このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

芭蕉の句


鎌倉を生て出けむ初鰹

出典は 『葛の松原』

 詩哥に名所を用る事たやすからじ。「かまくらの初鰹」は、支考が東より帰けるとき、かゝる事ありとて見せ申されしを、「生て出るといふに鎌倉の五文字、又その外あるべくとも承わ(は)らず」と申したれば、うれ敷きゝ侍るとて阿叟もにくみ申されしが、みづからも徼幸にいひ明しぬらむ。

元禄5年(1692年)、芭蕉49歳の時の句。

山口誓子 は、この句について書いている。

 この句は私の好きな句だ。鎌倉で捕れたとき、そのはつ松魚はいきいきしていた。江戸へは早荷でとどけられたろう。若狭の鰈を京都へとどけるのに、若狭街道を走って搬んだように。

 しかしこの句は、江戸で作られた句にちがいない。初松魚を喜ぶ江戸の人々を代表して詠ったような句だ。「鎌倉をいきて出てけむ」は芭蕉の言葉であると同時に江戸の人々の言葉である。


青森県青森市の 合浦公園

神奈川県横浜市の 富塚八幡宮 に句碑がある。

富塚八幡宮の句碑



初鰹は当時鎌倉 に水揚げされ、戸塚宿を通って江戸に運ばれたそうだ。

『類柑子』俳諧一葉集』 には「鎌倉は」とある。

神奈川県鎌倉市の 鎌倉文学館 に句碑がある。

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