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 ステンショ物語 (その89)    汽車が走り出した明治の頃                 
                        駅はステーションがなまってくさ、ステンショていわれとった。

九州新幹線に押しつぶされた
  鹿児島本線                 

新幹線が駅の上ば通過するようになったもんやケン、なんか押しつぶされたごたる駅になってしもうた。


 初めて羽犬塚駅てこの駅の名ば聞いた人は一瞬( ? )とおもうやろう。しかも地元筑後のもんは「はいんつか」て発音するケン、なお( ? )てなる。

 なし羽犬塚かについては最後の( ? )ば読んでもらうとして、この駅名は、開業当時に駅が八女郡羽犬塚村(のち羽犬塚町から筑後市)にあったけんタイ。

 羽犬塚はいま筑後市の中心で、八女地区の玄関口としての役割も果たしとる。市の庁舎も駅の近くにある。駅前ば南北に国道209号線が走り、駅の構内で大川〜八女ば結ぶ国道422号線がループして立体交差する。 

 大宰府政庁がでけたことで坊津街道は発展し、人と物資の往来に重宝されたて歴史の本に載っとる。

 駅前の国道209号線がほぼその跡ば走っとるていう訳。

 筑後三宿の松崎は、いまの小郡市(西鉄甘木線に松崎ていう駅がある) 府中は久留米高良山の門前町(いまの御井町あたり)としても栄えとった。

 筑後市いうとは、明治22年(1889)に町村制がでけた時、羽犬塚村やった。

 大正14年(1925) 羽犬塚村が町制施行して羽犬塚町になり、昭和29年(1954) 羽犬塚町、水田村、古川村、岡山村が合併して八女郡筑後市となった。

 市域は東西7.5km、南北8.2km、面積42平方キロのほぼ平坦な土地、高っかとこで標高40m、低地で5mていう典型的な筑後平野タイ。

 人口は平成23年8月で48,891人。正式には「ちくごし」バッテン、通常「ちっごし」てしか云わん。

 一番ホームには、2010年12月から市内に鎮座する水田天満宮の末社・「恋木神社」からご神体の夫婦雛のコピーが「恋むすび」いうて置いてある(いや、祀ってある)。
 これば情報誌で知った若もんが、お参り(なでなで)に来るごとなったていう。

 恋木神社はご祭神に「恋命(こいのみこと)」ば祀ってある珍しか神社で、全国でもここ一社だけゲナ。
 恋木の「木」は東のことで、菅原道真が太宰府で生涯を終えるまで、都の天皇や妻子ば思い続けたその思いやりの心ば、せめて霊魂だけも慰めてやろういうことで祀られた神社。

 そやケン、この恋木神社は「良縁成就の神様・幸福の神様」として、若者達に人気があるらしか。恋愛祈願・良縁祈願でお参りが多かていう。

上の上・新しか羽犬塚駅。上・朝夕は通勤客で賑あう羽犬塚駅のコンコース。
下・西側からの駅。左のは構内の跨線橋。右は駅の表と裏ば繋ぐ連絡橋。その上ば新幹線が通る。

 羽犬塚駅は、明治24年(1891)九州鉄道の駅として開業した。明治40年(1907)に九州鉄道が国有化されたもんやケン国鉄の駅となった。

 昭和20年(1945年)には矢部線が黒木まで開業したとバッテン、この矢部線は40年後の昭和60年(1985年)に赤字で廃止された。
 それまでは、駅のいちばん東側に「矢部線」の発着する0番ホームいうとがあった。廃止後もしばらくはホームだけ残っとった記憶がある。

 平成8年(1996)に二代目の駅舎ば改装。平成18年(2006) 九州新幹線がなしかここの真上ば通るごとなったもんやケン高架橋工事のために仮駅舎に移され、2009年に新幹線が完成して、やっと新駅舎での使用がはじまった。

 快速の停車駅で、2011年3月以前は博多方面からの快速・準快速の約半数はこの駅で折り返しとったけど、いまは荒尾駅まで延長運転されるごと変わった。一部の特急も停車する。

 線路東側に駅舎があって、駅舎側に単式ホーム1面1線の下り本線、駅本屋と反対側に島式ホーム1面2線、お互いのホームは跨線橋で連絡しとって、跨線橋のそのまた上ば新幹線がまた越して走りぬけていっとる。

 三代目の現駅舎は鉄筋コンクリート造り平屋建で自動改札機、自動券売機が設置されとるほか、観光案内所やコンビニ、飲食店、お菓子、特産の八女茶の店舗もある。
 
 1番ホームが鹿児島本線(下り) 大牟田・玉名・熊本方面
 2・3ホームが鹿児島本線(上り) 久留米・鳥栖・博多方面

 駅の利用者は乗車だけで1日3,079人(2005年のデータ)

 もともと羽犬塚は坊津街道の宿場町として栄えとって、昔から交通の要衝やった。

 
坊津街道いうたら、おおむかしの幹線道路のひとつやった長崎街道と山家宿から分岐して、筑後3宿て呼ばれた松崎・府中・羽犬塚ば通り、肥後国ば抜けて薩摩国坊津港までいたる道やった。

