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(7)アリと子供・中文読解 内容(7) 2000.10.1.作成 制限時間8分
TEXT
子供にけがは付き物だ。切り傷、擦り傷、歯を折る、骨を折るなど、けがをしない子供はいない。
最近の子供のけがの特徴の一つは「防御」の手段が身についていないことらしい。例えば、前に転んだ場合を考えてみよう。普通は、手を前に出し、手を地面につけ、体が倒れるのを防ごうとする。ところが、その手が出ないで、直接、顔から倒れていく子供が多くなったそうだ(別に顔が特別に大きいわけではない)。だから、地面に顔をぶつけたり、歯を折ったりするのだ。また、手が地面についた時に、腕の骨を折ってしまう場合もあるそうだ。 つまり、危険な状況に直面した時に、自分の体を危険から守れないということなのだ。どうしてこういうことが起きるのだろうか。
アリを使った実験を紹介しよう。
アリはよく働く動物だと思われているが、「実際は一日のうちの三分の一だけ働き、あとの三分の二は遊んでいるそうだ。どんな遊びかというと、巣から出て、目的もなく巣の周りを歩き回るのである。遊びの時間には、エサがあっても見向きもしない。また、巣の中でも、女王アリのひげを触ったり、仲間のアリの部屋を見に行ったりするだけで、それらもまったく無意味な行動である。そこで、この遊びの時間を取り除く実験をするのである。巣から出て、遊び始めたアリを数時間小さな箱に入れる。それから、遊びの時間を取り除いたアリと、取り除かなかったアリを巣から遠い場所に持っていって放してみる。すると、遊んでいたアリはまっすぐ巣に帰って行くが、遊びの時間を取り除かれたアリは、うろうろするだけで、巣に帰れないのである。」(糸川英夫(1982)「逆転の発想」角川文庫,角川書店,pp.101)
つまり、遊びというのは環境に適応するための訓練なのである。しかも、その遊びは無目的でなければいけない。
子供もおなじである。
子供というのは、学校から帰ったら、仲間と連れだって、外で遊ぶことが重要なのである。「野球」とか「サッカー」とか、目的のあるものではいけない。野や山を駆け回り、すべったり、ころんだり、川に落ちたり、木の上から落ちたりして、無目的に遊ぶのが大切なのである。ちょうど、アリが巣の周りをぶらぶらしたり、女王アリのひげをさわったり、ほかのアリの部屋をのぞいたりするのと同じように。
それなのに、今の子供は塾に通い、勉強をし、テレビゲームで遊ぶ。知識や情報は増えるが、環境への適応力は育たない。だから、転んだときなどに、腕の骨を折ったり、歯を折ったりするのである。
子供たちよ!もっと遊べ!
QUESTION. 1:アリは例えばどんな遊びをしますか。具体的に書いてく ださい。
(1)巣の外: アリと子供
(2)巣の中:
(3)上の(1)(2)の遊びは何か目的がありますか:
QUESTION. 2:実験の結果、アリと遊びの関係について、どのようなこ とがわかりましたか。表を完成してください。
遊んだアリ 巣に
遊ばなかったアリ 巣に
QUESTION. 3:TEXTの文と内容が同じになるように、かっこに正しい言葉を入れてください。
アリは一日の(1. )は働き、(2. )は遊ぶ。その遊びには、特に(3. )はない。そのように遊ぶことによって、アリは(4. )に適応する力を育てている。
QUESTION. 4:次の文はテキストの内容と合っていますか。合っていれば○を、合っていなければ×をつけなさい。
1.最近の子供は転んだとき、うまく手が出ないで、顔から倒れる子供が多い。
2.最近の子供は運動が足りないので、サッカーや野球をしたほうがいい。
3.遊びというのは環境に適応するためには是非必要なもので、最近の子供はそれが欠けている。
4.家のなかで静かに遊んでいれば、けがもしないので、できるだけ、部屋で静かに勉強していたほうがいい。
5.サッカーや野球をしても、環境に適応する力は育たない。
6.最近の子供は顔が大きくなったので、よく地面に顔をぶつけるそうだ。
QUESTION. 5:結局、この筆者は何が言いたいのですか。筆者の主張を最もよく表した部分どこだと思いますか。書いてください。
WORDS
1.付き物だ 子供はいつもけがをする
2.切り傷 cut
3.擦り傷 graze
4.歯を折る break one's tooth
5.骨を折る break one's bone
6.特徴 special feature
7.防御 defense
8.ぶつける hit
9.エサ feed
10.見向きもしない will not look at
12.環境 environment
13.適応する be adapted
14.仲間 fellow
15.つれだって go together
16.駆け回る run around
17.すべる slip
18.ころぶ fall
19.塾 private school
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