このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

今年の旅日記

旧伊達郡役所〜東久世通禧の詩碑〜
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大安寺 から旧伊達郡役所へ。


桑折陣屋跡

 桑折周辺の信達地方は、江戸時代に入ると米沢藩上杉氏領となりましたが、寛文4年(1664年)に幕領へと移り、幕府代官所が福島に置かれていました。その後、信達地方は一時福島藩本多氏領となりましたが、天和2年(1682年)再び幕領となり、堀田氏の福島藩入部に伴い、残された幕領を治めるため、貞享3年(1686年)に 幕府代官所として桑折陣屋が設置されました。初代桑折代官は柘植伝兵衛でした。元禄13年(1700年)松平忠恒が2万石で桑折藩を開き、陣屋を使用していましたが、松平氏は定府(参勤交代せず、江戸に常任している大名)であったので、桑折陣屋には代官を派遣して当地を治めていました。松平氏は三代忠暁のときの延享4年(1747年)上野篠塚に転封になりますが、その理由は半田銀山に有望な鉱脈が発見され、これを幕領とするためとされ、佐渡奉行の支配下に置かれました。このころ描かれたとみられる絵図によると、陣屋内には銀山関連の施設があったことが窺えます。翌寛延2年(1749年)に神山三郎左衛門が桑折代官として赴任し、一時の仙台藩の預かり支配期を除き、明治元年(1868年)に前田勘四郎代官から新政府に引き渡されるまで、代官が派遣されていました。その間、陣屋は齋藤彦内・蓬田半左衛門が首謀者となった「寛延一揆」に囲まれたり、竹内平右衛門・寺西重次郎・寺西蔵太・島田帯刀等、民政や銀山開発に尽くした代官の治政の場となる等、当地方の中心として機能しました。代官の中には、竹内代官や寺西重次郎代官等のように、桑折で死去し、町内に墓所があるものもあります。陣屋は、郡役所敷地より東側、陣屋の杜公園より北側の、現在は住宅地となっている部分を占めていました。

桑折町教育委員会

芭蕉像


 昭和56年(1981年)10月、桑折町種徳美術館建物と共に寄贈、建立。太田良平氏作。

台座に「奥の細道」の一節が刻まれている。


奥の細道

月の輪の渡しを越えて瀬の上といふ宿に出づ佐藤庄司が旧跡は左の山際一里半斗りに有り飯塚の里 鯖野と聞きて尋ねたづね行くに丸山といふに尋ねあたるこれ 庄司が旧館 なり麓に大手の跡など人の教ゆるにまかせて泪を落し亦かたはらの 古寺 に一家の石碑を残す中にも二人の嫁がしるし先づあはれなり女なれどもかひがひしき名の世に聞えつるものかなと袂をぬらしぬ堕涙の石碑も遠きにあらず寺に入りて茶を乞へばこゝに義経の太刀弁慶が笈をとゞめて什物とす

    笈も太刀も五月に飾れ紙幟

五月朔日の事なりその夜 飯塚 に泊る温泉あれば湯に入りて宿を借るに土座に筵を敷きてあやしき貧家なり灯もなければ、囲炉裏の火かげに寝所を設けて臥す夜に入りて雷鳴り雨しきりに降りて臥せる上より漏り蚤蚊にせゝられて眠らず持病さへおこりて、消え入る斗りになん短夜の空もやうやう明くればまた旅立ちぬ猶夜の余波心すゝまず馬借りて桑折の駅に出づる遥かなる行末をかゝへてかゝる病覚束なしといへど、羇旅辺土の行脚捨身無常の観念道路に死なん是天の命なりと氣力聊かとり直し路縦横に踏んで 伊達の大木戸 を越す

東久世通禧の詩碑があった。


桑折駅にて霊山を望み感有り

海内妖氣侵闕廷
   海内の妖氣闕廷(けつてい)を侵す
感君殉節姓名馨
   君に感じ節に殉じたる姓名馨(かんば)
鑾輿今日経過路
   鑾輿(らんよ)今日経過の路
仰見霊山千古青
   仰ぎ見る霊山千古青し

重要文化財(建造物) 旧伊達郡役所


 この建物は、明治16年(1883年)10月、三島通庸県令のときに、桑折町の大工棟梁山内幸之助・銀作の両氏の手によって建てられた。

 洋風官衙として、東北地方に残る優品の一つであり、当時の形態と位置を同じくして現存する珍しい建物であることが高く評価されています。

 大正15年(1926年)7月1日郡役所の制度が廃止されるまでの約43年間、郡行政の役割を果たしてきました。その後、伊達郡各種団体事務所、更に県の出先機関としての地方事務所が設置されてきましたが、昭和44年3月県行政の改革により廃止となり、昭和49年5月7日県重要文化財に指定され、同年7月2日桑折町に移管されました。

 昭和52年国重要文化財指定と同時に、文化庁並びに県の指導と援助により、半解体保存修理工事に着手し19ヵ月を経て昭和54年6月30日滞りなく完成しました。

 往時を忍ぶ威厳ある風格は、町のシンボルとして、この貴重な国民的文化遺産を永く後世に伝えるものであります。

桑折町教育委員会

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