SAで関西版のほか、明石海峡大橋でつながる四国版を置いているなど、それなりに考慮はされていますが、名神の八日市から東を管轄する中日本版のガイドは西日本管内のSA、特に中国道や名神で置いているのでしょうか。
東名、名神を直通する場合、従来は東名・中央版と名神版があればよかったのが、今回からは中日本の東名・中央版と北陸・名神版、さらに西日本の関西版が必要になるのですが、常識的な範囲で他社区間もカバーするガイドにしてもらいたいものです。
(中日本の北陸・名神版は新潟や京阪神をカバー。東名・中央版は長野をカバー。西日本の関西版は名神と東名阪をカバー)
独自の会社になったからといって、独自色を出すべき部分もあれば、出すべきでない部分もあるのです。
名神が八日市で管轄が変わる、長野道が豊科で管轄が変わるといっても利用者にとっては意味の無い話であり、民営化したからそうなんですといわれても、勝手に民営化しておいて、と反発を食うだけです。
良い意味での協調を保って、公団時代に比べて良くなったといわれるくらいのより良いマップにしてもらいたいです。
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