 坊津港いうとは、古代から日本の主要港として栄えとった薩摩半島西南端の坊津町(ぼうのつちょう)にあった港で、中国の歴史書には博多津(福岡)、安濃津(あのつ・現在の三重県津市)とならんで日本三津(さんしん)ていわれとった。

 町は合併で南さつま町になったバッテン、港は残っとる。

上2枚・新幹線工事中の羽犬塚仮駅。         左・連絡通路から瀬高方面。左下の空き地が以前「矢部線」が使いよった0番ホーム。  
下2枚・工事中の看板にも羽犬が・・
新幹線工事中の
 羽犬塚駅  2008.11月

 違うとは、
 1. 豊臣秀吉が天正15年(1587) 大軍ば率いて九州遠征の際、この地で羽の生えた怪犬にでっくわし、それば仕留めて塚ば作り羽犬塚て命名した。
 2. 羽の生えたごと俊敏に飛び跳ねる秀吉の愛犬が、この地で敵の矢に当たって死んだケン弔うて、ここば羽犬塚て呼べていうた。

 筑後誌には、安永6年(1777)羽犬塚里老伝へ云う。往昔両翼の犬隠れ住んで往来の人馬を害す。秀吉公九州征伐の時、狩してこれを殺し此所に埋めて石碑を建て羽犬塚と号す。後年、民家を建て駅所となす。・・・ていう記録が残っとる。

 むかしの話やケン、どれがほんなことやら分からんバッテン、羽根の生えた犬がおったなんていう発想が面白か。

 新幹線工事の始まる前は、駅前に「羽犬塚」の由来とされる羽の生えた犬の銅像があったとバッテン、建設工事のためどかされて市民の森公園に移転した。

 例によって「物好きな駅長」 犬の像ば探し回って、みんな撮ってきた。みてやってん。

上・飛びまわる羽犬ばのびのびと表現した駅前の羽犬。
右・市民の森公園の羽犬は斬新なデザインで、伝説の羽犬ばアレンジした。
右下・神出鬼没な羽犬のすばしっこさば表した躍動感ある羽犬塚小学校正門の羽犬。
下・山ノ井の交差点にあるおとなしか羽犬像。

 西海道(さいかいどう)とは ?

 五畿七道(ごきしちどう)の一つで、7世紀末、国境の調査ばした時期(だいたい690年頃)に、それまで筑紫・肥・豊て呼ばれとった地域ばふたつに分けてクサ、筑前・筑後。肥前・肥後。豊前・豊後の北部九州六国がまず誕生したとタイ。

 大宝2年(702年)には残った日向と薩摩が、そして和銅6年(713年)には大隅が分立し、これで九州に九つの国がでけた。それで九州。

 壹伎・対馬なども国に並ぶひとつの行政単位として認められ、太宰府が中央政府との間におって全体ば管轄するひとつの行政管区(
西海道)となった訳タイ。

 この行政区分けは、奈良・平安時代ば通じて存続し、これらの国・島には国府や島府が設置されとったていう。

以下の12ヶ国が含まれとった。
豊前国(豊州、福岡県東部,大分県北部)
豊後国(豊州、大分県中央部から南部)
筑前国(筑州、福岡県西部)
筑後国(筑州、福岡県南部)
肥前国(肥州、佐賀県,長崎県の対馬と壱岐以外)
肥後国(肥州、熊本県)
日向国(日州、向州、宮崎県、鹿児島県東部)
大隅国(隅州、鹿児島県東部、奄美)
多禰国(種子島・屋久島)
薩摩国(薩州、鹿児島県西部)
壱岐国(壱州、長崎県壱岐島)
対馬国(対州、長崎県対馬)
琉球国(沖縄県)

 筑後国とは ?

 
筑紫国(つくしのくに)ば分割して、筑前国とともに7世紀末に成立したしが筑後国

 戦国時代、筑後の守護は大友氏で、その勢力下やったとバッテン、実際に筑後ば支配しとったとは、
筑後十五城て呼ばれた領主たちやった。

 筑後南部(下筑後地域)は蒲池氏、田尻氏、黒木氏が、筑後北部(上筑後地域)その他は星野氏、草野氏、問註所氏などの大身が割拠しとった。

 江戸時代は、筑後南部は
立花氏の柳河藩、大牟田あたりは柳河藩と親類関係にあった三池藩で、筑後北部(上筑後地域)は有馬氏の久留米藩が押さえとるていう構図やったとタイ。

 駅名の由来
 開業当時の地名が八女郡羽犬塚町やったけんタイ。

 そんなら
羽犬塚なんていうとはなし ?  

「羽犬塚」いう地名は古うからあって、その名の由来は400年前から語り継がれたふたつの伝説があるバッテン、どっちも羽根の生えた犬ば、ここの塚に葬ったていうことで「羽犬の塚」→「はいぬづか」

 近くにある宗岳寺には今もこの塚が残されとる。

場所・福岡県筑後市大字山ノ井。九州自動車道ば八女ICで出る。右折して約1kmで筑後市「山ノ井」の信号やケン、これば直進400mの「ループ東」信号で右折すれば、もうそこは駅の前。簡単すぎたかな ?   取材日2011.11.13                   

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