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中国−9 長春の市街編
長春は吉林省の省都である。戦前は満州国の首都新京であり、満州国時代に建築された遺構が数多く残されている。「満州」という言葉は、いいイメージを持って語られることはない。傀儡国家、関東軍の暴走、七三一部隊など負のイメージが強い。中国共産党政府は満州国の存在を認めていないので「偽満州国」と称している。戦後50年以上経過しても、まだ靖国参拝や教科書問題などの軋轢が生じているが、満州がその一因となっているのは疑いない。その満州をこの目で見てみようと思った。
僕が長春を観光したのは2001年8月24日(土)、小泉首相の靖国参拝の11日後であった。朝起きたら、 昨晩 食べ残した餃子と醤油の匂いが部屋に充満していた。カーテンを開けてみたところ、そこには「いかにも中国」という風景が広がっていた。
長白山賓館の11階からの眺望 朝8時 夕方6時
中国らしい、と思ったのは以下の理由による。
1.平らである。大連はわりと坂が多かった。
2.ビルが低い。大連は高層ビルが林立していた。
3.建物が古い。大連は新しいビルが多かった。
ホテルで簡単な朝食を済ませ、早速観光に出かけた。見所が点在しているので、レンタサイクルがないかフロントで尋ねてみたが、「没有(ありません)」と一言で片付けられた。ホテルから長春駅まで5kmくらいあるのだが、点在している遺構を見ながら歩くことにした。
ホテルから駅に向かって歩いて約15分のところに吉林省電視塔がある。土曜日の朝と言うことも有り、さすがに他に観光客がいた。このタワーは外に出ることが出来た。涼しい風が心地よい。
吉林省電視塔からの眺望 電視塔 文化広場・市街地方面
やっぱり平らだ。ホテル・南湖方面
こちらも平らだ。下から
タワーに登ってから初めて長春にも近代的なビルが有るのを知った。ビルが密集しているのは、一番の繁華街である重慶路だ。ヨーロッパのブランド品を扱っているデパートや、おそらく長春で唯一のマクドナルドが有るのがここだ。マクドナルドはものすごい混雑で、店の外まで行列が出来ていた。
吉林省電視塔から歩いてすぐのところにあるのが文化広場である。広場に有る建物は地質宮といい、満州国皇帝溥儀が住む予定であったが、建設が完成する前に戦争が終わってしまった。戦後中国人の手で建設を進め、1954年に完成させたもの。現在は大学として使用されている。
文化広場
文化広場から長春駅までは30分くらい有るので、普通の人は歩かない。長春駅前には地下街があり、人でごった返していた。ある市に行くとどうしても駅を見たくなってしまうのが鉄道マニアの宿命だ。
長春駅
遺構をだいたい見て回って、ホテルに戻ったのは18時くらいであった。見逃してしまったのが長春電影宮と長春電影城だ。李香蘭主演の映画が撮影された跡を見たかったのだが、残念ながら時間が無くなってしまった。
次のページでは、いよいよ遺構をご紹介したい。
(続く)
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