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(8)スポーツと医者・中文読解 要点(8) 2000.10.2.作成 制限時間6分
TEXT
今から27年も前のことであるが、ミュンヘンでオリンピックが開かれたことがある。その時もアメリカ人選手の大活躍で、水泳競技はアメリカの圧勝だった。
そのアメリカの水泳選手の中に、マーク・スピッツという選手がいた。金メダルを七つとった選手である。私がこの選手の名前をよく覚えているのは、もちろん金メダルの数が多かったからであるが、決してそれだけではない。この選手は実は医学部の学生だったのである。オリンピックの終了後、彼はインタビューに答えてこう言った。「オリンピックの後は、また大学に戻って、医学の勉強を続けます」と。私はびっくりした。医学部と水泳のオリンピック選手が結びつかなかったからである。
医学部というのは普通、大学の学部の中では最も難しいところである。つまり、秀才が集まるところである。その秀才がオリンピックで金メダルをとったのである。こんなことはたぶん日本では起こらないだろう。
悲しいことだが、日本では勉強のできる学生と運動のできる学生を区別する傾向がある。例外はあるが、勉強のできる学生がいい学生で、勉強のできない学生が、運動をするという考え方が根強くある。勉強のできる学生は、法律や経済を勉強して、弁護士や裁判官、政治家、一流企業の幹部になろうとする。医者、作家、音楽家、画家、教師などもこれに含まれるだろう。言葉を変えれば、頭を使う専門家と言ってもいい。彼らは社会の中で、尊敬を受ける。
一方、野球、相撲、サッカーなどの専門家は、頭を使う専門家と同じぐらい厳しい訓練を続け、一流のプロになるのだが、それでも、頭を使う専門家ほどは尊敬されない。もちろん、軽蔑されることはないが、より低く見られる傾向はある。
つまり、「勉強ができる学生」「勉強ができないから運動をする学生」というように、学生を「勉強ができるか、できないか」で分けてしまう風潮が日本社会には確かにある。だから、医学部の学生が水泳のオリンピック選手になって金メダルをとったことに驚いてしまったのである。
QUESTION:TEXTの要点を簡潔にまとめた文はどれですか。
1.日本では医学部の学生がオリンピックに出ることは考えられないことである。それは勉強のできる学生が運動の選手にな ることがないからである。だから、将来、マーク・スピッツ選手のような人が出てくるとは思えない。
2.日本では運動のできる学生も、勉強のできる学生も同じように尊敬されているので、マーク・スピッツ選手のような選手が将来出ても、不思議ではないし、出てくることは十分に考えられる。
3.日本では、体を使う専門家も、頭を使う専門家も、どちらも厳しい訓練を受けている。しかし、どちらかというと、体を使う専門家の方が頭を使う専門家よりも尊敬されている。将 来、マーク・スピッツ選手のような人が出てくることは確実 である。
4.日本では普通、勉強ができる学生と運動がよくできる学生を 区別する傾向がある。だから、今はマーク・スピッツ選手のような人が出てくる可能性はないが、将来は、スポーツも勉強もよくできる人がきっと現れるにちがいない。
WORDS
1.ミュンヘン ドイツの都市(Munich)
2.大活躍 take an active part
3.競技 race
4.圧勝 overwhelming victory
5.決して by no means
6.医学部 medical department
7.終了 end
8.インタビュー interview
9.戻る return
10.秀才 brilliant student
11.区別する distinguish
12.傾向 tendency
13.根強い deep-rooted
14.弁護士 lawyer
15.裁判官 judge
16.一流企業 major company
17.幹部 executive
18.含む include
19.厳しい hard
20.訓練 training
21.プロ professional
22.軽蔑する despise
23.低く見る neglect
24.風潮 trend
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