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中国(杭州・紹興・上海)−19 上海リニアモーターカー編

 2004年10月11日(月)。旅行4日目である。この日は待ちに待ったリニアモーターカーの乗車日である。今回の旅行はこのためにあったといっても過言ではない。
 当初は12日(火)の帰りのフライトに合わせて乗ろうかと思っていたのだが、僕のフライトは朝8時30分発という早さであり、その時間にはリニアモーターカーは営業していない。そのため、帰国前日にリニアモーターカーで空港まで往復し、帰国日はタクシーで空港まで行くことにした次第である。もう少し有効な時間と金の使い方があるのではないか、という指摘もあるかと思うが、鉄道マニアとはそういうものなのだ。

 上海のリニアモーターカーは、浦東国際空港から地下鉄の龍陽路駅までの約30kmを約7分30秒で走る。最高時速は430km/hという驚異的なスピードである。日本の「のぞみ」は確か約270km/hであり、リニアモーターカーはその1.5倍のスピードだ。営業開始は2004年である。未来都市上海の象徴だ。

 ホテルのある静安寺駅から龍陽路駅までは地下鉄で1本である。龍陽路駅の改札を抜けると、隣にリニアモーターカーの駅がある。エスカレーターで2階に上がると、切符売り場である。切符(普通席)は往復80元(=約1,200円)、片道40元だったと記憶している。さらにグリーン席もあって、値段は2倍だったと思う。わずか7分30秒のために2倍の値段を払うというのは無駄にしか思えないが、共産党の幹部が使用するのだろうか。運行は20分に1本である。

 ホームに行ったところ、もうリニアモーターカーがホームに入線していたので、早速乗り込んだ。

リニアモーターカー 内部

 上の写真を見ればお分かりいただけるかと思うが、月曜日と言うこともあってか、中はガラガラである。全部の車両のドアが開くわけではなく、普通車の最初の車両(3両目?)のドアだけが開いており、僕が乗り込んだところ、その車両には確かに乗客がいたが、その次の車両まで行くと、ほとんど乗客がいなかった。出発まで5分以上あったが、それほど乗客は増えなかった。採算性が危ぶまれる次第である。

 車内にはスピード表示が出る。100km/hを超える毎に写真を撮ろうかと思っていたのだが、走り出すと挨拶の表示などが出てしまった。スピード表示の写真は諦めて、車窓の風景を楽しんだ。

 7分30秒ほどで、あっという間に浦東国際空港駅に着いてしまう。僕と入れ違いで、遠足で来たと思われる中国人小学生が、ホームで整列していた。採算性の不安は、ひとまず消えた。

浦東国際空港駅

 往復チケットなのでいったん外に出てみると、100メートルの通路を挟んで浦東国際空港である。その便利さには驚く。空港の出口を抜けるとリニアモーターカーの駅であり、最長20分待ってから龍陽路駅まで7分30秒、地下鉄に乗り換えて10分もすれば、 東方明珠塔 である。30分に1本の成田エクスプレスで都心までさらに1時間かかる成田空港とは大違いである。

 ホームに戻ってみると、小学生は全員乗っていってしまったようで、閑散としている。今回もスピード表示の前の席に座った。

スピード表示

10時51分02秒 4km/h

10時51分45秒 101km/h

10時52分32秒 203km/h

10時53分15秒? 306km/h

10時54分07秒 401km/h

10時54分28秒 431km/h

 帰り(浦東→龍陽路)は、余計な挨拶文も表示されず、加速の経過を写真に撮ることが出来た。
 恐るべきはその加速度である。10時51分00秒に発車したとして、わずか3分28秒で431km/hに達している。45秒ごとに100km/hアップしている。
 最高速度は30秒ほど持続したと記憶している。時速430km/hというのは、想像を超えた速さであった。隣に高速道路(だと思う)があるのだが、自動車をあっという間に追い抜いてしまう。100km/hで走っている自動車と並走しているという感じが全然しない。止まっているように見えるといっても過言ではない。
 走りの安定性についてだが、思ったよりも揺れた。300km/hの写真がぶれているのはそのためである(と信じたい)。もちろん不快に感じるほどではなく、許容範囲内である。加速、減速もともに自然であり、体が座席に押し付けられるような感じはしない。

龍陽路駅

走路下から見た走路

 このリニアモーターカーだが、走る距離が短すぎる。せっかく430km/hも出るのだから、もっと長い距離の方が役立つはずである。蘇州や杭州などの近郊都市までつなげるというのも一案だが、それよりも先に国内線の空港である虹橋空港や、上海駅までつなげれば、もっと便利で使い勝手もよくなるはずである。もちろん距離を長くすればダイヤも複雑になり、車両の数も増やす必要はあるので、コストも増える。

 日本では、リニアモーターカーの実験をもう何年も続けている。愛知万博では短い距離をリニアモーターカーが走るらしいが、おそらく実用化することはないだろう。新幹線の延長すら出来ないと言う財政状況で、新たにリニアモーターカーの用地を買収することはできない。今まで注ぎ込んできた税金は、無駄になってしまうのだろうか。


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