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冬枯れの農家
この農家のご主人はシベリア帰りである。
戦後しばらくシベリア抑留生活を余儀なくされ、
昭和25年頃引き上げてきたそうである。
そのご主人もすでに八十半ばをすぎている。
春の暖かい頃は、散歩する姿を時々見かけたのだが、
このごろは寒さのせいか、ほとんど姿を見せない。
青春、朱夏、白秋、玄冬。
昔紅顔の美少年も、やがて白髪の老人になる。
シベリア帰りの老人は子や孫に何を語るのだろうか。
抑留生活か
戦後の闇市か
はたまた
農地の解放か
シベリア帰りの老人は子や孫に何を語るのだろうか
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写真の左に見える赤いものは
柿の木である。
母屋の前に広がる土地は
昔、梨畑だった。
子供たちの遊び場だった。
梨の木の下には蕗がたくさん植わっていた。
夏になると、子供たちはこの蕗を折って
頭に載せる。帽子のように。
シベリア帰りの老人は
この悪ガキどもを大声で怒鳴るのである。
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柿泥棒もよくやったものだ。
いや、盗むという感じではない。
取る、もらうという感じだ。
だから、今でも、スーパーなどで
金を出して柿を買うのは変な気持ちがする。
シベリア帰りの老人は
柿泥棒にもよく大声で怒鳴った。
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シベリア帰りの老人は子や孫に何を語るのだろうか
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