このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

中国(上海・蘇州・無錫)−12 楓橋編

 江南で一番有名な橋、楓橋(ふうきょう)は、寒山寺から徒歩5分ほどのところにある。寒山寺から楓橋までは土産物屋が並んでいるので、まず迷子になることは無い。
 楓橋は唐の詩人張継の作品「楓橋夜泊」で有名である。

「楓橋夜泊」 張継

月落烏啼霜満天
江楓漁火対愁眠
姑蘇城外寒山寺
夜半鐘声到客船

「書き下し文」

月落ち烏啼いて霜天に満つ
江楓(こうふう)漁火愁眠に対す
姑蘇城外の寒山寺
夜半の鐘声(しょうせい)客船(かくせん)に到る

「訳」

月が西の山に沈み烏が啼いて、霜は天に満ちて真っ白である。
川ぞいの楓の葉と、ちらちらといさり火が、旅の夜の寝付かれぬ眼にうつる。
一体いま何刻であろうかと思っている所へ、姑蘇の町外れの寒山寺から、
夜半を告げる鐘の音が、ゴーンと自分の寝ている船に響いてきた。

書き下し文と訳は こちらのホームページ を参考にさせていただきました。


 楓橋はそれほど大きなわけではなく、レンガ造りのアーチ型の橋である。典型的な江南の橋である。蔦のからまった入口が風格を感じさせる。
 ちなみに写真①の橋の上やや右側に一人白いシャツを着た男が映っているが、彼は異常にしつこい物売りである。僕が橋を登っていくと、「ニイハオ!ニイハオ!」と叫びながらやってきた。僕は冷血なのでこういうときは視線を合わさずにひたすら無視することにしている。ちなみに会社で僕のところにやってくる生保のおばちゃんも同じ仕打ちに遭っている。
 日本人であれば無視されるとすぐに次の客にアタックするが、彼はめげずに「ヂャオシャン(照相=写真を撮る)!ヂャオシャン!」と僕の脇で話し掛けてくる。つまり、彼は旅行客のカメラでその旅行客を写真に撮り、それで小銭をもらうというかなりせこい商売をしているのである。写真③は隣でしつこく叫んでいる物売りを無視して撮った写真である。僕は一言も声を掛けずに橋を下り、写真①の撮影位置に移動した。すると彼は橋の上からもしつこく「ヂャオシャン!ヂャオシャン!」と叫びかけてきた。写真①に彼が映っているのはそういう事情による。写真の邪魔であり、人の迷惑を省みない行為は腹立たしいが、その執念は敬服に値する。中国の観光地にはこのような物売りが多いが、この男は特別であろう。昨年の 二〇三高地 の駕籠かきもしつこかったがそれ以上だ。
 ただ、一方で、まるで愛想が無く、サービス精神のかけらもないような店員というのも中国には多数棲息しており、これはこれで腹立たしい。

 なお、楓橋と並ぶ有名な橋に「宝帯橋」がある。この橋は京杭大運河に掛かっているもので、長さ317メートル、橋桁には53個のアーチが並んでいるという大きな橋だ。ぜひ行きたかったが、ホテルのフロントに訊ねてみたところ、ホテルからタクシーで30分程度かかる、とのことであり、泣く泣く断念した。

① 楓橋と楓橋夜泊の碑
この写真でデジカメのメモリが尽きた。

② 入口③ 橋の上からの眺め
民家の白い壁がいい雰囲気だ。


 寒山寺入口の前にも似たような橋があり、これが楓橋だと勘違いしかねないので要注意。この橋もそれなりに趣深い。ちなみに、下の写真右が寒山寺入口であり、楓橋はこの橋の奥にある。

寒山寺入口前の橋



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