このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
スペイン世界遺産エッセー/グラナダ
④心地よい空間
そうすると、無粋そうなアルハンブラ宮殿の一つ一つの間が、
これまでの単なる迷路のような印象から、
居心地の良い非常に洗練された空間に感じられるようになってきました。
水に飢えた砂漠の民であるイスラム教徒たちが、
万年雪を抱くネバダ山脈の雪解け水を、庭園、宮殿の中庭を
最大限に潤すよう工夫している様が多少なりとも見えるような気になってきました。
そして、この宮殿建築の工夫は水の活用だけではなく、
済みきった空気のもとでの風とおし、眺望などが
日常のさりげない生活の中で自然に楽しめるようになされていることに気づかされもしました。
見るものを圧倒するような迫力には欠けこそするが、
逆に威圧感がなく、住む人、訪れる人が心地よく過ごせるような造りは、
冒頭のバロックや古典様式のヨーロッパ建築様式とはまったく異なる
イスラム建築の特徴のひとつであるのかもしれません。
原理・合理性を追求し、物事を体系化しようとする欧州の考え方とは異なる、
成り行きのなかで個々に最善の工夫を凝らしていく日本の考えに共通するところがあるようで、
なんとなく親近感が感じられるようにさえなりました。
写真上はアルハンブラ宮殿内部のライオンの中庭、
写真下は三姉妹の間の壁面を化粧する石膏のアラベスク文様。
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