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(13)動物のモラル中文読解 要点(13) 2003年5月4日更新 制限時間7分

TEXT

 動物もモラルのようなものを持っている。
 例えば、こういうことである。戦いに負けたオオカミが自分の首をたれて、その急所である首筋を、勝ったオオカミの牙の前に差し出すと、勝ったオオカミはもはやそれ以上の攻撃ができなくなってしまう。勝ったオオカミは相手の首筋にかみつきたいのだが、それができないのである。勝ったオオカミはかわいそうだとか、助けてやろうというような気持ちなのではない。それは遺伝的にもっている、純粋に心理的な抑制である。
 このような抑制は、オオカミやイヌをはじめとして、牙などの強力な武器を持つ動物に多く見られる。彼らが無益な殺し合いをしないのは、この心理的抑制、つまりモラルがあるからだと言えるだろう。
この心理的抑制は、叱られた子供や女の子が、まったく無防備にさめざめと泣き出すと、叱った方は怒りの感情が消えてはいないのに、もうそれ以上叱れないのと共通した現象だと考えることができる。


参考図書:日高敏隆(1979)「動物にとって社会とはなにか」
講談社学術文庫, 講談社, pp.107


 このTEXTは上記の原著者及び出版社より引用転載の許諾を得て掲載しています。よって、無断転載を禁じます。(2003.5.4.にほんごのひろば主人)



QUESTION TEXTの要点を簡潔にまとめた文はどれですか。

1. イヌやオオカミの世界では、勝者は敗者に対して、それ以上の不必要な攻撃をしない。これが動物のモラルである。ちょうど叱られて泣いている子どもをそれ以上叱れない現象と同じである。

2. 敗者に対して更に攻撃を続けようとするのが自然のルールであり、動物のモラルである。ちょうど叱られて泣いている子どもをもっと叱ろうとする気持ちとよく似ている。

3. 勝ったオオカミは負けたオオカミに対して、かわいそうだから、許してあげようという心理になる。これが無益な殺し合いをしないという動物の賢さである。ちょうど叱られて泣いている子どもを許してやろうとする心理と同じである。

4.戦いに負けたオオカミやイヌは、必ず負けを認めた動作をする。その動作をすることが動物のモラルである。ちょうど叱られた子どもが泣き出すのと同じことである。


WORDS

1.首をたれる  lower one's head
2.急所     vital organ
3.首筋     neck
4.差し出す   stretch out
5.もはや    no more
6.かみつく   bite
7.遺伝     heredity
8.心理的な   psychological
9.抑制     control
10.無益な needless
11.無防備 defenseless
12.さめざめと泣く cry bitterly
13.共通した(の) common
14.一定の    a certain




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