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旭隧道
新潟県三条市
2006・6・4 来訪

隧道と言うより洞窟。
これほどエキサイティングな「穴」は見たこと無い。
もう一度行きたい素敵な隧道。

馬場元町林道との分岐点。
殆どの地図ではこの林道を点線表記しているが実際の所は全線舗装の無難な道である。
むしろ途中で交差する 県道 の方がよっぽどありえない路面だったりする。
さて、ここから分岐していく道の先には一本の隧道があるのだが、これまたありえない隧道。
延長約800m、人力ハンドメイド隧道。
その姿を拝む為に自分は一月に2回も千葉から新潟まで280km往復してしまった。
さて、林道との分岐の所にはこのような看板が。
「法正院郷入口」
ここ先にある小さな集落の事をそう呼ぶらしい。
その入口である事を告げる事自体は何でも無いことだ。
が、やはり気になるのはその隣に表記されている
注意 一般車輌での進入は無理です」
・・・通行禁止ではなく物理的に無理ときたか。
では、ここを2回も通過しているMyカブは最早、「一般的な車輌」では無いと言うのか?
さすがは世界に誇るホンダ・スーパーカブ!
その一般車はムリな道ですが序盤はややキツめな傾斜ながらフラットなダートでそこまでシンドイは思えない。
だが、ちょっと奥に入ると激坂のオンパレード。
この画像、一見何でもないダート路面に見えるが実は恐ろしいまでの急斜面だったりする。
本当はカブを斜面に立たせて、ここの深刻さをアピールしようとしたのだが、いざスタンドを立たせてみようとすると前輪が浮き上がりそのままひっくり返りそうになる。
あわてて、車体を支えようとするが強力な引力に引きずり込まれそのまま下まで転がって行きそうだ!
ひーひー、言いながらなんとか体勢を立て戻したのが隣の画像。
ちなみに前回訪れた際は逆側から走破したのだが、ここの斜面はまるで聳える壁の如く見えました。
延々激坂を下ってきて入口の看板にもあった「法正院郷」の集落に入る。
一、二軒程の民家しか見えないが確かに定住している人がおり、この付近には「世界一神社」なる豪気な名前の神社もある。
小さな集落ではあるが歴史のある地区らしく、そもそもこの先にある旭隧道は法正院郷の開発の為に開削されたものである。
人里離れた僻地にも見えるが、地域の人々にとっては重要な場所なのだろう。
法正院郷より先に進むと路面はガタボロコンクリ舗装となる。
コンクリが剥げまくってダートよりタチが悪い、タイヤに優しく無い路面である。
慎重に走っているつもりでも、うっかり欠けた舗装路にガツン!と乗り上げると非常に心臓にわるい。
こんな山の中でパンクしたくないぞ。
(ちなみにこの8時間後、三国峠でパンクさせて泣きを入れている)
ガタボロ路面&激坂を下りきると小川の横を沿うように道が進む。
この区間は舗装が新しく快適に走行できる。
数年後はどうなっているかわからんが。
川の流れに合わせ緩やかなカーブを曲がって行くと、ついにアレが姿を現す。
旭隧道。

小さいです。
軽自動車が何とか入れるぐらいです。
延長約800mで明かりも無いので当然、暗いです。
しかも水浸し。
コンクリの路面に水が流れているのがわかりますか?
しかも奥へ行くほど水深が深くなります。
コンクリで覆われてるのは手前だけですぐに素彫りになっているのが分かる。
ちなみに坑口横には
坑内、落石の恐れがあるため通行禁止
と表記された看板が掲げれている。

ん〜、ここまで来て引き返せと言うのか?

反対側坑口にも同じ看板が掲げられているのだが、「通行止め」と表記されながら
坑口は「いらっしゃーい」と言わんが如くぽっかり開いている。
前回来た時には本当に隧道が通れないのか、道の途中で山菜取りをしていた老婆に質問をしてみた。
で、帰ってきた答えは
「あ〜、向こうの集落(法正院郷?)の人は通るけど一般の人は通らんねぇ〜」
つまり走破は可能。
役所としてはロクに手入れのしていないショボ隧道にあまり入って欲しくは無いが、
実際の所は通らないと不便な生活をしなければならない人たちもいるので
坑口を封鎖せず自己責任で通行させているのだろう。

で、今回実際に通過した人を見た

暗闇の向こうより一筋の光が現れ徐々にそれは大きくなり、
スクーターに乗ったおっちゃんが暗黒隧道より現れたのだ!
おっちゃんは何事も無かったように目の前を通り過ぎ、山の陰に消えていった・・・。

って、あのスクーターも「一般車輌」ではないのか?
つーか、激坂上りきれるのか?<以前スクーター(アプリオ)で とんでもないトコ 行ってる人。

とにかく、走破は可能。
いざ、隧道内へ!
うーん、見事に洞窟だねぇ〜。
ジャバジャバと水をかき分けながら進行中。
一面の暗黒世界な訳だがそれ程、恐怖感は感じない。
坑内が狭いお陰でヘッドライトの光が十分に辺りを照らしてくれるのだ。
怖いどころか、探検気分で楽しいぐらい。
たまにコンクリで補強されている所もあるが・・・。
すぐに素彫りに戻る。
コンクリ区間と比べると素彫り区間が非常に狭いのが分かる。
まだまだ続くよ洞窟は。
ちなみにですね。
この時、ガス欠寸前だったですよね。
ちょっと考えると素敵だよね。
真っ暗な隧道の中でガス欠。
光も消えて延々数百m闇の中を徒歩。
いいねぇ〜、一生の思い出になりそうだ。
ここらへんはもう出口近く。
西側坑口付近でカーブをしている為、出口間近にならないと光が見えない。
この区間では素彫りにコンクリが吹き付けられ、補強の為か謎の球体が打ち込まれている。
路面はいい具合に川となっているが、正直2週間ほど前に来た前回より水量が少なかった気がする。
それこそMAX時にはマフラーもエンジンも水面に浸かって、まさに地底湖を進むが如しだったのだ。
今回も素敵な地底湖探索を堪能したかったのだが、以外に水面が浅かったので拍子抜け。
坑内走破に2、3分をかけ外の世界へ脱出。
ご覧通り「通行止め」看板が掲げられています。
坑口の右上には排水溝のような物があり、ちょろちょろと水を垂れ流している。
しかし、画像をスクロールしてもらえれば分かるとおり、
本気モードの時には滝のように水を噴出していて隧道から流れてくる水と合流して
かなり深い水溜りとなっている。
そして、ここから下っていく道も小川と化し、
ここまで登ってくるにはその流れと逆行せねばならず、時々スリップしそうになって怖い。
しかし今回は、その小川も乾いており普通のコンクリ舗装路となっていた。
山を下るとすぐに 牛丼屋 のような名前の集落に入り、入り組んだ道を迷走。
取りあえず、西側へ向かえばそのうち県道にでます。
こちら側から進入すれば意外とあっさり随道へたどり着けます。
個人的には非常に楽しめた隧道だが、まがりなりにも「通行止め」の隧道であり、付近の住人もあまり部外者に立ち寄って欲しくなさそうな感じもあるので、訪れる際にはこの辺を注意しながら節操のある探索を心がけてもらいたい。
(果たして、自分に節操があったか謎であるが・・・)


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